町山智浩『ノースマン 導かれし復讐者』を語る

町山智浩『ノースマン 導かれし復讐者』を語る たまむすび

町山智浩さんが2022年11月29日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で『ノースマン 導かれし復讐者』を紹介していました。

(町山智浩)最近、ワールドカップってやってるじゃないですか。それで、ちょっとなんかこういう会話を垣間見たので、「あれ?」って思って。今回のワールドカップ、イングランドとウェールズが別々に出場してるじゃないですか。で、あとはスコットランドとかも別のチームで。「別々なのはなんで?」みたいなことをネットで言ってる人がいたんですね。

(赤江珠緒)まあ、全部ひっくるめて「イギリス」っていうイメージでね。なるほど。

(町山智浩)そう。これは日本がね、いわゆる大英帝国を「イギリス」って呼ぶようになったせいで、ずっと間違いが起こっているんですね。イギリスというのは要するにグレートブリテン、「UK(United Kingdom)」って言われている連合王国の中の一部だけなんですよ。それを国全体として「イギリス」って呼んじゃってるから、「イングランドって何?」ってなっちゃうんですけど。

それで結構みんな、よくわかんなくなってるんですけども。イングランドとウェールズとスコットランドは別々の国なんですよ。で、これが連合を組んで連合王国というものを形成しているんで。だからワールドカップとか、バラバラに出てくるんですけど。でも、オリンピックなんかでは一緒に出てきたりするから、わけがわからなくなるんですよね。で、このへんもすごくわかりにくいところがあって。っていうのは、あの島自体は「ブリテン島」って言うじゃないですか。「グレートブリテン」って言うじゃないですか。

で、ブリテンとかイングランドって何なの? みたいなことがあって。たしかにすごくわかりにくいんですけど。元々、島の名前が「ブリテン」なんですね。それは、そこの島に住んでいた人たちは「ブリテン人」っていう人たちなんですよ。で、それは「ケルト」と言われてる人たちで、ヨーロッパから流れてきた人たちなんですけども。それで、今のイギリス全土にケルト系のブリテン人っていうのが住んでたんで「ブリティッシュ」って言うでしょ? ブリティッシュ・エアウェイズとか。それは、そういう意味なんですよね。ところが、その後に「アングロ人」という人たちが来て、そのブリテン島の真ん中のあたりを支配しちゃったんですよ。

(赤江珠緒)ああ、イングランドのあたりですね。

(町山智浩)それが、アングロサクソンと言われてるアングロ人の土地なんですね。で、それがイギリスの語源になるんですね。イングランドってのは。ところがややこしいのはアングロ人、イングランドっていう地名は、実はドイツの地名なんですよ。

(赤江珠緒)ああ、ドイツ?

(町山智浩)ドイツとデンマークのあたりなんですよ。ドイツの北にある地方があって。そこが、アングルと呼ばれてた……これは「曲がっている」っていう意味なんですよ。「アングラー」って釣り師のことを言うでしょう? 釣りの針が曲がってるから。

(赤江珠緒)ああ、そうなんですね。

(町山智浩)そう。それで、そのデンマークの半島のアングル地方っていうのは曲がってるから、そこに住んでる人たちのことをアングル人と呼んでいて。それがイングランドを作ったから。だからイングランドとかイギリスっていうのは「釣り針」っていう意味なんですよ。しかも地名は、そのドイツとデンマークの地名なんですよ。すごく変なことになっているんです。

(赤江珠緒)もう、いろいろと入り混じってますね。歴史上ね。

(町山智浩)入り混じっているんですよ。で、しかもイギリス王国にはオランダの血も混じっていて。しかも、イギリスの紋章ってあるじゃないですか。クイーンとかが使っている紋章。あそこには、フランス語が書いてあるんですよね。で、イギリスなのになんでフランス語が書いてあるかっていうと、「ノルマン人」という人たちがいて。それはノルウェーとかの人たちですね。北欧人なんですけど。その人たちがバイキングだったんで。船に乗って斧とかを振り回しながら、大昔にフランスを侵略したんですよ。

