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DJ松永 Creepy Nuts『よふかしのうた』の文脈回収を語る

Creepy Nuts『よふかしのうた』用ラジオ録り直しと発売延期回避を語る ACTION
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DJ松永さんがTBSラジオ『ACTION』の中でCreepy Nutsの新作アルバム『よふかしのうた』の文脈回収について話していました。

(幸坂理加)松永さん、今日のアクションは?

(DJ松永)ヒップホップとは「文脈回収」。

(幸坂理加)文脈回収ですか?

(DJ松永)ヒップホップっていうのは文脈回収なんですよ。今日、Creepy Nutsの新しいアルバム『よふかしのうた』がリリースされるんですが。今回、作った私たちの作品ももれなくあらゆる文脈回収を経てできた作品だなと思っていて。まあ、ヒップホップは文脈回収が非常に大事なんですよ。なぜか?っていうと、以前にも話しましたけども、ヒップホップは歌う人が直接歌詞を書く。しかも、その自分の人生を歌詞にする。自分の人生、人間を切り売りするジャンルなんですよね。

(幸坂理加)リアルを書くんですよね。

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(DJ松永)そうそう。自分のね。そうなってくると、やっぱり人間と人間の表現……1回、格闘技の煽りVTRを思い浮かべてほしいんですよ。やっぱり知らない人同士の戦いよりも、因縁があって「こいつがこういうことを経て、いままで負け越しているけども、今回ついに勝ち越しを狙う」とか。「もともとこういうやつだったのがこういう紆余曲折を経てここまでたどり着いた」みたいな因縁、文脈があると気持ちが入るじゃないですか。

(幸坂理加)うん。物語があるとね。

(DJ松永)そう。ストーリーがあるとより楽しく感情移入できる。だからラッパーの歌詞は自分の人生を書くわけだから。「ああ、過去にこういう人だった人がいま、こういう歌詞を書くんだ」みたいな。「いま現状はこうだけども、こうなってやっているんだ」みたいなところの背景、ストーリーが見えるとより新しい楽しみ方……楽しみ方が広がるんですよね。

(幸坂理加)はい。

(DJ松永)ちなみに今回の私たちのアルバム『よふかしのうた』の表題曲っていうのが、その名も『よふかしのうた』。これはオードリーのオールナイトニッポンの10周年の全国ツアーに我々Creepy Nutsが書き下ろしさせていただいたんですね。これもとてつもない文脈回収を経て出来た作品なんですが。だいぶさかのぼると、俺は学生時代……なんだろうな? まあ、スクールカーストみたいなものがあるとすれば、真ん中ぐらいだったと思うんですよね。

下にも上にも行ききれない。いちばん人の目線を気にする立場だなと思っていて。まあ、上に行ききれたら楽ですよね。でも、かといっていちばん下の方にいて、ちゃんと自分の世界を築けてる人。自分は特に抗う必要もなく、自分たちの立ち位置を理解して。自分たちの楽しい世界を作っていくっていうわけでもなく。俺は下にも行きたくないし、上にも見られたい。よく見られたい。でも上に行くほどの度量はないが……みたいな感じ。

それでいちばん紆余曲折しているみたいな。でも、そういう人たちがたぶん結構人口の多くを占めてると思うんですが。そういう真ん中の人間だったにも関わらず、俺の周りの仲間には結構マッチョなタイプの仲間が多かったんですよ。だから結構自分で仮面をかぶって学生生活を送ってたなっていう記憶がすごいあって。特にその俺らが10代の頃っていうのは、たとえばアメトーーク!の人見知り芸人とかが放送される前。だから恥ずかしいこと、ダサいこと、かっこ悪いことを全部惜しげもなく表現をして、人となぐさめあったり共感しあったり、笑いあったり共有しあったりという発想、価値観がまだなかったんですよ。

いま思うとだからずっとうっすらと仮面を被って無理して学校生活を送ってたなって。だからずっとうっすらと辛かったんだろうなと思うんですけども。そんな中で2008年にオードリーがM-1で優勝をするわけですよね。それで翌年の2009年にオールナイトニッポンがスタートするんですよね。そのタイミングで俺、深夜ラジオが好きだったから、その流れで「あ、オードリーがラジオをやっているんだ。ふーん」って思って聞いていたら、若林さんがずっと売れない頃からポーンと急にM-1で売れて。それで初めて芸能界という社会に出て感じる不満や劣等感みたいな悩みを全部、惜しげもなくしゃべってたんですよね。

それを聞いて、「あれ? 俺が仮面を被って封じ込めていた気持ちをしゃべってる人がいる。しかもラジオで!」って思って。俺は初めてそこで芸能人に共感するっていう体験をしたんですよ。しかもその話がめちゃくちゃ笑える。面白い!ってなって。「単純に後ろめたいと思って封じ込めていた気持ちが人を楽しませることができるエンターテイメントになるんだ」っていうところにすごい救われて。そこからずっと、そのオードリーのオールナイトニッポンに寄り添ってもらいながら生活をするようになったんですが。

それで2016年にですね、Creepy Nutsが初めての作品を出すんですが。まあヒップホップはリアルを言葉に、音楽にするジャンルですから。それで1枚目の作品だから俺とR-指定尾で話し合って、「自己紹介的なアルバムにしたいよね」っていう話になったんですよね。それでどうしよう?ってなった時に思い浮かんだのがオードリーの若林さんと南海キャンディーズの山里さんが「たりないふたり」っていうコンビを組んでたんですよね。それは何かというと、それこそいろいろと足りない2人を笑い・エンターテイメントに昇華するっていう趣旨でやっていたユニットで。

「ああ、これを俺らでそのままオマージュさせてもらって作品を出せば、ぴったりかもね」っていうので出した作品が『たりないふたり』だったんですね。

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Creepy Nuts『たりないふたり』

(DJ松永)で、そこから発売日……いろいろとその後に奇跡が起こったんですよ。発売日当日に、面識も何もないですよ。南キャンの山里さんが『不毛な議論』で『たりないふたり』をラジオでかけてくれたんですよ。

山里亮太 Creepy Nuts『たりないふたり』を語る
山里亮太さんがTBSラジオ『不毛な議論』の中で、R-指定とDJ松永のユニットCreepy Nutsの『たりないふたり』について話していました。

(幸坂理加)ええっ!

