安住紳一郎 新幹線自由席・2時間半立ちっぱなしの人間模様を語る

安住紳一郎 新幹線自由席・2時間半立ちっぱなしの人間模様を語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんがTBSラジオ『日曜天国』の中で大阪まで大混雑の新幹線の自由席で2時間半、立ちっぱなしで移動した際の車内の人間模様について話していました。

旅は自由席 (新潮文庫)

(安住紳一郎)そして三連休ということで。金曜日が勤労感謝の日でしたので三連休の3日目ということになります。最近は外国人観光客の方も増えましたので。特にこの秋、それから冬にかけての連休は本当にお出かけになる方が多いようで。新幹線、飛行機などもずいぶんと満席。ホテルも満室。びっくりされた方もいるんじゃないかなと思いますが。私も昨日、大阪に日帰りで用事があったので行ってまいりましたが。

(中澤有美子)そうでしたか。

(安住紳一郎)朝、早い新幹線だったので大丈夫かなと思って新幹線のチケットを事前に取っていなかったんですけども。朝からもうほとんど1日満席だったんでしょうかね。券売機に入れますと、それぞれの便が東海道新幹線、大阪、京都に行く方面の新幹線は15分に1本ぐらい出ていますけどもずーっと全部「×」で。

(中澤有美子)ええーっ!

(安住紳一郎)と、なるとどうなるんですかね? みなさん。16両編成の1号車、2号車、3号車に備え付けられている自由席に乗ることになりますね。それぐらい混雑しておりますと、自由席に座ろうと思いますと、東京駅で出発時刻の35分ぐらい前からもうホームに並んでいないと乗れないわけですよね。

(中澤有美子)ほう。

(安住紳一郎)しかも、1号車、2号車、3号車のデッキや通路に立って乗るということも覚悟のみなさんもたくさんいますもんね。さらには、そのデッキにすら乗れない。いわゆる新幹線でありながら満員電車のような雰囲気になっている号車もいっぱいあって。それでなんとなく、他の指定席ありますよね。他の指定席のデッキにも乗り込む準備をしている人がいたりして。かなり混乱するんですよね。しかもそこに荷物をたくさん持った方や外国人観光客の方などがいますと、もう阿鼻叫喚っていう感じですよね。

(中澤有美子)フフフ(笑)。そんなに? どの列に並んでいいやらね。

(安住紳一郎)それはね……私が長い時間かけて説明してまいりました「自由席との戦い」というミュージカルがありますけどもね。

(中澤有美子)あります、あります(笑)。

(安住紳一郎)ただね、あれは比較的……まあ、ウィークデーの話なんですよね。

安住紳一郎 新幹線自由席で取るべき座席と戦略を語る
安住紳一郎さんがTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』の中で新幹線の自由席についてトーク。どの席を確保すべきか? その戦略などについて話していました。 (安住紳一郎)調布市の方、ありがとうございます。「私のルール、それは電車の横長座席の端に座...

(中澤有美子)まあ列をなしてないとね。

(安住紳一郎)年に1度、2度のそういう、もうほぼ、うーん……ねえ。ちょっと紛争状態のような。そういう混雑の時にはそんなミュージカルをやっている雰囲気ではないですもんね。

(中澤有美子)フフフ(笑)。

(安住紳一郎)いや、本当にすごいんですよ。うん。まあ、年々モラルがなくなってきているというような傾向もありますしね。

(中澤有美子)そうですかー。

(安住紳一郎)いやー、厳しかったですね。で、私はてっきり指定席が取れると思って当日の朝、東京駅に向かっているものですから、そんなに時間の余裕がないので当然、間に合うであろう新幹線の自由席に飛び込むしかない。当然、席には座れないわけですね。そうしますと、大阪までの2時間30分、立ちっぱなしということになりますね。

(中澤有美子)うう……。

(安住紳一郎)同じ料金を払っていながら、この格差社会や恐ろしいということでございますけども。なかなかね、久しぶりに。

(中澤有美子)立ちましたか。

(安住紳一郎)立ちましたね。もうこれしかないっていう感じですもんね。そうしますと、普段の通勤電車の満員電車とは違いまして、行楽地や……新幹線に混雑した状況で長い時間乗るということになりまして、周りの人との人間関係が若干できつつあるんですね。これはまた、特別な感じで久しぶりに人間観察が趣味の私としては興奮をいたしましたですね!

