町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、『キングスマン:ゴールデンサークル』について、その見どころを紹介していました。
(山里亮太)町山さん、もうこっちで公開が始まっちゃったんですけど、『キングスマン』の新作があるじゃないですか。
(町山智浩)はいはい。『ゴールデンサークル』。
(山里亮太)あれをね、明日ぐらいに見に行こうかなと思っているんですけど、「ここを見た方がいい」っていうポイントみたいなの、なにかあったら今日、聞けたらなと思って。すいません。個人的なあれで。
(町山智浩)はいはい。あれは、前作はものすごくアメリカをバカにした、イギリス人による「アメリカ、バッカでー!」映画だったんですけども。
(山里亮太)はいはい(笑)。
(町山智浩)今回は「アメリカ、バカだけどそれもいいじゃん!」みたいな映画になっていますね。
(山里亮太)ああー、なるほど!
(町山智浩)前回はひどくて。前作はね。だってアメリカの田舎の人を皆殺しにしちゃうんだもん。
(山里亮太)あの軽快な音楽に乗せてね、みんなえらいことになっちゃって。
(町山智浩)軽快な音楽に乗せて、楽しそうに(笑)。で、今回はところが、そのアメリカの田舎者が活躍する話になったんですね。
(海保知里)私は見てきましたよ。山ちゃん。私もね、見てきたんですけど。だから、内容を言わないようにいま気をつけています。はい。すいません(笑)。
ドラッグ問題がテーマ
(町山智浩)あれね、すごく難しいのはドラッグに対する……まあテーマが「ドラッグ」なんですね。敵がドラッグ王で。人のよさそうなおばさんのドラッグ王なんですけども。それとドラッグを禁止しようとする大統領が対立をするんですけども……ドラッグがいい・悪いということに対してはすごく難しい、観客が考えさせられる映画になっているんですよ。
(山里亮太)へー! なるほど。
(町山智浩)「ドラッグを絶対に禁止しろ!」って言っている大統領は、悪いやつなんです。で、そのドラッグを使用している人たちはいい人たちなんです。
(山里亮太)ほう、難しいですね。普通は逆ですもんね。
(町山智浩)逆なんです。ところがそのドラッグを売っているマダムは、世界の支配を狙っているような人なんですよ。で、ドラッグをいいか悪いかということを単純には考えることはできない映画になっていますね。
(山里亮太)ですよね。いまの設定でもそうですもんね。
(町山智浩)そうなんです。だからそれが世界の状況で。たとえばポルトガルでは全ドラッグの使用が完全に合法になったり。
町山智浩『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』を語る https://t.co/sEyn7E0qFP
(町山智浩)で、ポルトガルでは、15年ぐらい前に覚醒剤とか麻薬とかマリファナとか、一切の薬物使用を、個人的な所持とか使用では一切罪に問わないっていうことにしたんですよ。 #tama954— みやーんZZ (@miyearnzz) 2018年1月9日
(山里亮太)うん、うん。
(町山智浩)カリフォルニアでは今年の元旦から、マリファナは完全に解禁されたんですよ。
町山智浩 合法化決定後のカリフォルニア大麻ショップレポート https://t.co/O4dl5LyybI
(藤谷文子)あれ? カリフォルニアはずっと緑(医療用目的のみ使用可)でしたよね?(町山智浩)そう。医療用だけOKだったんですけど、もう2018年からなんでも、誰でも買えると。何もなしで。
— みやーんZZ (@miyearnzz) 2018年1月9日
(山里亮太)はいはい。
(町山智浩)そういう中で、トランプ政権の司法長官は「マリファナを含む全ドラッグを徹底的に殲滅する」という風に言っているんですね。そのへんの非常に複雑な政治状況を複雑なまま、「右か左か?」「白か黒か?」は判別不能な内容で提示しているのが今回の『キングスマン』なんですよ。
(山里亮太)なるほど!
(町山智浩)だから、「どうしたらいいんだろう?」っていう気持ちになるんです。面白いですよ。
(山里亮太)ああ、これまさに聞いておいてよかったです。見てきます!
(町山智浩)非常にね、「どっちなんだ?」っていうところが映画の面白さで。映画っていうのは、答えを提示するのではなくて、問いを投げかけるものだっていうのがよくわかる映画ですね。
(山里亮太)なるほど。自分の中で答えを出せばいいんですもんね。
(町山智浩)そうなんですよ。はい。
翌週の放送でのトーク
この翌週の放送で映画を見た山里亮太さんが町山さんにその感想を話していました。
(山里亮太)町山さん、『キングスマン』、見てきましたよ。
(町山智浩)ああ、とんでもないギャグがあったでしょう?
(山里亮太)とんでもないギャグ、ありました。
(海保知里)フフフ(笑)。
(山里亮太)町山さんのおっしゃっていた、大麻とかに対しての意見、考えを投げかけているっていうの、めちゃくちゃわかりました。散りばめられていますね。そこらへんが。
(町山智浩)問題はその、マイルーラみたいなものを入れるシーンがあるんですけど……。
(山里亮太)ありました!
(町山智浩)最近、マイルーラが流行ってないから、ああいうのの入れ方がわからない人、多いでしょうね。関係ないですが(笑)。
(山里亮太)あの、そこの葛藤も結構大事なんですよね(笑)。
(町山智浩)そうなんですよ(笑)。でも、最後はすごかったですよね。『キングスマン』って。
(山里亮太)すごかった!
(町山智浩)タイトルが本当に……ああっ、ダメだ。これ以上言えないけど……。
(山里亮太)ああ、そうか!
(町山智浩)オチが……はい。まあ、とんでもない映画なんで。パンフレットに原稿を書いていますんで、ぜひお買い求めください。
(山里亮太)買わせていただきました!
<書き起こしおわり>