星野源さんが2024年1月2日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』を能登半島地震を受けて予定を急遽変更して生放送。金沢への一人旅からインスピレーションを受けて制作した自身の楽曲『光の跡』を選曲していました。
(星野源)そうだな。ちょっとこれ、メール読もうかな? 石川県、24歳の方。「私は金沢市に住んでいますが、金沢は震度5強でした。揺れた瞬間、どうしたらいいかわからず、ただ揺れが収まるのを待っていました。余震が来るたびに手が震え、涙が止まらず、気持ち悪くなり、パニックになりました。そんな時、両親や我が家の愛犬が優しく寄り添ってくれて、パニックになっている自分を落ち着かせてくれました。昨日は親戚のお家に避難しました。玄関に入った途端、私は膝から崩れ落ち、しばらく立っていられませんでした。これから深夜になりますが、眠れるか不安です。大好きな源さんの曲を聞いて、自分の心を落ち着かせます。紅白での『生命体』,素敵でした。東京の夜景が輝いていて、綺麗でした。源さん、2024年も素敵な楽曲を楽しみにしています。素敵な2024年になりますように」という。ありがとうございます。
ねえ。本当に、そんな状況でもですね、「素敵な2024年になりますように」っていう言葉を送っていただけるっていうのは、本当にすごいなと思いますね。なんか、いつもこういう時に思うのは、被災されてる方々からのメールで、こっちが元気をいただくっていうことがあまりにも多いっていうことですよね。なんか本当に、人間ってすごいなと思います。あと今回ですね、『光の跡』っていう曲は……これは前から、ラジオで何度もお話してるんですけど。「旅」がテーマだったので。一人旅をちょっと、してみようかなと。初めてぐらいの感じで。
金沢への一人旅
(星野源)で、たまたまね、鈴木大拙館っていうところの招待券をいただいたので。「じゃあ、行ってみよう」と思って行ったのが金沢だったんですよ。金沢に行って。で、その金沢に行ったことが本当にこの楽曲の歌詞にものすごく大きな影響を与えていて。そこで見た……その時はすごい土砂降りだったんですけど。帰る時にすごく晴れて。夕焼けの中で天気雨みたいな感じで雨が降っている、その水溜りの波紋みたいなものの美しさみたいなもの。あと、そこにある建物とか。あと、もちろんそれこそね、兼六園とか。あとお城もそうですけど。昔ながらの建物があって。でも、最先端の芸術のアートが街にもあるし、美術館もいっぱいあるっていうような、その、いろんなものが交差している感じにすごく刺激を受けたし。だから本当に行ってよかったなと思ったんですよね。あと、食べ物も美味しかったし。
なので、本当に言葉を失ったし。今日、日が明けてね、明るくなってからのその金沢……もちろん、そこだけじゃなくて。各地の状況っていうのをテレビで見た時の、なんて言うんですかね? 言葉にできない、もう頭を抱えてしまう感じというか。で、やっぱり実際に目で見た、「あそこに自分はいたんだ」っていう場所が、とんでもないことになっているっていう。なんか、その苦しさみたいなもの。それはもちろん、その現地の方が本当に苦しいんだと思うんですね。でも、やっぱりそこまでの気持ちは自分はわからないけど。なにかやっぱり、すごくずっと考えてしまうというか。
で、なんかそんな中でできた楽曲っていう……全然、もちろん作ったのは去年なんですけど。でも、メールでも、メッセージでも。あと、マネージメントからも……僕はね、SNSって自分のInstagramはやってますけど。それ以外は見ないようにしてるんですね。なので、伝えてくれるんですよ。「『光の跡』を聞いてすごく落ち着きましたとか、温かい気持ちにやっとなりましたとか、いろんな感想をいただいてます」っていうような話を聞けて。少しでもなにか役に立ったり、少しでも気がそれたり。もしくは、うん。なにか情景を思い浮かべたりね。なにかそういう、音楽の力みたいなものを。あと、自分にできることみたいなことをいつも、こういう時に考えますけど。それが少しでもなにか伝わっていたら、嬉しいなと思いながら、今日も選曲をさせていただきました。
なので、いろんな環境で、いろんな場所で聞いてる人がいます。ぜひぜひ、自分の聞き方で。大きく聞いていただいてもいいし、ちっちゃく聞いていただいてもいいし。どうか、届きますようにという思いを込めて。星野源で『光の跡』。
星野源『光の跡』
<書き起こしおわり>