(中澤有美子)ああ、そうですか(笑)。

(安住紳一郎)ずっとね、同じ人が横に2時間ぐらいいますからね。しかも進行方向を向いて立っていますからね。それで新幹線ってあんまり揺れませんから。ずっと同じエレベーターに乗っている人みたいな感じになりますね。

(中澤有美子)進行方向を向いて立ちますか?

(安住紳一郎)まあ、横を向いている人もいるんですけども、比較的通路の前の方に行きますと進行方向を向いていますね。なので通路で長い朝礼を受けているような感じになりますね。うん。

(中澤有美子)フフフ(笑)。へー!

(安住紳一郎)で、座っている人もいつもよりも混雑しているからちょっと落ち着かないんですよね。通路の方に来ますしね。ちょっと55歳ぐらいのハンチング帽をかぶってたぶん友人か職場の後輩と一緒に京都か大阪に観光旅行に行くっていう男の人がいて。その人は座っているんです。友人と一緒に2列側でね。D席、E席っていうのかな? するとちょっともうそのザワザワした状況に耐えきれなくなったのか興奮したのか知りませんけども、立っている学生3人組に話しかけちゃったりしてね。「そこは、学生さん?」なんつって(笑)。その話をその周辺の人が2時間ぐらい、ずーっと聞いているっていうね。

(中澤有美子)はー!

(安住紳一郎)で、話好きなもんだからその立っている学生3人に延々と話しかけるんだよね。そして、まあなんとなく想像つくと思いますけども、調子のいいおじさんなんで、結構な確率で話が間違っているんだよね。それに対して周りで聞いている人のイライラみたいなのがどんどん溜まってくるでしょう?

(中澤有美子)はいはい、ええ、ええ。「そこ、違うんだよな……」って。

(安住紳一郎)まあ、イライラする必要はないんだけど、みんながその話をずっと聞くことになるから。ええ。しかも私なんかは間違ったことを言わないように教育されているから、ものすごいストレスが溜まるわけだ。

(中澤有美子)そうですか(笑)。

(安住紳一郎)ねえ。まあ、それはいいんだよ。楽しく話をしているからね。

(中澤有美子)ああ、知っている知識をその方が学生さんに披露するわけ?

(安住紳一郎)すっごく披露するの。うん。

(中澤有美子)そして、間違っている(笑)。

(安住紳一郎)で、結構間違えているのね。「ああ、そこは違うんだよな……」みたいな。訂正したくなるもんね。うん。そんな感じかな? で、私の前に立っていたサラリーマンの人もあまりにその52歳のハンチングの人の話が間違うものだから、最終的にその人に背中を向けちゃったからね(笑)。

(中澤有美子)ああーっ!

(安住紳一郎)で、学生3人も話しかけられた時のテンションそのままにずっと、体裁が悪いんでうなずきながら聞いてるんだけど、完全にもう目が死んでいるっていう(笑)。行楽もね、なかなか予定を立てて上手に行動しないと大変ですね。

(中澤有美子)いやー、混んでますね。混んでましたね。

(安住紳一郎)ところが、大阪まで行く道中、急に名古屋で自由席から降りる人が何人かいて。そうするとなんかちょっとね、自由席で立っている人たちがザワザワしちゃうじゃない?

