プチ鹿島 冷笑の時代にいちいちギョッとする必要性を語る

プチ鹿島 冷笑の時代にいちいちギョッとする必要性を語る YBSキックス

プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で「冷笑の時代」と言われる現代の中でいちいち新鮮にギョッとしていくことの必要性を話していました。

(プチ鹿島)はい、今日のタイトルはこちらです。「もっとギョッとしよう」ということですね。僕、先週の土曜日ですか。朝日新聞にインタビューが載りまして。いやいやいや……そんな、騒がないでください。そんな、いやいや、朝日新聞に大きくインタビューが載りまして。

(塩澤未佳子)すごくないですか?

(プチ鹿島)いや、そんなそんな、すごくないです。騒がないでください。騒がないでください。あの、「政治家、空疎な言葉」っていうその日のテーマだったんですよ。オピニオンコーナーですね。僕もこれ、当然毎日新聞を読んでいますから、このコーナーが好きで読んでいるんですけど。だいたいひとつのテーマで3人の人が同じテーマで語る。それで、土曜日のテーマが「政治家、空疎な言葉」っていう。国会が終わったので、この国会を振り返って。「政治家の言葉ってなんか昔と違ってどうですか?」みたいな、そういうお題が来たんですけどね。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)で、それをまあこの間、火曜日『キックス』終わりで東京に戻って1時間ぐらい話したのかな? それをまとめてもらって、土曜日出たんです。で、これはインタビューですから、その記者さんが響いた言葉をまとめて書いてくださったんですけど。たとえば僕がその中で、「最近、政治家の発言で僕がギョッとしたのは5日、夜にあった自民党の赤坂自民党です。西村官房副長官がTwitterに投稿して、安倍さんとの近さをすごくいちいちアピールしているんだけど、有権者のため。だけど、その有権者の方は雨を心配して。この想像力の無さって何なんだろう?っていうのでギョッとした」と。まあ、言ってみれば『キックス』で毎週オープニングとかで話してることですよね。そういうことをまとめて話したんですよ。

そしたらタイトルで「いちいちギョッとしよう」ってしくれたんです。これ以外に1時間ぐらい、インタビューですから僕も話したいことがいろいろあって。。やっぱりいちばん最初に言ったのは、「いま果たして保守、もしくは保守政治家の言葉ってあるんだろうか?」っていう。僕、ずっと疑問に思ってるんですよ。というのはね、保守っていうのはやっぱり僕のイメージの中では「言葉を大切にする人」だと思うんですよね。僕は保守的な人間か革新的な人間か、もしうは志向かって言われて、どっちか?って言われれば、僕は保守的な志向を持ってると思うんですよ。

「いちいちギョッとしよう」

っていうのは、ある日いきなり突然ガラガラッと何かぶっ壊して革新……変えるよりは、一つ一つ積み重ねてね、同じ変えるのでもじわじわ変えて行こうっていう。積み重ねで変えて行こうっていう、僕はそっちの方が自分には合ってると思うんですよ。だから結構保守的な志向なのかなと思うんですが、一方で、じゃあそういう政治家の場合を見てみたら、いまなんか保守政治家って本当にいるのかな?って思っちゃうんですよ。去年の総選挙のマニフェストとかなんかを見たら、たとえばですよ、「改革」とか「革命」とか……保守政党の方が使ってるんですよね。

(塩澤未佳子)はー!

(プチ鹿島)じゃあ、本当の……保守が改革とか革命とか言い出しちゃうわけですよ。本当の保守っていま、どこに行ったんだ? 政党によっては「大改革」って言うんですよ。「改革」だけじゃないんですよ。「大改革」ですよ。それで保守政党って言ってるわけですよ。これ、何なんだろうな?って僕、ずっと思ってるんですよね。で、どっちかというと、その保守政治家の方が言葉がなんかいま、軽くなってるんじゃないかなとか。むしろ改革って言えばみんなが支持くれるから、なんか言葉の積み重ねというか、重みがなくなってるんじゃないかなっていうのをぼんやり感じてて。

まあそれも最初にしゃべった。あと、やっぱりこの半年間の国会ですよね。結構その、森友・加計学園問題でも最初は「あった」と言われていたことが「なかった」っていうパターン。もしくは「なかった」って言われていた文書が「やっぱりありました」っていうパターン。すごく多くなかったですか?

