松尾潔 Sidibe『Unreachable』を語る

松尾潔 Sidibe『Unreachable』を語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でリズム・アンド・ビューティーと題し、女性ボーカルR&Bを紹介。Sidibe『Unreachable』、Rhyon『This Ain’t Love』、Danielle Bellas『Starship (Rishi Rich Remix)』を選曲していました。

(松尾潔)まず最初にお届けしたいのは大変見目麗しい女性シンガー、シディベでございます。この番組では、彼女の『I’m Only Dreaming』という曲を2015年のメロウトップ20に選んだということがございました。

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昨年も、このシディベの曲、番組でね、ご紹介したりしてますね。

松尾潔 Sidibe『Strangers』を語る
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「リズム・アンド・ブルース」という言葉がR&Bという言葉の元になっているのですが、さしずめシディベなんかのことをね、「リズム・アンド・ビューティー」と言っても良いんじゃないかと、ちょっとおじさんぽい感じの話をしておりますが(笑)。R&Bの「B」が「Beauty・Beautiful」じゃないか?っていうくらい、本当に景色の良い女性ですね。声の方も大変特徴時というか。まあ、ジャネット・ジャクソンの80年代、90年代の歌声を思わせるという評判が定着していますけども。その先の景色を描こうと、彼女はいま、必死にやってるんだな、なんてことがうかがえる曲を聞いて下さい。ちょっとイントロがね、これこそ80年代のR&Bの人気バンドでありました、クール・アンド・ザ・ギャングの『Cherish』を意識してるんじゃないかな?って思います。

そんな意識で聞いていただければと思います。シディベの新曲『Unreachable』。

Sidibe『Unreachable』

(松尾潔)お届けしましたのはシディベの新曲『Unreachable』でした。先ほどクール・アンド・ザ・ギャングの『Cherish』という曲を彷彿させるという言い方をしましたけども、このイントロはまあ、完全に意識してるでしょう。けど、そこに愛情が感じられます。言うなればね、20代の頃。もしくは30代前半ぐらいまでの頃のジャネット・ジャクソンがクール・アンド・ザ・ギャングをバックにしたがえて歌ってるという、まあそういった風情ですかね。シディベ『Unreachable』でございました。シディベはこの番組では、『I’m Only Dreaming』『Strangers』、こういった曲をご紹介しましたけど、去年もね、『Prove My Love』という曲をリリースしておりまして、これはね、番組でオンエアーしようかな、どうしようかなと思ったんですけどもね、結局見過ごしてしまいましたが。

今年に入りまして、より『メロ夜』にふさわしい曲を届けてくれました。さて、リズム・アンド・ビューティーの名のもとに、もう少しビューティーの名にふさわしい女性シンガーをご紹介したいと思います。まず、ご紹介しますのは2017年。昨年、その名も『Pretty Girl』という作品集をリリースいたしました、Rhyon。これは「ライオン」ですかね? 「リヨン」ですかね? ちょっと私、読み方が分からないんですね。アルバムを丹念に聞くと、自分の名前を言ってる瞬間もあるのかもしれませんが。まずは、音の方を聞いていただきたいと思いますね。Rhyon。曲の方はメアリー・J.ブライジの懐かしき『Real Love』を下敷きにしております。『This Ain’t Love』。

Rhyon『This Ain’t Love』

Danielle Bellas『Starship (Rishi Rich Remix)』

(松尾潔)昨年リリースされたアルバム『Pretty Girl』の中から女性シンガー、Rhyonで『This Ain’t Love』をお届けいたしました。僕、「リヨン」っていう風にお話ししましたけれども、「ライオン」っていう風に読むのかな? いま、番組のスタッフと「リアーナの例もあるからな」なんて言ってましたね。「Rihanna」は「リアーナ」なのか「リアンナ」なのか。でも、いまは「リアーナ」っていう言い方が一般的になっていますけどもね。


(※どうやら「ライオン・ニコール・ブラウン」という呼び方のようです)