で、その侵略した地帯を「ノルマン人の土地」という意味で「ノルマンディー」と呼んだんですね。その人たちがイギリスに攻め込んで、そのイングランドを支配しちゃったんですね。その後に。だからノルマン人はフランスに住んだ時にフランス語を覚えて。それでイギリスを支配したんで、イギリスの王国の紋章はフランス語なんですよ。

(赤江珠緒)はー! いろんな民族によって、色を何度も何度も塗り替えられてるみたいな感じですね。

(町山智浩)そう。めちゃくちゃややこしいんですけどね。で、最初の話に戻ると、スコットランドとウェールズって一体、どういうことなのか?っていうと、ずっとブリテン島全体にブリテン人が住んでいたんですけど。その真ん中の部分をアングロ人に支配されちゃったんで、その西の端と北の端にそのブリテン人たちは追いやられたんですよ。

(赤江珠緒)そうか。いわゆるスコットランドとウェールズに。

(町山智浩)そう。北に行ったのがスコットランドで、西に行ったのがウェールズで。それぞれの王国を持っていたんで。それで、完全に占領するって形じゃなくて、連合を組んだんですね。だから、なんていうか……それで今、スコットランドは完全に独立しようとしてますよね? イギリスからね。まあ「イギリスから」っていうと、またややこしいんですけど。UK、連合王国からね。という、ものすごくややこしいことがすごくヨーロッパでは起こっていて。あっちゃこっちゃでややこしいんです。このブリテン人というのは実はフランスにも逃げたんですよ。で、その逃げた先がブルターニュ地方なんですね。

(赤江珠緒)ああ、ブルターニュ! ほー!

(町山智浩)ブルターニュ地方はフランスなんですけれども。まあ、イギリス人に祖先があるわけですよ。これ、めちゃくちゃややこしいんですよ。で、なぜそういう話をするか?っていうと、そのノルマン人っていうのはどういう意味かっていうと、「ノルド(Nord)」。つまり「北の人たち」って意味なんですね。そういうタイトルの映画の『ノースマン』という映画を紹介します。『ノースマン 導かれし復讐者』というタイトルなんですが。「ノースマン」っていうのは「Nordman」。つまり、ノルマンのことなんですね。北方人、北欧人っていう意味です。これ、1月20日に日本公開なんですが。

これが、その頃、バイキングの人たちがヨーロッパ各地を冒険して、侵略していった時代の話なんですよ。で、主人公を演じるのはアレクサンダー・スカルスガルドというで。この人はスウェーデン人なんですけど。ややこしいのはね、スカンジナビアっていう地方があって。スウェーデン人、ノルウェー人、フィンランド人。それからさっき言ったデンマーク。これ、だいたいノルマン系で、ほとんど民族は同じなんですけど、国がバラバラになったんですよ。

これもまた、ややこしいんですけど。しかもフィンランドにはアジア系のサーミ人がいたりしてね、ものすごくややこしいんですが。で、この人はスウェーデン系なんですけれども。そのノルマンの物語っていうものはハリウッド製の映画がほとんどないから作りたいっていうことでこの『ノースマン』という映画を製作しました。これ、時代は9世紀頃のデンマークで始まります。

で、主人公はスカルスガルドが演じるアムレートという王子なんですけれども。次期国王になるはずだったんですけれども、自分の父親の国王……これ、イーサン・ホークが演じてますが。その国王が叔父によって、つまり国王の弟によって暗殺されちゃうんですよ。で、その主人公のアムレートはその時、10歳だったんですけど。その現場を目撃して、殺されそうになるんですが、脱出します。

で、父親を殺した叔父は、自分の兄の嫁である妃をめとって、王国を乗っ取るんですね。アムレートの母をめとっちゃうんですよ。で、その父の死を目撃したアムレートは名前を隠して、命からがら王国を脱出するんですけども。脱出しながら、父を殺して母を奪った叔父への復讐を誓うっていう話なんですが。まあ、すごく話を聞くと昔のね、王子様と王様の話だから……って思うんですけれども。これ、バイキングなんで。みんなね、裸に毛皮を着て、斧を振り回してるような筋肉モリモリの……そこに写真があると思うんですけど。そういう人たちです。はい。

