吉田豪と白幡いちほ アイドル運営とアイドル報酬問題を語る

吉田豪と白幡いちほ 友達・ゆるめるモ!あのを語る SHOWROOM

(白幡いちほ)でもうち、ゴキ帝(劇場版ゴキゲン帝国)と妹グループ。逆襲のオペレッタっていういま活動休止しちゃったんですけど。もう1グループ作っていたんですよ。で、その子たちにも結構普通に渡していたんですよ。

(吉田豪)あの、千円札とかが多いせいかもしれないけど、結構な分厚い給料袋を渡してるのを映像で見ましたよ。

(白幡いちほ)そうそう(笑)。まあ、千円が多いっていうのもあるんだけど。

(吉田豪)あるんだけど、「あの厚さにはならないよな」ぐらいの厚さで渡してましたよ。

(白幡いちほ)そう。ちゃんと本当に……マジでTwitterとかにも書いたんですけどね。自分が本当に売れていなかったし、もう本当に風呂なしの部屋に住んで鳥の餌を食って生きていたから。でも、バイトしていい生活をすると、バイトって時間をお金に替えているだけだから。その分、クリエイティブなことをする時間がどんどん減っていって、売れるのが遅くなるなって思ったから。

(吉田豪)芸人時代は完全にそれで。で、実際にアイドルもバイトしなきゃ食えない子が多くて。ところが、バイトをやりたくても土日はだいたいライブだから。で、土日に入れなくていいバイトでなにができるか? みたいな感じだと、結構限られてきて。

(白幡いちほ)そう。で、結構融通をきかせないといけないとかもあるし。

(吉田豪)そうそう。仕事が突然入るとかもあるしね。

(白幡いちほ)そうそう。だったら、ちょっと運営的には苦しいけど、ちゃんと生活できるように。バイトしなくてもいいぐらいのお金をあげるから、その分平日の昼とか夜とか空くじゃないですか。そういう時に自分のスキルを高めるとか、Twitterでちょっとバズろうとしてみるとか。なんかそういう風に時間を使えるのがいちばんいいなと思ったから。

(吉田豪)でも、なかなかそこまで考えてくれないと思うんですよ。

(白幡いちほ)考えてくれなかった。わかる。

(吉田豪)それこそだから芸人でハングリーな時代を経験しているから「なんとかバズらなきゃ!」っていう思いがあるわけじゃないですか。

(白幡いちほ)そう。それは売れないことを経験していないとね。

(吉田豪)コミケでおかしなコスプレやってテレビに出ようとするとか、完全に芸人発想じゃないですか。

(白幡いちほ)うん。それでちょっとでも露出を増やして、取っ掛かりを作らないと自分が使ってもらえないから、お金にならないから、ちょっとでもやらなきゃ! みたいな。でも、最初からもらえちゃっていると「これが普通だ」って思っちゃうから。

(吉田豪)そうなんですよ。いま「歩合制にするのも手かもな」って思ったんですけど。

(白幡いちほ)そうだよね。いや、相談に乗ってほしい。マジで(笑)。

(吉田豪)最近、ちょっといい話が、僕がいろいろとやっている時、全然知らないアイドルの子からなんか来たんですよ。それは告発とかじゃなくて「私は実はいま、セルフで運営をやっていて。チェキのバックを100%、メンバーに渡しています」みたいな。

(白幡いちほ)ええーっ!

(吉田豪)っていうことを送ってきていた子が、最近ちょっとメンバーとモメて。

(白幡いちほ)メンバーが調子に乗っちゃったっていうこと?

(吉田豪)そうなんですよ! あげすぎたんですよ。絶対に。あげすぎて……ちょっとこれも明らかにアレな話だったんですけど。そのメンバーの子と一緒にカラオケに行ったら、財布から金を盗まれたっていう(笑)。