(DJ松永)で、その後にしばらくして、まあ詳細は伏せますが若林さんとすごい奇跡的なつながりがあって、若林さんと直接会ってご飯に行くような機会ができてきて。で、そこからオードリーのオールナイトにも結構何度も何度も出させていただけるようになって。それでプライベートでも仲良くさせていただくようになり。そしてついには、オードリーのオールナイト。俺が救われたラジオ番組の10周年の全国ツアーのテーマソングを「Creepy Nuts、書いてよ」っていう風に若林さんに直接連絡をもらって。それで曲を書くまで至ったという。だからとてつもない……10代の頃からの文脈を全て回収した作品が『よふかしのうた』で。

その『よふかしのうた』の内容は、夜ふかし、ラジオ……そのはじめてラジオを聞いた10代の頃。深夜の、まあ起きてちゃいけない時間にラジオを聞いてるという背徳感、ドキドキみたいな。いけない世界に足を踏み入れているじゃないかっていうドキドキ、そういうものってヒップホップもそうだなって思って。ヒップホップも夜ふかしに置き換えられるんじゃないかって思って、広義の意味で深夜ラジオとヒップホップを『よふかしのうた』っていう風に言い換えて、初めてラジオやヒップホップに出会った原体験を曲にしたという。それをオードリーのオールナイトの10周年で書き下ろさせていただくというとてつもない文脈回収をして。

それで、2016年に『たりないふたり』を出して。その次に『助演男優賞』っていうのを出して、その後に『クリープ・ショー』っていうのを出して、その後に『よふかしのうた』。今回になるんですけども。ヒップホップはその時の都度のリアルを歌うという音楽だから。『たりないふたり』を出した時にはやっぱりその時の俺らはルサンチマンをためこんでいて。「俺らは全然評価されていない。俺らのことなんか誰も理解してくれないんだ」っていうところ。ちょっと卑屈な目線から出した作品が『たりないふたり』『助演男優賞』なんですけども。

やっぱりそこから多少、我々みたいなものでも活動が軌道に乗っていくんですよね。そうなってきたら、やっぱり悩みの種類も変わってくるんですよ。ちょっと評価されようなってきているのに、まだ『たりないふたり』みたいな作品を出していたら、整合性がとれなくなってくるんですよ。そうなってくると嘘をつくことになるから。それだと「リアル」っていうヒップホップ的なルールに背いちゃうから。ちゃんとリアルを綴ろうっていうことで『クリープ・ショー』で「俺らも成長した。いつまでも『たりないふたり』って言っていちゃダメだよな。じゃあ、次のフェイズに俺らも進むよ」っていうのを提示して。

そこで『クリープ・ショー』を出した後、よりステップアップをして。いろいろと自分もあらゆる現場、場数も踏んでいって、ついに俺らに自信がついてきたんですね。で、ヒップホップのいちばんよくある歌詞に「セルフ・ボースティング」っていうのがあるんですけども。ヒップホップのよく聞く歌詞って、とにかく強気じゃないですか。イケイケ。「俺が最強!」みたいなことを書くのがセルフ・ボースティング。それが一般的なんですが。初めて俺らCreepy Nutsも「いまならセルフ・ボースティングに手を出してもいいかも?」って。

『たりないふたり』だった俺らがちゃんと段階を踏んでいって、ついに俺らもセルフ・ボースティングできるわっていう風になって作った曲が今回のアルバムの最後に入っている『生業』っていう曲だったりするんですよね。

(幸坂理加)はー、なるほど!

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Creepy Nuts『生業』

(DJ松永)だからいま、現時点では俺らはそういうセルフ・ボースティングができるメンタル、立場になったなと思っていて。でも、かといってこれからめちゃめちゃ本当にもうどん底まで落ちて。めちゃめちゃルサンチマン100%みたいな状態になるかもしれない。そしたらまた『たりないふたり』みたいな曲を出すかもしれないです。でも、幸せに満たされて。「もうどうしようもなく幸せ、幸せ!」みたいになったらそういう曲を出すんですよね。ちゃんと「リアルである」っていうルールにだけ則っていることが大事なんだなって思って。

その都度、本当に自分の立場とか、自分が何を言うのか。何を言えるか。どういう状況のいるのか。自分はいま、どう思ってるっていうのをちゃんと考えながら。ちゃんと把握をしながら書くことが大事なのかなと思っていて。だから今回のアルバム、1曲目が『よふかしのうた』で最後が『生業』なんですが。まあヒップホップにとって大事な文脈回収。とても大きな文脈回収ができたアルバムだなと思っていて。よかったらみなさんにね、聞いていただきたいなという作品でございます。じゃあここで1曲、その表題曲を聞いていただきましょうか。Creepy Nutsで『よふかしのうた』。

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Creepy Nuts『よふかしのうた』

<書き起こしおわり>

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