(赤江珠緒)じゃあヨーロッパの騎士みたいな、ああいうイメージじゃないんですね。

(町山智浩)ああいうイメージじゃないです。もっと野蛮な、まあアーノルド・シュワルツェネッガーみたいな感じなんですね。

(赤江珠緒)もっとワイルドね。そうね。

(町山智浩)もっとワイルドな、とんがった剣とかでフェンシングとかしたりするんじゃなくて、斧で頭をかち割るっていう戦い方をしますからね。こん棒とかでね。で、これ、話を聞いて「あれ?」っと思った人はいるかと思うんですけども。これ、ストーリーはシェイクスピアの『ハムレット』なんですよ。

(赤江珠緒)『ハムレット』もね、主人公がお父さんが毒殺されて、夢に出てきてね。

(町山智浩)そう。お父さんが死んでね、お母さんがそのお父さんの弟と結婚するんだけども、その後、お父さんの亡霊が出てきて。「父の仇を打て!」ってプレッシャーをかけてくるっていう話なんですけど。ただ、その『ハムレット』って日本でもよくお芝居とかでありますけれども。大抵、ハムレット役はイケメンがやるでしょう? 優男でね。衣装なんかも提灯袖の服にね、白タイツを履いたりして。

(赤江珠緒)そうですね。ザ・王子みたいな感じですね。

(町山智浩)そう。王子様っていう感じでやるんですけど。でも実はこれは、その10世紀前後のノルマン、デンマークあたりの伝説が元になってるんですよ。『ハムレット』っていうのは。元ネタがあるんですね。それが『アムレート』っていう物語があって。どうも何らかの事実に基づいてるらしいんですよ。伝承として伝わっていたものなんで。で、この映画『ノースマン』っていうのは、その『ハムレット』っていうのはやっぱりシェイクスピアが書いた時代の時代設定になってるんですよ。衣装とか、話し方とか、全てがね。でも、そうじゃなくて。そのバイキングの時代の9世紀、10世紀ぐらいの感じでそのまま映画にしたものなんですよ。

『ハムレット』の元ネタ

(町山智浩)だからみんな、ほとんど「ウガーッ!」って言いながら、ハンマーを振るったりしてるっていうね。ものすごく野蛮で、頭を叩き割って脳みそが飛び散ったりするっていう内容なんですよ。でも、その方が歴史的事実に近いとうんいうことで。ずっとね、たぶん思うんですけど。スウェーデンとかノルウェー、デンマークの人たちは、シェイクスピアの『ハムレット』を見ながらね、「こんなんじゃねえよ」と思ってたと思うんですよ。

「こんな綺麗な話じゃねえだろ? 俺たちはバイキングだったんだから!」っていう風に思っていて。で、そういう本物に近く映像化してるんで、すさまじく血生臭い内容になってますね。またね、その『ハムレット』というのは一番有名なセリフはね、「生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ」というやつで。とにかく「復習しろ」っていう風に父親から父親の亡霊からせっつかれるんですけど、くよくよくよくよ悩んでるんですよ。

(赤江珠緒)割とね、くよくよと……(笑)。そうですね。周りもだんだんちょっと不幸になっていったりしてね。

(町山智浩)そうそう。優男がくよくよ悩んで。悩んでいる間にかえって事態が悪くなってくるっていうね。で、見てて非常にイライラするお芝居なんですよね。ところがね、本当の『ハムレット』であるアムレートはそんなんじゃないですよ。もう、とにかく何十人も最初からバッタバッタと切り殺していきますから(笑)。バイキングですから。そんな、悩んだりするような時代じゃないですよ。

(赤江珠緒)じゃあ、もう敵討ちだと。

(町山智浩)そう。「やるぜ!」みたいな感じで。全然違う世界になってるんですね。だから今まで、たぶんバイキングの子孫の人たちは本当にシェイクスピアを見てイライライライラしてたと思うんですよ(笑)。「こんなんじゃえねよ、お前! ナヨナヨ、くよくよしやがって! やっちまえよ!」って思ってたと思うんですけど。「やっちまえ!」な内容になってるんですね。で、またこの話がすごくて。ヨーロッパを股にかけるんですよ。

というのは、バイキングはその頃、フランスを占領して最終的にイギリスまで占領したっていう風にさっき言ったんですけれども。そのノルマン人、ノースマン。バイキングのその当時、10世紀前後の行動力というのはものすごいんですよ。とにかくもうそこらじゅうに行って。アイスランドとかグリーンランドにも入植するし。アメリカにも渡っているんですよ。

(赤江珠緒)えっ、アメリカまで?

