能町みね子と久保ミツロウ 女性ラジオパーソナリティを語る

能町みね子と久保ミツロウ 女性ラジオパーソナリティを語る NHKすっぴん!

久保ミツロウさんがNHKラジオ第一『すっぴん!』にゲスト出演。久保ミツロウさん、藤井彩子さんと女性ラジオパーソナリティについて話していました。

(藤井彩子)さあ、次のトークのテーマ。能町さんから挙げていただきました。ラジオの女性パーソナリティについて。

(能町みね子)そうなんですよ。私たち、特に深夜にやっていた時には深夜番組ってもうほとんど男性の世界で。男の……特に最近は芸人さんが多いんですけども。芸人さんの面白いラジオか、まあいたとしても女性1人でパーソナリティを歌手の方とかがやっているっていうパターンはありますけども。女2人で、しかも下ネタとかをガツガツ言いながらやっているっていうのはちょっと私たち以外にあんまり記憶になくて。

だからそういうのってもっと増えてもいいんじゃないの?って思っていて。まあ、私たちは終わってしまいましたけども、後発が出てきてくれてもいいですし。なんかこう、お昼の番組とかでも……最近は結構女の方も多いですけど、割とベーシックなのは男の方が意見を言って、アシスタントで女のちょっと若めの方がいるみたいなのが定まりすぎているなって思っていて。もっと女の人がガンガンに行けるラジオがあってもいいと最近思っているんですよ。

(久保ミツロウ)そうですね。私たち以外にも文化系の女性の方でやってらっしゃる方とかは全然いらっしゃるんですけども。まあ、比率的に言ったらもっと増えてもいいけれども、でもやっぱりその人たちが面白くなければ意味がないわけなので。あとは私は、もっと自分よりもさらに歳を取っているおばあちゃんぐらいになったラジオパーソナリティっていうのも……。

(能町みね子)重鎮みたいなのがいてもいいですよね。

(久保ミツロウ)そう。そういう人って誰かいるかな?って思ったら、上沼恵美子さんか黒柳徹子さんみたいな。ラジオはちょっとわからないですけども。

(能町みね子)まあ、他局だとアッコさんっていう例もありますよね。

(久保ミツロウ)そういうあたりの人口が今後増えていくためには、まずは私たちがしぶとく生き続けた方がいいんじゃないかなって。

(能町みね子)粘り続けないといけないと。

女性の重鎮ラジオパーソナリティが少ない

(久保ミツロウ)まず自分たちが楽しく長く、あと10年、20年ってもしきっかけがありましたらラジオに出続けられていたら、よりその裾野って広がっていくのかなって。

(能町みね子)そうですね。最近、民放ではお昼のワイド番組を女の方がやっていること、結構増えましたけども。もっと増やしたいですね。

(藤井彩子)増やしたい。まずは数からですよね。

(能町みね子)数からですね。

(藤井彩子)メッセージも来ていました。神奈川県の50代女性の方。「ラジオの女性パーソナリティは自分が女性なのでとても親近感を感じるし、気持ちが通じるところも多いし、ご活躍されている様子にとても励まされます。女子トークを聞いているとほっとします。すっぴん!でも唯一の女性パーソナリティのみね子さんの水曜日がいちばん気に入っています。

(能町みね子)わあ、ありがとうございます。よかったー!

(藤井彩子)で、これは男性の方から。50代の島根県の方。「ラジオの女性パーソナリティというと引く人も多いですね」。

(久保ミツロウ)引くの?

(能町みね子)「引く」って、やるだけで引くの?

(藤井彩子)内容みたいですね。「……元カレの話とか本音をベラベラとか『ええっ、こんな子だったの?』とか。何度かメールも読まれてラジオネームを覚えてもらったかなぐらいでいじり始めるんですが、これは塩梅が難しいですね。女性パーソナリティだといわゆるセクハラになる場合もありますし。まあ、行き過ぎた場合はボツになりますからその方に判断してもらってということになりますね」とおっしゃってますが。

(能町みね子)まあ、それはセクハラはボツにしますけども。

(藤井彩子)どうですか? こういう「引く」とか「いじりづらいな」とか。

(能町みね子)元カレの話、私たちはまずしないです。で、本音をベラベラって、それは男だって本音はベラベラ言うから。そこはいいじゃないですか。

(藤井彩子)これは女性に対する幻想もあるんですかね?

