プチ鹿島 佐川宣寿・前国税庁長官 証人喚問を語る

プチ鹿島 佐川宣寿・前国税庁長官 証人喚問を語る YBSキックス

プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で佐川前国税庁長官の国会証人喚問についてトーク。午前中の内容から見えたポイントや、最近の週刊誌報道で見えてきたキーマンについて話していました。

(プチ鹿島)いやー、午前中から盛り上がってますね!

(塩澤未佳子)もう、ずっとですよ!

(プチ鹿島)盛り上がってますよ! 春の選抜!

(塩澤未佳子)あ、そっちだ(笑)。

(プチ鹿島)大阪桐蔭、見ましたか? 強かったよー! もうドラフトにかかる……プロのスカウトが並んじゃってね。3人、4人、5人、6人ぐらいいるらしいです。大阪桐蔭。

(塩澤未佳子)じゃあ、半分以上? そんなに!?

(プチ鹿島)それだけで驚いちゃいけない。今日は同じ大阪から、森友学園。

(塩澤未佳子)来たよー! 来た、来た(笑)。

(プチ鹿島)たしかこれ、小学校のはずだったんですけども。また午前中から。強いよ! 去年の春も強かった!

(塩澤未佳子)去年の春も(笑)。

大阪の強豪・逆転の森友学園

(プチ鹿島)「逆転の森友」って言われてね。なかなかあの土地、取得するのは難しいんじゃないか?って言われていたんですけども、神風が吹いたなんて。強いですよ。もう、午前中から話題独占。今日、国会でトップバッターの佐川くん。まだ粘っている、これ。いま昼飯食っているから。

(塩澤未佳子)トップバッター(笑)。

(プチ鹿島)人を食っているわけじゃないですよ。人を食っていたらまずいですけどね。

(塩澤未佳子)はい(笑)。

(プチ鹿島)まあ、そんなこんなで証人喚問やっていますよ。また休憩を挟んでね、午後やると思うんですけど。それも当然話したいんですが……昨日ラジオの中継というか、スタッフと一緒に調べ物をしに東京駅の丸善。本屋さんに行ったんです。で、目的の本を買ったんですけど、やっぱり本屋さんって楽しいじゃないですか。

(塩澤未佳子)そうなの。自分が思っていないものと出会えるから。

(プチ鹿島)「あっ、こんな本が発売していたのか!」って。で、僕がパッと見たら、「これは読みたいな!」って思って。ディレクターに「自分の買い物してきていいですか?」っていうので買った本があるんです。それが、今週とかじゃないかな? 発売されたばっかり。要は、平積みされていておいてあったんですけど、『日報隠蔽』っていう本なんです。『南スーダンで自衛隊は何を見たのか』という。

『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』

日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか
Posted at 2018.3.27
布施 祐仁, 三浦 英之
集英社

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)書いてらっしゃるのがこれ、共著で2人で書いてらっしゃって。布施祐仁さんと三浦英之さんという方なんです。布施祐仁さんというお名前でピンと来た方、いらっしゃるかもしれませんが、そもそも南スーダンで自衛隊の日報問題、あったでしょう? 最終的には隠蔽していたことが発覚して、稲田さんが責任を取って辞任した。それを、情報開示で問い合わせをしたのがこの布施祐仁さんなんですよ。だから、結局おさらいとしてね、あの事件というか騒動というか……事件と言った方がいいんでしょうね。何だったのか?っていうのを僕、もう一度知りたいなと思って、すぐに買っちゃいました。

(塩澤未佳子)ちょうどこういった本が出て。

(プチ鹿島)で、今日は山梨の放送があるから朝が早かったんですけども、昨日の3時ぐらいまで読んじゃいましたね。まだ1/3ぐらいしか読めていないんですが、とにかく面白い! なぜ共著かというと、この布施さんは自衛隊の日報について情報開示を……「いったい何が起きているんだ? あれは戦闘状態じゃないのか?」って。なかなか、黒塗りの文書しか出してこないから、「そうか。日報という文書もある。じゃあ、これを請求して情報開示すればその日1日の生々しいことが載っているんじゃないか?」っていうことで。それで、ああいうことになったじゃないですか。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)一方、この三浦さんというのは新聞記者の方で、南スーダンの現場をもっとも取材している方なんです。で、お二人がSNS・Twitterでエールを送って。「じゃあ、一緒に本を書きましょう」と。現場のことは記者の三浦さんが書きつつ、日報を情報開示請求して、どんどんどんどん追い詰めていく。事実を明らかにしていくっていうルポを書いているのがこの布施三男ですよ。とにかく面白い。本当におさらいをしてみると、2016年7月。一昨年。南スーダンというところ。ここは2011年にスーダン共和国から分離・独立をした、言ってみれば大統領・副大統領が石油利権とかを巡って政争を起こして……「政争」っつったってあなた、別にビンタをする/しないとか、ビール瓶で殴ったとか、それも政争ですけども、もっとすごくて。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)一昨年の7月7日から両者はついに衝突して、両軍あわせて300人以上の兵士が死亡したという。で、そんな時に近くに自衛隊が行っているわけですよ。これは戦闘状態じゃないのか?って、誰もが思いますよね。ところが、防衛省から出てきた説明が「散発的な発砲事案」という。300人死んでいるのに「散発的な発砲事案」ですよ。自衛隊の近くに被弾もしたっていうのに。「『武力紛争』を『発砲事案』と言い換え」ですよね。いま、書き換えが話題になっていますけども。まあ、改ざんですよね。「言い換え」なんですよ。ここ数年でなにか、思い当たるキーワード。

