スポンサーリンク

渡辺志保 YBN Cordae『The Lost Boy』を語る

渡辺志保 YBN Cordae『The Lost Boy』を語る MUSIC GARAGE:ROOM 101
スポンサーリンク
スポンサーリンク

渡辺志保さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中で注目の若手ラッパーYBN Cordaeのデビューアルバム『The Lost Boy』について解説していました。

The Lost Boy [Explicit]

(渡辺志保)特集コーナー、続いてはYBNコーデーのデビューアルバムについてお届けしたいと思います。先ほどもゲストでAKLOさんがいらっしゃってましたけども。空き時間にずっと私とAKLOさんでこのYBNコーデーのアルバムの話が止まらなくなってしまって。それをそのまま放送に乗っけたかったなっていうぐらいなんですけれども。先にAKLOさんのお言葉をそのまま引用すると、「ナズやJ・コール、ケンドリック・ラマーに次ぐ、新たなリリシストがシーンに現れた」という風にも言ってまして。まさにその通りという感じがします。

で、このYBNコーデーが記念すべきデビューアルバム『The Lost Boy』を先日、リリースしたということでごして。今日は彼の背景に迫るとともに、この『The Lost Boy』からの曲をいくつかお届けしたいと思います。もともとこのYBNコーデーなんですけれども、1997年ノースカロライナ州出身。今年21歳。若いですね。21歳の少年というか青年でして。ノースカロライナで生まれ、その後はメリーランドで育つということで、現在はロサンゼルスを拠点に活動してるというところなんですね。

ロスに移ったYBNコーデーなんですけれども、そこでネット上で出会った仲間たちとともにYBNクルーを結成するんですね。「YBNクルー」、聞いたことありますでしょうか? いちばん中心格になってるのはYBNナミヤーという子だと思うんですけれども。彼がちょっと先、2017年に『Rubbin Off The Paint』というシングルをリリースして、これがスマッシュヒット。それで一気にこのYBNクルーの名前が知れ渡ることになったんですけれども。

スポンサーリンク

YBN Nahmir『Rubbin Off The Paint』

去年もYBNクルー名義、YBNのみんなでミックステープを発表しておりまして。これがまた結構な骨太な内容だったんですよね。なんだけどYBNクルーってそんなにリリシズムとかちょっと真面目なトピックを押し出すクルーっていうよりかは、ちょっとパーティーソングとかカジュアルな……ちょっと言い方が悪いかもしれないけど、ちょっとおバカな感じのテイストの曲。本当、流行りのトレンドのヒップホップサウンドを詰め込んだクルーという印象が私は非常に強くてですね。まさか、その2017年にYBNナミヤーがヒットした時は2年後にYBNコーデーがここまでのアルバムをリリースするとは、全く予想しておりませんでして、かなり驚いた次第です。

で、彼がインタビューで語っているところによりますとラキム、ナズ、ビッグ・L、そしてタリブ・クウェリといった名うてのリリシストたちに影響を受けたと言っておりまして。最も影響を受けたのはあのケンドリック・ラマーということなんですね。でm私がこのYBNコーデー、すごいな。只者じゃないなと思った曲がひとつありまして。それが去年発表されました『Old N*ggas』という曲。

で、この曲がどんな曲なのかといいますと、去年J・コールが自分のアルバムの中に『1985』っていう曲を収録したんですよね。で、この曲は1985年生まれのJ・コール……なのでいま、30代半ばぐらいですよね。そのJ・コールが下の世代に向けてちょっと苦言を呈する内容だったんですよ。「お前ら、こんなことばかりラップしてていいと思ってんのか?」とか。「やれ薬だ、金だって言って、ジュエリーや車ばっか買って。それでいいと思ってんのか?」みたいなことをちょっとね、言い方は悪いですけど上から目線で説くというような内容だったわけです。

で、それに反発したのがこのYBNコーデー。その『1985』という曲に向けて『Old N*ggas』という……まあ「おっさんたちへ」みたいな感じのノリの曲を発表したんです。

スポンサーリンク

YBN Cordae『Old N*ggas』

ただ、上の世代の年長者に対して歯向かうだけの曲ではなくて、非常に理論的にライムを組み立てながら自分の意見を発表しているという、そういった作りの曲になっておりまして。私はこれに非常に感銘を受けました。たとえばどんなことを歌ってるのかっていうことなんですけれども。「窮屈なボートの上に乗っているのはいまの世代も先輩たちも関係ない。世代なんて関係ないだろう?」と。

かつ、「ヒップホップが誕生した時もおじさんたちからは常に『ダサい』と言われてきた。でもいまではこのヒップホップがナンバーワンのジャンルになっている」とか。そんなヒップホップの成功お祝いつつも、でもその上の世代に向けて、「いまでは俺のヒーローたちがどんどん逮捕されている。そんな状況になってんじゃないか?」っていうことで、ここでR.ケリーとかのネームドロップをするわけなんですけれども。それかね、非常に勇敢な姿勢に見えまして、すごいラッパーだなっていう風に思った次第です。

