プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で、貴乃花部屋の力士・貴公俊がミスをした付け人を暴行した事件について話していました。
(プチ鹿島)貴公俊ですよ、やっぱりなんつったってね。
(塩澤未佳子)この間、名前を覚えてね。そしたら、こういうことでね。
(プチ鹿島)今日の報知新聞ですか。面白かったですよ。一面に「今場所の貴乃花親方」っていうので。初日から4日目、欠勤。5日目、役員室での滞在、2分40秒。6日目、30秒。7日目、25秒って……取り組みじゃなくてこっちを報じているんですよ(笑)。
(塩澤未佳子)アハハハハハッ!
(プチ鹿島)8日目、1時間15分滞在。9日目。今回のことがあったから3時間滞在。
(塩澤未佳子)よく見てましたね!
今場所の貴乃花親方滞在時間
裁量労働制。 pic.twitter.com/MlXI5KSHeC
— プチ鹿島 (@pkashima) 2018年3月20日
(プチ鹿島)各スポーツ紙、タブロイド紙はやっぱり報じてましたね。「ういーっす!」っつって15秒で帰ったっていう。相撲じゃないんだっていう。この時間、30秒とか25秒ってね。そっち?っていう。だから僕、ちょっとオープニングでも言いましたけど、しゃべりたいし、もう今日のテーマは図らずも、「呆れた」じゃないですか。僕、正直ちょっと呆れたんですよ。貴乃花親方というか、この相撲を巡る……。
(塩澤未佳子)ええ。
(プチ鹿島)だって、告発状を出したのもあれ、場所前じゃないですか。なんでそうなんだろう?って。俺、そんなにいま、熱狂的な相撲ファンじゃないですよ。毎日、2時間も3時間も見ているっていうわけじゃないですよ。だけど、なんでこの人はいつも場所が始まろうとするとこういうことをやるんだろうな?っていうので、本当に呆れたんですよ。で、これを面白おかしく僕が野次馬で、読みどころをやってもいいですけど……もう触れない方がいいなと思ったんですよ。
(塩澤未佳子)もうそんなになっちゃいました?
(プチ鹿島)本当に呆れたんです。場所前になんでこういう行動を起こすのかな?って。そしたらまたマスコミは、今日紹介したように貴乃花が役員室で欠勤した、出勤したって。そっちでしょう? みんな、お相撲さんはいま土俵でがんばっているでしょう。でも、こっちが一面になっちゃうわけですよ。これはわざととしか思えないよね。妨害ですよね。それを後ろで、知恵をつけている人もいるんだろうなっていう。
(塩澤未佳子)そうね。そこまでね。
(プチ鹿島)さて、それを横に置いておいて、今回の貴公俊の話を聞いた時、僕はどう思ったのか? といいますと、「付け人、とんでもねえしくじりをしたな」って思ったんですよ。だって、取り組みに間に合わない。出番時間を間違えられて。なんだったらもう急いで土俵下に行って。関取がですよ。ありえないじゃないですか。
(塩澤未佳子)ああ、そういうことになっちゃったんですね。
(プチ鹿島)うん。これ、とんでもないしくじりですよ。付け人としてはありえない大失態ですよ。これはね、カチ食らわされます。たぶんあちらの世界の価値観で言うと、食らわされます。芸人でも、たぶんこれぐらいデカいしくじりをしたら、それは後輩怒られますよ。ただ、そうは言っても「暴力はやめよう」っていう話になっている時、じゃあそれを食らわすのを肯定していいのか? 見逃していいのか? しかも、暴力のことをあれだけ言っている貴乃花親方の弟子でしょう? だからそれはダメでしょうっていう話で。それとこれとを分けて言うと、これ付け人、とんでもなくしくじったなって。こんな間違いをしちゃうんだって思ったんですよ。これは怒られると。
(塩澤未佳子)ええ。
(プチ鹿島)ところが、詳しい解説とかを見ると、今日の日刊スポーツ。これは一面なんですけども。やっぱり貴乃花親方って優秀なんでしょうね。実は貴乃花部屋っていま9人いるんですよ。序ノ口以上の力士、在籍9人のうち関取が4人。これはとんでもなく成績がいいんですよ。4/9がもう関取なんですから。やっぱり教え方、もしくは素材を見つけるのが貴乃花親方は素晴らしいんでしょうね。相撲道っていうのがね。
(塩澤未佳子)はい。
貴乃花親方の優秀な弟子育成能力
(プチ鹿島)で、しかも貴ノ岩が復帰して貴公俊が新十両に昇進するため、出場する力士は倍増した。これ、どういうことか?っていうと、付け人を務める若い衆は5人しかいなかったっていうことなんですよ。関取が4人ですからね。9人のうち。で、残りの5人が若い衆でその関取の付け人をしなくちゃいけないんです。さっきの事務所の話じゃないですけど、ここまで目が行き届くわけないじゃないですか。
(塩澤未佳子)はー!
