吉田豪のインタビュー術『聞き出す力』を語る

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吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』で新刊本『聞き出す力』を紹介。本に書かれた自身のインタビュー術について語っていました。

(赤江珠緒)吉田豪の月イチ豪外。プロ書評家にしてプロインタビュアーの吉田豪さんです。

(吉田豪)はい、どもでーす。

(赤江珠緒)お願いします。お元気になられて・・・ないんですか?

(吉田豪)元気、あんまないんですけど。だいぶ持ち直して。

(赤江珠緒)持ち直して。よかったよかった。

(博多大吉)また崩したんですか?体調。

(吉田豪)昨日の夜、ヤバくなって。いま、持ち直して来て。大丈夫です。もう大丈夫です。

(博多大吉)たまむすびに合わせて、体調を悪くしてる?

(吉田豪)そうなんですよ。なんか精神的にあるのか?っていう(笑)

(赤江珠緒)その出社拒否みたいなの、やめてくれますか?(笑)。

(吉田豪)おなか痛くなっちゃうみたいな(笑)。ぜんぜん大丈夫です。

(赤江珠緒)でも、それ以外の近況としては、いかがですか?

(吉田豪)近況としては、あれなんですよ。新刊ラッシュで。いま、色々と、杉作J太郎先生との対談集が出たりとか。

(赤江珠緒)はい。

(吉田豪)爆笑問題の田中さんの本に僕がなんか全面協力して。田中さんが家に来たりとか。いろんなものがあるんですけども。

(赤江珠緒)うん。

(吉田豪)そう。告知ばっかりですよ。AERAでいま書いている、百田尚樹さんの『殉愛』っていうたかじんさんの。あの本の書評がいま話題になっているんですが。

(吉田豪)そういう話を今週末の『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』でもします!っていう(笑)。

(赤江珠緒)おお、なるほど。

(博多大吉)そこでじっくり。

(吉田豪)じっくり。波風を立てようという(笑)。

(赤江珠緒)(笑)。いろいろね、話題になってますもんね。あの本はね。

(吉田豪)面白いですねー。本当ね(笑)。

(赤江珠緒)本当に、わけわからないことになってますもんね。そしてその中でも、今日は豪さんの新刊についての話。

(吉田豪)とりあえずプレゼントさせていただきます。

(博多大吉)ありがとうございます。

(赤江珠緒)あー、ありがとうございます。『聞き出す力』。日本文芸社から。

(吉田豪)ひどい便乗本ですよね(笑)。聞いたことある、それ!って。

(赤江珠緒)そうですよね。ものすごい聞いたことじゃないですか。

(博多大吉)聞いたことあるけど、これだったかな?っていう。

(吉田豪)聞いたことある上に、帯にもその人の名前、出てるんですよ。

(赤江珠緒)あ、本当だ。阿川佐和子さん。

(吉田豪)そう。阿川さんの『聞く力』に便乗するにしても、遅すぎるじゃないですか(笑)。

(赤江・大吉)(笑)

(博多大吉)ちょっとね、時期も外しているし。

(吉田豪)一昨年か、せいぜい去年ぐらいですからね。今年じゃない。

(博多大吉)でも本当、帯に阿川佐和子さんと『聞く力』っていう文字が入っているんで。『第二弾かな?あれ?。でもなんか黒いしな・・・』って。

(赤江珠緒)(笑)

(吉田豪)どういうことか?っていうと、これ、漫画ゴラクっていう日本文芸社の黒っぽい漫画誌があるんですよ。いちばん人気のある漫画が高利貸しの漫画と、あと黒社会の漫画っていう。そういう黒い漫画誌があって。

(赤江珠緒)闇ですね、闇(笑)。

(吉田豪)かなり闇の漫画誌がありまして。そこで連載をたのまれたんですよ。最初に。で、僕が漫画ゴラクをすごい送本してもらいたくて。っていうか僕、買っている雑誌を全部送本してもらうことがこの仕事を始めた最初のきっかけなんですよ。それが夢で。それを順調に叶えてきて。好きな漫画誌はだいたい送ってもらっていて、あとはゴラクだけだ!ってところまで来てて。