(町山智浩)これはね、だいぶ最近になって遺跡が発見されたんですね。アメリカに渡って、ちゃんと街も作ってます。

(赤江珠緒)ああ、そうですか!

(町山智浩)すごい遠くまで行ってるんですよ。

(赤江珠緒)ヨーロッパ中に散らばっていった感じのイメージはあったけど。イタリアの方とかも行ったりね。アメリカまで!

(町山智浩)そう。めちゃくちゃ遠いところまで行ってて、ものすごくガッツのある人たちなんで、くよくよ悩まないわけですよ。「悩んでるんだったら、船に乗れ!」みたいな世界なんで。でね、この映画の中で彼らがウクライナを侵略するシーンがあるんですよ。これね、ウクライナっていう国、すごく今、ロシアに攻められてるんですけれども。ロシアもウクライナも、実際に最初に国を作ったのはバイキングなんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)そこはスラブ系の人たちが住んでたんですけれども。そこにスウェーデンとか、ノルウェーのバイキングの人たちが攻め込んで。そこに王国を建てるんですよね。それがウクライナとかロシアの元になったキエフ大公国っていう国で。800年代に作ってるんですけど。すごいんですよ。バイキングの人たちのその実行力というか。

(赤江珠緒)本当ですね。ヨーロッパの歴史にかなり食い込んでいますよね。

(町山智浩)かなり実は作ってるんですね。しかもね彼らはね、全くキリスト教徒じゃないんですよ。これ、すごくてね。彼らはいわゆる北欧の神話を信じてるんですね。だからしょっちゅう話に出てくるマーベルコミックスに出てくる雷様のソーっていうのがいますけども。そういうのを信じていて。ヴァルキリーと言われる、まあワルキューレね。戦いの女神といったものを信じてた、非常に野蛮というか、戦闘的な宗教を持っていた人たちでね。で、この映画の中ではただ、その頃既にローマ帝国がキリスト教化されてるんで、キリスト教っていうものがあることは知ってるんですね。

で、このアムレートたちが「キリスト教は怖い」って言うんですよ。「キリスト教とかいう変な人たちがいるらしいな」とか言うんですよ。「なんか裸のおっさんが磔になってるものをみんなで拝んでるらしいぞ?」って言うんですよ。これ、たぶんそうだったんでしょうね。怖かったんだと思いますよ。「あいつら、なにを拝んでいるんだ?」って。まあ、間違っていないんですけども。

(山里亮太)知らなかったら、そうなっちゃうよね。

(町山智浩)そう。「なんか気持ち悪いやつらなんだ」とか言ったりしててね、すごくおかしいんですけど。で、主人公のアムレートは父の仇を探してヨーロッパ中を駆け巡るんですけど。その後、アイスランドまで行きますしね。ただ、その過程でちょっと違うのは恋人を見つけるんですよ。その恋人はウクライナで捕虜にされて、アイスランドまで連れて行かれることになったスラブ人で。これをアニャ・テイラー=ジョイちゃんがまた演じてるんですね。

彼女、ものすごい売れっ子になってるんで。次々といろんなのに出てきてますけど。だからそれが『ハムレット』におけるハムレットの恋人のオフィーリアにあたるキャラクターになるんですね。オルガっていう名前にこの映画の中ではなってますけれども。で、『アムレート』……その元々の『ハムレット』の話っていうのは、復讐をしようとしてるってことがばれるとまずいんで、バカのふりをするという話が一番元の伝説なんですよ。で、だからあれですよ。『忠臣蔵』の大石内蔵助が……。

