松尾潔 Keith Sweat『Let’s Go To Bed ft. Gerald Levert』を語る

松尾潔 キース・スウェット『Dress To Impress』を語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でキース・スウェットがジェラルド・リバートの未発表音源と擬似デュエットした『Let’s Go To Bed』を紹介。その他、ヴァンジェス、フロエトリーの楽曲も紹介していました。

(松尾潔)続いてご紹介するのはやはり90年代の音楽に大変影響を受けた姉妹です。ヴァンジェス(Vanjess)というデュオなんですけども。このデュオはね、動画サイトではもうちょっと前から有名人でございまして。数年前から姉妹で簡単なキーボードプレイと2人の歌声だけっていうそのシンプルな形態で次々に、主に90年代のR&Bをどんどんどんどんカバーしているんですよ。メドレーで歌ってみたりとか。まあそこに2人の味みたいなものを加えて披露してきて。ものによってはね、100万回以上見られているようなものがあったりするんですけれども。

Vanjess『90’s R&B medley』

まあ、じゃあその彼女たちが自分たちでオリジナルの作品を作ったらどうなるか?っていうと、まあ90年代の影響も認められますけども、やはり今様のアンビエントな味わい、色合いっていうのも意識した……ちゃんとそこはキチッと計算しているんだな、マーケティングのようなものがあるんだななんてことも考えて。意外にプロっぽいな! なんて思ったりもしております。聞いていただきましょう。ヴァンジェスで『Adore』。

VanJess『Adore』

Keith Sweat『Let’s Go To Bed ft. Gerald Levert』

2曲続けてお楽しみいただきました。90’s R&Bのカバーを次々動画サイトに発表して人気を博して、オリジナル作品のリリースに至りました姉妹デュオ、ヴァンジェスで『Adore』。そして、こちらは90年代R&Bブーム……世界的な現象になりました90年代R&Bブームのど真ん中にいて、いまなお現役。最新作『Dress To Impress』も大好調のキース・スウェット(Keith Sweat)。いまは亡き盟友ジェラルド・リバート(Gerald Levert)の生前の未発表音源を使っての擬似デュエット、『Let’s Go To Bed』をお聞きいただきました。

『Let’s Go To Bed』ね、「早く寝ろよ」ってこんな野暮な訳し方しちゃいけませんね。いかりや長介ではない! まあ、いいや(笑)。キース・スウェットは『Come Into My Bedroom』なんて曲をかつて歌っていた人ですから。

もう、このキースとジェラルドが言う時の「Go To Bed」というのがなにを意味するか?っていうのは、お分かりでしょう。これ以上言うのは野暮かもしれませんが。ジェラルド・リバート、亡くなって随分時間が流れてきましたけども、まだまだ曲はあるんでしょうかね。ラッパーの2パック(2Pac)とR&Bシンガーのジェラルド・リバート、結構ね、未発表音源に滋味深いものがあるというところで共通してますね。

で、このキース、ジェラルドにもう1人、ジョニー・ギル(Johnny Gill)を加えましてLSGというね、一時は「R&B界の三大テノール」と言われたっていうね。「全然テノールじゃないじゃん!」っていう突っ込みがかならず入るんですけども。その3人はトリオ形態でアルバムも2枚、出していますが、それ以外にそれぞれのアルバムの中で3人なり、2人なり、いくつかの組み合わせで、時にはジェラルド・リバートのお父さんのエディ・リバート(Eddie Levert)もそこに加わってコラボレーションを出しているんですね。

まあ、そういった作品だけを集めても1枚のアルバムができるんじゃないか?っていうぐらいに、あります。ある種、LSG外伝的なものがあるんですが、中でもこの『Let’s Go To Bed』という最新曲が、曲の出来としては屈指ですね。こんな隠し玉、取っていたのか!っていう。まあこのキース・スウェットの新作アルバム『Dress To Impress』の大充実ぶりを示す、そんな鮮やかな証左のひとつと言えるかもしれませんが。いささか興奮気味にお届けいたしました。

松尾潔 キース・スウェット『Dress To Impress』を語る
松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でキース・スウェットの最新アルバム『Dress To Impress』についてトーク。松尾さんが選曲した2曲を紹介していました。 (松尾潔)さて、続いて新譜をご紹介いたしましょう。もう新譜が...

まあ、このようにヴァンジェスの場合は本当に血がつながった姉妹。で、キース・スウェットとジェラルド・リバートはマインド、アティテュードを同じくする「ブラザー」と呼び合う仲。同性デュオ、兄弟デュオっていうのはね、本当に味わい深いものだなと改めて思うわけなんですが、続いてご紹介する同性デュオ。女性デュオなんですが、これはちょっと変わった形態でございます。1人は歌唄い、そして1人はラッパーならぬ、ポエトリーリーダーでございますね。ご存知、フロエトリー(Floetry)ですね。ご存知なのかな? 『メロウな夜』ではお馴染みです。

シンガーのマーシャ・アンブロージアス(Marsha Ambrosius)はいま、ソロアーティストとしてもすっかり、いま名声を確立いたしましたけどもね。一時は仲違いしていた2人がいま、また一緒にやるっていうのは、この2人は一緒にいてこそと思っている人たちにとっては、本当にいま、ハッピーな状態に戻ってきたという感じなんですが。これは仲違いしてしばらく疎遠になる前の作品でございます。2005年のアルバム『Flo’Ology』の中から、メロウな、それはメロウなナンバーをお聞きいただきましょう。フロエトリーで『Lay Down』。

Floetry『Lay Down』

女性デュオ、フロエトリーによるメロウなナンバーをご紹介いたしました。曲は『Lay Down』でした。

<書き起こしおわり>

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