プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で日本相撲協会の退職が決定した貴乃花親方についてトーク。新聞各紙を読み比べながら、今回の退職騒動と今後の動きについて話していました。
(プチ鹿島)本日はズバリ、こちら! 貴乃花、読み比べ。ということで、ちょうど1週間前。『キックス』が終わって夕方、家に戻る途中で会見をするっていうニュースが。で、貴乃花が退職届を出したという。さあ、結局これをどう見るかですよね。僕は翌日のスポーツ新聞を全紙読んでみたんですが、いちばんこういう時にチェックすべきポイントっていうのは一面ではなく、「記者の目」っていうコラムなんですね。
(塩澤未佳子)はー。
(プチ鹿島)つまり、相撲を普段から取材している記者の人が今回の騒動について論評するコラムがかならず各紙に載るんですよ。で、それを読み比べてみたんです。で、まあ結論から言うと、きれいに分かれたんですね。
(塩澤未佳子)うわっ、そうなんだ……。
(プチ鹿島)そう。スポニチから行きましょうか。スポニチは「飲めない条件を受け、引退と引き換えに改革を迫る」ということで。今回、ひとつのポイントとして言われていたのが無所属の親方もどこかの一門に入らなくちゃいけないというのが決まったのが7月だった。ところが、その情報が協会から貴乃花親方に伝えられていたのかどうか?っていう、そこがポイントでしたよね。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)スポニチは「協会から貴乃花親方には伝えられず、人づてに噂を聞くだけだった。いずれなんらかの説明があるだろうと待っていた貴乃花親方に話が来たのは内閣府への告発内容の全否定を求める、貴乃花親方にとっては到底飲めない交換条件だった」という。つまりどういうことかというと……「一方では一部の親方が協会の総意ではない動きに出て、貴乃花を追い詰めたという見方もある」ということも載せていて。やっぱりスポニチとしては……そもそもあの日馬富士・貴ノ岩への暴行事件をスクープしたのはスポニチで。貴乃花親方も記事、解説を論評したのもスポニチでしたから、そういう縁もあってか貴乃花親方については同情的なんですよね。やっぱり追い詰められたんじゃないか?っていう。
スポーツ報知。やっぱりここでも「親方の一門所属を義務付ける7月の決定について、各親方衆に通達されただけで、貴乃花親方がその決定を知ったのは9月の秋場所の序盤だという」ということで。まあ、だから貴乃花周辺に聞いたんでしょうね。だから「協会がこういうような条件をつけて貴乃花親方の追放を図ったようにも見える。十分に同情できる」とは書いてあるんですが、一方で「道は残されていないのか? たとえば八角理事長ら協会幹部に直接問うこともできたはずではないのか?」っていう。「直接の話し合い、それをせずに辞めるって……貴乃花、いきなりもう辞めちゃうの?」っていうのがスポーツ報知。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)サンケイスポーツに行くと、これははっきりと「貴乃花の自己都合だ」とバッサリと。面白いですね。だから例の件。「一門に所属しなければ部屋を続けられないということを正式に通達されていないと貴乃花親方は言うんだが、自らが協会に問い合わせることはなかった。(『貴乃花部屋、うちの一門に入りなよ』と)声をかけてくれた一門もあったというが、頭を下げて願い出ることはなかった。先輩親方が心配し電話をしたが、折返しもなかった」という。
(塩澤未佳子)はー。
(プチ鹿島)だからこれ、見解が取材ソースによって違ってくるんですよね。だからサンスポとしてはまあ、「問い合わせもしないし、誘ってくれた親方に折り返しの電話もしないし、それでいきなり辞めてしまう。それは自己都合じゃないのか?」っていう。で、貴乃花親方と親しい関係にあった親方にも取材をしていて、「7月の理事会で決定したそのどこかの一門に所属しなければいけないということは耳に入っていたはずだ」という証言もサンスポは取っているんですよね。さらに話を広げて貴乃花と以前に行動した親方の話も載っていて。「改革、改革と言うが、その改革の中身を聞いたことはない」っていう。
(塩澤未佳子)うーん。
(プチ鹿島)だからサンスポは貴乃花に対してむしろ批判的だったんですね。で、東京中日スポーツは弟子にフォーカスしているんです。どういうことか? 「自分の信念を貫くためにかわいい我が子を捨てたことにはかわりはない。これはただのわがままだ」って言っているわけです。だから「貴乃花にとっては譲れないものがあったとしても、そうは言っても弟子たちを他の親方にあずけて辞めてしまうなんて……弟子は我が子同然なのに?」っていう。そこなんですよね。
(塩澤未佳子)うんうん。
(プチ鹿島)で、「告発状にこだわっているが、そもそも春場所の最中に自分の弟子が暴力問題を起こした後、その告発状は取り下げているじゃないか。すぐ取り下げた告発状に何の意味があるんだ?」っていうのが東京中日スポーツです。「部屋の力士は貴乃花親方の指導を受けたくて入門をしているのに。春場所では新弟子も入門したのに。その子の人生はどうなるのか? あまりにも無責任すぎる」って、弟子の立場を考えて言っているんです。
(塩澤未佳子)ええ。
(プチ鹿島)で、どうやら読んでいくと、やっぱり5つある一門のいずれかに所属しなければいけないという決定事項。これが貴乃花に知らされていなかったのか、耳に入っていたけどあえて孤高を選んでいたのか、どっちなのか。それによって見解が違うんですよね。日刊スポーツが提案していてなるほどなと思ったのは、「一方は伝えたつもりでも、もう一方には伝わっていない。意思疎通もままならず孤立化が進む。こんなスーパースターを失うような組織なら、いっそのこと組織運営のプロに任せるべきではないのか?」っていう。つまり、大事な決定だったら「知らせた」「聞いてない」とかではなくて、コミュニケーションを強化した方がいいんじゃないか?っていう。ここですよね。
(塩澤未佳子)ええーっ!
(プチ鹿島)どっちがいい、悪いじゃなくて、貴乃花というスーパースターが相撲協会からいなくなっちゃったわけだから。
(塩澤未佳子)それは事実ですね。
(プチ鹿島)ただ、どうやらいろいろと聞いてみると貴乃花も仲間はずれにされたっていうニュアンスよりは、自分は人の話も聞かない。それでも自分の信じた道を行くっていうことで、なんかちょっと近づけないような、そういう気配を放っていたっていうのもなんか読み比べるとわかってくるんですよね。
(塩澤未佳子)そうですかー。
最新版の「記者の目」
(プチ鹿島)それを含めて今日のスポーツ報知。今日の最新版。昨日、退職が決定しましたよね? で、もう1回「記者の目」っていうのがあって。「執行部と対話できたら退職は避けられたかも」って書いているんです。だからつまり、「代理人とか弁護士を立てて話し合うっていうのは去年の騒動を思い出した」。これは貴乃花からすれば、正しいですよね。だけどそれとは別に、自分の口で協会関係者と語ったり話し合いをすれば、少しはこういう、いきなり退職っていう道は避けられたのではないか?っていう。
(塩澤未佳子)ああー。
(プチ鹿島)そこですよね。だから貴乃花の孤高、孤独というのは横綱の時にはそれは正解だったわけですよね。だけど、それが協会の組織人という中ではもし自分にそういう圧力がかかったとしても「これ、なんですか? 辞めなきゃいけないんですか?」っていう確認はどうやらしていないというのがちらほらあって。それで東京中日スポーツのあの弟子にフォーカスしたのもたしかにそうだよなって。自分の信念があっても、弟子を他の親方に任せて自分だけ辞めていくっていうのは相当すごい選択だと思って。なんとかこれはできなかったのかな?って思っちゃうんですよね。
(塩澤未佳子)はい。こんな大きなことですもんね。
(プチ鹿島)うーん。だから……なにかお相撲さんってまた不思議なところがね、お相撲さんのあの理事会選挙なんかを見ても当然なんですけど、みんなお相撲さんなんですよね。それが最初の時点、10年ぐらい前までは微笑ましく見れていたんですよ。だけどそれがいまでは裏目に出ちゃっているのかな?って。だって、そんなにしゃべりが立つ人もいないじゃないですか。しょうがないよ。お相撲一筋でがんばってきて。
(塩澤未佳子)相撲道でね。
(プチ鹿島)だからそれをマスコミにやいのやいの言われて、上手く答えることもできない。それがイコール「相撲協会の闇」みたいに言われてしまう部分も場面としてはあると思うんですよね。だからそこは、やっぱりお互いがとことん話し合うとか、なんか第三者みたいな。貴乃花が弁護士を立てるなら、こっちもいろいろと第三者、世の中に助けを求めて。それでどんどんオープン化していくっていう、そういう話し合いとか透明性を見せていくのは必要なのかな?っていうのはこの日刊スポーツの提案を読んで思ったんですけどね。
(塩澤未佳子)うんうん。
(プチ鹿島)だからいずれにしろ貴乃花というスーパースターはそれこそ平成ですよね。この平成最後の年にいなくなってしまったという。なんかもったいないですよね。
(塩澤未佳子)もったいないなー。そう。だってずっと見てきたスターですからね。
(プチ鹿島)そうなんです。ただこれ、興味深いのは、いまご紹介したのは朝刊スポーツ紙の記者の目なんですね。まあ朝刊スポーツ紙というのは事実に基づいて取材をしている人が論評を出すっていう、そういう報道ですよ。これ、面白いのが朝刊スポーツ紙じゃなくて夕方に出る東スポとか日刊ゲンダイとか夕刊フジ。タブロイド紙ね。それはもう早くも次のステージに行っているんです。
(塩澤未佳子)ええっ?
