吉田豪・高野政所・久田将義 ピエール瀧・逮捕と日本のドラッグ問題を語る

吉田豪・高野政所・久田将義 ピエール瀧・逮捕と日本のドラッグ問題を語る ニコニコ動画

(高野政所)だからたぶん電気グルーヴもそのへんの葛藤はあったのかなって。で、その当時クイック・ジャパンっていうサブカル系の雑誌があって。卓球さんのテクノのインタビューの中で本気で卓球さんがドラッグの話を書いていて。半分信じたくはないけど、そうなんだろうな、みたいな感じの空気がテクノファンってあったんですけど。それでもやっぱりやっていないと信じていてみんなついて行ったところはあると思うんですよ。

で、まあ自分も逮捕されちゃったからあれなんですけど、「まあ、あるよな」っていうのはあとあとわかるし。なんだろう? 現実はそんなにきれいなもんではないなっていうのはわかりましたよね。で、今回の逮捕で……まあまあショックでしたけど。「やっぱりな」って。いろんな気持ちを含んだ「やっぱりな」っていう。ただ、この時期ってやっぱりすごいですよね。俳優さんとしてもものすごい世間的に評価されていて。

(吉田豪)そうですね。

(高野政所)それこそ子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで知っている存在になった時に行かれると……っていう。

(吉田豪)岡村ちゃん(岡村靖幸)の逮捕とはちょっとレベルが違う感じですよね。金銭的なダメージも含めて。社会的なダメージも。

(高野政所)そうですよね。賠償金もね、一説によると3億だの、ディズニーが絡んでいるから何百億だのみたいな話があるじゃないですか。

(吉田豪)ただ、テレビとか映画とか俳優業で復帰はたぶん相当時間がかかると思うんですけど、ミュージシャンとしては比較的早くできるかもしれない。でも問題は、そのテクノカルチャーに復帰するっていうことは薬物に近い世界に復帰するっていうことを意味するわけだから。

(高野政所)そうですね(笑)。

(吉田豪)だからこれ、痛し痒しというか。ややこしいなって思いますよね。

(高野政所)たしかにそうですね。

(久田将義)20年ぐらいやっていたんでしたっけ? もう依存ですよ。僕ね、シャブ中とか取材していますけど、だいたいヤクザってやっているわけですね。で、「やめました」っていう人を取材していて「ああ、絶対にやめたんだ」って思っていてもいきなり警察から電話がかかってきて。「捕まったんだけど、あの人が面会したいって言うから」って。やっているんですよ。大麻で代替したりしているんですよね。

(高野政所)うんうん。

(久田将義)だからこれ、もうやめられないんですよね。僕の経験上ですよ。だから僕、いつも言っているのは絶対にやめてほしいんですよ。だけどあえて「一度やったやつは信用しない」って言うんですよ。それを聞いて「久田の野郎、ふざけんな!」ってやめてほしいなって思っているんですけども。

(吉田豪)じゃあ、政所さんは信用しないっていうことですね。

(高野政所)僕は信用されていないんですね。そうなるとね。

(吉田豪)「一度やったやつ」ですからね。

(久田将義)いや、覚醒剤です。

(高野政所)覚醒剤と大麻は……えっ、お二人ともドラッグの経験って全くないですか?

(吉田豪)買ったことも所持したこともないです。

(高野政所)ええっ、そうなんですか? 仕事とかすごい寝ないでやったりとか。すぐ芸能人のインタビューの時とかも、速攻で几帳面に資料とか揃えているんじゃないですか?

(吉田豪)フハハハハハハッ!

(高野政所)いや、いいんです。言わないでいいんですよ(笑)。

(吉田豪)そう。「寝ないのはおかしい」って言われますけども(笑)。

(高野政所)フフフ、いいですよ。僕、わかっているんで(笑)。

酒も酔わないように飲む

(吉田豪)ただ僕、本当に酒も自分をコントロールしたいから酔わないようにしているぐらいなんで。コントロールできないような薬物をする気は全くないんですよ。

(高野政所)ああ、なるほど。

(久田将義)朝方、ツイートしてますからね。なんかやたら……ちょっと怪しいですね(笑)。

(高野政所)おおっ、どうなんですか、豪さん?(笑)。

(久田将義)朝方、すごい変な時にDMとか返ってきますよね。いつ起きたんだろう?って。

(吉田豪)だから僕、はっきりと知っているのは久田さんはかつて大麻をやっていたんですよ。

(高野政所)ああ、そうなんですか?

