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高橋芳朗と宇多丸 Ariana Grande アルバム『thank u, next』を語る

高橋芳朗と宇多丸 Ariana Grande アルバム『thank u, next』を語る アフター6ジャンクション
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高橋芳朗さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さんとアリアナ・グランデの最新アルバム『thank u, next』について話していました。

thank u, next [Explicit]

(宇多丸)ということでまずはこの1ヶ月のチャートアクションを振り返りながら、世界……主に欧米の音楽業界のトピックスを振り返って解説していただくコーナーです。

(高橋芳朗)この1ヶ月、全米チャートを席巻したのはやっぱりアリアナ・グランデ。

(日比麻音子)すごい。やっぱりすごい!

(高橋芳朗)2月8日にリリースされましたアルバム『thank u, next』。2週連続で全米チャート1位になって。で、昨日ちょっとニュースになっていたんですけど、Spotifyの再生回数がすでに20億回。

(宇多丸)20億!?

(高橋芳朗)を、突破しているらしくて。アルバム3枚で20億回を突破している女性アーティストは史上初らしいです。

(宇多丸)へー! ここに来て本当に……もともとスターだったけど、ここに来てさらに一段上に来たみたいな。

(高橋芳朗)そうですね。上に行っちゃいましたね。で、アルバムの発売に伴ってシングルチャートでもアリアナが猛威を振るっていて。2月23日付けのチャートでは上位3曲をアリアナ・グランデの楽曲が独占。

(宇多丸)へー! 近年稀に見る感じだな。

(高橋芳朗)1位が以前、このコーナーでも紹介しました。失恋デトックスソングというか女の子の友情ソングの『7 rings』。

高橋芳朗と宇多丸 Ariana Grande『7 rings』を語る
高橋芳朗さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さん、日比麻音子さんとアリアナ・グランデの『7 rings』を紹介していました。

(宇多丸)うんうん。

(高橋芳朗)2位が元カレたちに感謝の気持ちを伝える『thank u, next』。

高橋芳朗と宇多丸 Ariana Grande『thank u, next』を語る
高橋芳朗さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』で2018年のアメリカ音楽シーンを振り返り。アリアナ・グランデの『thank u, next』を紹介していました。

(宇多丸)はい。

(高橋芳朗)3位がこれはちょっと変わった挑発的な曲なんですけども。『break up with your girlfriend, i’m bored』っていう。「私、退屈だから彼女と別れてくれない?」っていう、そういう挑発的な内容の曲なんですけども。この3曲が上位3曲を占めたという。

(宇多丸)うんうhん。

(高橋芳朗)で、これって1964年にビートルズが達成して以来55年ぶりの快挙。

(宇多丸)ええーっ!

(日比麻音子)ビートルズぶりだ! それ、すごい勢いですね!

(高橋芳朗)そうそう。すごいっすね。で、ちなみにまだ今週も『7 rings』が1位。7週連続1位ですね。

(日比麻音子)驚異的な記録ですね!

(高橋芳朗)突出しています。圧倒的です。

(宇多丸)なんというか、いろいろと悲劇も重なったけど、それによってちょっとね、スター的なステージは上がった。皮肉にも……という感じでしょうかね。でも、彼女が自力で切り開いたものですからね。

(日比麻音子)力強さを増したというか。

(高橋芳朗)でも、アルバムはこういう派手な話題に事欠かないんですけど、その新作の内容がどうか?っていうと、非常に内省的で。やっぱり去年9月にオーバードーズで亡くなったラッパーで元カレのマック・ミラーの死というものが結構大きな影を落としている内容になっています。だから聞いていて辛くなるような歌詞もあって。

(宇多丸)そうですか。『thank u, next』で「先に進もう」って歌ってはいるけども、やっぱりそれは……。

(高橋芳朗)やっぱり引きずっていますね。でも、アリアナ自身はマック・ミラーの死と正面から向き合って、作品に昇華することでセルフセラピーみたいになっているというか。ちょっとヒーリング的な効果も得られているのかなという気もするんですけどね。