(能町みね子)ちょっと幻想を持ちすぎですよ。だから、女の人も全然下ネタも言っているし。下ネタに限らないけど、本音も言っているし。女性全般を「おとなしい人だ」って思いすぎ。周りの普通の女の人を見てみてください。自分の好きな人しか見ていないのかもしれないです、これは。

(久保ミツロウ)あとはアシスタントの女性の方とかはすごく「出しゃばりすぎない」っていうのを、だいぶ役割を守りすぎちゃっているというのもありますよね。

(能町みね子)だからもっとガツガツやり合う人がいてもいいんですよ。

(久保ミツロウ)だからアシスタントの女性がおばあちゃんになったらいいんじゃないかな?って。

(能町みね子)ああ、それは聞いてみたい(笑)。

(久保ミツロウ)「もう! 字が小さくて読めないよ!」とか言いながら(笑)。

(能町みね子)そんなにおばあちゃんなの?(笑)。

(久保ミツロウ)わかんない(笑)。私はたぶんおばあちゃんキャラがまだ貧困すぎて……(笑)。

(藤井彩子)そんな意見も来ていて。まあおばあちゃんっていうんじゃないんですけども。愛知県の30代女性の方からは「ラジオの女性パーソナリティについてですが、近いようで確実に遠い存在だなといつも感じています。リスナーとしては身近に感じる瞬間もあるけど、漠然と遠い存在だなと思う時の方が多いです。たぶん女性パーソナリティでラジオに生き様とか人生をさらけ出すタイプの方に遭遇したことがあまりないので余計にそう感じるのかもしれません」。

(能町みね子)私たちはさらけ出している方ではないかと思うんですけども。

(藤井彩子)少数派だということなんですかね?

(能町みね子)男の人の方がさらけ出しているのかな?

(久保ミツロウ)どうかなー?

(藤井彩子)「さらけ出す」と言っても限度がありますからね。さらけ出しているように聞こえさせるのが上手いっていうことなんですかね?

(久保ミツロウ)でも、男性のラジオパーソナリティに感じるのはちょっとサラッとした感じというか、サバサバした感じを求めやすいというか。距離感が兄貴的なというか、もしくは……よく言われがちなのは女性はちょっとジメッとしているというか。本音をさらけ出すとそういうことを言いがちみたいな。でも、自分がいままでそういうことを言ってないか?っていうと、めちゃくちゃ言っているなとも思うし。

(能町みね子)言ってるんだ(笑)。

(久保ミツロウ)でも、もっと女の人もいい感じの距離感で感じられる、気持ちよさのある距離感っていうのが探れれば、別にどんなタイプでも楽しいかなって思うんですよね。「ああ、この人はなんでもしゃべっちゃうな」とか「こういう人なんだな」っていうのがわかってしまえば途端に好きになってしまうってありますから。

パーソナリティとの距離感

(能町みね子)男の人ってでも、そんなに距離がないですか? 私は同じぐらいな気がしちゃうんですけども。男のパーソナリティだからって私たちの悩みとかみんな聞いてくれるとか思ったこと、そんなにない……。多少距離、ありますよね?

