吉田豪と浜崎容子 ジェンダーとセクシュアリティを語る

吉田豪 アーバンギャルドファンクラブ加入を語る SHOWROOM

アーバンギャルドの浜崎容子さんが『猫舌SHOWROOM 豪の部屋』に出演。吉田豪さんとジェンダーやセクシュアリティについて話していました。

(吉田豪)でも、もちろん今日はどこまでどういう話ができるか?っていうのを探り探りなんですよ。どうなんですか? でも、ブログで書いたような話っていうのはなんとなく、触りぐらいとかはできたりするんですか?

(浜崎容子)ああ、全然。大丈夫です。自分はいままで、普通にノンケだと思っていたんですけど、やっぱりどうもバイセクシュアルとかレズビアンとか、そっちだなっていう風に……。

(吉田豪)気づいたみたいなブログを書かれて……っていうことですよね。それは普通にいままで恋愛とかをしてきたけど、どうも何かが?

(浜崎容子)やっぱり男の人と一緒にいても、恋愛感情というものがわからないっていうことですよね。

(吉田豪)なんとなく、そういうものだと思って当たり前のようにやってきたけど。

(浜崎容子)うんうん。自分も普通に男の子と恋愛をして、ゆくゆくは結婚とかをして母になっていくんだろうなっていうことを疑いもなく……。

(吉田豪)まあ、それが常識みたいに教えられてきちゃっているし。

(浜崎容子)って、思っていたんだけども、でもやっぱりなんか、昔から大雑把に性別で男と女っていう2種類にわけているけど、どうもそれ以上に性別があるような気がずっとしていて。それは「心が女で体が男で」とか、そういう話じゃなくて。なんだろう? 1人1人が1個の性別として成り立っているものだろうっていうことをなんとなく感じていて。それについて、あんまり深くは考えていなかったんですけど、その気持ちが強くなる一方だったんですよ。

(吉田豪)なんとなく「恋愛とかをしていたら、普通になったりとかあるのかな」みたいに思っていたら、そうでもないっていう?

(浜崎容子)どうやら、あんまり異性の人に恋心っていうものを持てないなって。

(吉田豪)そう思っている時に「松永天馬と付き合ってるんだろ?」とかって言われたら、まあ腹が立ちますよね。

(浜崎容子)腹が立ちますよ!(笑)。

(吉田豪)フハハハハハハッ! なに言ってんだ?っていう(笑)。

(浜崎容子)大間違いだ!っていう(笑)。

(吉田豪)いい加減にしろ、コノヤロー!っていう(笑)。

(浜崎容子)大間違いだ! どこ見てるんだ、お前は?ってなりますよね。そういう部分で、うん。結構難しいですよねって思いました。普通に恋愛とかをしていくことが自分にとってものすごいハードルが高かったんですよ。それがどうして自分は男の人に対して普通に恋ができないんだろう?っていうことを長年悩んでいたんですけども。

(吉田豪)世の中の人が当たり前のようにやっていることが、なぜ?っていう。

(浜崎容子)っていう風に思っていたんだけど、それを「もう、がんばらなくていいんだよ」って自分の中で言うきっかけっていうのを、そんなにきっかけはないんだけど、ある時にパーンとわかる時ってあるじゃないですか。なにもしていないのに、突然。「ああ、そうか。やっぱ、そっか」みたいな。そういうので、「もう無理して男の人と恋愛しなくていいんだ」って思った時、ものすごく心が楽になって。そこからは、やっと自分がなんなのかわかったみたいなところですよね。

(吉田豪)うん。

(浜崎容子)だからそこを、今年に入ってからめちゃめちゃ心が解放された気分なんですね。それまでは結構、悩んでいました。なんか年齢的にも普通に結婚とかをして。

(吉田豪)子供を産むとしたら……みたいな。

(浜崎容子)そうそう。もうそろそろやっとかないと。産んでおかないと、みたいな。

(吉田豪)女性って本当に大変ですよね。常にカラータイマーみたいなものを気にしなきゃいけない部分もあって。

(浜崎容子)それもね、おかしな話だなと思って。

男女の年齢に対する感覚の違い

(吉田豪)男がバカでいられるのって、絶対にそれなんですよね。男ってそういう意識が全くないじゃないですか。「チンコが勃つ限りは大丈夫」ぐらいの雑な生き方だから。

(浜崎容子)フフフ(笑)。

(吉田豪)だから40ぐらいまでバカでいられるのって絶対にそれなんですよ。で、女子はどうしてもそれを考えなきゃいけない部分が大きいから。社会的な通念みたいなものに縛られる。そりゃあ、病むわっていう話なんですよ。