(中澤有美子)そうですよね。

(安住紳一郎)ものすごいボーナスチャンス! みたいなことになって(笑)。でもなんかね、ちょっとほら、降りたいから。降りる人に通路を譲らなくちゃいけないっていうのもあるし。譲った瞬間に向こうサイドから入ってくるっていうこともあるから。もうなんか、ねえ。ラグビーのスクラムみたいな、スタックした状態になっちゃったりして。なんかもう。で、そういう人間の浅ましい欲に対しても悲しい気持ちにもなるじゃない?(笑)。

(中澤有美子)フフフ(笑)。

(安住紳一郎)でも、自分も足がブルブルいっているから「座りてえな……」みたいなのもあるし(笑)。あとはね、もうやせ我慢と人の優しさの限界を超えた戦いみたいなところですもんね。そしたら、名古屋で私が通路を作って、少し後ろにググッと下がったところがポコン!って席が空いていたんですよね。

(中澤有美子)降りたわけではなく?

ぽっかりと空いていた1席

(安住紳一郎)降りたんだろうけど、なんか向こうの人も席を譲ったんで、9マスパズルみたいになんかパパパッとはめていったら、急に私の目の前の席がひとつ空いて座れるみたいなことになって。「やったぜ!」って思ったんだよね。「やったぜ!」って思って座ろうと思ったら、その席を狙っている6人ぐらいと目が合っちゃってね。

(中澤有美子)ああーっ! 多いですねー!

(安住紳一郎)「おおおう。うーん」って思って。でも、とりあえずそれを最初から譲るっていうのもおかしな話だなと思ったから、とりあえず座りましたね。すると、名古屋までもう1時間50分ぐらい立っていますからね。座った瞬間にものすごく楽になってね。「ああっ! こんなに楽なんだ!」って思って。

(中澤有美子)フフフ、しみじみと(笑)。

(安住紳一郎)しみじみと、もう本当! すっごく楽で。「はー! 座るとは極楽なり!」なんてね。

(中澤有美子)フハハハハハハッ!

(安住紳一郎)で、なんか逡巡した気持ちとは裏腹に、「絶対に誰にも譲るまい!」なんて思って。まあでもさすがにちょっとね、すごく楽だったんで、横に立っている女の人がいたので。「東京からですか? 東京からですと、もうそろそろ大変ですから、ちょっと5分だけでも座ると楽になりますよ」って声をかけて。その人も「いやいや……」って言っていたんですけど、「いや、僕も実際に座って3分でものすごい楽になったから。いや、本当に5分でも座ったら違いますから」って言ってお譲りしたんです。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)それで、でも向こうの人も「悪いですから……」とかって言って。とりあえず座ったんだけどね。「じゃあ、10分だけ……」なんて言って。結局その女の人と俺、10分交代で大阪まで交互交互に座って行ったの(笑)。面白かったー。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)「じゃあ、10分ずつですね」なんて。「じゃあ、32分まで……」なんつって。「じゃあ、交代です」なんて(笑)。

(中澤有美子)フフフ、座っている側から言うんでしょう? やっぱり。

(安住紳一郎)そう。座っている側から言うの。そうそう。で、2交代ぐらいしたね。うん。面白かった。

(中澤有美子)そうですか。よかったですね。

(安住紳一郎)よかった。うん。あとなんか、かっこつけて言うわけじゃないけども、やっぱりそうした方が「席に座れた」っていう幸福感が持続するなって思って。そんな……なんか隣の人に悪いなって思ってずっと座っているよりもたぶんね。でも、ここまでやるとね、気持ち悪がられることがあるので注意しなければいけないんですけども。そこは私のね、まあ一応、こういう仕事をしている上でのコミュニケーション術っていうのがありながらですけどね。

(中澤有美子)はいはい。

(安住紳一郎)全員が全員、このやり方をやるとちょっと世の中がザワザワしちゃいますけども。

(中澤有美子)そうですね。

(安住紳一郎)私はね、仕事でいろいろな技術を身に着けているから。ちょっとした声のかけ方とかもそりゃあやっぱり違いますよ。

(中澤有美子)ああ、そうか。そうですよね。

(安住紳一郎)違いますよね。だからその時も「どうぞ」って言うと気持ち悪がられちゃうから。「えっ、私と仲良くなりたいの?」って思われちゃうでしょう。気持ち悪いしね。

(中澤有美子)うんうん。ちょっと警戒する。

(安住紳一郎)だから「東京からですよね」っていう。まずは共感を。「東京からずっと一緒に立っていましたよね。私、見ていましたよ」っていう、まずは「あなたを認知しています」っていうことから。

(中澤有美子)フハハハハハハッ!

