能町みね子さんがNHKラジオ第一『すっぴん!』の中で2019年の大相撲名古屋場所の中継で実現したレスリング・吉田沙保里さんの解説についてトーク。そのすごさを語っていました。
大相撲名古屋場所 八日目
これからゲストで生出演します!
間近で見る土俵は迫力がありますね?
どんな取り組みが観られるか楽しみです?
お時間ある方は、ぜひ観てね〜?#大相撲名古屋場所#八日目#NHK総合#舞の海秀平 さん pic.twitter.com/2mOTeyvWy5— 吉田沙保里 (@sao_sao53) 2019年7月14日
(藤井彩子)で、今場所なんですけども、力士の取り組みとはまた違ったところでの能町さん的な大注目ポイントがあったとうかがいました。
(能町みね子)そうなんですよ。私、大相撲が好きではあるんですけど、大相撲中継という番組のファンでもあって。NHK大相撲中継のいろんな取り組みを楽しみにしているんですけども、今回中日にレスリングの吉田沙保里さんがゲストで来たんですよ。もう私、あれを聞いて「吉田沙保里親方」と呼んでいるんですけども(笑)。
(藤井彩子)フフフ、「親方」と言ってよい?(笑)。
(能町みね子)親方です。で、吉田さんはお話を聞いている限り、いまの相撲に関しては決して詳しくはなかったんですよ。
(藤井彩子)たとえば力士の情報とか?
親方レベルの解説
(能町みね子)それぞれ、個人名を知っているとか、この人はこういう技が得意だとか、そういうことはあまりご存知ではなさそう。本当に横綱を知っている程度じゃないかな?っていう感じだったんですけども。ただ、それでも解説をしている内容がもう親方レベルみたいなことをガンガンに言ってくださっていて。すごいまずね、弁が立つ方なんですね。お話が上手い。で、吉田さんがいらっしゃった日に高安が怪我をしてしまったんですが、相撲って展開がバーッと早くて、その戦っている最中はもちろんゲストもしゃべらないんですけども。その後、明らかに高安が腕を痛そうにしていて。アナウンサーの方が「ああ、怪我しましたかね」みたいな感じになってスローが流れますよね。で、スローが流れたらその怪我をした瞬間、誰よりも早く「ああ、ここですね」って吉田さんが言ったんですよ。
(藤井彩子)さすがですね!
(能町みね子)さすが。やっぱり知っている人が見たらすぐにわかるんだなって。
(藤井彩子)だからジャンルは違えど、同じ格闘技のトップ中のトップのアスリートだから。
(能町みね子)それがわかるんですよね。まあ、正直私も結構わかることはわかるんですけど、かといってそこでパッと言えるほどの自信はないから。
(藤井彩子)あと、ずっと相撲を見てきたわけでもないのに……っていうところも。
(能町みね子)そうですね。それで「ああ、ここですね」って言って怪我の度合いとかも軽く言ったり。あとは怪我をしないコツとかについて語る時はもう、本当に力士にも参考になるようなことを言ってらっしゃって。吉田さんっていうのはレスリングで206連勝をされているんですよね。もうありえない数字なんですけども(笑)。
(藤井彩子)そうでしたっけ?
(能町みね子)206連勝なんですって。異常なんですよ。いままでの大相撲史の中で最大の連勝って69連勝なんですよ。双葉山っていう伝説的な大正・昭和の力士がいるんですけども。69連勝は白鵬も破れなかった。でも206連勝って69連勝のほぼ3倍。もちろん競技内容は違いますし、相撲って1秒で勝負がついちゃったりもするんで。連勝をそこまでしづらいんですけども。とはいえ、206連勝はちょっと考えられない。
(藤井彩子)そうか。その間、怪我をしないっていうことも大きな理由のひとつだったわけですよね?
不利になっても怪我を避ける
(能町みね子)そうですね。怪我をしちゃったらもちろん練習もできませんし。それをアナウンサーの方とかが聞いたら、吉田さんは「こういう風に力がかかったら怪我をする」みたいなことが経験でわかっているので。「そういう時は相手にポイントを与えてでも怪我を避けた」って言うんですよ。負けるっていうわけじゃないんですけども……私もレスリングが詳しくないんであれんですけども、不利な体勢になって相手にポイントを与えてしまったりすることをあえて選んででも、怪我を避けるということの方を優先した。その結果、大きな怪我にはつながらず。相手にポイントを与えても、後から自分で逆転できる自信もおそらくあったから、そういう方を取ったという風に言っていて。
(藤井彩子)そうか。「怪我をしてもいいから勝とう」という風には思わず、それでも結果として勝ってきたっていう。
(能町みね子)ということなんで、やっぱりお相撲さんってちょっと無理しちゃうところがあるんですよね。最後、土俵際で粘りすぎて筋肉や骨に負担がかかったり。それはもちろん、見ている方としてはサラッと諦められるよりも粘ってくれた方が面白いんだけど。
(藤井彩子)「この一番にどうしても勝たないと」っていうのはありますよね。
(能町みね子)だから、ちょっと無理してでも……っていうのが少し美学みたいに見られていたところはあるんですけども。ちょっと最近は体重も重くなりすぎているし。吉田親方の言うようなことを参考にしてもいいんじゃないか?っていうようなことを結構、いろいろとおっしゃっていて。
(藤井彩子)へー! さすがですね!
(能町みね子)いや、本当にさすがでしたね。これからも、他分野の一流の方にはぜひ来てほしいなと思いました。先場所も武井壮さんが来た時、すごい面白かったので。武井壮さんもやっぱりアスリートとして一流なんですよね。なので、全く他分野のアスリートの方も大歓迎。これからも楽しみにしたいなと思いましたね。
<書き起こしおわり>