吉田豪と浜崎容子 鬱を語る
アーバンギャルドの浜崎容子さんが『猫舌SHOWROOM 豪の部屋』に出演。吉田豪さんと男女の鬱の違いなどについて話していました。

(浜崎容子)うんうん。なんか、あとは「男の人はいいけど、女はダメ」みたいなことが……たとえば「男は浮気がOKだけど、女はダメ」みたいな。どうして?っていうのはわからないし。

(吉田豪)「浮気は男の甲斐性だ」みたいな。そんなのね、50:50でよろしいんじゃないでしょうか?っていうね。

(浜崎容子)ねえ。だからそこの部分で女の人は聖母みたいになっていないといけないのか?っていう。

(吉田豪)家でじっと待つみたいな。

(浜崎容子)そうそう。そういうのも疑問だったし。そういう考え方はもう自分にはもともとないなっていうことに気づいて。

(吉田豪)無理だぞと。

(浜崎容子)無理。無理でーす!って(笑)。

(吉田豪)フフフ(笑)。

(浜崎容子)って気づいたっていうのがその豪さんがファンクラブに入会してくれたきっかけのブログに書いたことなんですよ。

吉田豪 アーバンギャルドファンクラブ加入を語る
アーバンギャルドの浜崎容子さんが『猫舌SHOWROOM 豪の部屋』に出演。吉田豪さんがアーバンギャルドのファンクラブに加入した件について話していました。

(吉田豪)書いたことでなにか変化とかありました? 多少すっきりはした?

(浜崎容子)自分自身がすっきりしたっていうのもありますし、そういうことに悩んでいる子がすごく多いんじゃないかな?って思っていたんですよ。うちのバンドって特にそういう深く考える子が結構ファンになってくれている方が多いので。

(吉田豪)超長文でしたからね。

(浜崎容子)そんな長かったですか?

(吉田豪)うん。そう。さすが!っていう。

「メンヘラ」という言葉の一般化

(浜崎容子)3時間ぐらいかけて書きましたからね。なんかね、もう「メンヘラ」っていうワードが結構市民権を得たって言ったらすごい嫌な言い方をしちゃいますけども。もう「メンヘラってなあに?」っていうところから……10年前、本当にアーバンをやり始めた時に私自身が「メンヘラってなあに?」って松永天馬に聞いたんですよ。

(吉田豪)うん。

(浜崎容子)「うちのファンはメンヘラが多いから」って。で、最初はメンヘラじゃなくて「メンヘラー」でしたよね。

(吉田豪)「メンヘル」とかね、いろんな。言葉が定着する前は。

(浜崎容子)で、「うちのファンはそういう子が多いから」って言われた時、「えっ、メンヘルってなあに?」って聞くぐらい、まだ浸透していなかったと思うんですけど。いま、そうやってメンヘラじゃないけど、そういうものを扱って題材にしているバンドだったりグループとか、そういう楽曲とかっていうのが……。

(吉田豪)まあ、アイドルも含めてね。

(浜崎容子)「病み」みたいな。心の闇と病みみたいなことをやっている人たちってすごい増えてきて。なんかそういうのが……「ああー、もう病むわー」みたいなこととか、普通に言えるような。まあ普通には言えないかもしれないけど、前よりは理解が。

(吉田豪)社会の理解は確実に……それこそあと、発達障害と呼ばれるものへの理解も増えたのもすごい大きいと思っていて。やっぱり社会になじめないとか集団になじめない、空気が読めないみたいなものも、それはある種の特性というかなんというか。しょうがないものっていう認識ができたことでだいぶ楽になった人も相当いると思うし。うん。

(浜崎容子)そういう意味でなんか、私の容姿とかを見て、本当にすごい大雑把な言い方をしますけど、EXILEとかを聞いているような人が「メンヘラっぽいねー」って言ってくるみたいな感じになって。「ああ、こういう人たち、陽キャがもう『メンヘラ』っていうワードを普通に日常的に使っているんだ」っていうところで、一旦もう落ち着いたというか、浸透をした部分があるんじゃないかなと思っていて。

