PUNPEE『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』とアメコミ映画を語る

荻上チキ『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を語る SOFA KING FRIDAY

PUNPEEさんがJ-WAVE『SOFA KING FRIDAY』の中で映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』についてトーク。リスナーからのメッセージに答えながら、あれこれと話していました。

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(PUNPEE)本日の話題は絶賛公開中のマーベル・シネマティック・ユニバース最新作、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の話をしようと思っております。2008年の『アイアンマン』から始まりましてソーやハルクだったりスパイダーマンが入り混じってアベンジャーズという流れになったよとか、盛り上がりをみせているマーベル・シネマティック・ユニバースなのですが、今年で10年目ですね。

前作の『ブラックパンサー』もかなり異様な盛り上がりを見せた流れの最新作。ルッソ監督というですね『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を撮った兄弟の監督が今回は監督をしてるという感じです。自分のアメコミ好きっていうか、全然オタクじゃないんですけども。テレビ東京やっていた『X-MEN』のアニメらへんからハマりまして。小学館プロダクションさんの邦訳の本とか原書とかを地味に読ませていただいてるんですけども。

それでですね、インフィニティ・ガントレット』っていう1991年のみんなが集結する……今回の割と原作に近い作品も95年ぐらい。20年前ぐらいには読ませていただいていたので。なかなか感慨深い今回の映画化という感じに自分の中でなっています。

インフィニティ・ガントレット (ShoPro Books)
Posted at 2018.5.5
ジム・スターリン
小学館集英社プロダクション

あと、『マーヴル・スーパーヒーローズ』っていうカプコンが出していた格闘ゲーム。あれの元にもなっている作品、ジェムっていう宝石が出てきたりするやつなんで。結構感慨深い。20年ぐらいを経て、そこに来たかっていう感じで勝手に自分も盛り上がっております。で、この『インフィニティ・ウォー』に関してのメッセージを募集したところ、結構来まして。いろいろと来ております。読ませていただきます。

好きなアメコミキャラ

徳島県の方。「PUNPEEさん、こんばんは。いつもソファーに座って聞いてます。突然ですがPUNPEEさんがいちばん好きなアメコミキャラは誰ですか? 教えてほしいです」。はい。みんな好きだし、それぞれがその時に見せ場があって。『この人はこういう見せ場がよかったよね」って自分はそういう感じなんですけども。最近だと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』という作品のヨンドゥという青い顔をした人がよかったです。ケンタウリアンっていう種族の役なんですけども。親心も持ちつつ、演技もすごくいいんですよね。マイケル・ルーカーさん。すごく落ち着いて見えるし、声とかもいいし。結構好きでした。

あとはクイックシルバーという『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に出てくるものすごいスピードで走れる、みんながゆっくりに見えちゃうぐらい走れる能力を持ったやつがいて。その人からすると「人生はATMに並ぶようなものだ」みたいな。それぐらい遅いみたいなことを言っているキャラクターがいるんですけど、それも結構好きで。その人はマーベルだけど他の映画配給会社、FOXが配給している『X-MEN』にも出ていて。同じ名前で違う役者さんで出ているんですけど。それに出てくるクイックシルバーの時間をほとんど止めている状態で走っている……警備員にみんなちょっかいを出しているシーンがすごい好きで。クイックシルバーなんかも好きですね。

あとはセントリーっていうコミックスのキャラがいるんですけど。情緒不安定なスーパーマンみたいな人もいて。その人も好きですね。スタン・リーっていうマーベルの結構有名な創始者みたいな人が40年間構想を練っていたという、そういうメタな設定で出てきたキャラなんですけども。セントリーというキャラクターも好きです。

なんか、やっぱり魅力としてみんなそれぞれ悩みがあるのが好きですね。スパイダーマンはもともとガリ勉くんでいじめられっ子だったし、トニー・スタークは武器を売っていて、それで人が死んでいるのを知らなくて。それを目の当たりにして「世界を救おう」って思ったキャラだし。みんなきっかけがあるんですよ。X-MENはミュータントで虐げられたり差別とかされていて。でも、共存のために自分たちを犠牲にして戦ったりだとか。そういうところも魅力のひとつだと思いますね。あと、やっぱりマーベルもDCっていう競争相手の会社もそうなんですけど、歴史が古いからすごい実験を繰り返しているんですよ。もう終わりそうになった時とかも、60年とか70年の歴史がある会社なので、たとえばもしマーベルの世界の中に一般人が入ったらっていうその一般人の視点で描かれている『マーベルズ』っていうやつだったりとか。

マーベルズ (ShoPro Books)
Posted at 2018.5.5
カート・ビュシーク
小学館集英社プロダクション

過去が改変されちゃったからシリーズの全ての題名が変わっちゃったりとか。いろいろとヒップホップでは考えつかないようなこともやったりしていて。結構作品にメタ的な表現を入れたりとか、参考にさせてもらったりもしています。続けていくことの大切さっていうのを教えてくれるメディアでもあると自分の中では思っております。