(宇多丸)うんうん。

(高橋芳朗)で、一部、どんな曲が入っているのか収録曲を紹介しますけども。まずオープニング曲に『imagine』という曲があるんですけども。この曲はおそらくですけど、想像の世界でマック・ミラーと過ごしているという曲なんですね。マック・ミラーの右腕にね「imagine」っていうタトゥーが入っているんですよ。

(宇多丸)ああ、なるほど。

(高橋芳朗)たぶんそこから着想を得て作った曲だと思うんですけど。で、この曲についてアリアナは「永遠に手にすることのできない美しい愛について歌った曲」。あとは「現実を受け入れられないことを歌った曲」っていう。

(宇多丸)ああー。

(日比麻音子)まさに葛藤を反映させた……。

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『imagine』

(高橋芳朗)『thank u, next』は現実を受け入れた曲なんだけど、この『imagine』は現実を受け入れられない曲っていう。

(宇多丸)なるほど。やっぱり両面があるんだな。

(高橋芳朗)あとは『ghostin』っていうタイトルの曲があるんですけど。これはアリアナの説明によると「恋人がいるにもかかわらず、別の誰かを想っている、その後ろめたさを歌った曲」っていう。

(宇多丸)うんうん。

(高橋芳朗)だからこれはマック・ミラーと別れた後に婚約したピート・デヴィッドソンというコメディアン。彼と一緒に過ごしているんだけど、どうしても亡くなったマック・ミラーのことを考えてしまうっていう。

(宇多丸)これ、しかも現在進行系、リアルやないかい!っていう。歌われる側の身にもなってみろよ……っていう。

(高橋芳朗)そういう自己嫌悪に苛まれている自分を歌った曲という。

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『ghostin』

(日比麻音子)これ、よく歌えましたね。

(高橋芳朗)かなり赤裸々というか、生々しい……。

(宇多丸)もはや私小説的な様相をね。

(高橋芳朗)そうですね。まさに。で、他にも自暴自棄になっているような曲もあったりするんですけど。最近のアリアナ・グランデのコンサート動画とかを見ると、感極まって『thank u, next』とか歌えない時とかあるんですよ。全然。

(宇多丸)ああー。

(高橋芳朗)だからさっき宇多丸さんが言った通りです。だから元カレの実名を出して『thank u, next』。「ありがとう。次に行くよ」なんて歌って、それがナンバーワンヒットになったからって、全然状況はクリアになっていないというか。むしろそんな過激な表現をしたことによって「あんな歌を歌ってよかったのだろうか?」っていう疑念をまだちょっと抱いちゃっているようなところもあるのかな?っていう気がしますね。

(宇多丸)うんうん。だから、ケタ違いのスーパースターに数字上はなっていても、でも生身の人間でもあるという、この乖離というか、軋轢というか。それがすごいよね。

(高橋芳朗)あと、アルバムの内容からすると、やっぱりもしマック・ミラーと別れていなかったら、どんな未来になっていたんだろう?って思うところもあるんじゃないかなっていう。

(宇多丸)まあね。

(日比麻音子)別れてからですもんね。死を迎えたのは。

(宇多丸)でもな、そんなIFをいくらやってもキリがないからね。

(高橋芳朗)でも、アリアナ・グランデとマック・ミラーは別れた直後にマック・ミラーが飲酒運転で交通事故を起こしたことがあったんですよ。で、その時にファンから「お前のせいでマック・ミラーがこんなダメになっちゃったんだ!」みたいな批判をすごい受けたんですよ。でも、アリアナ・グランデはその時は「私は彼の子守じゃないし、母親でもないし。男性がトラブルを解決できなかったからってそれを女性のせいにするのは絶対におかしい!」って。

(宇多丸)もちろんだよ。

(高橋芳朗)それは間違いないんだけど……でも、いまこうアルバムを作るにあたって、マック・ミラーと再び向き合うことによってそういうバッシングがまた、ちょっと応えてきちゃっているんじゃないかな?っていう気も……。