(吉田豪)うんうん。

(浜崎容子)楽曲でもそういう楽曲はいっぱい増えたし。そういうものをテーマ、題材にしているのもいっぱいあるし。それまではまたちょっと違う感じであったのかもしれないけど、メンヘラってバーン!って出すようになって。じゃあ、もうたぶんみんなメンヘラっていうものをだいたいの人が何となく認識しました。間違った考えもあるかもしれないけども。

(吉田豪)まあ、差別的に使う人もいるとして。

(浜崎容子)もちろん。だけど、ということはネクストステージに。心の悩みのネクストステージに行くんじゃないだろうか?っていうのがちょっとあって。それはもう、たぶんジェンダーなんじゃないかな?っていう。

(吉田豪)セクシュアリティ的な問題に。

(浜崎容子)っていう風に自分は少し考えて。ならば、私がそうやってカミングアウトをすることによって救われる子がいるんじゃないかなって。

(吉田豪)確実にいますよ。

(浜崎容子)っていう風に思って、ブログに書かせていただいて。もう最初は別に、すごい公に言ってLGBTの活動とかを声高らかにやるつもりも全然ないし。そういう風に、ファンの子たちの周知の事実になればいいかなっていう風に思っていたんですけど、こうやって豪さんが呼んでくださったのもなにかの縁で。

(吉田豪)またね、奇しくもここは新宿二丁目っていうね(笑)。

(浜崎容子)ねえ(笑)。もう新宿公園がすぐそこにあって(笑)。

(吉田豪)いや、別にどこまでかはわからなかったけど、なぜか浜崎さんは「全然私は深い話をする覚悟です」って書いていたから。「いいんだ」っていうぐらいの。

(浜崎容子)全然。自分の中にNGを作らないようにしようと思っていて。なんでも聞いてもらいたいし。でも、過去にもちろん男性ともお付き合いしていたこともあるし、女性ともありますし。それでどっちが自分が自然でいられるか?ってなった時、やっぱり男性と一緒にいる時には無理をしていたんですよ。男の人に、いろんな本とか雑誌とかでも「どうしたら選ばれる女になるか?」みたいな。「なんで選ばれる側に回っちゃっているの?」みたいなのもあって。

(吉田豪)うんうん。

(浜崎容子)で、「どうして男の人はいつも選ぶ側だと思っているんだろう?」っていうのもあるし。そこは「みんなもっと対等に人間として選ぶ/選ばないじゃなくて、自分が好きか嫌いかとか、自分がこの人のことをもっと知りたいとか、そういうところで生きてほしいのに、なんで女の子は受け身になっているんだよ?」っていうので。そこが悲しい部分があって。

(吉田豪)意外と気づいていない人って男女を問わずいると思うんですよ。気づかないまま、僕は普通に異性が好きに違いないっていう風に思っている。リリーさんの人生相談、僕は10年以上聞き手をやっていて。何人かいたんですよね。男で「女性が好きなんですけど、僕はAVを見る時、男優を見てオナニーするんですよ。なんかね、恋愛をしていてもしっくり来ないんですけど……」みたいな話をずっとしていて。「お前、それね、ゲイだよ」「そんなわけないですよ! いい加減にしてください!」とか、最初は言うんですよ。

(浜崎容子)フフフ(笑)。

(吉田豪)「もう、やめてくださいよ!」って言いながらも、1時間ぐらい僕とリリーさんで言っていると「……やっぱ、そうですかね?」みたいになって。「1回、試してみます」みたいな。だからなんか、よくわかんないままでいる人って実は結構いるんじゃないかなと思っていて。

(浜崎容子)そう。「なんかうまくいかないな。どうして私、こんなに恋愛下手なんだろう?」っていうので悩んでいる子っていっぱいいると思っていて。そしたらやっぱり、そのブログを更新した後にお手紙をいっぱいいただいて。「私もです」みたいな方が結構いらっしゃって。「やっぱりそうだよね。やっぱりしんどい時、あるよね」って。だから無理して、絶対に男と女のカップリングじゃないといけないみたいな時代でもなくなってきたのかなって。

(吉田豪)その、さっき言ったリリーさんの人生相談に来た「絶対そんなんじゃないですよ!」みたいに言っていたやつは、どうもやっぱりゲイ的なものを変態だと。「俺はそんなんじゃない!」って思い込みたいみたいなことがすごい強かったんですよ。「いや、全然そういうのじゃないし、変態じゃないから。大丈夫だから。そしてお前は絶対にそっちだ!」っていうことをずーっと言い続けて(笑)。

(浜崎容子)アハハハハハッ!