(赤江珠緒)ええ。

(吉田豪)ゴラクと接点ができて。ところが接点ができただけでは送ってくれないんですよ。あそこは。仕事をしないと送ってくれないっぽくて。『好きなんです!』ってアピールしても送ってくる空気がなかったから、『スケジュール的に無理なんだけど、やろうかな?』ぐらいのことを言っていたら、逃げられなくなって始まった連載なんですよ。

(赤江珠緒)ええ。

(博多大吉)じゃあ、ゴラクの送本と引き換えに始めた連載。

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漫画ゴラクを送本してほしくて始めた連載

(吉田豪)そうです。で、そしたらその連載タイトルが思いっきり、『聞き出す力』になっていて。この時期、2012年に連載が始まって。阿川さんの『聞く力』が出版会で唯一のミリオンセラーになった年で。

(赤江珠緒)まさにその年。はい。

(吉田豪)そうだったんですよ。はい。だから今回の本もうこういうタイトルになったんですけど。僕から言ったんですよ。『どうせ便乗するんだったら気持ちいいぐらいに便乗してくれ』って。便乗している風、なんかちょっと隠されたりしたら気持ち悪いから。『やり過ぎなくらいやった方がいい』って言ったら、本当にここまでやってくれて(笑)。

(赤江・大吉)(笑)

(吉田豪)という本なんですけど。まあ、ただ阿川佐和子さん効果ってすごいあって。本当、聞く力のお陰で僕の仕事、明らかに増えたんですよ。

(赤江・大吉)へー!

(吉田豪)僕がテレビ出る機会増えたのは、明らかに阿川さんきっかけですね。

(赤江珠緒)あ、そうですか。やっぱり『聞く』っていうことに世の中がすごく興味を持ち始めて?

(吉田豪)なんか阿川さん取れないから吉田豪でいいか・・・みたいな感じで。

(赤江珠緒)(笑)

(博多大吉)代役として。

(吉田豪)代役として。ぜんぜん代役できてないですけどね。

(赤江珠緒)プロインタビュアーとして。

(吉田豪)そうですね。『吉田豪版の聞く力を新書で出さないか?』っていうオファーが結構来たんですよ。全部断ってたんですよ。まさかこんな本が出るとは・・・っていう感じなんですよ(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(吉田豪)断ったのに・・・っていうね。で、『情熱大陸』に僕、2012年の年末に出てるんですけど。それも明らかに阿川さん効果なんですね。聞き出すプロが、なんかいろんな人に話を聞く特集にしよう!みたいな感じで。

(赤江珠緒)ああー。

(吉田豪)プラス、さらに言うなら僕が自転車で仕事に向かう時に、パトカーから『こんにちは』って声をかけられて。『こんな時に防犯登録のチェックか。急いでるのに面倒だな』と思ったら、その警官に『情熱大陸、見たよ!』って言われたりとか。明らかにちょっと反響がおかしくなってきた時期なんですよ。

(赤江珠緒)ええ。

(吉田豪)路上で知らない人に『すいません。プロフェッショナルの方ですよね。名前を思い出せないんですけど、2ヶ月くらい前にテレビで見ました。握手してください』とか。なにもわからないで声をかけられるようになったっていう。なにかのプロフェッショナルってだけ覚えているっていう。

(赤江珠緒)なにかのプロフェッショナル。(笑)

(吉田豪)それもだいたい阿川さんのせいだと思うんです。

(博多大吉)阿川さんのせいなのか、阿川さんのお陰なのか。

(吉田豪)お陰ですよね。で、阿川さんと対談してるんですけど、これ実はananで対談なんです。

(博多大吉)どうなんですか?聞く力の持ち主と聞き出す力の持ち主がこう・・・

(赤江珠緒)対談。

(吉田豪)どっちが強いのか?ぜんぜんわかんないですよね。うん。

(博多大吉)これ、どうなるんですか?