(プチ鹿島)で、そういう時に普段はどうするか?っていうと、他の部屋では一門の別の部屋から若い衆を借りて、応援をたのむんだって言うんですよ。そうすると、1人の関取に対して世話が行き届くから、今回のような間違いは起きない。
(塩澤未佳子)そうですね。
(プチ鹿島)だからなんでこんなありえないしくじりをしたんだろう?ってちょっとびっくりしたんですよ。付け人としては付け人の仕事を、いちばんやっちゃいけない間違いをしているわけですよね。土俵に送り出すのを、時間を間違えたっていうんですよ。だけど、この解説を読んでみると、やっぱり4人しかいないのにいろんな関取のケアをしなくちゃいけないっていうことで、とっちらかりますよね。
(塩澤未佳子)ああ、手が回らないんだ。
(プチ鹿島)そう。つまりこれ、どういうことか?っていうと、貴乃花親方が一門の別の部屋から若い衆の応援をたのめばいいわけですよ。それをしていないっていうのが今回の要因なんですよ。これ、日刊スポーツの解説とかを読むと。じゃあ、なんで借りないのか? だからこれ、他の部屋の助けを借りることはプライドが許さなかったのか、もしくは一門の中でも孤立しちゃっているのかっていう。普通、親方は一門だったら「ごめん、うち、9人のうち4人が関取で、5人しか付け人いないから。若い衆が大変でケアもできないから応援、貸してくれる?」って言ったら、そりゃあ一門の親方だったら「ああ、いいよいいよ」ってそりゃあ、貸しますよね。
(塩澤未佳子)普通はね。
(プチ鹿島)それをいままで、相撲界ではやってきたっていうんですよ。それを貴乃花親方は一門にも助けを求めなかった。これ、結局プライドが許さなかったっていう話になっているけど、いちばんかわいそうなのは付け人であり、お相撲さん。関取ですよね。土俵の上で、もしくは現場で恥をかくのはこの人たちなんだから。そこを僕は思いました。
(塩澤未佳子)そうだね。そこをケアしてあげないと。
(プチ鹿島)結局、だから貴乃花の振る舞いになっちゃっているわけですよ。振る舞いに問題が。ここも行き着いちゃっているわけ。僕は最初に聞いた時、「付け人、とんでもねえ失敗したな。そりゃあ、食らわされるわ」って。向こうでの価値観で言うならですよ。でも、「殴っちゃいけないだろうな」って思ったですけど。そりゃあ「でも、口でも怒られるわ」って思ったんですよ。
(塩澤未佳子)いちばん大事なことですから。それをミスしたんですからね。
(プチ鹿島)何度も言うけど、そういう世界だから。芸人もちょっと似ていますけど。でも、暴力はないですけど。でも、よくよく調べてみるとそういう、同じ一門の他の部屋に応援をたのまないし、しなかったっていう。貴乃花はそれでいいかもしれないよ。
(塩澤未佳子)自分のポリシーがあるかもしれないから。
(プチ鹿島)これ、付け人がかわいそうだよね。で、殴られてさ。で、一発どころじゃないんでしょう? これ。
(塩澤未佳子)そうみたい。
(プチ鹿島)でしょう。だからそうなるとこれ、日馬富士暴行問題で相撲協会の改革を訴えた。僕はそれ、美しい話だと思うし、しかも「隠蔽をさせない」って世の中に訴えた。「そうか、そういう戦い方があるんだ」って思いましたけど。ここに来て、ねえ。それを応援している人、理解をしている人も理解に苦しむような行動をやっちゃっているんじゃないかな?って思いますよね。で、貴乃花自身の暴力の話も、実は裁判とかで証言をされているし。そうなると、じゃあ「改革」っていろいろあるけど、なにを改革……何度も言いましたけど、宝島からでた『貴の乱 日馬富士暴行事件の真相と日本相撲協会の「権力闘争」』っていう本を読んでもらえばいちばんわかるんですけども。
『貴の乱』
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)宝島って本当に詳しい取材には定評があって。それを5年間、相撲協会や貴乃花周りを取材していたというので、ただの昨日今日のトレンドだから出したっていう本じゃないんですよ。それを読んでみると、やっぱり(亡くなった)北の湖親方から貴乃花に黒いタニマチが移って。で、貴乃花親方はそれを守ろうとした。相撲を利用して裏金とか勝手にもらって私服を肥やしていた人を。で、それを貴乃花は味方にしていて、それを切ろうとしたのが八角理事長だという。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)だからいろんな悪とか、いろんなマイナス要因ってどんな業界にもあると思いますけども。ひとつのマイナス要因を切ったのが八角さんでしょう? そうなると、誰が改革者なのかな?って本当にわからなくなってくるんですよね。
(塩澤未佳子)いやー、わかんない(笑)。
(プチ鹿島)貴乃花史観で見ていくとですよ。
(塩澤未佳子)貴乃花も……でもこのまま自分を貫いていっても、これは困りますよね。
(プチ鹿島)だからいちばんいいのは本当に……「飛び出す」っていうのもありなのかな? オフィス貴乃花。
(塩澤未佳子)アハハハハハッ! なんか期せずして話が(笑)。
(プチ鹿島)でも、貴乃花が「T.Nゴン」っつったらなんか殴っている音に聞こえますよ(笑)。
(塩澤未佳子)アハハハハハッ! なんかややこしくなっちゃう(笑)。
(プチ鹿島)まあでもそれ、どうなのかな? 自分の相撲協会を作るっていうのもありかもしれない。そしたらやっぱり「じゃあ徹底的に理想を追えよ」ってなるじゃない?
