荻上チキさんがTBSラジオ『荻上チキ Session-22』の中でタレントの稲村亜美さんが始球式を行った中学野球大会において、始球式後に中学生球児たちが稲村さんに殺到し、非常に危険な事態が起きた件についてトーク。主催団体のお詫び文について、その内容を検証していました。
(南部広美)始球式で稲村亜美さんに中学生が殺到。連盟が謝罪文。神宮球場で行われた中学生の野球大会の開幕式で始球式を行ったタレントの稲村亜美さんに多数の選手が殺到する事態があり、主催した日本リトルシニア中学硬式野球の関東連盟が公式サイトにお詫びを掲載しました。開幕式は今月10日に行われ、始球式をグラウンドで見ていた選手らがマウンド付近にいた稲村さんに押し寄せ、もみくちゃの状態になりました。その際、選手数人がケガをしたということです。連盟は稲村さんや所属事務所に対し「心よりお詫びを申し上げる次第です」と謝罪した上で、「決してあってはならないことだと考えています。その場にいた選手にはチームを通じて猛省を促すとともに、今後このようなことが起きないよう教育を続けてまいります」としています。
(荻上チキ)手短に、始球式に中学生が殺到した案件ですけども。これは、動画を見たんですけどもとても恐ろしい映像ですよね。1人のタレントに対してワーッと取り囲むというような格好で、死者が出てもおかしくないような状況でした。
(南部広美)一斉に。
(荻上チキ)で、そうした恐ろしさに対していろいろな分析がされてきているわけですが……その分析がいちばん甘いのがこの日本リトルシニア中学硬式野球の関東連盟だということに僕はいちばん驚いています。一応、謝罪文をウェブサイトに載せているんですけども、一般に報道されているのが「選手に猛省を促すとともに、今後このようなことが起きないように教育を続けていく」ということが書かれているんですけども……。
(南部広美)はい。
(荻上チキ)さすがにそれ以外のことも書かれているんじゃないか? と思ってウェブサイトで原文を読んだんですね。というのは、明らかに人のせいにしている。「そこにいた中学生たちがやらかしました。そうしないように指導します」という風に言っているんですよね。でも、そういったたとえば始球式などの場所でしっかりと大人たちが管理をする、サポートをする、警備をする。それからいろいろな状況整理をしつつ、その位置づけというものをあらかじめインフォメーションしておくだとか、そうした「なにが足りなかったのか?」という検証が協会側において一切なくて、「中学生、この野郎!」みたいな観点から、「次からは躾けておきますんで」みたいな、そういった格好の内容になっているわけですね。
連盟の謝罪文
今回の行為についてその場にいた選手には、チームを通じて猛省を促すとともに、今後このようなことが起きないよう役員同指導者、選手の教育を続けてまいります。 https://t.co/FaUyPJnWHehttps://t.co/HKPfOpXLNa pic.twitter.com/pa92e90I73
— みやーんZZ (@miyearnzz) 2018年3月14日
(荻上チキ)こうした精神論的な謝罪文なんていらないわけですよ。組織なんだったら、組織としてどういう対応ができるのか? どういったところを改めるべきなのか? そうしたことをしなければいけないにもかかわらず、その場にいた中学生たちがなにかやらかしましたというところだけに矮小化してしまえば、いろいろな観点……こういった様々なパニックに近いような騒動を防ぐということは到底できないわけですね。
(南部広美)はい。
(荻上チキ)教育でそうした集団心理に歯止めがかけられるんだったら、渋滞も起きないし、なにも問題が起きないことになってしまうわけですよ。なので、猛省すべきは連盟だと思うので、そのあたりはちょっとお詫びをやり直してほしいなという風に思いました。
<書き起こしおわり>