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松尾潔 秋に聞きたいUKソウル特集

松尾潔 秋に聞きたいUKソウル特集 松尾潔のメロウな夜
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松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で初秋に聞きたいUKソウルを特集。女性シンガー(ディーバ)に絞って選曲をしていました。

(松尾潔)いま、バックに流れておりますのはご紹介したSkoop On Somebodyの『Butterfly』なんですけども。その『Butterfly』が収められている『HELLO MELLOW』というアルバムは僕が彼らのアルバムを3枚、プロデュースしたんですけど。勝手に三部作と言っていますが、その三部作の中編にあたりまして。これの特色としてはロンドンで主なミックスですとか、ジャケット写真を含めたアートワーク。そういった仕上げでロンドンのR&Bの匂いというのを身にまとった、そんなアルバムに仕上がっておりますが。

HELLO MELLOW
HELLO MELLOW

posted with amazlet at 19.09.16
Skoop On Somebody
SME Records (2004-01-07)
売り上げランキング: 128,198

今夜のメロウな風まかせ、そんなロンドンからの風、UKソウル特集とまいりたいと思います。このいまの季節、初秋に聞きたいUKソウルのしかも女性シンガーたちですね。ディーバたちの歌声を集めてお届けしたいと思います。いいんですよ。秋の季節、秋の夜長に聞くUKソウル。

まず、ご紹介したいのが80年代の終わりにこのロンドンの南の方にブリクストンという街がありますが。そこからムーブメントを起こしまして、イギリス全土。そしてアメリカの市場を制覇。そして日本にも大きな影響を与えましたね。ソウル・II・ソウルでございます。「日本に大きな影響を与えた」というか、このソウル・II・ソウルという集団の中に日本人ミュージシャンの屋敷豪太さんがいらして。

中心メンバーとしてビートを作っていたというのはその頃は知る人ぞ知る話でしたが、いまでは有名かもしれませんね。じゃあ、そんなソウル・II・ソウルの数ある名曲の中から代名詞的なこちらをお聞きいただきたいと思います。キャロン・ウィーラーをフィーチャーしておりますソウル・II・ソウルで『Back To Life (However Do You Want Me)』。

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Soul II Soul『Back To Life (However Do You Want Me)』

(松尾潔)お届けしましたのはソウル・II・ソウル feat. キャロン・ウィーラーで『Back To Life (However Do You Want Me)』でした。映画ファンにはこの曲は大阪を舞台にロケされたことで有名です。松田優作さん、高倉健さんという、いまはおふたりともこの世にはいませんが。彼らの出演でも知られる『ブラック・レイン』の中でも印象的につかわれていましたね。懐かしいですね。リドリー・スコット監督。さて、次々にご紹介したいと思います。続いては9年代に入りまして。一応時系列なんですよね。これ、僕の癖なんですけども(笑)。

ショーラ・アーマという女性シンガーがここ日本でも結構な人気を博したことがございました。中でも、こちらの曲というのはもともとランディ・クロフォードのそれこそ知る人ぞ知るという滋味深い曲をショーラ・アーマが当時、まだ若かったんですよね。79年生まれの人なんで、当時はまだ18歳ぐらいかな? ながらに、非常に良い声で丁寧に歌い上げておりました。素晴らしいカバー。

原曲を超えるかどうかというのはみなさんの解釈によりますけども。原曲にリスペクトを示しながらも、アメリカのソウルへの憧れだけではない、UKでソウルを歌うということの意味合い、そして矜持なんかを感じさせてくれた1曲です。聞いてください。ショーラ・アーマで『You Might Need Somebody』。

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Shola Ama『You Might Need Somebody』

(松尾潔)お届けしたのはショーラ・アーマで『You Might Need Somebody』でした。これ、1997年にリリースされました彼女がまだ18歳の時のアルバム『Much Love』からのヒットシングルです。先ほどもお話しましたように1981年にこのオリジナルバージョンがランディ・クロフォードによって世に出た時、そのプロデュースを手がけていたのがトミー・リピューマでした。名手トミー・リピューマ。

で、これは大ヒットという感じではございませんで、『Secret Combination』というアルバムはほどよいヒットだったかと思います。ランディ・クロフォード、当時アメリカのR&Bチャートのアルバムチャートで最高位12位ですかね。ですが、ランディというのはもっとよりイギリスで大変人気のあるアメリカのソウルシンガーございまして。イギリスでは当時、ナショナルチャートの11位とシングルヒットしたんですよね。

ですから、その文脈が分かってないとショーラ・アーマが97年にこの曲をカバーした時に「ロンドンの10代の少女がずいぶんと渋いところに目をつけて、それをカバーヒットさせてるね」みたいな、ちょっとそういうとんちんかんな評価も当時の日本でも僕、耳にしたりしたんですが。これはね、イギリスのR&B好きの人にとっては割と定番的な人気のある曲だったという、そこの背景が分かってないとショーラ・アーマを闇雲に「天才」と持ち上げてしまうということになって。逆にこのUKソウルというものの実像、輪郭がぼやけてしまうかな、なんて思いますね。

