久米宏と荻上チキ 最近のニュース・ワイドショー報道を語る

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久米宏さんがTBSラジオ『荻上チキSession-22』にゲスト出演。荻上チキさんと最近のニュース番組やワイドショーの報道について話していました。


(荻上チキ)「わかりやすさに自信がある」という話がありましたけど、いまわかりやすさっていうと池上(彰)さんっていう風潮があるじゃないですか。あるいは、その後に(枠を)古舘(伊知郎)さんがついで。古舘さんはプロレスとか、面白おかしく解説するのは上手でしたけど、ニュースについては素人なので、いつもなんだかなと思いながらずっと見ていたんですね。古舘さんについては。で、筑紫(哲也)さんがいなくなってから、「論(オピニオン)」をちゃんとテレビで言ってくれるという人が夜の時間帯から消えてしまったなという風に感じているんですが。いまの、たとえばワイドショー、ニュース番組、あるいは池上ブームとか選挙特番とか。久米さんはどういう風にご覧になっていますか? 「どれに腹が立つか?」っていうのも聞いてみたいんですけども。

(久米宏)僕、万全・万能な人はいませんから。テレビに出て発言する人は自分に自信を持った方がいいと思うんです。つまり、自分の考え方に。だって、万能な人はいないわけですから、誰がどんなことを言っても間違えている可能性はあるんだけど。「間違えたことを言ってはいけない」って思うことがいちばんいけないと思うんですよ。

(荻上チキ)はい、はい。

(久米宏)自分の考えに自信を持って、それが拒否されたらその席から去ればいいんですから(笑)。あの、「こんなことを言ったら怒られる」とかね、「バカにされる」とか、「間違いを専門家から指摘される」とか。テレビって何が怖いって、どんな話をしても……たとえば、マンホールの話をしたとするじゃないですか。すると、マンホールの超専門家が見ているんですよ。

(荻上チキ)あります、あります。

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みんなもっと自信を持って話せばいい

(久米宏)それって本当にヤバいんですよ。何の話をしても、本当の専門家が見ている。どんなつまらない話をしてもね、その専門家が見ているんですよ。だから、それを考えると何も話せなくなっちゃうんですよ。つまり、ネクタイの話をすると、ネクタイの専門家が見ているんですよね。だからね、そんなこと言ったら、人間は何も言えないです。だから、自分に自信を持って、拒絶されたらその場を去るという覚悟で。まあ、武士のたしなみですね。ダメだったら腹を切るしかないんだということを覚悟して、みんなもっと自信を持って話せばいいと思いますね。間違ったら間違ったでいいんだし。

(荻上チキ)そこで、メールをいただきました。

(南部広美)川崎市の40代女性の方。「いまに始まったことではないかもしれませんが、どんな番組も同じニュースを追いすぎという印象があります。最近の話ですと、世の中にはたくさんの出来事が起きているはずなのに、そこまで相撲の話題を引っ張る必要があるのか? と首をかしげてしまいます」。

(荻上チキ)そうですね。はい。僕もそう思いますよ(笑)。だから、相撲を取り上げた時点で見ません。日馬富士を取り上げた時点で見ないですね。

(南部広美)消す?

(荻上チキ)消します。新しい情報がゼロですので。ただ、最近思うのが、いまの久米さんの指摘と逆の立場になるのかもしれないんですけど。たとえば、お笑いとかも含めていろんな人がコメンテーターになるじゃないですか。で、お笑いも含めていろんなジャンルの人がニュースについて荒っぽいことを言っていると、僕は「もっと慎重であってほしい」と思うタイプなんですね。なぜなら、自分がすごく慎重で調べてからコメントをするから。

