松尾潔 Ella Mai『Boo’d Up』を語る

松尾潔 Ella Mai『Boo’d Up』を語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でElla Maiの『Boo’d Up』を紹介していました。

Boo'd Up

(松尾潔)まず、お届けしますのはエラ・マイ(Ella Mai)でございます。僕、「エラ・マイ」という風にいま申し上げました。以前にも、この女性シンガーの名前を「エラ・マイ」とご紹介したのですが、どうやら「エラ・メイ」という発音で着地していきそうですね。日本ではね。この「マイ」なのか「メイ」なのか。ちなみにスペリングでいうと「Mai」なんですけどね。このイギリス人女性、Ella Mai。僕はどっちでもいいと思ってんです。

なぜならね、メアリー・J.ブライジ(Mary Jane Blige)のことを日本では「メアリー」っていうことが定着していますけど、そもそも同じ意味合いであるはずのメリー・ジェーン・ガールズ (Mary Jane Girls) のことを「メアリー・ジェーン・ガールズ」っていう人に会ったことがないんです。エイジアっていうロックグループを「アジア」っていう人もいませんし、ポリスのことを「ポリース」という人もいませんけどね。何らかの形で定着していく……まあ、そこに僕はちょっと面白みも感じてるんですけど。エラ・メイで着地しちゃったみたいですね。どうやらね。

で、いま「着地した」っていう言い方をしてるのは、この番組をずっとお聞きくださっているみなさんにはニヤリとされるかもしれないんだけども、このエラ・マイを大プッシュしていたのは去年なんですよね。『メロ夜』ではね。「これはいい!」って言って。実際、昨年の暮れに2017年の年間メロウソングトップ20の第16位に選んだ曲だったのですが。

なんとね今年に入ってミュージックビデオが作られて、それがアメリカで大変な人気になりまして。まあ我々の業界で言うところのちょっと「ハネた」んですね。で、ハネてついに全米ポップチャートのトップテン入りですよ。アダルトR&Bチャートではナンバーワンに輝いております。僕はね、その昨年ご紹介した時に「このエラ・メイはケラーニのツアーのコーラスメンバーとしても活動していた」っていう言い方をしたのですが、ケラーニもね、去年は大活躍の1年でしたが。最近でもチャーリー・プースとのデュエット。この番組でもご紹介したばかりですが。

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かつてのコーラス隊はいまのライバルという状態ですね。だからいま、こうやって2人とも最前線におどり出るっていうのは面白いものですよね。ここに音楽の自由さもあるかなということで。僕なんかもね、ついついいにしえのピーボ・ブライソンとルーサー・ヴァンドロスの関係を思い出したりもするんですが。まあ、そんないろんな思い、いろんな記憶を引き出してくれるエラ・メイの出世曲を聞いてください。もういまやヒット曲と言っても何ら偽りではないという喜ばしい状態になっております。エラ・メイで昨年の2月にリリースされましたアルバム……そうか。1年以上かけてヒットしたっていうことですね。これは本物のヒット曲だ。アルバム『Ready』の中から『Boo’d Up』。

Ella Mai『Boo’d Up』

お届けしたのはイギリスの女性シンガー、エラ・メイの大ヒットナンバー。何度でも言いましょう。大ヒット曲『Boo’d Up』でした。『Boo’d Up』がどういう意味か、以前にも一度お話したかもしれませんけども、わかりやすく「恋人同士になる」とかっていう意味ですね。「Boo」とか、R&Bですとかヒップホップを聞いている人には馴染みのある言葉があります。スラングというにはもういまではすっかり市民権を得た言葉かと思いますが。恋人ですよね。自分のソウルメイトともいえるような恋人のことを「Boo」と言います。

その恋人を示す「Boo」という言葉を動詞として使って、それを固い言い方ですけども過去分詞っていうんですかね? そういう風に……本当にラブラブになっちゃったみたいな意味で「Up」が付いて『Boo’d Up』。一生懸命語ってますけども、どれぐらいの方が興味を持ってくださるのか?っていうのは甚だ疑問なんですけども(笑)。まあ、いくらでも語りたくなるような、そんなエラ・メイの『Boo’d Up』。ちなみにプロデュースを手がけているのは売れっ子のDJマスタードですね。DJマスタードはこういう歌ものの依頼、今後どんどん増えていくんじゃないかなと思います。

<書き起こしおわり>

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