松尾潔 SoMoとCandice Boydを語る

松尾潔 SoMoとCandice Boydを語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でソーモーの『First』とキャンディス・ボイドの『Damn Good Time feat. フレンチ・モンタナ』を紹介していました。

さて、このようにR&Bマニアを自認する人の間では、もう勝手に名曲として位置づけて、「ほらほら、ニコール・レネー(Nicole Renee)のさ、『Strawberry』さ……」みたいに、普通に言ってしまいそうになるぐらいの曲っていうのは結構あるものです。で、ふと気づくんです。「あっ、ニコール・レネーという人がいましてね……」っていうところから話を始めないといけないなって。この話し方は僕、久保田利伸さんに教わったものなんですよ。ずいぶん昔に。ついつい忘れそうになるんですよ。

松尾潔 Trina BroussardとNicole Reneeを語る
松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でトリーナ・ブラッサード『Adieu』とニコール・レネー『Strawberry』について話していました。 (松尾潔)アッシャーと言えば、出世作はなんと言っても『You Make Me Wan

久保田さんは新聞記者のインタビューに対してはいまでも、「僕の大好きなマーヴィン・ゲイという人がいるんですが……」っていまだに言うそうですからね。やっぱりトップに立つ人っていうのはすごいなって思うんですけども。そこまで高い志もない私がついつい、「今度のさ、ソーモー(SoMo)の新曲さ……」って言ってしまうソーモーについてご紹介したいと思います(笑)。

ソーモーっていうのはこの番組で一度、ご紹介しております。いま、バックで流れております『Ride』という曲。これはね、アメリカのR&Bシーンではよくできたベッドタイムミュージックとして定番化しつつある曲なんですね。

SoMo『Ride』

ただ、これね、動画を見て驚きますけども。これもちょっと、「その考え方が古い」って言われるかもしれませんけども。一見R&Bとは無縁のような、アメリカの青春映画で出てくるバスケットボール部のキャプテンみたいな白人青年が歌っているんです。これを。ソーモーっていう人。これはやっぱりロビン・シック(Robin Thicke)以降の流れ。で、まあロビン・シックのハイファッションを着こなすスタイリッシュな、でもファンクネスあふれる感じっていうのがひとつの道を作っているっていうことじゃないかと思いますね。

で、このソーモーっていう人、曲作りの才能もなかなかのものでございまして。この泉はあまり枯渇することがないのではなかろうか? と。いまのところ、潤いを失う兆候なし。本当にいい曲を作る、ちょっと気にしている人です。今年の8月にリリースされたシングルを聞いていただきたいと思います。白人男性シンガー。ちょっと前の言い方ですと、ブルー・アイド・ソウルシンガーですね。ソーモーで『First』。

SoMo『First』

Candice Boyd『Damn Good Time ft. French Montana』

2曲続けてフレッシュなR&Bをお届けいたしました。ソーモーで『First』に続きましては女性シンガー、キャンディス・ボイド(Candice Boyd)。フレンチ・モンタナ(French Montana)という人気ラッパーをフィーチャーしております『Damn Good Time』。プロデュースを手がけているのはロドニー・ジャーキンス(Rodney Jerkins)ですね。ロドニー・ジャーキンス、復調目覚ましいですね。復調した後、安定しているという感じがいたします。

キャンディス・ボイド、これはキャンディスという名前で活動をしていた時期をご存知の方がいらっしゃるかもしれませんね。とは言っても、この2年ぐらいの話ですね。ニーヨ(Ne-Yo)の秘蔵っ子として世に出てきたんですが。いま、キャンディス・ボイドと名乗っております。この『Damn Good Time』という曲は彼女の新しい代表作になるんじゃないかな? と僕は思います。で、この曲、「あれ、これなんだっけ? なんだっけ?」って思いながらバックトラックに耳を傾けてみますと、「ああ、そうか!」と。これは1998年のヒット、タミア(Tamia)の『So Into You』をサンプリングで使っていますね。

今日のなんか裏テーマみたいになっていますけども。トリーナ・ブラッサード、ニコール・レネー、こういった人たちが世に出てきた時に彼女たちよりもはるか上位にランキングしていたのがタミアですね。タミアね、この間、放送で2回ぐらい「タミアも40才になりましたよ」っていう……タミアが40才になることにそんなに反応しているラジオDJは僕だけじゃないかな? と思いますが。つまり、90年代の輝けるR&Bシーンのあの頃の「フレッシュ」って言われた人たちがもういまそれぐらいの世代になっているということが言いたいんですね。ですから、当然いまの20代のシンガーの作品に定番曲としてサンプリングされる機会も自然に増えておりまして。それもそういった現象のひとつでございます。98年ですから、もう考えてみますと20年近く前の曲ですよね。『So Into You』がこういう形で蘇生するっていうのは、いつも言っていますようにひとつのジャンル、一つの音楽性を同じくするもの。これを聞き続けてきた、そういった人たちならではの楽しみじゃないかと思いますね。

<書き起こしおわり>

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