(安住紳一郎)そこから始めるでしょう? それで警戒心がなくなるわけじゃない? そうですよね。

(中澤有美子)うん、まあそうね。

(安住紳一郎)「行きの電車、ご一緒でしたよね」っていう声のかけ方からでしょう? それで「少しでも座ると楽になるんです。私がそうでしたから」っていう。そういう私の体験談をまずお伝えするわけでしょう?

(中澤有美子)フハハハハハハッ!

(安住紳一郎)これで2つ目がクリアされているわけでしょう。それで「ずっと譲る」っていうのはまたあれだから、「初回は体験料無料です」みたいなそういうキャンペーンを提示するわけよね。「じゃあ、10分だけ交代しましょう」なんて言ってね。で、「その後は私が引き取りますから」みたいな風に言って第三段階でしょう? そういうことがあるよね。

(中澤有美子)はいはい。へー!

(安住紳一郎)まあ結局、その人には若干気持ち悪がられたんだけども(笑)。

(中澤有美子)フハハハハハハッ!(手を叩く)。

(安住紳一郎)まあ、だいたいそういうものよね。うん(笑)。

(中澤有美子)「ここまで……なぜ?」っていうね(笑)。

(安住紳一郎)そうね。で、私がハンチング帽の怪しいおじさんのことをなんだかんだ言っていたんだけど、たぶん周りの人は「あの交代するオヤジはなんなんだ?」みたいな。

(中澤有美子)アハハハハハッ!

(安住紳一郎)「あそこ、何? 何なのかな? なんであんなに交代してるのかな?」みたいな感じかな。うん。

(中澤有美子)フフフ(笑)。

(安住紳一郎)最近はね、本当に混雑をする時には私も体験したことがないような混雑ぶりがありますからね。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)あと、飛行機がね。

(中澤有美子)ねえ!

(安住紳一郎)オーバーブッキングでついに福岡便が欠航するという、そういう時代になりましたね。

(中澤有美子)ねえ。びっくりしました!

(安住紳一郎)私、オーバーブッキングの時の対処の方法というのをこのラジオでお話しましたね。あれが2009年の出来事ですからね。今回も、あの騒動があった時に私のその過去に話した内容が一部、ネットなどで文字起こしされて残っているんですが。そこに誘導をされる人が多かったらしくてですね。

(中澤有美子)フフフ(笑)。

安住紳一郎 飛行機オーバーブッキングを語る(2009年)

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(安住紳一郎)なんかいろいろと「ああ、そういうことなんだ。安住氏が説明していたんだ」っていう風に教えてくださる方がいらっしゃいますけど、あれはいまから9年前の出来事ですからね。

(中澤有美子)いやー、ねえ!

(安住紳一郎)あの時とはもうすでに状況が少し変わっているということですけどね。いやー、でも大変になってきましたよ。外国人観光客の方がこの10年で10倍になりましたからね。いま、年間2800万人で。そして2020年にはそれを4000万人にしようとしているわけですから、もともとのキャパシティーがある中でどうなんだ?っていう声も聞こえる中ですが。まあ、この流れは止めようがありませんね。

(中澤有美子)そうですねー。

(安住紳一郎)だからまあ、国内に住んでいる日本人が上手に外出先でいろいろと工夫をしながらということかもしれませんね。

(中澤有美子)そうか。そうですね。知恵を絞って。

(安住紳一郎)あとはバスの運転手さんとかね、電車の係の方とかがきっとストレスを溜めていますので。なので、まあ同じ日本人、そういう人たちに迷惑をかけないっていう心がけが大事かなと思いますね。本当にそう思いました。みなさん、お出かけの予定はありますでしょうか? 結構出かけている方、いらっしゃると思いますね。

(中澤有美子)そうですね。

(安住紳一郎)また今日は天気がいいですからね。

(中澤有美子)本当に。ねえ。

<書き起こしおわり>

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