(吉田豪)ananで対談したのをこれで再録してるんですけど。その時は、お互いにインタビューしあうみたいな企画だったんですよ。で、ガチで潰し合ってほしいぐらいの感じだったんですけど。この日、僕が寝坊してすごい遅刻したんですよ。その結果、もうガチで潰し合うとか一切できなくって。ずーっと僕、恐縮しっぱなしで。

(赤江珠緒)そうですよね(笑)。

(吉田豪)『本っ当、すいません!本当・・・』って(笑)。

(赤江珠緒)もう、精神的にね(笑)。

(吉田豪)そうそう(笑)。全く上に立てない状態で(笑)。『阿川さん、さすが!』みたいな感じで(笑)。ただ、直に話してよくわかったのが、阿川さんのインタビューのやり方と僕とは、本当決定的に違うんですよね。僕は基本、相手をとことん調べて取材するとか。インサイダー情報を集めたりとかしますけど。阿川さん、自然体なんですよ。デーモン小暮さんを取材した時に、『ヘビーメタルってどういう音楽何ですか?』って聞いたりとか。基本、なにも知らずに手ぶらで臨むぐらいの感じに近いんですよ。だからいい意味で女の子的なセンスっていうか。女子だから許されるみがいなぐらいの。そういう感じがしてて。

(博多大吉)これね、聞く人が聞いたら、『お前、ナメてんのか?』ってなりますよよ。『なんだ、お前?「ヘビーメタルってなんですか?」とはなんだ!?』ってね。

(吉田豪)『そこから説明しなきゃいけないの!?』っていう。

(赤江珠緒)一か八かだなー。

(吉田豪)でも、許してもらえる感じなんですよね。阿川さんだと。僕と阿川さんの共通点って1個ぐらいしかないなと思っていて。独身で子どももいなくて、同性愛的な噂も流れているっていう。

(赤江珠緒)えっ、そうでしたっけ!?阿川さん、そうでしたっけ!?

(吉田豪)まあ、僕、新宿2丁目在住で。阿川さん、おすぎとピーコと仲良しで。檀ふみと親友で。親友20周年で指輪交換しようとしたけど、レズっぽすぎるので断念したこともあるっていうね。でもこれ、どういうことか?っていうと、男性とも女性とも中性的な方とも適度な距離感で接することができるっていうことだと思ってまして。

(赤江珠緒)ああ、なるほど。

(吉田豪)そして阿川さんの場合は、結婚してないのも関係あるのかもしれないけど、とにかく普通なら聞けない、基本的すぎる質問も平気でできるっていうのはあると思うんですよ。それがすごいと思ったのが、その無邪気さ故の恐ろしさっていうのが、週刊文春で連載されているじゃないですか。阿川さん。

(赤江珠緒)はい。

(吉田豪)あれで、小倉智昭さんを取材した時なんですよ。これ、僕、伝説だと思ってるんですけど。阿川さん、いきなり言うんですよ。『小倉さんはカツラをどれぐらい持ってるんですか?』っていう。

(赤江・大吉)ええっ!?

(吉田豪)『ええっ!?』じゃないですか。あの・・・そこまで直球投げるんですか!?っていう。で、そこからは『別に隠してもいないし、みんな知ってますよ』って言いつつも、文章を読むだけでも、明らかに空気が緊迫したことが伝わる展開になって。

(博多大吉)これはどっちが言ったんですか?『別に隠してない』って。

(吉田豪)これは小倉さんがこう答えてくれたんですけど。

(赤江・大吉)ほー!

(吉田豪)明らかにそっからピリピリしてるんですよ。行間から伝わってくるんですよ。

(赤江珠緒)行間からも伝わるほどの?

(吉田豪)これは危険な空気になってるぞって。で、いつも取材後記を書いてらっしゃるんですが、取材後記が謝罪文に近いことになっていて(笑)。

(赤江珠緒)(爆笑)

(博多大吉)へー!

(吉田豪)すごいな!と思って。

(赤江珠緒)いやー、これはちょっと、いま想像しただけで怖かったですね。

(吉田豪)僕も小倉さん、取材したことあるんですけど。小倉さん、そういうネタには一切踏み込ませないようなオーラが漂ってるんですよ。失礼なことをズバズバ聞くと思われがちな僕でも断念したぐらいなんですよ。そこは。

(博多大吉)豪さんも、踏み込めなかった。

(吉田豪)あ、こりゃ無理だわと思って。そこに無邪気に踏み込めるのが阿川さん何ですよね。で、ちなみに僕はかなり調べてたのを使わないともったいないから、小倉さんのプロフィール部分に『カツラの話はタブーだと思われがちだが、すでに何度か雑誌でも告白していて、装着している理由は病気のため』とか書いたら、事務所側の原稿チェックでバッサリ削られたっていうね。当たり前なんですけどね。

(赤江珠緒)(笑)

(吉田豪)もっと基本的なプロフィールを書け!っていうね(笑)。

(博多大吉)どこを粒立ててるんだ?他があるだろう?っていう。

(吉田豪)そうそうそう(笑)。で、まあそもそも僕がプロインタビュアーっていう肩書を勝手に名乗っているわけですけど。これ、どういうものか?って言いますと、フリーライターだとあまりにも漠然としすぎだし、自分の仕事のうち、プロを名乗っていいレベルなのは書評とインタビューぐらいだと思って、プロ書評家&プロインタビュアーを名乗り始めたんですよね。

(赤江珠緒)うんうん。

(吉田豪)まあその結果、いま大変なことになってるんですけどね。僕が勝手に名乗りだした肩書を勝手に名乗る人がどんどん増えてるんですよ。

(博多大吉)ほう。他にも増えているわけですか?書評家とインタビュアーのプロが。

(吉田豪)いや、プロインタビュアーの肩書でビジネスをしている人が順調に増えてきていて。

(赤江・大吉)へー!

(吉田豪)僕よりお金稼いでそうな人がやってますよ。社長さんとかインタビューしてお金もらってそうな感じの人が(笑)。

(赤江珠緒)へー。確固たる職種がもうね、できちゃいますね。そこにね。へー!

(吉田豪)こんな適当な肩書が定着するとは・・・っていう(笑)。

(博多大吉)いやいや。でも、この手があったか!っていうことでしょうね。その方たちにすると。

(吉田豪)で、最近『プロインタビュアーを名乗るとハードルが高くなっちゃって大変じゃないですか?』とか聞かれる機会も増えたんですけど。実はそうでもないんですよね。

(赤江珠緒)そうでもない?

(吉田豪)そうなんですよ。学生時代から結構僕、あまりにも堂々とした態度で相手の目をじっと見つめたりすると、『豪ちゃんはなんでもお見通しだからな』って言って勝手に相手が誤解して。僕、何も知らないのに赤裸々なカミングアウトをしてくれるようなことがよくあったんですよ。

(赤江珠緒)(笑)

(吉田豪)みたいなもんで、この肩書で堂々としてると、なんかもう『言わなきゃいけないのかな?』みたいな感じにみんななるんですよね。インタビュー中、僕、あえて無言になることで相手にプレッシャーを与えるっていうテクニックをたまに使うんですよ。あまりにも堂々とプロインタビュアーを名乗る男が、不敵な笑みを浮かべながら黙りこんで何かを待っていたら、『ああ、やっぱり言わなきゃダメだな、これ』みたいな感じになっていくんですよ。

(赤江珠緒)うんうんうん。

(吉田豪)『きっと全てお見通しなんだろうしな』みたいな。前に品川祐さんがここに来た時も言われてたと思うんですよ。『吉田豪って結構しゃべるかと思ったら、実はインタビューの時にあまり喋らないから、なんか言わなきゃいけないんじゃないかな?ってなっていく』っていう。

(博多大吉)もう、どうせなら自白したいっていうね。

(吉田豪)そうです。そうです(笑)。

(博多大吉)自首の方向に行くんでしょうね。どうせ証拠握られてるんだからっていう。

(吉田豪)言葉で追い込むんじゃなくて、なんとなくそういう流れにもっていくっていう。で、実はこの真逆をいってた人がいまして。週刊プロレスの元編集長のターザン山本っていう人がいまして。実はこの本に何度も名前が出てくるんですけど。悪い例として。

