星野源『アイデア』を解説する

星野源 新曲『アイデア』配信決定を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんがニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で自身の楽曲『アイデア』を解説。曲に込められた意味や製作の過程などについて話していました。

アイデア

さあ、来ました。私、星野源はじめての配信限定曲。もうね、怒涛のように物語が駆け巡って、ものすごい人が見ている朝の連続テレビ小説『半分、青い。』の主題歌。『アイデア』という曲を私、星野源、書かせていただけまして。もうね、何ヶ月も1番といかTVサイズはずっと昔から(放送で)流れていますが。ついにフルバージョンが発売になりました! ありがとうございます。何度も言ってすいませんが、また言ってもいいですか? 配信サイトで軒並み1位を獲得。ありがとうございます! そしてオリコンさんが発表した配信曲、単曲での歴代での1日のダウンロード数、一番をいただきました。ありがとうございます! すごい! ものすごくうれしいです。本当にみなさん、ダウンロードしていただき、ありがとうございます。うれしい!

今回はCDという形ではないので。またその理由はもうちょっと後で言うことにはなると思うんですが。そうだ。でもね、CD-Rという……イエローパスという半分ファンクラブみたいなものが僕にはあるんですけど。その中にいる人だけが手に入れられるCDのようなもの。今回は配信限定ではあるんですが、音源の入ってない、音源以外のCDの部分が全部、500円で販売されるという。そういう形はありますが、CDは発売はせずに音源だけという新しいチャレンジ。

で、新しい宣伝方法というか、そういうものを1からみんなで話し合って。「こういうことをやりたいね、こういうことをやろうよ」なんて話しながら、1からチーム総出でですね、計画を立てて。「こういうの、面白いね」なんて言いながら作り上げていったものがですね、とってもとっても大好評で。本当にうれしいです。みなさん、手に入れていただき、本当にありがとうございます。

メールもたくさん届いております。ありがとう! 埼玉県の方。「待ちに待った『アイデア』配信開始、全身を耳にして聞きました。私は『アイデア』をフルで聞いて、まるで3時間を超える舞台を見たかのような感覚になりました。ひとつの作品の中で曲調が展開していきながら喜び、苦しみ、悲しみ、愛といったストーリーが目まぐるしく折り重なりながらも一貫したテーマと音楽によってひとつの物語となっているところが、まるでミュージカルのようだと思ったからです。それが心地よくもあり、胸に引っかかる余韻を残して何度もリピートして聞いています。源さん、こんな感動と興奮をありがとうございます。大切に何度も聞きたいと思います」ということで、ありがとうございます。

続いて、大阪の方。「僕は自分の部屋でしっかりダウンロードできるかどうかの心配と、新曲への期待で胸も頭もいっぱいでした。たくさんの人が一斉に聞くと思うと、僕1人だけではなくみんなと共に聞くといういままでにない感覚も味わいました。何とかダウンロードが完了し、イヤホンで1人で聞きました。前奏が始まった瞬間、全身にブルッと鳥肌が立ち、涙目になり、そのままテレビサイズでは聞けなかった部分に入った瞬間、はじめての感覚に心をやられ……そこからはドキドキとウキウキと鳥肌で頭がおかしくなりそうなくらいでかっこいいと思いながら聞きました。

歌詞もメロディーも僕の想像できない、まさに規格外。固定概念をぶち壊して魂が震えるとはこのことだと感じました。そのくらい、ぶったまげました。源さんを好きな女友達と連絡を取っていたのですが、いつもとは違う口調で『鬼かっこいい!』と心のこもった返信が返ってきました。それを聞いて僕はまた鳥肌が立ちました。最高の1曲を本当にありがとうございます。源さん、大好きです」ということで、ありがとうございます! うれしいねえ。

そうなんです。今回ははじめての配信限定リリースということで、いままでやっていなかった……いままではね、CDだとね、いつも(リリースの)前からフルをラジオ解禁して。で、「どんどんリクエストしてねー!」なんて言って、みんなにもう曲を知ってもらって。それで先にミュージックビデオも出して、曲を十分に知ってもらってるという状態でシングルCDをリリースすることが多かった。というか、それしかやってなかった。それがね、いわゆるシングルCDというものをみなさんにいちばん広く、手に取っていただける方法ということになっていて。