(白幡いちほ)ええーっ!?(笑)。

(吉田豪)で、メンバーがそれを認めながらモメていくっていう。「あ、認めた上でモメるんだ!」っていう(笑)。

(白幡いちほ)それ、もうさ、警察に突き出した方がいいよ(笑)。

(吉田豪)そうそう(笑)。「普通に事件だよ、それ?」っていう(笑)。

(白幡いちほ)いや、でもそうなんだよね。意外と……。

(吉田豪)やっぱり100%渡すと、良くない。

(白幡いちほ)だって100%って、チェキフィルム代赤字じゃん(笑)。それはダメだよ。

(吉田豪)やっぱり40%とか50%でいいんですよ。全然。それで誠実。

適切なチェキバックは40%程度

(白幡いちほ)だってチェキフィルム代と、実際に人件費とか。スタッフさんを雇ったりすると。チェキのシャッターを押す人に払うお金とかもあるんだから。

(吉田豪)それとか、曲を作ったりとかなんだとか、使わなきゃいけないお金もあるから。

(白幡いちほ)だからリアルに考えると本当に4割とかだと思う。4割が限界。

(吉田豪)わかる。いちばんちゃんとしている感じが4割だと思います。40%が意外と多いですね。

(白幡いちほ)リアル。いちばんリアル。

(吉田豪)なんかね、誠実にやろうとしすぎている人は意外と多い。それは思う。

(白幡いちほ)ねえ。でもその人のためにとかメンバーのためにとか思うことって意外と伝わらないっていうか……わかってくれる人はもちろんいるけど。

(吉田豪)だから、こういう苦労を経てこういう考えになったっていうのがあまりわからないわけじゃないですか。最初からそれだと。

(白幡いちほ)そうそう。で、運営側が見えないところで、じゃあ曲作りにどれだけ時間を割いているとか、このイベントをブッキングするのにもメールの返信とかも結構大変じゃないですか。毎日。送ったら返ってくるし。それぐらい、どれぐらい労力を使っているかとか、見えないところでどんだけやっているっていうのが絶対にわからないから。

(吉田豪)ソロアイドルの子と仕事をした後のメールのビジネスライクすぎる感じに毎回、文句を言うんですよ。「これ、コピペでしょ?」っていう(笑)。

(白幡いちほ)アハハハハハッ! 「お世話になります」みたいな(笑)。

(吉田豪)そうそう! ちゃんとしてるのはわかるけど、全然……会社じゃないからさ(笑)。「会社じゃないから、普通に返していいよ」っていう(笑)。

(白幡いちほ)フフフ、でもそうなってくる。セリフとかだと。

(吉田豪)絵恋ちゃんとか里咲りさとかに言ったもん。「固いから!」っていう(笑)。

(白幡いちほ)うんうん。2人ともすごいしっかりしているから。そうなんだよね。

(吉田豪)すごいちゃんとした……コピペっぽいメールが来るっていう。

(白幡いちほ)ねえ。でもそれを結構わかんないアイドルさんはいるんだろうなって。でも、しょうがない。それが悪いわけじゃなくて、しょうがないのよ。

(吉田豪)だからわかんないから。それはだって、経験をしていないからね。最初がそれだと、それが当たり前だと思いますよ。

(白幡いちほ)うん。だからめちゃくちゃ難しいところだと思う。いちばんいい塩梅、私もまだわかんないっていう。

(吉田豪)だから1回しんどい目にあった子の方がやりやすいじゃないですか。ひどい運営にひどいことを……それこそ、セクハラ・パワハラ・低賃金みたいな目にあった子とかだと相当仕事しやすいと思うんだよ。

(白幡いちほ)うんうん。たぶん本当に、マジでそういう子がもし、いま見ていて。まだやりたいって思っていたらDMして。本当に(笑)。

(吉田豪)フハハハハハッ! ホワイトなはずだからっていう(笑)。

(白幡いちほ)そうそう。本当にめちゃくちゃ還元するから(笑)。

(吉田豪)そういうことなんですよね。それ、すごい思う。

(白幡いちほ)でもなんか運営側もファンビジネスだから。絶対にそのアイドル本人がいないと回らないっていう。そこの比重は大きく考えるべきだとは思う。けど……でも実際に曲。ねえ。曲とかも大変だし。曲の良し悪しでそのグループも変わったりするし。その比重も大きいから。