メアリー・J.ブライジ(Mary J.Blidge)もデビューした頃は日本では「メアリー・J.ブリッジ」と言っていたのは有名な話でございますし。サイーダ・ギャレット(Siedah Garrett)を「シーダ・ギャレット」と言っていたりとか。固有名詞の言い方ばかりはね、本人に聞かなきゃわかんないところもありますけどもね。「チャカ・カーン(Chaka Khan)はアメリカでは『シャカ・カーン』って言うんだよ」って言ったら、「ああ、そうなの? チャカとシャカだったら語感が違うね」って。で、本人に確かめてみたら「どっちでもいい」って言われてずっこけたとか、まあこういう話は私のようにこれだけ長年仕事をしてますと、「なんだ、そりゃ?」っていうようなね、ご本人はさほど気にしてないということがたくさんあるんですが。

名前ネタであまり引っ張るのもなんですけども、このRhyonっていう人はそもそも女優さんとして知られてる人でありまして。Rhyon Brownっていう名前で、いくつかの映画ですとかテレビ映画、そういったものに出てますね。特に、こういう音楽に直結している話題で言いいますと、ドクター・ドレーのかつての恋人として有名で、日本でも一時人気のあった女性シンガーでミッシェレイという女性シンガーがいますけども。ミッシェレイの伝記映画(『Surviving Compton: Dre, Suge & Michel’le』)で、そのミッシェレイ役を演じていたということが彼女のキャリアの飛躍のきっかけになりました。当然、その映画の中で歌声も披露しているそうです。私は見ておりませんが。

そもそもね、この人のお姉ちゃんがもともと『Better Be Good』という曲をスマッシュヒットさせたことがあります、ラヴォーン(RaVaughn)っていう女性がいますが。この人の妹なんですよね。

ですからまあ、エンターテイメントの世界にはずいぶん早い時期からいたという存在でございます。歌も達者ですね。で、さっきも話したように、90年代のR&Bシーンのスターの1人でしたミッシェレイの映画に出たような人ですから、その人が西に対して東のディーヴァだったメアリー・J.ブライジの『Real Love』。まあ、これはある意味90年代のニューヨークのヒップホップ・ソウルというムーブメントのいちばんのテーマソングといってもいいんですが。それを下敷きにした曲で、こうやって歌手として出てくるっいうのは、理にかなった話ですね。

続いてご紹介いたしましたのは、ダニエル・ベラスという、この人はイギリス人ですね。『Starship』という曲でございます。この曲は、ソウルクラシックスを下敷きにしているのですが、なにおわかりだったでしょうか? 「そりゃあ『Starships』だもん、あの曲でしょ?」っていう人はもう、結構長年ソウルミュージックを聞いてる人ですね。ノーマン・コナーズ feat. マイケル・ヘンダーソンの『You Are My Starship』という、まあソウルミュージックの古典がございますけどね。その曲のサビの部分を、今風の言い方でいうと「落とし込んで」いましたね。

ダニエル・ベラス。この人はイギリス人ってさっき言いましたけれども、オーストラリアに移住してソロシンガーとしてのキャリアを開花させた人であります。イギリスにいる時は女性ボーカルグループにいたそうなんですけども、その時のことは僕はよく知りませんが。ですが、いまオーストラリアと言っても、まあもちろんオーストラリアとイギリスの関係で言うとうなずける話なんですが。リシー・リッチ(Rishi Rich)というプロデューサー。この人はいわゆるインド系のイギリスのプロデューサーでございまして。Rishi Rich PROJECTという名義の自分の作品もあります。

90年代からで活躍してる人で、僕のCDラック、レコードラックにもかなりのコレクションがあるぐらい長年活躍している人ですが。久しぶりに僕もリシー・リッチの音を聞きましたけど、やっぱりかっこいいですね。まあ、リシー・リッチのもとから飛び出して世界中でスターになった人っていうと、ジェイ・ショーン(Jay Sean)という人がいますけれども。ダニエル・ベラスもそれに続くことができるでしょうか? 

<書き起こしおわり>

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