渡辺志保さんが2020年12月14日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でキッド・カディの新作アルバム『Man on the Moon III: The Chosen』について話していました。
(渡辺志保)というわけでここで今日のオープニングチューンをかけたいと思うんですけれども。まさかこのタイミングで出るとは……という感じがしましたが。キッド・カディの最新アルバム『Man on the Moon III: The Chosen』が出ました。で、もう『Man on the Moon』ってキッド・カディが一番最初、2009年にリリースしたソロアルバムなんですけど。2009年にその『Man on the Moon』の第1章がリリースされて。その翌年、2010年に『Man on the Moon II』が出まして。だから10年ぶりの続編。
そして、これはトリロジーという形を取っているということですので、完結編ということになるそうなんですね。で、これまでの『Man on the Moon』シリーズもそうだったんですけど、アルバム全体をいくつかに分けて、ストーリー仕立てのアルバムになっている。で、私もまだちょっと全然聞き込めていなくて。どういうストーリーなのか。キッド・カディがどういうことを細かく……どういう思想のもとでラップしてるのかまで全然、ブレークダウンできてないんですけれども。全18曲。それが4つの章に分かれてラップされているということなんですけど。
でも、すごくすごく満足だし、個人的にね、ワンダ・ガールっていうトラヴィス・スコットのね作品にずっと参加しているプロデューサーがいますけども。ワンダ・ガールが今回は参加してるっていうところも上がりましたし。聞き応えのあるアルバムでした。私は正直、当初キッド・カディってデビューした時はやっぱりそのオルタナティブな世界観とか、スペイシーな世界観……「月の上に立つ男」っていうテーマですから、やっぱりちょっとSFチックな世界観っていうのが全然分からなくて。
あと、ちょっとそのエモーショナルな感じ。あのカニエの『808s & Heartbreak』のアルバムにも大きく参加してましたけど。私はあのカニエのアルバムもちょっと当時は「苦手だな」と思っていて。でもさ、翻ってそれが10年後の今、そのエモラップの最初のアルバムだとか言われているぐらいなので。本当に歴史はどういう風に動くかわかんないなって思ったんだけど。
『808s & Heartbreak』
宇多丸・高橋芳朗・渡辺志保 2010年代のヒップホップを語る https://t.co/LcoiJdxdmZ
(高橋芳朗)この『808s & Heartbreak』のどこに良さがあるのか? みたいにちょっと戸惑いもあったんですけど……いまから振り返ってみれば、間違いなくここ10年でいちばん影響力のあるアルバムだったと。— みやーんZZ (@miyearnzz) December 15, 2020
(渡辺志保)まあぶっちゃけ、キッド・カディの世界観って最初はちょっとわかんないなって思ってたのね。でも今回、改めては第3作目ということで聞いてみると、ちょっと彼の世界観が理解できたような気もしました。で、普通に今ぽい、トラップっぽいビート。最先端のエッジーなビートで歌っているものもあれば、もっとオルタナティブでスペイシーなビートで歌っているような曲もありまして。ちょっと今からちゃんとリリックも1行1行ブレークダウンしてじっくり味わいたいなと思っています。
(DJ YANATAKE)なるほど。ここで私のワンポイントマーチャンダイズ情報ですけども。CACTUS PLANT FLEA MARKETと……前作もやっていたんですけども。コラボでマーチャンダイズが出ているので。これもね、高くなるぞ! それだけ言っておきます。以上です。
✨ @KidCudi just dropped MOTM3 x Cactus Plant Flea Market merch ? Which pieces do you plan on copping? pic.twitter.com/CKEqIDP7JU
— Complex Style (@ComplexStyle) December 10, 2020
(渡辺志保)ありがとうございます。で、これを作った経緯としては今年、キッド・カディはトラヴィス・スコットと一緒にTHE SCOTTSっていう……フォートナイト上でお披露目をしたんですよね?
(渡辺志保)で、キッド・カディはそのTHE SCOTTSのプロジェクトがすごい楽しかったっぽいんですよね。それで自分のアルバムを作りはじめて。2、3曲作ったところで「ああ、これは『Man on the Moon』のフレイバーじゃないか!」っていうことに気づいて、アルバムを作り上げたっていうことです。で、私のTwitterのタイムライン上ではこのアルバムがリリースされてから、ヒップホップのトレンドワードにずっと『Show Out』っていうフレーズが入ったままになっていて。これが、トラックリストが発表になった時からたぶん話題になってますけど。
スケプタとポップ・スモークをフィーチャーした曲っていうことで。で、スケプタといえばUKドリル、UKヒップホップシーンの牽引者ですし、ポップ・スモークは言わずもがなっていう。で、本当にキッド・カディもオルタナなスタイルが得意だから、彼とそのスケプタとポップ・スモークが混ざったらどうなるんだろう?って思ってたんだけど。結構私としては予想以上の出来っていう、すごいスリリングな1曲になってるなと思いましたので、ここで聞いていただきたいと思います。キッド・カディで『Show Out feat. Skepta, Pop Smoke』。
Kid Cudi, Skepta, Pop Smoke『Show Out』
(渡辺志保)はい。今お届けしたのはキッド・カディで『Show Out feat. Skepta, Pop Smoke』でした。結構これは正解の組み合わせっていう感じがしますので、クラブで聞きたいなと思いますね。
(DJ YANATAKE)これさ、すっげー流行ると思うんですけども。タイミング的にまさかのテイラー・スウィフトもサプライズリリースがあって。ちょっとチャート的に……絶対に1位かなって思っていたんだけども。「うおっ、テイラーが出た!」って思って。
(渡辺志保)テイラーがたぶんキッド・カディの予想販売枚数に2倍ぐらい差をつけて1位っていう。なんか30万枚相当だったかな? それでキッド・カディが15万枚相当ぐらいで2位になるのではないかという見込みらしいです。というわけでキッド・カディ情報をお届けしました。
<書き起こしおわり>