(吉田豪)そうなんですよ。相当に。またね、曲にどのぐらいお金がかかるとか、誰もわからないじゃないですか。

(白幡いちほ)そう。しかもピンキリだったりするし、クオリティーにもよるから。うん。

(吉田豪)ギャラの基準がわからない。

(白幡いちほ)うんうん。でも音楽は金をかければかけるだけいいものができると思う。

(吉田豪)まあ大物はそれなりの金額だったりするけど……。ただ、大物に頼むとそれだけの話題にもなるし。身近な知り合いに頼むのはたしかに安いけども、安かろう悪かろう感はやっぱりあるんですよ。

(白幡いちほ)ああー。うんうん。それがどのぐらいの本気度でやってくれるかにもよりますよね。でも超売れている大物の作曲家の人が片手間で作る曲と、そのネームバリューはないかもしれないけどめちゃくちゃ熱量高くやってくれる人の曲、どっちがいいか?ってなったら難しいところではある。

(吉田豪)熱量はあっても才能はない可能性もあるっていう(笑)。

(白幡いちほ)たしかに(笑)。

(吉田豪)才能ある人の片手間って意外といいから(笑)。

(白幡いちほ)そうかも。でも音質とか音圧とかは絶対に金をかければいいものができるから。そこは絶対にケチるべきじゃない。そこと、やっぱりアイドルに還元するところは最大限やった方がいいんじゃないかなっていう。

(吉田豪)本当にね、音楽をちゃんとやっているかどうかって重要。

(白幡いちほ)重要、重要。本当に。

(吉田豪)そこをないがしろにすると、結構こっちは萎えるんですよ。「ああ、ここは音楽が好きでやっているんじゃなくて、運営がアイドルが好きなんだな」とか「女が好きなんだな」とか「お金が好きなんだな」とか……やっぱり何が好きか?って重要じゃないですか。

(白幡いちほ)わかるわかる。

アイドル運営のタイプ

(吉田豪)金が好き、アイドルが好き、女が好き、音楽が好き……たぶんいちばん信用ができるのは音楽が好き。で、お金が好きは意外と叩かれがちかもしれないけど、ちゃんと稼いだら女の子にも還元されるし。意外と悪くない気がするんですよ。本気でビジネスをしている人は。

(白幡いちほ)そうそう。お金のためにやっているのって全然悪くない。

(吉田豪)悪じゃない気がするんですよ。

(白幡いちほ)それよりもアイドルが好きっていうのがいちばん危ない気がする。

(吉田豪)怖いですよね。ヲタ上がりの運営、ヲタの気持ちがわかるのはいいかもしれないけど、実は問題があるんじゃないか?って言っていて。

(白幡いちほ)だし、オタクの気持ちがわかるとか、オタクに寄り添ってくれる運営とかも全然いいとは思うし、そういうやり方もあるなとは思うけど。でも、ちょっと身内感が出たりするじゃないですか。

(吉田豪)メンバーからの愚痴は出るんですよ。オタクを味方につけて、アイドルの気持ちは一切わからないままアイドルにひどいことをする流れになったりとか。

(白幡いちほ)うんうん。ねえ! だってオタクの人は絶対に自分にとっていいことしか言わないし。

(吉田豪)居心地のいいところが好きだから。

(白幡いちほ)そう。だからもっと売れて変化することよりも……。

(吉田豪)それは望まない(笑)。

(白幡いちほ)排他的な人とかもいたりしちゃうからね。そこはね。でもそれもしょうがないとも思うけど。それの誰の意見を聞くか、みたいな。そこは運営の力量だよな、みたいな(笑)。フフフ、超真面目な話じゃん(笑)。

(吉田豪)でもいい話ですよ。そうなんですよね。だから現場に熱がありながらも、ほどほどの位置に留まってほしいっていうのがヲタの気持ちですよね。

(白幡いちほ)ね、ね! わかる。ちょっと自分たちの意見も聞いてほしいっていうのは絶対にあるし、わかるけど。それを逆に運営側が聞きすぎたりしちゃうと、もうブレるし。「えっ、やりたかったこと、何なの?」みたいな。「いまいるファンが求めることだけをやっていて、広がりがあるのかな?」とか。でも、これを見ている人はわかっていそう。コメントを見ていると。

(吉田豪)わかってる、わかってる。すごいちゃんとわかってる。

(白幡いちほ)豪さんのリスナー、わかってるわ(笑)。

<書き起こしおわり>

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