で、この『The Lost Boy』というアルバムなんですけれども、参加してるのも非常に名うてのラッパーたち……たとえばミーク・ミルとか。あとはプシャ・Tなんかを招いてラップしている。で、この番組でも以前紹介しましたけれども、チャンス・ザ・ラッパーなんかも招いてライム合戦みたいな感じで曲を展開してるんですよね。

で、さっきAKLOさんも言っていたんだけども、「このアルバムに参加してるラッパーたちはいつもよりも多く韻を踏んでるような気がする」っていう風に言ってて。たしかにチャンス・ザ・ラッパーも自のアルバム『The Big Day』の時よりもですね、よりラッパーラッパーしてるっていうか。より気合いの入ったライミングをここで披露してるなという風に私も感じた次第です。

で、いまから1曲、かける曲はあのアンダーソン・パークを招いて作った曲『RNP』っていう曲なんですけれども。これ、なんとプロデュースを手掛けているのかJ・コールなんですよね。なのでさっきちょっと説明した通り、『1985』というJ・コールの曲に反発したYBNコーデーなんですけども、こうやってちゃんと1曲、一緒に作っているのがなんか素晴らしいというか美しいなという風に思った次第でございまして。

最初、J・コールのビートをYBNコーデーがもらって、コーデーがいまの曲とは全く違う曲をこのビートで作ってたそうなんですよ。で、この曲をアンダーソン・パークに聞かせたら、「このビート、めちゃめちゃかっこいいけど誰が作ったの? ただ、乗っている曲はそんなに好きじゃない」っていうことで、アンダーソン・パークがそのJ・コールのビートの上でまるっと、既存の曲を作り変えて完成した曲がこの『RNP』ということでございます。この『The Lost Boy』の先行シングルにもなっております。ここで1曲、聞いてください。YBNコーデー feat. アンダーソン・パークで『RNP』。

スポンサーリンク

YBN Cordae『RNP feat. Anderson .Paak』

はい。いまお届けしましたのはYBNコーデーの最新アルバムというかデビューアルバム『The Lost Boy』から『RNP feat. Anderson .Paak』でした。というわけで『The Lost Boy』なんですけれども、このアルバムがリリースされるにあたって、当たり前ですけどYBNコーデー自身もいろんなインタビューに答えておりまして。そこで私がさらにですね、「すげえ!」と思ったエピソードが、YBNコーデーはもともと小さい頃から非常に読書家だったらしいんですよ。

で、『ハリー・ポッター』シリーズを全部読んでたという風にもインタビューを答えておりまして。そんな時にですね、親御さんが「お前、『ハリー・ポッター』が全部読めるなら、こういった本も読めるんじゃないか?」っていうことで、そこで親御さんからもらった本がですね、W・E・B・デュボイスというすごく有名なの黒人運動のアクティビストである方でかつ、作家である方がいるんですけれども。デュボイスの代表作『黒人のたましい』という本がありまして。『The Souls of Black Folk』という本があるんですけども。

黒人のたましい (岩波文庫)
W.E.B. デュボイス
岩波書店
売り上げランキング: 197,166

私もこれ、学生時代にそういったゼミに入っていまして熟読した本ではあるんですが。この『黒人のたましい』を手渡されて、「これを読め」という風に両親に言われたそうです。それでYBNコーデーも「僕たちアフリカン・アメリカンにとって、こういう歴史があるんだ」ってことに気づいて。その後、アフリカ回帰を唱えたマーカス・ガーベイであるとか、あとはアメリカの黒人で初めて最高裁の判事になったサーグッド・マーシャルのことなんかを調べ始めて。

それがきっかけでブラック・ライブス・マターであるとか、そういった近年の公民権運動といわれるような人権運動にも非常に自覚的になっていったという風に語っておりました。まだ21歳で本当に立派だなという風にも思えますし。で、彼はこのアルバムを作る際に、こうした自分が読んだ本にももちろん触発されたんだけれども、もうひとつ非常にインスピレーションを受けたものがあるという風にも言ってまして。それがネットフリックスで見られる、この番組でも再三名前を出しております『ボクらを見る目(When They See Us)』というドキュメンタリードラマ。それも非常に大きなインスピレーション源になったという風にも語っておりました。

渡辺志保 Netflix『ボクらを見る目(When They See Us)』を語る
渡辺志保さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中でNetflixのドラマシリーズ『ボクらを見る目(原題:When They See Us)』を紹介していました。

というわけで、なんかそういうエピソードを知って、またこのアルバムを聞き直すとまたいろんな新たな発見なんかもあるんですけれども。この『The Lost Boy』、タイトルもですね、「Lost」には「迷子」っていう意味もありますけども。「迷った少年」という意味ですよね。で、ひとつテーマになっているのが、その迷っていた少年が自分の帰る家を見つけた。そして一筋の光を見つけて、その自分のホームに帰るよっていうのがひとつ、大きなテーマにもなっておりまして。