それをやってきたんですけど……今回はそうではないので、一斉に何か聞くっていうのをちょっと始めたいなと。しかも、いちばん最初に自分が普段聞いているその音楽環境で聞いてほしいという。特にファンのみんなは別々の場所にいるんだけど、なんかに一斉に聞くというのはみんなが繋がるような感覚になるんじゃないかなって。それは「CDを買う」ということではできない体験なのではないか。配信だけでできる面白さみたいなものなのではないかということで、そういう販売……あとは宣伝ですね。プロモーションにさせていただきました。

なのでね、こういう風に言っていただけると、とてもうれしいです。ありがとう。千葉県の方。「新曲『アイデア』、音源を拝聴させていただきました。イントロの軽快なマリンバから疾走感ただようハイハット、スネア。かと思えば、ブラックミュージックを彷彿とさせるビードを奏で、現代的で高揚感あふれる間奏でつなぐ。そしてしっとりと弾き語る。だけでなく、再びひたすらに駆け抜け、ドラの音で全てを解放させる。源さんがこれまでにやってきた音楽と、これからやろうとしてる音楽をうまく融合させたこの作品はまさに、日本でいまできる最大限を詰め込んだ音楽の遊びの最高峰と言っても過言ではないと思います。毎日一度は聞いていたい曲です」という。ありがとうございます。

どんどん読んでいきましょうね。兵庫県の女性の方。「まっさらな状態で『アイデア』を聞いたら、衝撃を受けました。2番からのMPCが入った曲調の変化。途中に入る弾き語り。いままでになく新鮮で挑戦的だと感じました。また、陰と陽などいろんな対比があって、誰も仲間外れにしない楽曲であり、これらをまとめ上げる源さんは天才です。こんないろんな感情を呼び起こすさせる曲を作ってくれて、ありがとう」ということでね、嬉しいですね。ありがとうございます! 

もうちょっと読めるかな? 女性の方。「『アイデア』リリースされ、MVが公開され、おげんさんで初披露。アイデアづくし、星野源づくし、めちゃめちゃ幸せです。が、源さんにひとつ、文句を言いたい。『アイデア』、お買い得すぎます!」。ああ、いいですね。こういうメール、好きです。フフフ(笑)。「……3曲分の熱量が込められたこの曲が250円って……イエローパス特製ケース付きのCD-Rと合わせても790円。理由があってのことだとは分かっているのですが、『アイデア』を聞いた衝撃が物凄いんです。過去イチなんです。いままでは衝動のままにCDを買いに行き、家族や友達に配っていたのですが、今回はなかなか難しくて。衝動が体の中をぐるぐる渦巻いています。この衝動をどう発散したらいいんですか? 何かできることはありませんか?」。ああ、うれしいですね、これ。

ねえ。いろんな人に勧めたいみたいな。そうだね。たしかにCDだと自分で買って、それをあげたりできるけど。でもね、配信はたしかギフトがあったと思うよ。メールとかで送れるの。自分で買って、贈りたい相手のメールアドレスとかを知っていると、その人がダウンロードできるようになるという。メールのURLを開いて。配信サイトによってはだから……あれだよね。LINEミュージックとかの単曲配信もやってるもんね。それ多分、LINEにも送れたりするんじゃないかなとか思います。いや、いいんですよ。いっぱい買っていいんですよ……。ありがとうございます。フフフ(笑)。違うのよ、もうね、昨日からつながっているからテンションが高いんですよ(笑)。

ずっと深夜テンションみたいな状態でここ数日。おげんさんの前の日とかもね、ミュージックビデオのやり取りとかでブワーッてなっていたんで。おげんさんのリハとかもいろいろあったんで。で、今日はちょっとまた別の仕事で、大声を出す仕事をやってきたので。結構ね、昨日打ち上げの流れみたいな感じがあるのであれなんですが。そんな感じでたくさんメール、ありがとうございました。では、まず曲を聞いていただいてから、自分の話をしていこうかなと思います。先日、8月20日、配信限定にてリリースされました。もうね、みなさん、いますぐにでも買えます。星野源の最新楽曲、NHK 連続テレビ小説『半分、青い。』の主題歌です。みなさんぜひね、デカいボリュームで、ご自身の環境で聞いてください。星野源『アイデア』。

星野源『アイデア』

ありがとう。送りしたのは星野源の新曲です。『アイデア』でした。メール、来ております。神奈川県の16歳の方。「どの歌詞も好きですが、深夜に聞く「おはよう、真夜中」という歌詞はラジオを聞いているまさにいまに当てはまって、ものすごく好きです。みんなで歌おうぜぃ!」っていうことで、ありがとうございます(笑)。まさか、「抜こうぜぃ!」のあいつもこんなに広まるとは思ってなかっただろうね。ありがとうね。