(塩澤未佳子)いいですもんね。それはどうぞどうぞって。
(プチ鹿島)でも、貴乃花はいまある協会の中でトップに立ちたいわけでしょう?
(塩澤未佳子)出るっていうのは考えてないのかな?
(プチ鹿島)トップに立ちたいっていうことはむしろ権威的じゃないですか。だからこう、なにがなんだかわからないですよね。誰が改革者なのかっていう。暴力に関して、今回の付け人を殴ったっていうのも僕の気持ちでは「これ、どうなっているの?」っていうと、結局貴乃花に行き着いたというのが今回の結論にもう、なっちゃうわけですよね。最初は「付け人、とんでもねえ失敗したな!」って思ったけど。「ああ、付け人がかわいそう」って思うようになっちゃった。で、お相撲さんもかわいそう。
(塩澤未佳子)ねえ。
(プチ鹿島)だって本当に土俵で相撲を取ることだけに集中したいはずですよ。それを「えっ、俺の出番?」っつって小走りでなんか行きたくないですよ。絶対に。
(塩澤未佳子)そりゃそうですよ! 時間をかけて、そこに気持ちを全部持っていくんですから。土俵の上にね。
(プチ鹿島)そう。っていう。これ、漫才とかでもこんなことをしたら本当に怒られますよ。中盤以上、トリまでに出てくるような先輩、もしくは大御所師匠の出番を間違えて。タバコを吸っている中、慌てて来たっていう。で、プロだからちゃんとやるんでしょう。笑かして帰ってきたら、そりゃあ小言は言われますよ。「もっとちゃんとしろよ」って。そういうの、さんざん見てきたし、やってきたし。先輩にね。「ああ、しまった!」っていうのはあるし。殴られはしませんよ、そりゃあ。だけど、あちらの価値観で行くと、そこに食らわすのが入ってきちゃっているという、そういうことなんでしょうね。それはもうやめようと言っているわけだから。
(塩澤未佳子)はい。なかなか大変でございますが。
(中略)
(プチ鹿島)さっき僕、付け人がなんであんなしくじりをしたんだ?っていう驚きとともに、あちらの価値観ではこれは食らわされるだろうなって言いましたよね。たぶん、貴公俊も自分の親方が協会に対して、日馬富士から貴ノ岩を守るために「隠蔽をするな。暴力はよくない!」って言っているというのは当然、100も承知だと思うんですよ。その中でこれが起きている……いかに(暴力が)日常になっているのかっていうのを、誰が悪いとかではなくてまず、僕らは想像した方がいいんじゃないか。だって自分の師匠が「暴力はよくない」って言っている時にこれだけやるということは、もうたぶん日常に染み付いていたっていうことでしょうね。何度もそういう現場も自分で見ていたということでしょうね。
(塩澤未佳子)ああー。
(プチ鹿島)だから、それこそ口よりも先に手が出ちゃうっていうのは、いかに染み付いているか、いかに根深いかっていう。だからこそ師匠は「暴力はやめよう」って戦っているのかもしれないけど。実際にいま……。
(塩澤未佳子)こうして起きてしまいましたもんね。
(プチ鹿島)だからここは本当に「うわーっ、じゃあ貴乃花。お前も悪いじゃないか! 暴力、わーっ!」っていうのではなく、白か黒かじゃなくて、「これだけ暴力が日常化していたんだな」っていうのを思い知らされますよね。
(塩澤未佳子)そこからね、また「暴力はダメだ」ということを染み付けていかなきゃいけないわけですもんね。
いかに暴力が日常化していたのか
(プチ鹿島)そうなんですよね。でも一方で、「これは食らわされるな」って僕は瞬間的に思っちゃったから。そっちの、ある程度理不尽な論理っていうのは芸人にしろ、相撲界にしろ、どんな業界にもあると思うんですけども。ただもう、そこで「暴力はやめましょうよ」っていうのでいま、なってきているから。でも、こういう話が出てくるんだっていう。
(塩澤未佳子)言っている先からっていうことですよね。
<書き起こしおわり>