というわけでここで1曲。特に本編とは関係ないんですけど。アイアンマン役のロバート・ダウニーJrさんが歌ったザ・ポリスの『Every Breath You Take』という曲のカバーになります。どうぞ。

Robert Downey Jr『Every Breath You Take』

はい。聞いていただいたのは『Every Breath You Take』。ロバート・ダウニーJrさんでした。スティングがいたザ・ポリスのカバーに……っていうか、一緒に歌っているのか。パフ・ダディが『I’ll Be Missing You』という曲でサンプリングしたりもしていました。

『アリー my Love』というドラマの中で歌っていたのかな? という曲になりました。演技がすごくいい上に歌も歌えるっていうね。はい。ここで一旦コマーシャルです。

(中略)

今夜はマーベル・シネマティック・ユニバース最新作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の話題を。ここでもうひとつ、お手紙です。「PUNPEEのオジキ、こんばんは。MCU作品は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『アイアンマン』を筆頭に既存の音楽の使い方が非常に上手だと思います。そこでオジキがMCU作品でうなった音楽絡みのシーンなどあれば教えてください」。

MCUお気に入りの音楽シーン

はい。単純に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』という作品で宇宙に投げ出されちゃった地球人の主役がお母さんに昔もらったテープですね。『Awesome Mix』っていうお母さんのお気に入りの曲を入れたテープを聞いてるシーンがあって。それが実際にその映画のサントラにもなっているんですけど。

GUARDIANS OF THE GALAXY
Posted at 2018.5.5
OST
HOLLR

ガーディアンズはもちろん、すごい音楽の使い方が好きでした。ですが、自分が好きなシーンは『アイアンマン2』ですね。『アイアンマン2』って結構既存の曲が使われている映画で。言ったらロブ・ベースの『It Takes Two』とか、今回の新しい『アントマン&ワスプ』のトレーラーでも使われていましたね。それとか。

あとはロバート・ダウニーJrがDJで『California Love』でかけたりとかしているシーンがあったりもするんですけど。そのシーンの中でアイアンマンが酔っ払った次の日かなんかに二日酔いみたいな状態でドーナッツ屋の上でドーナッツを食べているシーンがあるんですね。マスクを脱いで。ドーナッツのでっかいオブジェ。アメリカのよくあるドーナッツ屋の上でドーナッツを食べているシーンがあるんですけど、そこでビースティ・ボーイズがかかるんですね。そこは結構好きでしたね。いまかかっている曲っすね。これ。

いまはもう『ブラックパンサー』でケンドリック・ラマーとかが絡んでいますけども。なんか自分の好きなヒップホップとマーベル作品が絡んだのがすごくうれしかったっていうか。結構「おおっ!」ってなった記憶があります。あとはさっき言ったすごく早いクイックシルバーの、これはFOXの配給になっちゃいますけども。『X-MEN:フューチャー&パスト』かな? その中で使われた『Time In A Bottle』っていう曲も結構好きですね。

あとはあれだ。『アイアンマン2』で、さっき言い忘れたんですけども。サム・ロックウェルっていう『スリー・ビルボード』の警官役だった人。彼が『アイアンマン2』にも出ているんですけど。それで出てくる時にアベレージ・ホワイト・バンドの『Pick Up The Pieces』で出てくるところ。すごい安っぽい踊りで出てくるんですけども。そのシーンも結構好きなシーンのひとつです。

というわけで、ここでもう1曲。『Mr. Blue Sky』という『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.2』の冒頭で使われている曲。エレクトリック・ライト・オーケストラの曲なんですけども、ここで自分がよくDJでかけるメイヤー・ホーソーンバージョンをお聞きください。どうぞ。

Mayer Hawthorne『Mr Blue Sky』

というわけで『インフィニティ・ウォー』について全く触れられずに終わってしまいそうな30分だったんですけども(笑)。最後にサノスという今回のいちばん最後の敵。サノスっていう紫色のゴリラみたいな、顎が餃子みたいにヒラヒラしている敵がいるんですけども。ルッソ兄弟という監督が結構このキャラクターのバックグラウンドのシーンを7分ぐらいカットしたというのをメディアで言っていまして。いろんな俳優さんの噂だとかなり直前までサノスの設定が違ったという噂があったりもします。

『インフィニティ・ウォー』とサノス

ここからは本編には触れませんが、間接的に触れてしまうかもしれないので、ゼロから見たい方は耳を塞いで「アーアーアーッ!」っていう感じで聞いてもらえたらうれしいです。サノスって原作だとタイタンっていう土星の衛星みたいなところで生まれて。その星はすごい平和なんですね。みんなめっちゃ見た目もいいし。そこのエターナルのメンターという人のもとに生まれます。で、生まれた時に見た目が紫で母親のスイ・サンっていうのが生まれた瞬間に殺そうとするんですね。自分の子供を。「忌まわしい見た目の子だから殺してしまえ!」みたいな感じで殺そうとするんですけど止められて。だから結構世界に望まれない形で生まれてきたキャラクターなんですね。

そこから成長していく過程で女の子の友達ができて。その子とサノスは仲良くなったりするんですけど、とある事件で同級生がたくさん爬虫類みたいな恐竜に食べられて死んじゃうんですね。そこから生と死に関してサノスというキャラクターは虚無的な考えが芽生えて。自分の周りの人……母親とか、そういうみんなを実験の材料として殺めてしまうみたいな、そういうイカれているキャラクターなんですね。そこで発覚したのが、その女の子はみんなには見えていない自分の空想上の友達だったんですね。このサノスが出てくると絶対に出てくるデスっていうキャラクターなんですね。

死を人間に具現化した女性のキャラなんです。で、その女性に気に入ってもらうために宇宙中の生きている生あるものを消滅させ続ける。殺し続けるというか、自分の使命を抱いてそのデスへの献上品としてそういう行為を繰り返すというキャラクターです。だからなんか、世界の均衡を取るために的な感じで目的があるというか、そういうキャラクターなんですね。ジム・スターリンという人によって生み出されたキャラクターで。その人が出てくる作品にはだいたい「インフィニティ」という言葉がつきます。「インフィニティ・ウォー」とか。今回のは『インフィニティ』っていう2013年の作品と1991年の原作の『インフィニティ・ガントレット』というのを足したような作品になっているんですけども。

で、デッドプールという不死のキャラクターがいるんですけども。実はデスっていう女性はサノスには途中から冷たくなっちゃったんですけど、デッドプールに関してはすごい好きで。デッドプールが幽体離脱するとデスと会って一緒にダンスを踊ったりしているんですけども。サノスはそれを気に入らなくて「デッドプール、デスと会っちゃダメ! だからお前、一生死ねないようにしてやる」っていうことで、いまでは何をされても死なないキャラクターに、不死の呪いみたいなのをかけられているというそういう設定もあって、その三角関係も面白かったりするキャラクターなんですね。

デッドプール VS. サノス (ShoPro Books)
Posted at 2018.5.5
ティム・シーリー
小学館集英社プロダクション

ただ、サノスに関しては途中でいきなり宇宙を征服というか、命を消し去るのに「もういいや」ってなって、急に農夫になったりとか。結構、自分を目的があるヴィランみたいな感じじゃなくて、自分を悲劇のヴィランだと思っている結構本当にヤバいやつみたいな。しかも、いろんな惑星の女と子供を作りまくって。絶対に1人ずつ生き残っている人にはクリスマスを祝うっていう。しかもあの見た目で……っていう設定が結構面白いキャラクターですね。それが映画版で今回、どう描かれているのかは劇場に行ってたしかめて見てもらえたらと思います。

初心者向けのおすすめ作品

もう1個、メッセージを読みます。東京都の会社員の方。「マーベル作品を見たことがありません。ゴールデンウィークに見ようと思っているんですが、なにから見たらよいでしょうか?」。うん。これはなんですかね。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品を見ている人は結構、はじめて見る人には聞かれることだと思うんですが。うーん……心を鬼にして言うと、全部見てください。フフフ(笑)。2008年の『アイアンマン』から20作品あるんですけど、全部見た方がそりゃあ楽しいですね。はい。で、なんかこのMCUの流れの魅力ってなんだろう? 自分に合わなかった作品でもその後にそれを好きな人って絶対にどこかにいるんですよね。

仲間内にも、「俺はこれ、よかったよね」みたいな。「いや、俺はこれはテンポが早かったな」みたいな人とかいるんですけど、それを終わった後に話すっていう。「あれ、あっけなさすぎじゃない?」っていうのもこの作品群を楽しむ楽しみの2割か3割を占めているような気がしていて。それを詰め込んで見ちゃうと、どうしてもそこまで共有できないとなんかあんまりだなっていうところもあるから。前から思ったり言ったりしていたんですけど、小さい映画館を借りて全部見るっていうイベントをやりたいんですよね。1回で2個見るみたいな。ディズニーさん、マーベルさん、どうでしょうか? 来年の『アベンジャーズ』まで1年あるので、たぶん月に2本見ればいいペースだと思うんですよね。フフフ(笑)。

で、「この人にはこういう背景があって」とか。「ビハインド・ザ・シーンがあって……」とか。「『ブラックパンサー』はブラックカルチャーに結びついていて……」とか。「『ソー・ラグナロク』は即興演技が結構あって……」とか。ひとつずつ、最後の敵とかも特徴が違うんですよね。そういうのを共有しながら、そこにたどり着いた時のヤバさっていうのは結構体験でしか得られないものだと思うから。全部見てください。フフフ(笑)。それかまあ、「近道でこういう見方をしたらいい」って言っている人もインターネットに何人かいるんで。「この映画を見なくてもいい」みたいな。そういうのを参考にして見ていただけたらと思います。はい。

というわけであなたの親愛なる隣人の凡人PUNPEEがお送りした『SOFA KING FRIDAY』。今回も尻切れトンボに終わってしまいましたが、次回もゆっくりと楽しんでいただけたらと思います。ありがとうございました。サヨナラ、サヨナラ……。

<書き起こしおわり>

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