(プチ鹿島)なにかというと、貴乃花・参院選出馬説っていう。
(塩澤未佳子)ああーっ!
貴乃花・参院選出馬説
(プチ鹿島)もうそれでオヤジジャーナルは盛り上がっちゃっているんです。いわゆる噂とかも載せられるじゃないですか。夕方に出るタブロイド紙は。それを僕、いま見るのが楽しくてね。でも、どうやらこれ、「まさか……」って思いながらタブロイド紙を読んでいくのもいいんですけども。記事によっては貴乃花、すごく政治にも興味を持っている、関心があるなんていう、そういうコラムなんかもあったりしてね。
(塩澤未佳子)ええっ?
(プチ鹿島)まあ、いまの時点ではただの噂が白熱しているだけかもしれないけど、じゃあこれをもとにどこかの党が打診をしたら、ひょっとしたらひょっとするかも……って。だから僕、よく言いますよね? タブロイド紙って「まさか!」って思いながら、そこに書かれたことが現実を追い抜いているんだけど、どんどん現実が追いつくっていう瞬間がたまにあるんですよね。
(塩澤未佳子)ええ。
(プチ鹿島)だからこれ、来年参院選ですから。だから日刊ゲンダイとかはもう「安倍自民の目玉だ」みたいなのがあるんですよ。でも調べてみると、そういう噂があるという。だから面白いですよね。じゃあ、なんでそんな噂が出るのか? いま、その解説を読むと、自民党。この間の総裁選でも地方票を開けてみたら意外と安倍さんが響いていない。「えっ、人気ねえんじゃねーか?」。沖縄の県知事選挙でも、あれだけ人を投入しても負けちゃった。いま、普通の新聞の解説を見ても、「来年の参院選、党内から『安倍さんが党の顔でいいのか?』っていう不安も出ている」って各紙が書いているんですよ。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)だからもし、人間ってやっぱり不安の時に「ああ、誰か人気者がいないかな?」っていう時に「あ、貴乃花いるじゃん?」って。そういうのがいつの間にか出馬説になっている可能性もあるし。いや、別に貴乃花、自民党以外から出る可能性だってあるしね。だからそこは新聞の媒体によって。「貴乃花が参院選? そんなバカな!」って切り捨てるよりは、なるほど。可能性は1%、2%ぐらいはあるかもしれないし、これをきっかけに嘘から真が出る。噂から真が出る、みたいなことはあるかもよ?っていうのを心のどこかに置いておいた方が面白いですよね。
(塩澤未佳子)今後ね。
(プチ鹿島)だってわからないじゃないですか。貴乃花。辞めてどうするんですか? お兄ちゃんぐらいのフットワークの軽さで芸能仕事はできないと思いますよ。
(塩澤未佳子)ちょっとタイプが違いますね(笑)。
(プチ鹿島)できないでしょう? だって。できないし、やらないでしょう。
(塩澤未佳子)そう思いますよ。
(プチ鹿島)まあ、バナナマン日村さんのモノマネとかすれば面白いですけども。
(塩澤未佳子)フフフ(笑)。そんな方向?
(プチ鹿島)そんなに芸能仕事でなにかをやろうっていうタイプではないですよ。考えてはいない感じがしますよね。だから……急に俄然、夕方の。ちょっと噂絡みのゴシップ紙、タブロイド紙は「参院選、出るんじゃないか?」っていう。3紙全部がその記事で。
(塩澤未佳子)ああ、もうそんなことになっています? はー!
(プチ鹿島)というわけでございまして、貴乃花読み比べでした。
<書き起こしおわり>