ブル中野と吉田豪 アジャ・コングとの金網デスマッチを語る

ブル中野と吉田豪 アジャ・コングとの金網デスマッチを語る SHOWROOM

ブル中野さんが『猫舌SHOWROOM 豪の部屋』に出演。吉田豪さんと伝説のアジャ・コングとの金網デスマッチについて話していました。

(吉田豪)本当に全女の特殊さの話にちょっと戻りますけども。いろんな人に聞けば聞くほど異常団体だったっていうのはなんなんですかね? 全部松永ファミリーの問題なんですかね、あれは?

ブル中野と吉田豪 全日本女子プロレスの異常性を語る
ブル中野さんが『猫舌SHOWROOM 豪の部屋』に出演。吉田豪さんと全日本女子プロレスの異常性や特殊性について話していました。 #猫舌SHOWROOM 吉田豪オーナー?「豪の部屋」?️‍♀️#ブル中野 とお届けしました、ご視聴ありがとうござ...

(ブル中野)やっぱりでも女の子だけの集団っていうのがどんどんエスカレートしていった結果のいちばん究極的なものが全女なんじゃないですかね?

(吉田豪)もともと当然、女子が3人いれば派閥ができるみたいな世界で。アイドルなんて完全にそうだと思っているんですけども。それをね、本当に中学校出たての女の子をあれだけ集めて、派閥をいっぱい作って。それで派閥同士の人間関係が本当に本物じゃないですか。本当に憎しみ合ったりとか。そこをまた運営サイドが焚きつけるんですよね。

(ブル中野)そうですね。「あいつがお前の悪口を言っていたぞ」ってこっちには言って。こっちには「こいつが悪口を言ってたぞ」って。それで喧嘩をさせて……。

(吉田豪)ブルさんとアジャさんの試合がヤバいことになったのもそれが関係しているんですよね?

(ブル中野)そうですね。はい(笑)。

(吉田豪)松永会長が両サイドを焚きつける。

(ブル中野)アジャとバイソン木村が組んでいたんだけども、アジャとバイソンに焚きつけてバイソンが「よし!」みたいな感じで。アジャはたぶんちょっと出遅れたんだけども、「行くなら行くか」みたいな。それは後から聞きましたけども。

(吉田豪)とにかく「ブルがなんかお前の悪口を言っていたぞ」みたいなことを向こうに言い、ブルさんにもまた言い……みたいな。

(ブル中野)「アジャがお前のことを殺すって言ってたぞ」みたいな感じですかね。「殺されちゃマズいだろ!」っていう(笑)。

(吉田豪)フフフ、「やるしかない!」って(笑)。でも本当にあの試合、2回目の金網デスマッチはプロレスが興味ない人とかでも全員を虜にする説得力がありましたよね。

(ブル中野)嬉しかったですね。やっぱりいまはもう普通になっちゃっているけども、本当に男子のプロレスファンの方もあれでちょっと認めてくれたというか、「見てみようかな?」っていうきっかけになったと思うし。クラッシュギャルズとかビューティ・ペアさんは女子のファンがすごく多くて、男子が排除されちゃうっていう感じがあったんですけども。あの試合はたぶん男子も認めてくれたっていうのがあって。でも私はもともと「女子プロレス」って呼ばれるのも本当に嫌だったし。「プロレスラー」って言ったら男子のことですよね? でも「女子プロレスラー」って「女子」という言葉をつけなくちゃいけないっていうのがすごくムカついていて……あの時代ですよ? いまは別にいいんですけど(笑)。

(吉田豪)わかります(笑)。だって専門誌もね、女子プロを扱わなかったぐらいの時代じゃないですか。表紙なんかありえないっていう。

(ブル中野)そうですね。だから「女子なんて……」みたいな。女子が男子の技をマネするのは当たり前だけども、男子が女子の技をマネするなんてそんな恥ずかしいことはできませんみたいな感じだったけども、それもだんんだん変わってきたし。だからあれがやっぱりきっかけですよね。

(吉田豪)ブルさんが表紙になって週刊プロレスのなにかを変えた部分があると思いますよ。

ブル中野VSアジャ・コング戦が週プロの表紙を飾る

(ブル中野)はい。ありがとうございます。嬉しいですね、本当に。たぶん男子のレスラーの方たちもあの試合をもし見た人がいたら「おお、女子もちょっとすごいじゃん」っていう風に思ってくれたろうし。もし見ていない人がいたら、「なんで女子が表紙なの?」っていう風に思ったかもしれないけども。