(塩澤未佳子)多かったです! なんなんだろう?って。

(プチ鹿島)これってやっぱり、いちいちギョッとしていかないと思うんですよ。つまり、そういうもう力ずくの強引な方法でね、本当は会っていたっていうのを、実は会っていなかった。嘘を言いましたとか、もうギョッとする弁解の仕方が言ってみればまかり通ったわけじゃないですか。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)それはやっぱり僕ね、なんかこう、慣れちゃいけないと思うんです。だからいちいちギョッとしてかなくちゃいけないと思うんですよ。だから朝日新聞でも、そういうことをインタビューで喋ったら、まあ感じてくれたのか、「いちいちギョッとしていきましょう。慣れたらいけません」っていうのは汲み取って、インタビュー記事に書いてくれたわけなんですよね。で、それを頭に入れて、ちょっとあの思っていただければと思うんですが、これもまたたまたまなんですが、昨日の朝日新聞のひとつの特集記事があって。これが面白かったんですね。

いわゆるいまの時代というのは「冷笑の時代」なんじゃないか。だからシニカルに皮肉に、なんかちょっと諦めムードで笑う。そんな時代なんじゃないかっていう、そういう記事が出てたわけなんですね。というのも、いままで嘘にもいろいろパターンがあって。現代の嘘っていうのは特徴があるんだと。たとえば伝統的な嘘ってはまず、正しい現実があることを前提としそれを隠すことを言う。まあ、わかりますよ。これ、普通の嘘ですよね。一方、現代の嘘っていうのは「何が現実なのか」という基準自体を破壊するんだっていう。

つまり、もう現実の事実を「いや、そんなもんはないよ」っていう風に破壊していく。たとえば公文書って、現実を記録するためのものじゃないですか。ところが、たとえば安倍さんの「関わっていたら辞める」って言う発言が出たら、現実であるはずの公用文書がその発言に合わせて書き換えられて、現実自体が変わってっちゃうわけですよ。

(塩澤未佳子)そうですね。

(プチ鹿島)そうなるともう、こっちはどうすることもできないじゃないですか。

(塩澤未佳子)その元がないんですもんね。

(プチ鹿島)もう1回、いいますよ。いままでの伝統的な嘘っていうのは、正しい現実があることを前提としていて、それを隠す。だから公文書を隠していた。書き換えることはなかったわけですよね。だけどいま、現代の嘘ってのは何が現実か……だから公文書が首相の発言に合わせて行っちゃうという。

(塩澤未佳子)本当は正しい現実じゃなきゃいけないものが。

(プチ鹿島)嘘の方に合わせて行っちゃうっていう。はっきり言うとね。嘘に合わせて現実が破壊されていることが横行すると、どうなるか? 市民……まあ僕らですね。シニシズム、冷笑主義に陥っていくっていう風に書いてあるわけです。つまり、だってそんなことをやられたらもう、「ああ、またやってるわ」って。なんかこう、「はいはい……」って小馬鹿にした笑いを浮かべるしかないって言うんですよね。でも、それだと結局慣れてくるのと同じだ。

(塩澤未佳子)そうですね。

(プチ鹿島)だからこれ、昨日の記事なんですよ。これを読んで、「俺、この間なんか芸人っていう立場で『いちいちギョッとしていきましょうよ。慣らされたらいけませんよ。それがひとつの対抗する手段であり……』みたいに僕なりの、芸人なりのことを言っけど、同じことじゃないかな?」って思うんです。だから、冷笑していちゃいけないんですよ、やっぱり。半笑いみたいな、「ああ、またあんなこと言って。また強引なことをやって。フン、もうしょうがないな……」って諦めムードみたいな。それよりは、いちいち新鮮に「えっ!」ってギョッとするっていう方が僕は大切だなと。ちょっとつながったなと思って。インタビュー、最初に出てよかったなと思ったんですよね。

<書き起こしおわり>

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