(塩澤未佳子)ですねえ。

(プチ鹿島)そもそも、なんでそういう苦しい言い訳をしているのか?って言ったら、安保関連法案というものができて。新しい任務。「駆け付け警護」とかを自衛隊にやってもらいたいというために、戦闘行為とか武力衝突が起きていちゃダメなんですよね。だからそれを結局、違う言い方にしているという。僕がいままで読んだのはここまでなんですよ。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)しかも、「新しい任務(駆け付け警護など)の実施には少なくとも6ヶ月間の訓練期間が必要」っていうんですよ。だけど、一昨年参議院選挙があったから、新任務付与に向けた訓練は話題になっちゃうから。参議院選挙期間中はやらなかったっていうんですよ。で、短い訓練機関で送り出しちゃった。これって結局、自衛隊の現場の人がいちばん大変なんじゃない?っていう。そこらへんも見えてくるし、もっと言うとなんでそんな苦しい言い訳をするのか?って言ったら、そういう旗を立てちゃった以上、それで行くしかない。もっと言えば、憲法との関連でそれを押し通すしかないという。まあ、ひとつの政策をやっちゃった、言葉を言っちゃったからには、それでどんどん行くしかないっていう、どこもかしこも似たようなもんですよね。

(塩澤未佳子)そうなっちゃうんですね。

(プチ鹿島)だから、これは防衛省なんですけども、いま財務省で行われている……この間は厚労省が(裁量労働制データ問題)ありましたよね。最初は「ない」とか「見当たらない」とか言っていたものが「あった」とか。しかも書き換え・改ざんをしていたとかっていうことになっていますよね。

プチ鹿島 佐川長官文書隠しと裁量労働制不適切データ問題の共通点を語る
プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で、佐川国税庁長官が表舞台に出てこない件についてトーク。佐川長官の文書隠し問題と働き方改革関連法案の裁量労働制・不適切データに共通する点について、話していました。(プチ鹿島)まあそんな中、相変わらず裏五輪...

(塩澤未佳子)うんうん。

(プチ鹿島)で、まさにその財務省の理財局長だった佐川くんが今日、証人喚問をされている。もちろんこれ、見どころ聞きどころはいろいろとあるんですけど、僕はいつも新聞の読み比べをやっていますけど、もともと週刊誌が好きなんですね。週刊誌っていうのはやっぱりちょっと……新聞って事実を淡々と追うしかできないじゃないですか。週刊誌ってもっと読者の欲望に沿った……もっと言うと「あれ? もっと他になんかいろいろあるんじゃないの?」みたいなのを率先して、タブロイド紙とかやってくれる。そういう……褒めた言い方で言うと、僕は素晴らしき下世話な媒体だと思うんですよ。そこで書かれたことが後々、やっぱり新聞とかも追随してくるというので。だから週刊誌も見ておくのが大事なんですよ。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)ところがその週刊誌でこの佐川さんの証人喚問が今日、行われるというので、書き換え・改ざんというそこの本編も大切だけど、もっとそもそもの森友疑惑ってこういうことじゃない?ていうので、ある1人の名前が出始めているんですね。週刊誌界隈では。

(塩澤未佳子)えっ?

