松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で2016年3月に亡くなったアーティストを追悼。ジェイムス・ジェマーソン・ジュニアについて話していました。
そして、その10年前。1978年にリリースされました、シャンソン(Chanson)という男性デュオの『Chanson』から『Don’t Hold Back』、お聞きをいただきました。
Chanson『Don’t Hold Back』
途中でなかなか聞かせるベースソロがありましたね。そのベースを弾いておりましたのが、ギタリストのデイビッド・ウィリアムス(David Williams)と並んでこのシャンソンのメンバーでございましたジェイムス・ジェマーソン・ジュニア(James Jamerson, Jr.
というベーシスト。まあ彼のベースソロだったんですけども。そのジェイムス・ジェマーソン・ジュニアが3月25日に58才で亡くなっております。
ジェイムス・ジェマーソンという名前はモータウンに詳しい人だったら絶対に素通りできない名前ですね。なぜなら、このジェイムス・ジェマーソン・ジュニアのお父さん。ジェイムス・ジェマーソンは、もうモータウンのファンク・ブラザーズ(The Funk Brothers)というあそこのハウスバンドの中心メンバーだったからです。
たとえば、我々がモータウンビートと言っているような、「ダッダッダー、ダッダッダ「ダー♪」っていうような、こういうリズムがございますけども。まあ、その多くを弾いていた。もっと言うと、それを発明したと言われているのがこのジェイムス・ジェマーソンなんですね。まあ、ファンク・ブラザーズは『永遠のモータウン』という映画で一躍有名になりましたけども。それまではあんまり陽が当たる存在ではありませんでした。なぜなら、ほとんどの作品でクレジットを得ていなかったから。
そこにまつわる悲劇っていうのもたくさん経験している息子のジェイムス・ジェマーソン・ジュニアという名前でいろんな作品にちゃんとクレジットをされております。まあ、お父さんがそういう有名ベーシストで業界人だったものですから、よくスタジオに出入りしていたようですね。で、このジュニアがまだ14、5才ぐらいの時に、お父さんが弾けなくなったっていう時に、代わりに弾いたらできちゃったっていう。まあ、このあたりはちょっともう伝説化された話。都市伝説みたいになっているんですけども。
まあ、そういう環境ですからね。そういうことも可能なんだろうなっていう感じで僕も捉えていましたよ。いま、こうやって話しながら「なんか作り話っぽいな」っていう気もしなくもないんですけども。まあ、実際にこのジェイムス・ジェマーソン・ジュニア、早熟の天才ベーシストでございまして。後にデイビッド・ウィリアムスというギタリストと組んで、このシャンソンというユニットで2枚、アルバムを出しております。
で、さっき聞いていただきました『Don’t Hold Back』のような、いわゆるディスコものというイメージで語られがちなんですけども。しっとりとした曲もいくつかやっておりまして。いま、バックで流れおります『Did You Ever』という曲なんかは、まあこのジェイムス・ジェマーソン・ジュニアとデイビッド・ウィリアムスのもうひとつの持ち味であります、メロウな感覚がよく出ている曲ですね。
まあ今日はね、そのジェイムス・ジェマーソン・ジュニア、ベーシストとしての顔にフォーカスしたかったものですから、『Don’t Hold Back』の方をご紹介いたしました。まあ、こちらの方が一般的な代表曲とされております。
<書き起こしおわり>