たとえば自らが……彼は元々は薬物に手を染めていたような時期もあったそうで。そういったことも赤裸々に語っていたりとか。あとは結構家族のことがよく出てくるんですよね。多分男の子だと余計にそうかもしれないけど、地元を離れるとなかなか決心がつかないと、踏ん切りがつかないと実家に帰れないみたいなものがね、あるかもしれないんですけど。ちょっとそういった心情をすごく鮮明に吐露しておりまして。そこもまた、いい意味で若さゆえのライミングっていうか歌詞かなと思うんですけれども。そこもまた同世代の支持を熱く集めている理由のひとつではないかと思いましたし。

まあ先ほどもAKLOさんとも話してたんですけど、真面目、真面目、真面目なリリシストではない。バランスが非常にいいんですね。ちょっとジョークとかファニーな部分、ちょっとおちゃらけた部分であるとか、ちょっと不良な部分と、あとはデュボイスなんかを読んで学んだちょっと真面目な部分っていうのが非常にバランスよくまとまっているような、そんなラッパーでして。それってやっぱり時代の感覚なのかなという風にも思いました。

たとえば現代の若者を代表するリリシストといえば、ロジックなんかがいると思うんだけど。ロジックはまたちょっと違うタイプのリリシストっていうか。彼はすごい、やっぱり言っていることがめちゃめちゃ真面目だし、それは正しいわっていうことが非常に多くて。すごい正直に申し上げると、私はアルバム1枚聞くとちょっと疲れちゃう時があるんですよ。すごいやっぱり正当性にあふれているアルバムだから。

でもやっぱりこのYBNコーデーはちょっと悪い部分であるとか、ちょっと不良な部分、ちょっと弱い部分というものがすごく微妙なバランスで成り立っていて。聞いてて疲れないっていう言い方は非常におかしいですけれども。もう1回聞きたくなるなっていう。「よし、もう1回リピートしよう!」みたいな、そういう気分になるアルバムだなという風にも思いました。

で、このアルバム『The Lost Boy』からもう1曲、このコーナーでかけたいと思うんですけれども。非常に悩みました。やっぱりいい曲が非常に多いですから。チャンス・ザ・ラッパーが参加している曲もそうだし、あとはミーク・ミルと一緒にやっている曲なんかもありますし。あとは『Broke As F**k』っていう曲も非常にご自分のことを赤裸々に語っているような曲で。非常にみなさんにも聞いてほしいなと思うんですけれども。

スポンサーリンク

YBN Cordae『Broke As F**k』

ここで1曲、お届けしたいのは『Lost & Found』という曲でして。アルバムのいちばん最後に収録されている曲です。で、『Lost & Found』っていうのはそのまま「落し物センター」っていうような意味もあるんですけれども、先ほども話しましたアルバムのテーマ通り、最後は自分の帰る家とか自分の居場所を見つけて、いままで迷っていたけれどもちゃんと帰るところが見つかりましたという、そういった意味で非常に好アルバムの幕を引くのにふさわしい曲になってるなという風にも思います。

で、ちょっとやっぱり彼のファニーな部分もこの曲にはすごく出てて。リリックを紹介しますと、「And I eat the p*ssy like it’s caviar(まるでキャビアのように女性を食うんだ)」っていう風に言っていて。それでその後に「I ain’t talkin’ ’bout that playlist Most necessary」っていう風にその後に続くんですけども。「キャビアのように女性を食べる。でも俺はプレイリストの話をしているんじゃないぜ。いちばん大事なことなんだからな」っていう風に続くんですが、これがなににかかっているのか?っていうと、プレイリストですね。

「俺はプレイリストについて話してるんじゃないよ」っていう。これは何のことかというと、「caviar」っていうのはSpotifyで有名なラップのプレイリストがありまして。それが「Rap Caviar」っていうんですよ。これ、めちゃめちゃ有名で、ミーゴスとかを一時期非常に押していたりしまして。「Rap Caviar」っていう名前のツアーなんかもやっていたぐらいなんですけども。その「Rap Caviar」とプレイリストをかけている。

で、そのあとに「いちばん大事なことだからな」っていうことで「Most Necessary」っていうフレーズが続くんですけども、これもまたSpotifyでめちゃめちゃ人気のあるプレイリストの名前なんですよ。で、私はこの「Most Necessary」を結構毎日のようにチェックしているんですけども。

「Rap Caviar」がちょっとトップ40的なプレイリストだとしたら、「Most Necessary」はもっとちょっと掘り下げた、新人のラッパーを中心に扱うプレイリストなんだけど。まあそっちの方がフレッシュっていう風にもね、言い換えられると思いますが。こういったワードプレイとかがすごい上手いなと思いましたし。この曲はあと、ネームドロップ。いろんな人の名前をとにかく言っていく箇所がありまして。

そこがたとえば、XXXテンタシオンから2パック、かと思えば次の行ではビル・クリントン、モニカ・ルインスキー、バラク・オバマについてつないでいる。その後はウィル・スミスから息子のジェイデン・スミスについてつないでいたりという、すごい鮮やかなネームドロップが繰り広げられますので。そういったところも注目して聞いていただきたいなと思います。それでは聞いていただきましょう。YBNコーデーで『Lost & Found』。

スポンサーリンク

YBN Cordae『Lost & Found』

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました