モーリー・ロバートソン アメリカ大学入試・大規模不正疑惑を語る

モーリー・ロバートソン アメリカ大学入試・大規模不正疑惑を語る 水曜日のニュース・ロバートソン

モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中でアメリカで発覚した大学入試の大規模な不正・裏口入学疑惑について話していました。

(モーリー)今日はですね、アメリカで発覚した大規模な大学の不正入試にハリウッド女優も関わっていたというニュース。まあ、いまこれがアメリカでは美味しすぎて、日本でピエール瀧さんのことを騒いでいるのと同じぐらいにあっちでは面白ネタとしていじられています。このニュースについて、CNNのツイートをご紹介しましょう。こちらになります。

(モーリー)「チートのスキーム」。じゃあこれを日本語で行ってみましょうか。「何十人もの親――その中にはハリウッドセレブを含む、富裕層の人ばかり――そして大学のスポーツのコーチや名門大学への受験を請け負うコンサルタント会社のCEOたちが組織的な入試不正行為で告発されました。女優のロリ・ロックリンやフェリシティ・ハフマンもその1人です」というようなことが書かれています。

これ、なにが行われているのか?っていうことなんですけども、大前提として、私も実はハーバードに30何年前に入ったんですが。このニュースを見て、はたと悪夢のような考えがよぎって。「うち、大丈夫か?」と。そんなこと言ったら東大にも入ったんですけど、東大がなんかアメリカの政府からなんか、ねえ。

(プチ鹿島)モーリーさん自身は知らなくても。

(モーリー)なんか、ほら、「日米の構造協議とかそういうのをやりたいから、この人を高岡の学校から入れてくれれば、それはグッドウィル・ジェスチャーだ。日米間の象徴としてこの子をとりあえず通してくれ」って俺、がんばって受験したつもりが全部アメリカ政府にゲタを履かされていたっていうような悪夢が生じるんですよ。

(プチ鹿島)はー!

(モーリー)で、まあそうではないことを祈りつつ、今日は語りたいんですけども(笑)。あのね、まあ自分がハーバードに入ったっていうのは本当にガチで入ったと思います。

(プチ鹿島)ガチで入ってますよ!

(モーリー)しかも7年かけて出ているので、ガチでおりました。いたことは事実です! で、大前提として先に説明をしておきたいのは、日本のたとえば東京大学のような大学入試は全て点数。一次試験と二次試験があって、どんどん難しくなって。もう問題の質がとっても難しかったりするわけです。ですから、問題があまりにも難問なのでそれで自然にふるいにかけられ、点数に対して誰も倍率は全員1.0なわけですよ。それが不正が発覚すると大問題。だから日本のシステムはある意味、究極の平等主義なんです。

(プチ鹿島)はい。

(モーリー)ところが、アメリカのセオリーというのはそれだとみんな一律で官僚を育てるにはいい国民性が生まれるけども、リーダーは出てこない。結局、スティーブ・ジョブズが出てこないんですよ。要領のいい大蔵官僚、経産官僚みたいなのは出てくるけど。なのでアメリカの場合はウルトラリッチやスーパースターを生み出したいので、逆に格差があってもいいということで。私の見立てだと名門はだいたい2、3割が共通テスト。そして残りの7、8割は裁量にかかってきます。で、この「裁量」というのが曲者で、そこにつけ込む形で今回の詐欺めいた行為が広範に行われたということなんですね。

そしていま、アメリカの検察当局、FBIもとうとう動きました。自分の子供をお金持ちたちが名門大学に裏口入学させるための詐欺行為に関与した疑いで女優のフェリシティ・ハフマンやロリ・ロックリンなどを含む50人を訴追。他にもね、企業の幹部や資産家、ファッションデザイナー。いろんなセレブが含まれているんですね。

で、対象になったのはいまのところはハーバードは出てきていないんですよ。でもハーバードの二番……ハーバードの人たちが「自分らの下」だと思っているイェール大学。まあ、イェール大学の人がこれを見ていたら何を言うのか? まあいま、メール送ってくださいっていうことなんですけど。「やーい、ざまあ! やっぱりイェールだな!」って私はハーバード生として言わせてもらいたい(笑)。

(プチ鹿島)フハハハハハハッ!

(モーリー)まあ、イェールがやることだと。まあ、イェール大学、スタンフォード、ジョージタウン、あるいは南カリフォルニア大学(USC)などの名門大学に入学をさせるため、入学試験での不正や贈収賄。で、依頼人はこの請負会社……ウィルアム・シンガー被告が運営する偽の慈善団体に巨額の謝礼を支払う。そしてそれがマネーロンダリングされて、「チャリティーに払った」ということになったお金が全然チャリティーなんて存在していなくて。幽霊のようなフロントの慈善団体なんですよ。で、それがどこに賄賂として渡されるか?っていうと、大学の進学適性試験を担当する担当者、大学職員、そしてスポーツチームのアルファコーチ、カリスマコーチたちに賄賂として手配されるんですね。

そうすると、そこにお金が流れるといろんな手段で受験生にゲタを履かせていくわけです。それで、まあ詐欺、共謀、マネーロンダリングの疑いがこの人たちにかけられているんですけども。裏口入学のこの相場。だいたい2200万円から最高額は――どこの大学なのかな?――7億2000万円!

(プチ鹿島)フハハハハハハッ!

相場は2200万円から

(モーリー)7億あったらさ、ZOZOTOWNに入社して前澤さんに気合いを入れてほしい! その方がよっぽど叩き上げの人になれるよね(笑)。

(プチ鹿島)もうなんかできますよね。7億あればその時点でね。

(モーリー)そのうちの1億は来年のお正月にみんなにばらまくとかいうわけですよ(笑)。だからね、ちょっとこの7億円を払って自分の子供をエリートにしたいっていうのはちょっと間違っていると思う(笑)。

(プチ鹿島)まあでも、7億だったらもっと他に使い道、ありますよね。

(モーリー)だよね。それで結局、どういう手口を使っていたか?っていうことなんですけども。これがちょっと驚き、呆れました。たとえば自分の手書きで筆記試験を受ける部分があるので、その本人に替え玉がいて。その替え玉が受験してもいいように予め試験官に賄賂を渡しているんですよ。

(プチ鹿島)フフフ、なるほど(笑)。

(モーリー)で、その替え玉が筆跡を真似するんです。だから何人もになりすました同じ同一人物が替え玉としてあちこちの試験会場に行き、そして筆跡ごと……そのティーンエージャーの筆跡を真似て、それで通しちゃった。場合によっては回答が間違っているのを賄賂を受け取った試験担当者が後で答えを書き換えてあげました、みたいなのもあるんですよ。それでもうひとつ言いたいのは、アメリカのその共通テスト。日本の共通一次にあたる部分が私もかつて受けたんですけども。日本に比べて極めてレベルが低いんです。

(プチ鹿島)うん。

(モーリー)私が受けた1980年の受験ではたとえば典型的な数学の問題として「円があります。この演習の長さを直径で割りました。その数値にいちばん近いものを次の3つから選びなさい。A:3、B:4、C:5」。これは円周率・πのことを言っているわけ。たとえばそういうレベルの問題で、それで悪い点を取るって、この子たちはなんなの? どこまで学力が低いの?っていうことですよね。日本のゆとり教育は大成功したと僕は思いました。バンザイ、もっとやれ!っていうぐらいレベルが低い富裕層の子供たちが、お金の力でどんどんと名門大学に入ってしまう。

つまり、こういうこれからの未来をロンダリングできてしまうほど、アメリカの格差はトップの数%に牛耳られているという印象があり、これがアメリカの社会における不正、格差の歪みを象徴する事件としてどんどん傷口が広がっています。

(プチ鹿島)なるほど。最近でもそういうカンニングを題材にした映画もあったんですけど、むしろそんなドキドキすらないっていうことですね。

(モーリー)で、最後に一言言いたいのはアメリカのそういう裁量制度っていうのはスポーツチームがにぎやかだと、テレビの放映権も含めて大学の大きな収入源になるんですよ。だからスター選手がほしい。なので、そこのスターコーチっていうのはとっても発言権が強い。そこのコーチにお金を渡すとどんなことをするのか? お金持ちの娘さん。一度もやったことのないスポーツの選手として。そのスポーツ選手の体にフォトショップでその娘さんの顔をくっつけて、それが証拠写真としてそこにスタンプを押すわけですよ。コーチが。それぐらい程度の低い捏造が行われていて、それで大学に通っちゃっていた。つまりお金の力が全てをオーバーライドしているというアメリカの実態がえぐり出されているんですね。これからこの問題、アメリカで混乱を引き起こし続けると思います。

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました