小袋成彬 Shabaka HutchingsとMoses Boydを語る

小袋成彬 Shabaka HutchingsとMoses Boydを語る MUSIC HUB

小袋成彬さんがJ-WAVE『Music Hub』の中でUKのジャズシーンについてトーク。注目の若手としてShabaka HutchingsとMoses Boydを紹介していました。

(小袋成彬)3曲目、行こうと思います。シャバカ・ハッチングスで『BLACK SKIN, BLACK MASKS』。

お聞きいただいたのはシャバカ・ハッチングスで『BLACK SKIN, BLACK MASKS』でした。シャバカ・ハッチングス、UKのサックス奏者です。で、コンポーザー、アレンジャーでもあって、アメリカにカマシ・ワシントンがいるとしたら、イギリスにシャバカ・ハッチングスありという双璧をなす、素晴らしいサックスプレーヤー、コンポーザーです。なんでこれを知ったかって言うと、なんかいろんな方面から話は聞いてたんですけど。

Sons of Kemetっていう彼がやっているジャズグループがありまして。それがね、マーキュリー・プライズを取ったんですよ。で、すごいいいアルバムで。そのリーダーのシャバカ・ハッチングスを調べたら、シャバカ・ハッチングスに行き着いて。で、彼の単体の曲をよく聞くようになったんですよね。で、その僕が最近たまたまたどり着いた、すげえいいアルバムがあって。『We out Here』っていうアルバムがあるんですよ。2018年に出たアルバム。

で、どんなアルバムかっていうと、ロンドンのジャズのストリート中心で若いジャズマンたちだけを取り上げたコンピがあって。『We out Here』っていうのがあるんですけど。それの音楽ディレクターをやってるのがシャバカ・ハッチングスでした。まあ、若いって言っても彼、35なんですけど。まあまあ、ジャズマンとしては中堅の域に入るというか。彼が取りまとめた素晴らしいアルバムがあって。とにかくそれが良かったんですよ。ジャケもね、それもかっこいいんですよね。

We Out Here
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それだけじゃなくて、たとえばジャングル界のレジェンドのコンゴ・ナッティとか、あとイギリスの詩人もフィーチャーしたりしているアルバムで、すごくいいんので良かったら是非聞いてください。で、その『We out Here』っていうコンピの中には、若手屈指の天才ドラマーがいて。そのね、モーゼス・ボイドっていう人がいるんですけど。すごい若い、20代前半の男の子で。彼がね、めちゃくちゃいま、僕の中で熱いんですよね。ちょっと1回聞いてもらおうかなと思って、4曲目に持ってきました。モーゼス・ボイドで『Drum Dance』。

Moses Boyd『Drum Dance』

お聞きいただいたのはモーゼス・ボイドで『Drum Dance』でした。これね、めちゃくちゃかっこいいんですよ。ロンドンの若手のジャズドラマーなんですけど。クリス・デイヴ……いまのジャズのドラムの常識として、まあクリス・デイヴが登場して以来、そのヨレる…リズムがヨレたり、ちょっと変なグルーヴがあるっていうのは、もはや必須のスキルとしてあるわけですよ。

だから誰でもいまは、その度合いはもちろん違いますよ。その格好いいなっていう格好よさ度合いは違うけど、それはそのジャズドラムの必須科目としてもう存在しているんですよ。で、このモーゼス・ボイドの何がいいかって言うと、そういうのを通った上で、そのジャングルビート、あるいはアフロビート。「ドゥッドゥッドゥッ、ドゥッドゥッ……」みたいな。このノリをドラムでジャズに入れちゃう……入れちゃうと言うか、なんか出てきてる感じがマジで新しいんですよね。

で、彼自身もなんか西インド諸島からの移民の第二世らしくって。お父さんがドミニカ出身。お母さんがジャマイカ出身で、ラテンのノリもあるし、アフリカのビートもあるし。で、本人はもうUKで育ってるしっていう、結構なんて言うんだろう? 特殊と言うか……特殊ではないんだけど、「ああ、なんか出るべくして出てきた新しい才能だ」っていうので僕はかなりグッときているわけですよね。

で、フローティング・ポインツとかでもサポートしてるらしくて。で、まあロンドンジャズはいま、すごい盛り上がってますから。若手の筆頭株としてちょっと是非、注目していただきたいと思います。ジャズで思い出したけど昔っていうか1年以上前に、その(宇多田)ヒカルさんのセッションでロンドンに行った時に、その時ピアノを弾いてたルーベンっていうジャマイカの男の人がいて。で、すごい若い男の子なんだけど。まあ、ちなみにサム・スミスのPVにはかならず映っていたり。後はトム・ミッシュ。最近だとトム・ミッシュとかの曲も作ってるっぽいですね。

あとHONNEとかもやってる、すごいピアノが上手い人なんですけど。その人が「セッションをロンドンでやるからおいでよ」って言われて。僕とクリス・デイヴとエンジニアの小森さんでタクシーで向かって行ったんですよ。そしたらね、本当にたぶん3、40人も入んないぐらいのちっちゃい小箱でやってて。そんなトップのピアニストがだよ。で、もうめちゃくちゃそれがかっこよかったんですよね。なんか僕、その雰囲気を知ってるから、どんなにポップなフィールドで活躍していても、ああいう地元のちっちゃい小箱でジャズのセッションをやっているロンドンの若者っていうのを生で体験してるから。

そのモーゼス・ボイドがどういうところでライブやってるとかを想像すると、すごいワクワクするんですよね。ロンドンのアンダーグラウンド・カルチャーの活況みたいなものを感じる1曲でした。ちなみに俺、クリス・デイヴとUberで向かったんですよ。その会場に。で、僕が呼んだから、僕がお金払ったんですけど。まあお金を払ったのは全然いいんですけど、なんかね、すんげー遅れてきたんですよ。待ち合わせに15分ぐらい。ホテルのロビーに15分後ぐらいに来て。

だから俺、Uberの運転手に「1.0」をつけられたんですよ。評価、あるじゃないですか。で、すごい評価が5近く……4.8なんぼだったのに「1」がついたから一気にね、下がっちゃって。すげー恨みを持っているんですけどね。まあ、それはどうでもいいや。そんな話でした。なのでちょっと、USのジャズシーンも面白いですが、UKも負けていません。シャバカ・ハッチングス、あるいはモーゼス・ボイドを是非チェックしてみてください。

<書き起こしおわり>

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