(博多大吉)悪い例(笑)。

(吉田豪)以前、ターザンがとあるプロレスラーをインタビューした時に、ファンなら誰でも知っているレベルのエピソードに対して、『へー!それ、本当ですか!?これはとんでもないことを聞いてしまったよぉーっ!』とかね。そういう受け答えをしていたんですよ。びっくりして。『山本さん、あれ知らないんですか?』って確認をしたら、ターザン曰く、『豪ちゃん、そんなこと俺は当然知ってますよ。でも、ああやって派手に受け身を取ることで、相手の大したことない技を効いているように見せてるわけですよぉーっ!』って言ってたんですけど。

(赤江珠緒)はい。

(吉田豪)絶対間違ってますよね?(笑)。逆なんですよ。その結果、読者に伝わるのは『こんな大したことない技で致命傷を負うぐらいにあいつは何も知らない』みたいなことじゃないですか。逆なんですよね。

(赤江珠緒)逆にね。ダメージがこっちにきちゃう。

(吉田豪)そう。プラス、取材相手も『なんだ。この程度のことも知らないんだったら、もうちょっと話す内容をセーブしなきゃ』みたいに向こうも思っちゃうっていう。そこで派手に受け身を取っちゃうと。逆なんですよ。だから、そういう知ってるようなエピソード出た時は、僕がやるのは『あ、その話、僕も大好きなんですよ!』ってリアクションすることで、『それ、面白いですけど、もっと先に行きましょうよ』っていう風に伝えるんですよね。言葉に出さずに。

(赤江珠緒)なるほど!うんうん。

(吉田豪)で、その結果まったく知らない話が出てきた時に初めて、『えーっ!それ本当ですか!?』って大きく受け身を取るっていう。これが絶対に正解だと思うんですよ。

(赤江珠緒)ほー!聞き出す力、結構ここ重要なところですね。

(吉田豪)あの、ターザンをたとえに出すとすごい説明しやすいんですよ(笑)。

(赤江・大吉)(笑)

(吉田豪)だいたい間違えててくれるから(笑)。

(博多大吉)あの頃の週刊プロレスって何だったんですかね?不思議でしょうがないですよ、本当に。

(吉田豪)40万部、50万部と売れて。

(博多大吉)カリスマ編集長でしたからね。

(吉田豪)みんなを洗脳してた時代があったんですよ。知らないでしょうけどね。赤江さんはね。

(赤江珠緒)知らないです。

(博多大吉)そういうね、時があったんです。

(吉田豪)この人が褒めたら団体が成功して、この人が叩いたら団体がなくなるぐらいの力を持っていた人だったんですよ。その力によって自滅していった感じの(笑)。

(赤江珠緒)そうかー。

(吉田豪)最終的にね。そして、僕はインタビューでは掴みも重要だと思っていて。そういう意味で、この本でたとえで出しているのが、実はたまむすびの話なんですよ。

(赤江珠緒)ふん。

(吉田豪)僕がたまむすびに初めて出たのが去年の2月19日だったんですよね。月1のレギュラーになる前で、スペシャルウィークで、赤江さんと町山さんを生インタビューしてほしいっていう企画だったんですよ。で、赤江さん僕からの最初の質問、覚えてます?

(赤江珠緒)ええっ?最初の質問・・・なんでしたっけ?

(吉田豪)覚えてないでしょうね。当然ね。大丈夫ですよ。あの時、事前に何かNGとか言われなかったから、僕、ガチを仕掛けたんですよ。っていうのは、僕と同じ『小島慶子キラ☆キラ』のレギュラーだった水道橋博士が、その前の年の秋にTBSラジオに復帰して。『Wanted!!』っていう番組のレギュラーになったんですよね。

(赤江・大吉)うん。

(吉田豪)そん時に博士が放送1回目から小島さんネタを仕掛けたんですよ。そうしたら、収録だったから全部カットにされて。

(赤江珠緒)あっ、全部カットにされた。

(吉田豪)『小島慶子は放送禁止か』ってボヤいてたんですよ。それを知った上で赤江さんへの第一声は『前任の小島慶子さんのことをどう思いますか?正直、よくも悪くも面倒な人だったわけですけども・・・』みたいな感じで、僕はそう聞いたっていう。

(赤江珠緒)はー。

(吉田豪)で、キラ☆キラでもレギュラーだった町山さんにインタビューした時の第一声は『小島さんと赤江さんではどっちがやりやすいですか?』っていうね。どっちも小島さんネタから踏み込むっていうのをやって。