(赤江珠緒)昼行灯と言われて。

(町山智浩)そうです。復讐しようとしてると思われると困るから、ボケーッとして酔っ払って、遊んでどうしようもないダメな人のふりをしたじゃないですか。あれと全く同じ話なんですよ。ただ、シェイクスピアはそれを読んで「バカが主人公っていうのはまずいな」と思ったのかよくわかんないんですけど。ハムレットはまあ、精神病のふりをするんですよね。で、実際、精神病に近い感じでノイローゼで悩むわけですから。復讐したらいいのかどうかって、くよくよね。だからそういうね非常に哲学的な物語にしていったんですよ。だからシェイクスピアの『ハムレット』っていうのはその近代人の哲学的な悩みみたいなものを始めて戯曲にしたものとして非常に評価されてるんですけども。元は「はぁー?」とか言ってバカのふりをした復讐者の話なんで、全然違うんですよね。

(赤江珠緒)そうなんですか。そうなると、イメージが全然違いますね。

(町山智浩)全然違うんですよ。だからこれはね、「シェイクスピアの『ハムレット』とか、なんか辛気臭い話じゃないの?」って思う人も多いと思うんですけど。本当はこれだったんだっていうのが見れるんで、すごい面白いですよ。もうとにかく、非常に乱暴な話でですね。暴力的なんですけど。日本だと、お芝居とかで大抵、イケメンの人がやってね。ほら、市村正親さんとね、篠原涼子さんもこれで共演して結婚したんだもんね?

(赤江珠緒)そうか。

(町山智浩)たしか、そうですよね。でも市村さんとか、こんなこん棒とか振り回せないですよ?(笑)。全然違う世界じゃん!っていうところで。「ああ、ヨーロッパの歴史は深いな」っていうのがわかるんですけど。ただ、さっきも赤江さんが言ったんですけど『ハムレット』ってくよくよ悩んでたせいで、どんどん事態を悪くしてくんですよね。

(赤江珠緒)オフィーリアもね。

(町山智浩)そう。愛するオフィーリアも死んじゃうし。っていうか、オフィーリアのお父さんを間違って殺しちゃったりするんですよね。で、もうどんどん事態が悪くなっていって。最後はもう、ほとんど登場が全部死ぬっていう状況になるんですけど。『ハムレット』は。「何をやってるんだ、こいつ? とっととやっておけばよかったじゃんか!」って見ていると思うんですけども。で、こっちの方はそういう風にくよくよはしないんですが、もっと恐ろしいその自分の父の暗殺についての真相を主人公は知ることになるんですね。

で、これを見てるとね、本当に『スター・ウォーズ』とか『ロード・オブ・ザ・リング』とか、それらの元はこれなんだってことがよくわかるんですよ。要するにこの北方人たち、ノルマン人たちの伝説が『スター・ウォーズ』とか『ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)』の元になっているんだってことがすごくよくわかりますよ。

『スター・ウォーズ』や『ロード・オブ・ザ・リング』への影響

(町山智浩)もう見ていると「ああ、ここは『スター・ウォーズ』じゃん!」みたいなところがいっぱい出てくるんで。これがやっぱりイギリスからね、アメリカに伝わって……っていうところがあるんで。いろんなものが見えてくる、非常によくできた映画がこの『ノースマン』ですね。ただ、『ハムレット』よりもいい終わり方になってるのもすごいなと思いましたね(笑)。

(赤江珠緒)ああ、そうですか。

(町山智浩)『ハムレット』って見た後、ドヨーンとして帰るんですけど。ちょっといい感じになって。この血まみれのグチョグチョの話が、ちょっといい気持ちにしてくれて終わるんですよ。ここもすごいなと思いましたね。

(赤江珠緒)でも本当にバイキングの人たち、いろんなところの源流になってるから。そういうのが見え隠れしてるんですね。その後の作品にも。

(町山智浩)そうなんですよ。ウクライナまで彼らが作ったなんて、結構知らないですよね。はい。ということで『ノースマン 導かれし復讐者』。「導かれし」っていうのも非常にね、意味深い内容になってますから。ぜひ、勉強にもなるし。すごくいい映画です。

(赤江珠緒)来年1月20日、日本では公開ということですね。『ノースマン 導かれし復讐者』でございます。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした。

『ノースマン 導かれし復讐者』予告

<書き起こしおわり>

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