(久保ミツロウ)距離感が近い人はもういま、自分でネットのライブをやったりとかで。そういう人にみんな気軽に悩みを言いがちになっちゃっていて。

(能町みね子)YouTubeとかね。

(久保ミツロウ)だから、ラジオで悩みを言ってくれると、向こうはどう思っているかわからないですけど、こっちは超好きですけどね。読むの。ずっといままでのラジオとかも。

(藤井彩子)そうか。ラジオっていうメディアの距離感も変わってきているっていうことかもしれないですね。それは男女問わず。

(能町みね子)だから、なんか粘り勝ちしたいですね。ずっとやって。

(久保ミツロウ)やって。なんだかんだいろいろあったけど、長くやっていくと「ああ、これはありなんだ」って思う転換点があるんですけどね。

(能町みね子)20年、30年とやっている重鎮みたいな人、いるじゃないですか。いろんな局に。毒蝮三太夫さんとか、まあ伊集院光さんとかもそうかな? そういう方で女の人ってたぶんまだ、あんまりたくさんはいないので。毒蝮さんみたいな女の人がいたら、強いですよね。いい先輩ですよ。

(久保ミツロウ)そうそう。それは思いますね。元カレの話とかもおばあちゃんパーソナリティだったら超聞きたいじゃないですか?

(能町みね子)ああ、それは聞きたい!

(久保ミツロウ)「あの頃は……」って(笑)。

(能町みね子)「あの頃、○○でデートした」とか言ってほしいですよね。

(藤井彩子)40代、50代ぐらいだとまだ生々しいんでしょうか?

(能町みね子)40代の元カレの話……でも私、元カレの話も聞きたくないけど、元カノの話はもっと聞きたくないですよ?

(久保ミツロウ)フハハハハハハッ! 私も聞きたくないです!

(能町みね子)元カノ、もっと聞きたくないですよね?

(久保ミツロウ)それでたしかに私はその元カノ……深夜のラジオパーソナリティの話を聞いていて「はー、ああ、そういう話、しちゃうんだ?」みたいなのとか。あとはやっぱり投稿ネタで女のブスいじりみたいなやつとかが定着化しているのを聞いたりすると、聞き流しはするけど、やっぱりそこを居場所とは思わないというか。

(能町みね子)なんかちょっと引っかかりますよね。

(藤井彩子)究極、だから「女・男」じゃなくて、「ラジオでどんなことをしゃべってほしいのか?」っていうことなんじゃないでしょうか?

「ラジオでどんなことをしゃべってほしいのか?」

(能町みね子)そこですよね。なんか、いじりとかもまあ面白いんですけども。なんか人によって限度が違うじゃないですか。そのへんをちゃんと上手いことやってくれると気持ちいいんですよね。

(久保ミツロウ)そう。よくお昼のラジオの女性の虚無的なトークを延々聞かされたりとかしていると「あまり期待はできない」とか思われるかもしれないから。私たちもいい虚無を提供していきたいなと。

(能町みね子)いい虚無? 虚無じゃない方がいいですよね?

(久保ミツロウ)フハハハハハハッ!

(能町みね子)虚無はあんまりよくないですよ(笑)。

(藤井彩子)ちょっと意味があった方が。やっぱり。

(能町みね子)多少はちゃんと実のある。

(久保ミツロウ)でもやっぱり、話したくて話しているっていう。私は楽しくて能町さんに話したくて話しているっていうそこの根底は揺るがないようにってすごく思いますね。その先にいるかなと。

(藤井彩子)「語りたい」っていうことには、そこに実は確実にありますもんね。「これを伝えたい」っていうものがある。

(能町みね子)「虚無」には伝えたい力が少ないですよ。

(久保ミツロウ)ちょっと弱いんですよね。

(能町みね子)私もラジオじゃないんですけども、あるファミレスかなんかで聞いていた店内放送で「夏休みですね」って夏休みの時期に言い出して。「夏休みといえば、私は夏休みの最後の方の5日間で必死で宿題をやっていたことを思い出します。では、ここで曲です」みたいな。

(久保ミツロウ)フハハハハハハッ!

(能町みね子)「なにも言っていない!」って思って(笑)。「もう聞いたことのあるようなことしか言っていない。ああいうのはやりたくない!」って思ったんです。

(藤井彩子)フフフ、ではそうでない放送を目指していきましょう。久保さん、またぜひこの番組にお越しください。

(久保ミツロウ)よかったら呼んでください。

(能町みね子)よろしくお願いします!

<書き起こしおわり>

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