小袋成彬 イギリス・ロンドン移住を語る

https://www.j-wave.co.jp/original/dc0/ MUSIC HUB

小袋成彬さんがJ-WAVE『MUSIC HUB』の中でイギリス・ロンドン移住を決めたことについて話していました。

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今日はですね、久々に喋ろうかなと思います。最近、リスナーのからのメッセージでも「曲はいいか喋ってくれ」っていうのを何個かにかけてて。苦手ではないんですけど、喋ってるうちに熱くなって啓蒙主義的になるのがすごい自分で嫌なので、それを避けてきたんですが……今日は喋ろうかなと思います。で、ひとつ喋る大きな理由がありまして、僕はですね、2月の14日からイギリスにいます。移住しました。ちょうど先週、イギリスに引っ越してきました。で、いまはロンドンの東部にいるんですけど。住んでいます。「住んでいます」というか、、この収録がまだ移住前なので。もうそこに物件を決めてるんですけど、きっとこれが放送される頃には住んでいるのだと思います。

ということでですね、いや、移住しちゃったんですよ。フフフ(笑)。「ビザを取得した」ということです。就労ビザをゲットしました。どんなビザかっていうと正式名称はソール・リプレゼンタティブ・ビザ(Sole Representative Visa)」っていうビザで。日本法人が英国内にブランチオフィスを立てる時に、その日本法人から代表者1名を送り込めるというビザです。なんかね、僕はその条件を満たしていて。たとえば会社内の権限とか、取締役クラス。それぐらいのクラスの人じゃないと取れないやつなんですよ。で、僕はまあ自分の会社から代表取締役だし、OKだと。

あとは株の保有比率。50%以上シェアを持っているとダメなんですよ。で、僕はたまたまそんな持ってなかったんでラッキーだと。あとは納税実績とか財務の健全性とか、そのビザの取得条件が適合してまして。調べれば調べるほど「おっ、いけるじゃん!」っていうことでちょっとね、10月からずっと準備してたんですけど、取得する運びになりました。初めて「真面目に会社をやっててよかったな」と思いましたよ、僕は。本当に(笑)。去年ね、ちょっと働きすぎちゃって、たまたま黒字決算で終わったんですけど。それもなんかうまい具合に響いた感じですね。

ちなみにTOKYO RECORDINGSっていうこっちの日本法人の会社は引き続き取締役として在任するので、向こうにいるとはいえ、イギリスにいるとはいえ、プロデューサーチームとして名前を知られるになったTOKYO RECORDINGSは引き続きYaffleとやっていこうと思います。で、実はまだ国内のプロデュースワークをガンガンやってて。あんまり公表はしていないですけども、結構今年もやったというか。いまも5案件ぐらい動いてるんで、向こうにいるとはいえ、また日本で曲が発表されることはいっぱいあるかと思いますので、是非チェックして下さい。

ということで今日はその「何で移住するの?」とか「向こうでそもそも何するの?」とか、そういうお話を語るというか、喋って聞いていただこうかなと思っております。ということで一応1曲目、行きますか。BGM的な感じでJan Verstraeten『Can It Be』。

Jan Verstraeten『Can It Be』

取得までのきっかけをちょっと話そうかなと思ってます。なんか2016年あたりから「ちょっと日本、生きづらいなあ」って思い始めたのがいちばん最初のきっかけで。なんかね、「どんな希望を持って生きようかな?」ってすごい悩んでいたんですよ。やっぱり新陳代謝がない国になっちゃったんで。子供も減っちゃうし。あとは単純に海外行きまくってた時期だったんで、自分の世界を狭めている気がして。それこそね、ロンドンとかニューヨークに行くといろんな多種多様の人間がいて。本当にお互いを認め合うっていうことが体に染み付いているので。そういう環境に身を置きたいなというか、日本をまず出ないとなっていうのは何となく思ったんすよね。

移住を決めたきっかけ

で、いろんなきっかけあるんですけど。理由は主に三つあって。一つはその2016年からずっと感じてた閉塞感。特にね、たぶん日本はあらゆる産業で空洞化が始まってるなっていうのは思うんですよ。東南アジアの方が人件費が安かったり。あとは為替の変動対策でね、海外に拠点を置くていう多国籍企業。日本の企業でグローバルで活躍してる企業はそういう現状が起きてると。まあ人件費と為替変動対策だけならまだいいんですけど、デザイン部門とか研究開発(R&D)とか、そういう付加価値をつける部分も海外に出てっているなっていうのがもう日本の産業の現状。それが空洞化してる。

で、根底には多分言語の問題とか、あとは島国であるっていう地政学的な問題とか。あとは少子高齢化社会のもう完全に完成したっていうのがあるので。もちろん伸びる産業もあると思うんですよ。バイオとか。バイオの培養とかね、組織培養とか。あとはソフトウェアとか機械工業とか、人口が減るからこそ伸びる産業もあると思うんですけど。まあ日本全体で見ればちょっと経済が落ち込みそうではある。

で、二つ目の理由が「じゃあ音楽産業はどうなるんだろう?」ってなったら、もう言語の壁と少子高齢化も煽りをモロに受ける産業なんですよね。でも、何も抜本的対策はこの産業は打たないんですよ。日本の音楽業界は。まあ、それもいろんな理由があると思います。芸能の産業の構造とか。もちろん悪いことだけじゃないですけどね。いまの流行っているニコニコ動画から来た人たちって、そのままトラップミュージックに置き換えればアメリカの現状ですから。それでティーンが盛り上がっているっていうのは。

だから、それはすごくいいことだなとは思うんですけど、ちょっとまあ僕には合わないという。あとは、音楽カルチャーは人口減少の影響をモロに受けますから、衰退しますよね。あとはクレジットカードの保有率とかね、問題点を挙げれば枚挙にいとまがないんですけど。結局は言語と少子高齢化っていうのの煽りをモロに受ける産業だっていうのは2016、17年あたりから。デビューするあたりからもう気づいてしまったという。

一方で、実はイギリスの音楽産業ってめちゃくちゃいま伸びてて。いま、2019年で去年のデータがまだ出てないんですけど。2017年だけでみても、その市場規模は10.6%成長をしている。1995年以来の成長率で、まあ過去最高に近い伸び率になっていて。やっぱりね、「活況な方に行く」っていうのは当然なんですよね。活況な市場に飛び込んだ方がわくわくするんで。そういう意味ではとにかくまあ、イギリスに行こうということでした。あとはね、マーキュリー賞を取るとか、尊敬するアーティストと仕事するとか、なんか明るい未来に人生をかけたいなという思いがありまして、移住を決意したというところですね。

で、最後の理由が結構個人的な理由で、2018年の10月に東南アジアをずっと回ってたんですよね。クアラルンプールとかジャカルタとかマニラ、その他もろもろ。いろんな都市に遊びに行って。で、理由が『分離派の夏』のプロモーション終わったんで、向こうでちょっと音楽プロデューサーでもやって、東南アジアの人をフックアップしようかなと思って。その視察も含めて行ったんですね。で、実際に行って向こうのアーティストと交流してると、結構レベルが高くて。なんだろう? 心を折られたというか。本当に大差ないなってすごい思った。

むしろ、向こうの人たちは自国の経済成長の機運が高まっているというか、すごくイケイケドンドンな雰囲気が街中にあって。ボーダレスな社会をモロに受けている。要は自国の産業だけじゃなくて、海外に出ようとする意志と自由な風土が日本よりもありますから。だから88risingの影響もあったりして。なんかね、もうみんな英語喋れるんですよ。この話、したかもしれないですけど。アーティストもみんな英語でアップしてるし。なんならお客さんも英語で会話してますから。これはね、日本は眼中にないっていうのがすごく衝撃的で。

その10月、3週間ぐらい回っていたんですけど、「やっぱりアメリカかイギリスに行かなきゃ!」って思ったんですよ。だから東南アジアでちょっと日本プレゼンスを高めて自分であぐらかいてね、向こうでいい顔するよりはやっぱり本場に行かないと。本番で勝負しないと!っていうのをすごい思ったんですよね。で、結局アメリカかイギリスに絶対行こうと決めたんだけれども、僕はアメリカの音楽はあんまり好きじゃないというか、たぶん絶対に肌に合わないんで。その「パーティー! マッチョ! パワー!」みたいなのが合わないんで。これはイギリスしかないなということでイギリスに決めました。

それが結構個人的なきっかけというか。実際にその他の東南アジア諸国の勢いを見て。「出るならいだ。むしろ、最後のチャンスだ」っていうぐらいの気持ちを、そういう確信があったということですね。むしろ熾烈な環境で戦いたいっていう。もっとみんなが生き生きとしている市場で戦いたいっていうのが男の性というか、若者たぎりでしょうから、イギリスに行こうと決めました。親もまだ健在ですし、理解のあるスタッフに支えられてるんで、いろんな条件が重なってやっと就労ビザを取得したという運びになっております。

ということで、俺はいまイギリスにいます(笑)。じゃあちょっと後半はね、ビザ取得まで何をしたかとか、あとは向こうで何をするかというのを話そうかなと思っておりますので、引き続きお付き合いください。

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