(久田将義)やってませんよ。

(吉田豪)久田さんはかつて、大麻をやっていたんですよ。

(高野政所)いや、僕ね、やっていたからちょっとわかるんですよね。匂いがするんです! なんつって(笑)。

(吉田豪)フフフ(笑)。

(久田将義)全然してませんよ。僕、タバコも嫌いですから。

(高野政所)でも、やっていたけど、やめているわけじゃないですか。やめられますよ。やめられるんです! 大丈夫です!(笑)。

(吉田豪)フハハハハハハッ!

(久田将義)大学生の頃じゃないですか。

(高野政所)あ、吸ってたんですね。じゃあ、ちょっとは。経験はあるっていうことですか?(笑)。

(久田将義)いや、みなさん……みんなね。

(吉田豪)「みんなやっていた」(笑)。

(高野政所)「みんな」ってどのぐらいなんだ?っていう(笑)。

(久田将義)僕以外……みんな。チーマー文化だったんで。僕以外みんなやっていたんですよ。

(高野政所)「僕以外は」ってでも、やったことがなくもないっていうことですよね? 副流煙?

(久田将義)ああ、だから隣で吸っているやつがいるからね。「隣で吸っているんだ」って思いながらね。

(高野政所)「じゃあちょっと、お前も……」ってきても「いらん!」って言ったんですか。

(久田将義)そう。僕は本当にダメですよね。

(高野政所)それで仲間はずれにされませんか?

(久田将義)大丈夫です。僕はその点、人望があったんで。

(高野政所)人望と人徳で(笑)。「あいつ、ノリ悪いな」って周りのやつに言われるだけだと思いますけどね(笑)。

(吉田豪)はっきり言えるのは、90年代の出版業界は薬物が蔓延していました。

90年代の出版業界は薬物が蔓延していた

(高野政所)ああ、やっぱりそうですよね。90年代サブカル、出版業界。で、その中を生き抜いていたのに、なんでですか?(笑)。

(吉田豪)周りにはすごい多かった。たしかに(笑)。

(高野政所)ああ、流されない男っていう? なるほど。

(吉田豪)当時、編集部に売人が出入りしていましたからね。

(久田将義)ああ、そう? それ、ミリオン出版はなかったけどもな。

(高野政所)でも俺、本当に瀧さんの逮捕でいちばん驚いたのがやっぱり捕まった後に警察官の取り調べに対して「20代の頃からやっていた」って……はっきり言って言う必要はないんですよ。正直に言うと印象が悪くなって刑が重くなるから絶対に言わないはずなんですよ。俺も言ってないですから。正直、警察には言わなかったですけども。で、後でLINEとか調べられて。「お前、脱法ドラッグはやったことあるな?」って言われて。やり取りが全部見られるので。「ああ、それは、はい」ってなって執行猶予が1年ぐらい延びちゃったんですけども。だから瀧さんがそこで言ったっていうことが俺はめちゃくちゃ不可解かつ、瀧さんがその警察の調べに超素直に答えているのを見て、やっぱり僕にとっては神様みたいな人ですから。瀧さんが警察に恐れずにそういう風に言うのならば、俺も一般の人相手になにをビビってそんなことを隠していたんだろう?って思って。

(吉田豪)それで原稿で正直に?

(高野政所)正直に。超悩んだんですけども。だからなんで言ったと思います?

(久田将義)いや、相当キツく言われていると思いますよ。

(吉田豪)今日もでも「瀧さん、なんで20代からやっていてあんなにコンディションがよかったんですか?」みたいな感じで。「やっぱり若い時から鍛えておくといいんですね」っていう話にはなったんですけどね。

(高野政所)なんか、どうなんですかね? バランスの取れる人は取れると思うんですけどね。

(吉田豪)意外と用法・用量を守ったら大丈夫なんじゃないか説っていうのがね。

(高野政所)クスリなんでね。だからそれに気づいちゃった人が今回、結構いるのかな?って。で、Twitterなんかを眺めていると「あれ? 大丈夫じゃね?」みたいな流れもあって。なんでもかんでも……知らないじゃないです以下。コカインってどんな効き目があって、どんなキマり方をして、どう危ないのか?って。大麻はわかりますよね。危なかったですか?

(久田将義)全然わかんないです。

(吉田・高野)フハハハハハハッ!

(久田将義)フラフラして。全然わかんないです。

(吉田豪)完全にいま、やった経験を話し出しましたよ(笑)。

(高野政所)フハハハハハハッ! 経験者・談みたいになっていますけど。そうですね。最初はコカインだけで逮捕だったんで、僕はコカインのことは正直わからない。で、大麻も出てきて「あっ、ちょっとフィールドに入ってきちゃったな。ああーっ!」ってなって。まあ、そういう感じなんですけども。コカインはわからないですね。ただ、合法ドラッグ、脱法ドラッグ、危険ドラッグに一時期ハマっていたことがあって。僕、酒もタバコもやっていなかったんで。

(吉田豪)ようやく酒が飲めるようになった?

(高野政所)酒は40代になってからというか、つまり出てきてから飲むようになったんですよね。で、酒のなにがいいかっていうと、捕まらないことなんですよね。

お酒を飲めない人が薬物に行きがち

(吉田豪)そうなんですよ。これ、本当によく言うんですけど、飲めない人が薬物に行きがちで。田代まさしさんも全く飲めなかったんですよ。出てからみんなでお酒の練習を田代さんに勧めたりとか。

(高野政所)田代さんの場合はやっぱり薬物と「ミニにタコ」のあれが関連性があるのか?っていうのも重要になってきて。そうじゃなければ普通にお茶の間の人気者として活躍していて。瀧さんも今回、そうなんで。だから上手く付き合える人はたぶんいると思うんですよ。で、聞いた話というか、わかんないですけど……そういう人もいます。

(吉田豪)間違いなくね。で、それがいけ好かないわけですよね?

(高野政所)いけ好かなくもないですけど……。

(吉田豪)「なんで俺だけ?」って。

(高野政所)まあ、それは僕が悪いんですけど。なんですけど、まあなんだろうな? そういう人もいるよねっていう。酒と一緒でやっぱりアル中になることって結構なことだと思うんですよ。

(吉田豪)意外と耐性のある人もいるし。

(高野政所)そうですね。いくら飲んでも大丈夫な人もいれば、超悪酔いする人もいるけど。なんかもしかしたら全部に言えるのかな?っていうのが今回の「20代からコカインをやっていた」っていうので考えたことかなって思います。

(久田将義)でもね、相当この湾岸署なんですけど、芸能人は……マトリが逮捕したんですけど。なんかワイドショーではマトリと4課がっていう話があるんですけど、そうでもないんですよ。最近は仲良くやっているんで。マトリの情報も4課の情報も情報交換していて。で、やっぱり芸能人を捕まえると株が上がるんで。瀧さんは僕の想像ですけど、結構強く「オイ、コラ!」ってやられていると思うんですよね。で、その耐性がないと思うんですよ。「オイ、コラ!」ってやられるのは。

(高野政所)ええっ? でもそれ、野球部のめっちゃ怖い先輩とかに鍛えられていたら……。

(久田将義)いやいや、警察はもっと怖いですよ。やっぱりあの迫力で「20代から……」って言っちゃったのかな?って。

(高野政所)でも、言わないと思うんだよな。普通に考えて。

(吉田豪)ただ、はっきりと言えるのはやってそうな人を捕まえるよりもやっていなさそうな人を捕まえる方が影響力があるから瀧さんだし、だからこそリリーさんを狙っているっていう風になると思うんですよね。

(久田将義)リリーさん、まあ大丈夫だと思うけどね。

(吉田豪)っていうか、ないですよ(笑)。

(久田将義)ない。だから向こうが狙っているっていうことで。だいたいほら、東スポとかに出てくるシルエットとかで、「俳優がヤバい」とかね。だいたい入ってくるんですけども。やっぱり言動がちょっとおかしい人だったりが多いんですけど。ピエールさんはそうじゃなかったですもんね。全然わからなくて。