(吉田豪)「……そうかな? そうかな?」ってなっていったのが、そういうのがいままでに3、4人ぐらいいたんですよ。

(浜崎容子)うんうん。

(吉田豪)意外と多い気がしますね。なんとなく、しっくり来ないまま「そういうものだ。みんなそうなんだから」って思っちゃっている人。

(浜崎容子)ねえ。おかしいことではないですからね。

(吉田豪)全然、全然。普通ですよ。二丁目に住んでいれば、もう自分が少数派だっていう気になってきますからね。僕がマイノリティーですっていう。

(浜崎容子)(コメントを読む)「どっちもダメなのはどうしたら?」。まあ、どっちもダメな人もいますからね。そういうのも全然。

(吉田豪)最近はね、そういうのも含めていろんな用語もできて。

(浜崎容子)ありますよね。

(吉田豪)今日、僕もちょっとツイートしたんですけど、最近ロリコン的な人が「声かけ写真展」みたいなのをやってちょっと話題になっていたじゃないですか。

(浜崎容子)ああ、見ました。

(吉田豪)あれは要は、子供に声をかけて。それこそパンチラとかしているような写真を撮って。まあ、いまは完全にアウトなんですけど、昔の写真の写真展を中学校とかでやった問題について。それの企画をした人がインタビューに答えている動画を見ていて、「ロリコンもLGBTとかと同じなんですよ」みたいに言っていたんですけど、でも被害者がいるものといないものを一緒にするな、じゃないですか。

(浜崎容子)うん。

(吉田豪)ロリコン漫画とか好きなのは全然、被害者がいないから問題ないけど、現実を混ぜちゃうとそれはアウトなわけで。それをレズ・ゲイ的なものと一緒にしちゃうのは明らかに違うとは思いました。

(浜崎容子)うんうん。違いますね。なんだろう? 異常者だと思っている人が結構多いと思うんですけど、異常じゃない部分もいっぱいあるし。異常な人もいるとは思うし。だからそこをはき違えてはいけない。やっぱり法律でダメだと言われているものはやっぱりダメなんで。

(吉田豪)もちろん。

(浜崎容子)ダメだから、それは!っていうのは、うん。まだひとくくりにしちゃいがちなんだろうなっていうのはありますけどね。

(吉田豪)ねえ。ギャグで杉作さんとかがよくね、「ロリコンの地位向上を!」とか言っていたけどね、それはあくまでもギャグですからね(笑)。「ロリコンがデモしなきゃダメですよ!」とかよく言っていたけども(笑)。

(浜崎容子)もともとのロリは手を出しませんからね。

(吉田豪)ねえ。MAD3っていうガレージバンドのエディさんに昔、インタビューした時に突然カミングアウトが始まって。「僕はロリコンなんですよ。公園とかで少女に会う時……僕は少女のことを『天使』って呼んでいるんですけど。天使には触れてはいけない。天使を傷つけてはいけない。あくまでも、どこまでジェントルにふるまえるか? それが天使との接し方で……」って。「ああ、本物のロリコンだけど、ちゃんとジェントル!」っていう(笑)。

(浜崎容子)そう。本物の方は絶対に触れませんから。大人になるのを待っていますから(笑)。(コメントを読む)「紳士かな?」(笑)。

(吉田豪)フハハハハハハッ! でも、どうなんですか? ご家族とかはこういう話は知っている?

(浜崎容子)知っています。話をしました。

(吉田豪)それは最近?

(浜崎容子)いや、もうなんかわかっていたみたいですね。昔から、やっぱりそういうところがあったから。「でしょうね」っていう反応しかなかった。

(吉田豪)うんうん。「なんとなくそんな感じがしていた」っていう?

(浜崎容子)「でしょうね。なんかおかしいなと思っていたのよ」って。

(吉田豪)「まあ、でも大丈夫よ」みたいな?

(浜崎容子)「大丈夫よ」っていうか、そういう生き方をするって私が決めたんだったら、それはそっちをがんばりなさいっていうところですよね。うん。考えられないですよね。まだ。(コメントを読む)「家族に理解をされているのがうらやましいな」。うん、そうね。「理解をされている」……かもね。

<書き起こしおわり>

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