そこからどんどんと変わっていく様を見ていく部分でいま思うことは、猪木さんだったりとか長州さん、武藤さんだったりとお会いする時に私、「お久しぶりです」って言うと「ああ、ブルちゃん!」って。本当にレスラーとして認めてくれたんだなっていう気持ちがすごいあるんですね。それがすごい伝わって。もしもこれがすごいかわいい女子レスラーが「おはようございます!」って言ったとしても「ああ」で終わるかもしれないけど。私だとそこは本当にレスラーとして見てくれている部分があるんだなってすごく感じるので。

(吉田豪)「同業者として」っていう。

(ブル中野)はい。そうですね。だから私のしたことが……あれで全部、私の人生も変わりましたね(笑)。

(吉田豪)もう何度も話されていますけども。本当にね、金網の最上段からのギロチンの時、フラッとしてから拝んでの……っていう。この一連の動きに完全に僕らはリアリティーを感じてやられたんですけども。結構計算があったみたいな話も?(笑)。

(ブル中野)そうですね。もうずっと本当にこの金網デスマッチのことしか頭になかったので。ずっとシミュレーションはやっていたんですよね。で、どうにか登って、登った時に足でこう立てるのかとか……見たことがないんで。金網のいちばん上のところは。

(吉田豪)当然。

(ブル中野)で、そこにどういう風に立つのか。もしも立てた場合、そのままヒュンと行くのはただのバカだなと思ったから。立った瞬間にグラッとして、お客さんを「おおーっ!」とさせておいて、全部私のことを見させておいてから行こうと思ったんだけど……行けなかったんですよ。本当に怖くて。高かったんですよね。

(吉田豪)うんうん。

(ブル中野)目線がすごく高くて。アジャが小さく見えて。「ああ、これはなにかしないと飛べないな」って思ったんで。それで、もう本当に無意識で手を合わせて拝んで。「この手が離れたら飛ばなくちゃいけないよ。もう、これで死のう」って思って。

(吉田豪)「これで死のうと思って」って(笑)。

(ブル中野)でも、生きていたの(笑)。生きちゃった。

(吉田豪)あの体重の人があの高さから飛んで……腰、いわしますよ。普通。

(ブル中野)そうですよね。でもあの何年か後にわかったんですけども、背骨が欠けていたんですね。

(吉田豪)ええーっ!

(ブル中野)でもそれを自分で、軟骨で……。

(吉田豪)補っていた?

(ブル中野)はい。どうにかやっていたみたいです。いろいろと後遺症はありますね。

金網の上からのギロチンドロップで背骨が欠けた

(吉田豪)あの試合の恐ろしさ、だんだんと後から語られてくる部分があって。ブルさんが試合後、失禁をしていたっていう話にも衝撃を受けて。

(ブル中野)そうなんですよ(笑)。「ああー……」って思った瞬間に。

(吉田豪)安堵で?(笑)。

(ブル中野)そう。でもまだ26とかでしょう? それなのに失禁をしちゃうって、もう本当に……ゆるかったわけじゃないんですよ?(笑)。

(吉田豪)フハハハハハッ! そりゃそうですよ。ゆるかったら試合中にガンガン出て大変なはずですよ(笑)。

(ブル中野)めちゃくちゃ鍛えているんだからすごいキツいはずなのに(笑)。

(吉田豪)フハハハハハッ!

(ブル中野)失禁しちゃって。「ああ、本当にこれで死んでいいや」って思って。

(吉田豪)完全に命をかけた試合が終わっての安堵感で出ちゃう感じですかね。

(ブル中野)出ちゃってね……(笑)。

(吉田豪)フフフ、そりゃあすごいですよ。そこまでやっていたら。伝わるに決まっているっていう。

(ブル中野)だから、「お前ら! 失禁したことがあるのか!」って言いたいですよね(笑)。試合後に(笑)。

(吉田豪)男子もないですよ(笑)。

(ブル中野)「そんなにゆるくないです!」とか言われちゃいそうですね(笑)。

(吉田豪)それぐらいのレベルでやっていたっていうことは伝わりますよ。あの頃の試合、たまにいまでも動画サイトで見たりすると、ありえない試合をしているなって思うのばっかりですよね。

(ブル中野)そうですね。

(吉田豪)特に全女のこの本を作る絡みで見直したりすると「なんていう試合をしているんだ……」っていうぐらいの。

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(ブル中野)そうですね。そういうの、ありますよね。

<書き起こしおわり>

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