(赤江珠緒)そうかー。なんて答えたんだろう?それも覚えてないけど(笑)。

(吉田豪)(笑)。っていうのが、僕の考えでは掴みだったんですよ。要するに、ね。よくレコード会社のオーディションをする時もデモテープは最初の10秒くらい聞いて、センスの有無とか上手いか下手かを判断するらしいですけど。僕のインタビューの最初の数行が面白くなかったら読み飛ばすタイプなんですよ。で、あの時のミッションは生放送だから最初の質問だけで『こいつ、ギリギリのことをやる気だな』って思わせなければいけないっていう。

(赤江珠緒)うーん。

(吉田豪)で、それをやってから、赤江さんのドジっ子ぶりを検証していく、みたいな流れだったんですけど。赤江さんが自分のモットーについて『この仕事は良くも悪くも反応が耳に入ってくる』みたいなことを言った時に、チャンスが到来!と思って僕が踏み込んだんですよね。『いちばんバッシングがあったのって、やっぱり沢尻さんの取材の時ですか?』。

(赤江珠緒)うんうん。ここは覚えています。このお話、しましたもんね。

(吉田豪)って言ったら赤江さんが、『これ、話していいのかな?』って何度もスタッフの顔を伺いながら、沢尻取材の裏話を初めて話してくれたんですよね。で、赤江さんと沢尻さんの好感度が上がるいいエピソードを聞けて。要はその時の僕のミッションっていうのは、小島さんの幻影を引きずって、『赤江珠緒は毒っ気がなくて物足りない』と息巻くリスナーに、赤江さんのいい人すぎてドジっ子で憎めないありのままの姿を伝えることだったと思っていて。

(赤江珠緒)あらー!

(吉田豪)結構ミッション成功な感じで。

(赤江珠緒)豪さーん!(笑)。ありがとう!

(吉田豪)ミッション成功な感じで終わった時に、放送後スタッフから『いやー、豪さんさすがですね。沢尻さんの件は触れたらダメだって事前にみんなで言ってたんですけど、そこに生放送で踏み込むとは!』って言われて。僕、なにも聞いてないんですよ(笑)。

(赤江・大吉)(笑)

(赤江珠緒)うちのスタッフがスルーしてたのか(笑)。

(吉田豪)ええっ!?っていう(笑)。やっちゃいけないことやってたの、僕?っていう(笑)。

(赤江珠緒)そうかー。そうですね。

(吉田豪)その結果ね、レギュラー入りもできたんでね。

(博多大吉)インタビューにもね、本当テクニックがあるというか。僕はどっちかって言うと取材を受ける方が多いんですけど。本当、違いますもんね。聞き手によって。

(吉田豪)ピンキリですよね。

(博多大吉)ピンキリ。あんまり言うのもあれですけど。本っ当、面白くない人、いますもん。

(赤江珠緒)そうですねー。やっぱり話したくなる人と、もういいか、切り上げるかなっていう。

(博多大吉)『もうマジでウィキペディア見てください』っていう人とか、いるんですよ。

(吉田豪)ですよね(笑)。『開きながらやりましょう。ここ、出てますから』っていう(笑)。

(博多大吉)『これとこれとこれで、なんとかなりませんかね?お腹も空いたし・・・』みたいな人もいますから。本当にいろんなタイプの方がいらっしゃって。

(赤江珠緒)ねえ。豪さんはでも、本当に独自で。こうやってやりながら自分でそうやって技術を?ノウハウを。

(吉田豪)そうですね。教えてくれなかったですからね。

(赤江珠緒)もう子どもの時からそうやって聞くってことが好きだったんですか?

(吉田豪)あのー、そうですね。子どもの頃から。僕の初取材はなにか?って思ったら中学2年ぐらいですからね。

(赤江珠緒)中学2年ぐらい?