週刊誌界隈で囁かれるキーマンの名前

(プチ鹿島)先週の週刊朝日。これ、面白い企画ですよ。「元官僚たちの直言 佐川くん、全部しゃべってすっきりしよう!」っていう。要はいろいろとあって官僚を辞めた人たちが証人喚問を迎える佐川さんにアドバイスという、まあ週刊誌ならではの。なかなか新聞とかではこういう企画はできませんが。いいじゃないですか。興味と野次馬と欲望で。で、トップバッターが前川喜平くん(笑)。

(塩澤未佳子)はい(笑)。

(プチ鹿島)いいですねー。こんなこと言っているんです、前川さんが。「こんな悪事を真面目で小心な官僚が自らの判断でできるなど、到底考えられない。文書改ざんは官邸との間ですり合わせがあって行われたとしか思えない」という。前川さん、だから結局官僚のトップ、もしくはそれに準ずる人たちが政権を告発したり、そういう状態になって辞めて、野に放たれているわけですよね。もちろんここで登場する前川さんとか、佐藤優さん。国策捜査というのを訴えた佐藤優さんとかね。あと、「I am not ABE」ってやった古賀茂明さん。そういうオールスターが「佐川くん、全部しゃべってすっきりしよう」っていう企画に出ているわけです。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)だからこれはもちろん、官僚を辞めて飛びだした。で、政権とバチバチやっているという意味で、もしかしたらというかたぶん、政権への私怨。そういう感情もあるかもしれない。だからそこはある程度差し引いて読んでこういうのは楽しむべきだと思うんですけど。でも、そんな前川さんが「こんな悪事を小心な官僚ができるわけがない」と。自分の経験から振り返って言っているわけですね。「現場がいかに本件を特例的な措置と捉えていたかがわかる。忖度ではなく、官邸にいる誰かから『やれ』と言われたのだろう」って言っているんです。「私はその誰かが総理秘書官の今井尚哉氏ではないかとにらんでいる」と。

(塩澤未佳子)ほう。

(プチ鹿島)前川さん、そもそもいちばん大事なキーマンてここじゃない?って言ってるわけですよ。週刊誌では。国有地の売買をめぐるような案件で経済産業省出身の一職員である谷(査恵子)さんっていらっしゃいましたよね。FAXで問い合わせをした人。その人が財務省を動かすことはまず不可能だと。「谷氏の上司にあたる今井氏が何らかの影響を与えたのだ」という。これが先週。週刊誌的な面白い切り口ですよね。

(塩澤未佳子)うん。

(プチ鹿島)そしたら、また週刊朝日が発売したての今週号で「佐川氏が絶対に明かさない今井首相秘書官の秘密」っていうワイド記事を……もう、こういうの大好きですよね。驚くことに、これは今日、証人喚問をやっていますから、それを直前にした週刊朝日の記事なんですけども。自民党幹部の証言、コメントが載っているんです。読んでみましょうか。「格安での国有地払い下げ、文書改ざんなど一連の森友案件の主犯は安倍さんの懐刀の今井尚哉首相秘書官だろう」と。これ、事情通とかじゃなくて、「自民党幹部」って書いてあるんですよ。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)「彼が理財局の迫田氏(売却時の局長。佐川さんの前任者)、後を引き継いだ佐川氏と相談して実行させた。もし佐川氏が今井氏の名前を出したら、安倍政権は持たなくなる」と。自民党国対関係者はこんなコメントを週刊朝日に出しています。「官邸は『佐川氏は絶対に重要なことはしゃべらない』と信じている。佐川氏は絶対に今井氏や古巣の財務省を裏切らないだろう」と。ねえ。これが今日の週刊朝日。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)週刊ポストに行ってみましょうか。昨日発売。みんな、一斉にこのキーマンが出ている。「総理の懐刀、今井秘書官が同期・佐川擁護のなぜ?」っていう。「実は今井秘書官と佐川さんはいずれも東大出身で霞が関に入った同期。だからと佐川氏をかばっている」っていうんですよ。たとえばこれ、3月11日、毎日新聞。「財務省書き換え、佐川氏が指示」と特報を打った直後のこと、ポストが毎日新聞関係者のコメントを載せているんですよ。「今井秘書官が記事の根拠について政治部に問い合わせていたようです。かなり強い詰問口調だったらしく、官邸サイドからの圧力と受け止めた記者もいました」という。毎日新聞関係者のコメントですね。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)これは「じゃあ、東大の同期だから佐川さんをかばっているのか? そうではなく、『佐川による指示』となったら世間の関心は次は『では、誰が佐川に指示したのか?』となる。だから『指示』というキーワードに敏感になっているのではないか?」という毎日新聞関係者のコメントが載っています。

(塩澤未佳子)ほう。

(プチ鹿島)面白いでしょう? 新聞というかワイドショーが「安倍昭恵さん、安倍昭恵さん」ってなっていますけど、もっと首相の近くにいる今井さん。この方の名前がいま、週刊誌ではブワーッと出てきているわけですよ。面白くないですか? さあ、それを受けての本日の午前中の部、なにを言ったのか? 佐川さんは「私の責任であります」と。だけど、「この質問、聞きたいな」という答弁に関しては「刑事訴追があるのでお答えすることはできません」という。だから裏を返せば、明日たぶん新聞とかにブワーッと今日の一問一答が載ると思うんですけども。佐川さんが「刑事訴追があるのでお答えできません」という、その前の質問が何か?っていうのをピックアップしていけば、それが泣き所なんでしょうね。

(塩澤未佳子)はー!