(高野政所)そうですよね。

(久田将義)ただ、僕は相当厳しく言われていると思うんですよね。「オイ、コラ!」ってね。取り調べで。

(吉田豪)今日の報道ですごいモヤモヤしたのが、「ピエール瀧は家族にも迷惑をかけたのだから、離婚すべきだ!」みたいな記事が出ていて。

迷惑問題

(高野政所)その「迷惑問題」っていうのは僕、結構あると思っていて。薬物をこっそり摂取している状態、逮捕されていない状態って実はそんなに人に迷惑はかかっていないんですよ。で、逮捕されてから迷惑がかかるんですよね。僕もだからTBSラジオに迷惑をかけしまったりとか、メジャーレーベルに迷惑をかけたことに対してはすげえ反省しているし、謝ったんですけども。その現にやっていて別に周りの人が「なんでもなかった」っていうところで、僕は留置所の中に入った時に指が2本ないヤクザのおじさんとか、オレオレ詐欺のナンバー2みたいな。全国で20億円やったみたいな人と、あとはドン・キホーテで万引きしたベトナム人と一緒だったんですけども(笑)。

(吉田豪)フフフ(笑)。

(高野政所)で、「お兄ちゃん、なにやったんだ?」「僕はちょっと大麻の方で」なんて言っていて。「ああ、大麻かー。薬物関係は悪いことをやっている自覚も被害者もいねえから逮捕されると割に合わねえんだよ。俺らはその代わり、人を騙したりお金を取ったり、悪いことしている自覚があるから逮捕されても心の整理がつく。『俺、悪いことをやっているし、人にも迷惑をかけているからそれの因果だ』っていう納得ずくで俺たちはやっているんだ。大麻、かわいそうだね。兄ちゃん、20日ぐらいで出れるから我慢しなよ」みたいなことを言われて。「ああ、そうなのか」って。中の人の話を聞いて。

(吉田豪)なるほど。

(高野政所)まあでもたしかにやっている時は別に遅刻とかもしていないしなって。で、その中で世界中でどんどん大麻が解禁されていくわけじゃないですか。もうわかんなくなっちゃうんですよね。反省したらいいのか、俺は悪いことをしたのかっていうのが全くわからない状態で。

(吉田豪)数年後なら問題にならなくなっているかと思うと……っていうね。

(高野政所)そうなるかもしれないし。だから薬物のどこを問題とするのか?っていうことは結構考えた方がいいと思っていて。

(吉田豪)まあ「被害者はいない」っていう言い方も難しくて。家族とあとはビジネス的な被害者はいるんですよ。

(高野政所)そうなんですね。捕まった時には。だから「毎晩コカインを吸って暴れている」とかだったらもっと早くバレているし。それはもう迷惑じゃないですか。家族を殴っていたりしたらDVで捕まっちゃうわけだし。だからそのへんが……たとえば僕の後に俳優の高知東生さんが。あの人も20代とか30代からシャブをずーっとキメていたんだけど、普通に俳優としてやっていたじゃん?っていう。

(吉田豪)まあ、あの人はしてそうなビジュアルではありましたけどね(笑)。

(高野政所)そう。それを思っていた時、今回のピエールさんだったんで、結構僕も考えがわけわからなくなっちゃって。どうなんですかね? 薬物、なにが悪いんだろう?っていう。

(吉田豪)根拠もだからね、依存度のリストみたいなのがテレビでも出ていましたけども。どう考えても酒がヤバいっていうことしか伝わらないっていう。

依存度リストから見えてくるもの

(高野政所)酒、ニコチンでしたよね。で、ヘロインがすごくて、コカインと大麻とかは……みたいな。

(吉田豪)で、酒にも種類があって。ストロングゼロ系は相当ヤバいはずっていう(笑)。

(高野政所)いや、ヤバいと思います。あと、薬物で捕まった人をみんなで一斉に叩くじゃないですか。たとえば「反社会的勢力のシノギが……」って。

(吉田豪)それ、毎回モヤモヤするんですよね。

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