(吉田豪)中学2年の時に、いろんな仕事を調べるみたいな企画があって。だいたいみんな近所の八百屋とかやってるんですけど、僕当時アニメが大好きだったんで、近所の東映動画のアニメーターを取材するっていうのをやって。それをやったら、アニメの現場も、普通だったら有料で見学できてたんですけど、学校の名前を出したらタダで入れると思って。それを案の定上手くやって。

(赤江珠緒)うん。

(吉田豪)そしたら、アニメーターの人からすごい嫌な話を聞かされるっていう(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(吉田豪)『こういう仕事はやるもんじゃない。まったく儲からないぞ!』みたいな(笑)。デモをやっているとか、ストをやっているとか、そういう政治的な話を中学生にいっぱいするんですよ(笑)。

(赤江珠緒)容赦ないですね。

(吉田豪)夢のない話を。すっごいボロボロの汚い喫茶店で、儲からなくて大変だっていうことを聞かされて。『僕はこっちの道に進むのはやめよう』と思った結果、いまの僕があるので、あの人には感謝はしているんですけど。

(赤江珠緒)(笑)。でも、つながってますね。

(吉田豪)それが最初の取材ですね。その後もミニコミとかでパンクバンドの取材とかをやったりとか。完全にもう独学でやってきた道で。誰も教えてくれてないんですよ。

(赤江珠緒)ふーん。

(博多大吉)もうめちゃくちゃいままでインタビューされたと思いますけど。まだこの人会えてないなとか・・・

(吉田豪)ああ、会えてはいるけれどもやれてないのは明石家さんまさんで。大好きだけど取材を受けてくれないから。明石家さんまさんに取材を受けてもらうために、僕、さんまさんの番組に出るっていうルールにしてるんですよ。

(博多大吉)はー、なるほど、なるほど。

(吉田豪)出て、さんまさん愛を伝えて。マネージャーさんのOKまでは出てるんですよ、だから。マネージャーさんは好意的になっていて。

(赤江珠緒)じわりじわりと近づいていっているんですね。

(吉田豪)阿川さんも実は『さんまさんをやりたい』って言っていて。『勝負ですね』って言っていて。僕、さんまのまんま出た時にスタッフの人に聞いていたら、『今度出るのは阿川さんだ』って聞いて。阿川さんも同じパターンやってるっていう(笑)。

(赤江・大吉)(笑)

(赤江珠緒)聞き出す力と聞く力が。じわじわ(笑)。

(吉田豪)両者同じ手口を使おうと。

(赤江珠緒)そうなんですね(笑)。

(博多大吉)さんまさん、インタビュー受けないんですね。

(吉田豪)ぜったい受けないんですよ。で、1回だけチャンスがあったんですよ。僕、太田出版の『本人』っていう雑誌でインタビューの連載を持っていて。その時に編集長から電話がかかってきて。『相談したいことがある』って言われて。『明石家さんまさんのインタビューが取れたから、ちょっと豪さんに相談したい』って言われて。『おおっ!』って思ったら、『僕が取材に行くから、なにを聞けばいいか教えてほしい』って言われて。

(赤江・大吉)(笑)

(吉田豪)『ええっ!?こんだけ俺、好きだって言ってて。インタビューの連載してるのに、編集長が行くの!?』っていう(笑)。ショックを受けたことがあったっていう。

(赤江珠緒)そうか(笑)。

(吉田豪)こんな最大のチャンスが目の前まで来てるのにっていう(笑)。しかも、質問を僕が!?っていう(笑)。

(博多大吉)じゃあ間接的にはインタビューをした?

(吉田豪)いや、でも結局僕もそれは協力もしてなかったんで。ショックを受けただけで(笑)。これだけ『したい!』って言ってるのに・・・(笑)。

(赤江珠緒)えー、豪さんの新刊『聞き出す力』は12月19日、今週の金曜日発売になります。日本文芸社さんから864円ということでございますのでね。ぜひね、お手に取って読んでいただきたいと思います。

(博多大吉)かっこいいですね、これね。

(吉田豪)『黒社会感のあるようなデザインにしてくれ』って言って。裏のこの地紋っていうんですかね?それがちょっと黒っぽい感じになっていて。

(赤江珠緒)なんかパイプ椅子を持っている豪さんがね(笑)。

(吉田豪)普通に怖い感じでね。

(赤江珠緒)『聞き出す力』ということでね。

<書き起こしおわり>

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