愛知県の方。「『アイデア』について質問です。テレビサイズの『アイデア』と配信開始した曲の『アイデア』フルバージョンとではサビなど微妙な部分の歌い回しが少しずつ違うような気がするんですが、録り直しをされたのでしょうか?」というね。ありがとうございます。質問も頂いております。さあ、じゃあこの曲『アイデア』のお話をじっくりしていこうと思います。

お話をする前に1個、ちょっと話したいなと思うのは、僕自身、基本的にですね音楽を聞く時に解説でいらないものだと個人的には思っています。音楽はやっぱり音で聞いて、歌詞を読んだり聞いて、自分で感じればいいことではあるので。もちろんどう感じてもらっても構いませんし、僕が意図したことと違うことを感じてもらう。なんかそういう幅というか、そういうものを持った音楽というものをいつも作りたいと思っていて。あなたのものにその曲がなってくれたらいちばんうれしいと僕は思っているし、この世の音楽がね、難しいと語ることがニュートラルであるとは全然思ってはいないんですが。

たとえ僕が何かひとつのことを話したことで……だから全然、「解説なんて聞きたくない。曲で十分」っていう人はもちろん聞かなくて大丈夫です。でも、何て言うかな。この国の音楽へのリテラシーっていうものは、ちょっとね、極端に偏ってると僕はすごく思っていて。だから、僕が聞いている音楽の聞き方とか音楽の作り方というもの。あとは海外というものの音楽の聞き方、聞かれ方というものと、やっぱり差が結構ある気がしていて。で、僕と海外が一緒って思ってるわけじゃないんだけど。そこも全然違うんだけど。

なんかその、僕が少し何かを話すということで、聞いているあなたの音楽の聞き方だったり楽しみ方みたいなものがひとつでも増えるならば、僕は自分の作った音楽の話を全然しますので。そういうことを知りたいと少しでも思ってくれたり、でもひとつの曲をこういう風に作ったんだっていう話って、違う僕じゃないアーティストのも、もしかしたらこの人もこういう気持ちで作ってるのかも……とか。もしかしたらここでこうなっているっていうことは、こういう風に作ったんじゃないか、とか。いろんな風に考えて、また音楽というのがもっと身近に感じたり、楽しめるようになるような気がするので。そういうようなものが大丈夫な人はぜひ、この後のお話を聞いていただければと思います。

と言っても、話そうと思えば話せることがですね、多すぎるんですよ、この曲は(笑)。これ、本当はあと10分ぐらいで収めたいものなんですけど、収まるかな? おげんさんで40分ぐらいしゃべったんで(笑)。もしかしたらミュージックビデオの話をできるかどうか、わからなくなってきました。でもまあ、普通になにも考えずに話してみようかと思います。どこから話していこうかな? いちばん最初に、本当にもう誰しもが知っている朝ドラというもので今回は『半分、青い。』というタイトルの作品の主題歌をやってくださいという風にオファーをいただきまして。「是非、やらせていただきます」ということで。

で、いちばん最初に曲を作ったのは去年の11月ぐらいだったと思います。なので、『コウノドリ』の撮影をしている間だったと思います。その頃、『ドラえもん』とかも並行して作っていたんですけど。で、先に『アイデア』のテレビサイズの方が、曲だったりメロディーだったりができました。その後に『ドラえもん』というものが、もっと年末……もっと言えば年始に入ってからしっかり作って、レコーディングしてという形で。なんで、『アイデア』というもののテレビサイズを作ってから、間に『ドラえもん』を挟んで。そこからですね、『アイデア』は。テレビサイズだけだったんです。いわゆるいま、みなさんがテレビで聞かれている『半分、青い。』のオープニングで聞かれている部分はあそこで終わりなんです。

いわゆる「テレビサイズ」というものですね。なので、フルを作るってなった時、それをたとえば「増やす」っていうやり方もあると思うんですけど、僕は生楽器で1番のTVサイズを作ったので、また生楽器でやるとなると、空気とかも違うので。音が変わっちゃうんですよね。だからそれってできない。増やせないので、一から全部やろうということで、また一から作り始めました。で、その中で僕がいちばん最初にその『アイデア』というテレビサイズを作ろうと思ったコンセプトとして……これもね、コンセプトもいっぱいあるんですよ(笑)。まず、これ、解説なんて聞きたくないよという方は全然聞かなくていいですからね。まあ聞きたいよという人だけ聞いていただければいいと思います。

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