(プチ鹿島)ただ、議員さんによってはやっぱりちゃんと質問をしているわけですよ。森ゆうこさんとかね、こんなことを言っています。「森友問題で今井秘書官と話をしたことはありますか?」。で、佐川さんはこんなことをおっしゃっている。「私の国会答弁に関して、今井秘書官と話をしたことはございません」。……上手でしょう?

(塩澤未佳子)フフフ(笑)。

(プチ鹿島)これ、なぜ巧妙かわかりますか? 「今井秘書官と話をしたことがありますか?」って聞かれているのに「国会答弁に関して今井秘書官と話をしたことはありません」と。で、さすがに森さん。「いやいや、『答弁に関して』とは聞いていません。森友問題全部について、話をしたことはないですか?」って聞いたら、佐川さんはこうおっしゃっている。「森友問題について今井秘書官と話をしたことはございません」。つまり、きっぱりと否定しているわけです。これ、証人喚問ですから。重要ですよね。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)だからこれ、僕のキックスのオープニングとかを聞いていただいている方、週刊誌とかタブロイド紙には役割があって。炭鉱のカナリアじゃないけど、新聞よりも先に憶測も含めて……そこは読み手の受け身力が問われるんですが、書くわけですよ。そこがいま、一斉に気になっているのが首相秘書官。ここがじゃあ、佐川さんとやり取りをしていたら、もうそういうことですよね。だけど今日の国会の……いまの時点では「やり取りはございません」って佐川さんは言ったわけです。じゃあ、これについて明日からどう転がっていくのか? で、野党とか視聴者がこれで納得するのかどうか? 明日以降ですよね。もしかしたら午後以降。証人喚問っていうのは重いですから。

(塩澤未佳子)そうですよ。嘘はつけませんしね。

(プチ鹿島)そうそう。だからひとつの答えを佐川さんはおっしゃってくれた。「そこらへんは絶対に関わっていないですよ」っていう。

(塩澤未佳子)ご本人、そうおっしゃったんですね。

(プチ鹿島)あと、もうひとつ。週刊ポストを読んでみるとこんな記事がありました。新聞で今回の問題を「改ざん」か「書き換え」かというのでね。これ、このオープニングではそれが新聞の読み方だと。ちょっと首相に近いところ(一塁側スタンド)だと書き換えって言っていて、三塁側だと最初から改ざんって言っていた。産経新聞が実は政権へのシンパシーが強いんだけど、いち早く改ざんと報じた。あとはたとえば読売とかはどうなるんだ?っていうと、読売も今日から改ざんになりました。

(塩澤未佳子)変わった。

「改ざん」「書き換え」問題の終結

(プチ鹿島)というのは昨日、安倍さんが国会で「改ざんと取られても仕方がない」っておっしゃったから。で、さっき昼のNHKも「今日の証人喚問で佐川さんが改ざんって言っていたので、NHKも改ざんとします」と。日経新聞も今日から改ざんです。全ての収容メディアはもういま、改ざんってなった。だから、これもさっきの週刊誌と同じで、面白いじゃないですか。やっぱり距離を置いていちいち批判的・批評的な新聞は「これ、改ざんでしょう」って。「改ざんじゃない、書き換えだよ」っていうのはあるけど、結局いま、1週間とか10日たって、改ざんに揃った。だからこれは改ざんといち早く言っていたということが、改ざんということが証明されたという。あとはいま、週刊誌で言われてるようなことが、事実を丹念に追っていくと、佐川さんが言っているように本当に関係がなかったのでこれで終わる話なのか、もしくはまた、逆転の森友だけになにかヒットやホームランがでてくるのかっていう。ここはバランスよく見守っていけばいいな、面白いなと思います。

(塩澤未佳子)あーっ!

(プチ鹿島)実は本当に週刊誌レベルではね、昭恵さんも相変わらず騒がれているんですが、今井尚哉首相秘書官なんですよね。ここが見どころでしょう。それに対して誰かが突っ込むのか、佐川さんがなんておっしゃるのか。これが僕の今日の午前中のポイントでした。以上、火曜キックススタートです。

<書き起こしおわり>

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