(宇多丸)いやー……。

(日比麻音子)またマック・ミラーとのペアリングがやっぱりファンとしては作品を見ていても非常にマッチしていたので。なおさらこのブロークアップしたっていうのがすごく寂しかったというようなファンの思いもあると思うんですよね。

(高橋芳朗)その、アリアナがマンチェスターでのテロ被害を受けた時があったじゃないですか。その時も、マック・ミラーが彼女のことをすごくケアをしていて。PTSDになったところをね。そういう背景もあるから、余計にファンからすると、もしかしたらそういうところはあるのかなっていう気もしますね。

(宇多丸)なるほどね。

(高橋芳朗)で、そんなアルバムから1曲、紹介したいんですけども。『needy』というタイトルの曲です。「needy」っていうのは「愛情に飢えている・愛情を過剰にもとめている」みたいな意味なんですけども。結構いまの精神的に不安定なアリアナ・グランデの悲痛な心情が赤裸々に……。

(宇多丸)なんか一連のシングルの流れで「強えな!」なんて言っていたのに。うう……。

(高橋芳朗)歌詞の大意を読みますね。こんな内容です。「最近はジェットコースターに乗っている気分。なんとか感情を保つのが精一杯。でも言えることはあなたが近くに必要なの。自分はちょっとおかしいのは認める。でも衣装を着ていれば気持ちはごまかせる。こんなに情緒不安定でごめん。卑屈になってごめん。『こめん』って言いすぎてごめん。気づいてしまったらもう我慢できない。私はあなたとの触れ合いが必要なの」という。この「あなた」っていうのはマック・ミラーかもしれないし、まだ出会っていない誰かなのかもしれないし、もしかしたら自分のファンのことかもしれないですけどね。

(宇多丸)いろんなね。で、やっぱりもちろん個的な痛み、個人の痛みから出てきたものだけど、誰しもそういう痛みはあって……っていう普遍性もちゃんとあるあたりがやっぱりアーティストとしてすごいですね。

(高橋芳朗)じゃあ、聞いてみましょうか。アリアナ・グランデで『needy』です。

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Ariana Grande『needy』

(宇多丸)はい。アリアナ・グランデ『needy』を聞いていただきました。

(高橋芳朗)ちなみにアルバムはこういう内省的な曲が続いて、最後に『thank u, next』とか『7 rings』が来ているから、後味としてはポジティブな感じで終わるんですけどね。

(宇多丸)なるほどね。

(高橋芳朗)いま、アリアナは今年に入ってから過去の元カレたちと会っているんだって。で、なんで自分の恋愛がうまくいかなかったのかを検証しているらしいです。

(日比麻音子)ええっ? すごい!

(高橋芳朗)だから映画『ハイ・フィデリティ』のジョン・キューザックみたいになっているんですけども。

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(宇多丸)へー! もしくは高橋芳朗の10のリストと呼ばれる……(笑)。

(高橋芳朗)フハハハハハハッ!

(宇多丸)フラれた時、自分の悪かったと思われるところをリスト化して。

(高橋芳朗)全部ノートに書き出して。

(宇多丸)「そんなつらいこと、しなくていいよ、ヨシくん! そんな向き合い方、しなくていいよ!」って俺がね(笑)。

(高橋芳朗)誠実ですね(笑)。

(日比麻音子)誠実だなー(笑)。でもなんかすごいアーティストとしてのアリアナ・グランデと、1人の女性としてのアリアナ・グランデがずっとぶつかり合っているというか。その葛藤が楽曲にすごく見えますね。

(宇多丸)本当に私小説家型アーティストは本当に身を削るから。ちょっとね……まあ、でもいまはそうするしかないんだよね。だからそれが彼女にとってのリハビリでもあるというか。

(高橋芳朗)そうね。ヒーリングになっていると思うんですけどね。でも、本当に素晴らしいアルバムなので、みなさんもチェックしてみてください。

(宇多丸)いまも聞いていて泣きそうになっちゃいました。

<書き起こしおわり>

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