つまり、ロンドンにはロンドンのコンテクスト(文脈)があるということなんですよ。僕はそういうところに眼差しを向けることによって自分がその後、東京でR&Bのプロデューサーをやっていく時に「この国、お箸の国にこそ合うべき文脈づくりというものが必要だな」と思って。その曲をヒットさせたいけれども、後々にどういう位置づけになるかっていうことを少なくとも自分のプロデュース作品では目配りしてきたつもりなんですがね。そういった創作上のヒントですね。

中長期的なビジョンづくりにこのショーラ・アーマの作品なんていうのは非常に僕は勉強させてもらいました。97年、僕自身がプロデュース業に本格的に軸足を移していくその直前の作品だったのでね。大変に印象深いです。今日、久しぶりにじっくりとこのアルバムを聞いてみたんですが、よくできているんですよね。ショーラ・アーマの1枚目、2枚目。で、もっとびっくりするんですが、ショーラ・アーマって「90年代に活躍した人」みたいな言い方でいま、どうしても語ってしまいますけども。 現時点で40歳。なんとCHEMISTRYの2人と同い年なんですね。世に出てきた時の年齢っていうのがどれだけ人のイメージを左右するかっていうひとつの証かもしれません。

さて、続いての曲をご紹介したいと思います。知る人ぞ知る名ユニットと言ってもいいかもしれません。ヒル・ストリート・ソウルです。まずは曲の方を聞いていただきましょう。ヒル・ストリート・ソウルで2002年のシングルヒットです。『Pieces』。

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HIL St SOUL『Pieces』

(松尾潔)お届けしましたのはヒル・ストリート・ソウルで『Pieces』でした。この曲っていうのはね、本当に今日ご紹介するナンバーの中でもしかしたらこれがいちばん僕、みなさんに聞いてほしいかもしれません。2002年にリリースされましたアルバム『Copasetik & Cool』。この中に収録されておりました。「Copasetik(Copacetic)」っていうのは「すんばらしい」とか、イケてる時に発する言葉ですけどね。細かい話ですけど、正しいスペルは「Copacetic」なんですが、この2つの「c」を「s」と「k」にしているところがややストリートっぽいかなというところで、まあヒル・ストリート・ソウルというグループ名につながってくるわけですね。

Copasetik And Cool
Copasetik And Cool

posted with amazlet at 19.09.16
Gut Records (2002-11-25)

まあ「ユニット」っていう風に申し上げましたけれども、ほぼ看板になってる女性シンガーのヒラリーちゃんっていうね、このヒラリーという女性シンガー。アフリカ生まれでロンドンで育ったようですけども、彼女の魅力を前面に押し出しておりまして。で、音作りを手がけておりますVRSっていう名前で知られるサウンドクリエイター、ビクター・レッドウッド・ソウヤーという人なんですけども。この2人のユニットでございまして。まあ、当時で言いますとアメリカのグルーヴ・セオリーとかに近い「男、音を作ります。女、歌います。見目麗しいです」みたいな。日本にもたくさんありますけどね。そういう形のユニットでございました。

で、このヒル・ストリート・ソウル、これはロンドンの地名らしいんですけども。これはちょっと個人的な話になるんですけど。僕が90年代の終わりから2000年代にをかけて、ロンドンでよくスタジオ仕事をやってましたけど、その頃に仕事をよくお手伝いしてもらっていた……フルタイムじゃなくてね、プロジェクトの時に。鷺巣詩郎さんとお仕事する時なんかにご一緒してた日本人女性がいたんですね。ロンドン在住の。その方が「私の高校時代の友達、クラスメイトがいま、歌ってるんですよね」っていうのがこのヒラリーちゃんだったんですよね。

だから僕はなんか知り合いの知り合いってうい感じでずっと見てるんですが。どこまで行くかなと思ったんですが、ヒル・ストリート・ソウルは一応はアメリカ進出に成功したんですね。本当に象徴的な数字が残っているんですが、2001年に1曲だけアメリカのR&Bチャートに『Strickly A Vibe Thing』という曲が98位で。1週だけ、ギリギリ引っかかったことがあるんですよね。

まあ、熱く語りましたけども。決して頂点を極めたグループ、ユニットではなかったんだけれども、この番組でなかなかご紹介することもなかったので。まあ、UKソウルがお好きな方の間では割とメジャーな名前です。ヒル・ストリート・ソウルをお聞きいただきました。曲は『Pieces』でした。

それではね、次はもうグッと有名な人もご紹介したいと思います。この番組はマニアックな人だけをご紹介して喜んでいるような番組ではございませんので(笑)。コリーヌ・ベイリー・レイ。たまに聞きたくなるコリーヌ・ベイリー・レイ。去年の夏前、久保田利伸さんと一緒にロンドンに行ってクインシー・ジョーンズの85歳セレブレーションライブを見た時にも『Rock With You』というクインシーの数あるヒットの中でもシンボリックな曲を歌うというそんな栄誉を務めあげていましたね。

松尾潔 クインシー・ジョーンズ85歳バースデーコンサートを語る
松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でロンドンO2アリーナで開催されたクインシー・ジョーンズ85歳のバースデー記念コンサートを見に行った話をしていました。

コリーヌ・ベイリー・レイ、今日は2010年リリースのアルバム『Sea』に収録されている僕のお気に入りのナンバーを聞いてください。コリーヌ・ベイリー・レイで『Closer』。

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Corinne Bailey Rae『Closer』

(松尾潔)コリーヌ・ベイリー・レイ、2010年のヒット『Closer』でした。これは本国イギリスでもヒットしましたけども、アメリカでもR&Bチャートで最高位98位ということで。一般的に日本で代表曲として語られることの多い『Like A Star』なんかよりブラックラジオでは強く支持された曲ですね。コリーヌ・ベイリー・レイっていう人はもうこの声とか佇まいからイギリスのエリカ・バドゥ的な見方をされることもありますけどもね。ちょっとそういうレッテルだけで語るにはやや抵抗を覚えます。いささかのためらいがあるということを正直に言いたいんですが。

やっぱりその「R&Bシンガー」というよりも「シンガーソングライター」という匂いが強いですね。それはどういうことかっていうと、場合によってはR&Bというフォーマットから逸脱をすることに本人はなんの躊躇もないんじゃないかなっていう気がしますね。だってレッド・ツェッペリンのカバーなんかもね、やったりするような人ですからね。まあ、いわゆるアメリカのソウル歌いとは違ったバックグラウンドを感じさせますよ。日本にもたびたび来てますから大変僕たちの周りでも人気が高い人かと思いますけどね。アメリカでもグラミー賞にノミネートされてますし、そういう意味ではもうワールドワイドな成功を果たしたということができるんじゃないかと思いますが。

ただ、ちょっとあれですよね。さっきお話したショーラ・アーマと同じ79年生まれっていうことを考えてみると、「ああ、同い年なんだ」って思われた方もいると思いますが。決して早すぎたデビューとかではなかったので。世に出てくるまでの間に、世に出た後のいろんなスキルとか、そこで必要とされる音楽的な所作とかっていうものを身につけたのではないかな?っていう気がします。改めて世に出る時のタイミングというものを考えさせられますね。コリーヌ・ベイリー・レイでございました。

さて、この流れで言えば次にご紹介するのはね、イギリス出身。そしてアメリカでも成功を収めグラミーとなると、この人でしょう。エラ・メイです。今更ながら……メロ夜といえばエラ・メイっていうのがもう1年以上続いてますか? なんですが、この流れで改めてみなさんにお聞きいただきたいと思います。この曲っていうのはね、仕掛人はマスタードでございまして。アメリカのLAのヒップホップシーンの音って言うこともできるんですが、やはりこのイギリスの彼女が歌うっていうところでのその折衷がうまくいってワールドワイドな成功につながったじゃないかなと思いますね。11月の単独来日というのがいまから楽しみ。楽しされてる方、多いんじゃないかと思いますが。聞いてください。エラ・メイで『Boo’d Up』。

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Ella Mai『Boo’d Up』

(松尾潔)エラ・メイで『Boo’d Up』をお聞きいただきました。はい。もうこういった先人からのね、流れでたどり着いたエラ・メイっていう。そこで聞いてみるといろんな画が浮かびますよね。そしてやはりこの声は時代の声だなっていう風に痛感をいたしました。

(中略)

(松尾潔)さて、楽しい時間ほど早く過ぎてしまうもの。今週もそろそろお別れの時が迫ってきました。ということで今週のザ・ナイトキャップ(寝酒ソング)。今夜はUKソウルディーバをたくさんご紹介してまいりましたけれども、CHEMISTRYの初期からの重要なブレーンの1人でございまして。今回のアルバムでも『ユメノツヅキ』をはじめとしていろんな曲を提供してもらいました。豊島吉宏さんことMAESTRO-Tさんが1990年代にイギリス人女性シンガー、エリーシャ・ラヴァーンに提供した作品。

僕にとって盟友といえるMAESTRO-T、T.Kuraで作り上げた曲『I’m Not Dreaming』。イギリスで当時、ソウルチャートにランクインした曲ですね。懐かしいな。この21年前の『I’m Not Dreaming』を聞きながらのお別れです。これからお休みになるあなた、どうかメロウな夢を見てくださいね。まだまだお仕事が続くという方。この番組が応援しているのはあなたです。次回は来週、9月16日(月)、夜11時にお会いしましょう。お相手は僕、松尾潔でした。それでは、おやすみなさい。

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Elisha La’ Verne『I’m Not Dreaming』

<書き起こしおわり>

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