(久米宏)うん。

お笑い芸人のコメンテーター

(荻上チキ)で、それはたとえば芸人の方がニュースについてすごく軽々しく言うのは、僕がなんの練習もせずにルミネの舞台に立つようなもので。でも、そんなことをしているというのがわからないわけです。政治は誰でも語っていいし、僕は語るための資格があるとも思わないが、その議論があまりにも拙い!っていうようなことを感じることがあるので。あえて僕は慎重さとか、ちゃんと調べるっていうものをもっと持ち込みたいと思っているタイプなんです。だから、とても自信がない。けど、その自信のなさで行こうと思っているわけですよ。久米さんとは結構真逆ですよね。いまの話を聞くと。

(久米宏)かもしれませんね。僕は、誰でもどんな発言をしてもいいと思ってほしいんで、横山やすしさんを相棒に選んだんですよ。「めちゃくちゃなことを言うけど、これもOKだぜ。みんな、思ったことを言おうよ」っていうのがやすしさんを選んだ理由なんですね。



(荻上チキ)ええ、ええ。

(久米宏)だから、芸人さんがめちゃくちゃに調べもしないで、第一印象でものを語ってばっさり斬るっていうのもテレビなんだからしょうがないかな?って思いますね。日馬富士ばっかりやるのも、視聴率があるから。民放は日馬富士をやると数字が上がっていた時期がたぶんあるんでしょう。だから、やるんですよ。

(荻上チキ)ちょっと前は小池百合子で、その前は朴槿恵で……って。「なんでやるんですか?」「数字がいいからやめられないんだ。落ち始めたら次のニュースに変えるんだ」っていう、基本的にはそういった論理ですね。

(久米宏)テレビって野次馬ですからね。そんなにテレビとラジオを信用して見たり聞いたりするなってことですよね。みんなもっと聞き流せばいいと思うんですよ。僕なんか完全にそうですけど。自分の番組は大切に聞きますけどね(笑)。

(荻上チキ)フフフ(笑)。

(久米宏)放送も慎重にしますけど。他のテレビはほとんど斜向いで見ていますからね。まともに画面と対面しないで、横目で見るっていう感じですから。

(荻上チキ)テレビって結構……テレビだけじゃなくて、それこそネットもそうですけども。でも、真面目に受ける人って多いんですよね。それこそ、数秒でただ知っただけの情報を、いままで何時間と努力して研究した人に比べて、自分はこっちの方を知ったから勝てるとか既存の説を覆せると思える人とかが多かったりするんですよ。

(久米宏)うん。

(荻上チキ)で、たぶん久米さんはそのメディアを開放したんだと思うんですよね。いろんな言論にもっと開こうと。で、ある種、どんどん開放しようっていう風に行ったんだけど、その一方でたとえば暴力によって支配されてしまうっていうことも言論っていうのはあり得ると思うんですよ。声のデカい方が勝ってしまうから、実は開放されたように見えて、ある少数派の声を閉ざしてしまうような言論もあると。だから久米さんと僕はいま、方向性は違うアプローチかもしれないですけど、僕もある種開放しようとしてはいるんですね。それはいままで取り上げられなかった人たちの声をニュースに入れるとか、そういう人たちの意見というものを紹介したり、自分で言ったりとかということなんで。たぶん、「お笑いはダメだ」というわけではないが、「その俗説とかには反論する場所を自分にもくれ!」っていう風にいま、話しながら思いました。

(久米宏)たぶんね、テレビを見ている人、あるいはリスナーへの信用度が違うんだと思う。僕は相当信用しています。

(荻上チキ)している?

(久米宏)NHKがね、ある時間帯で日馬富士問題をドキュメントでやったんです。ほとんどの人はNHKと日本相撲協会のベッタリ度は知っているわけですよ。

(荻上チキ)まあ、そりゃそうですよね。

(久米宏)「それを知った上で、みんな見ているだろうな」と僕は思って見ていました。相撲協会とNHKは特殊な関係にあるということをみんな知った上で、あれは見るべきだっていうことを、本当はNHKは言うべきだね(笑)。

(荻上チキ)ああ、そうですね。

(久米宏)それはね、みんな僕、バカじゃないと思ってますよ。テレビを見ている人は。

(荻上チキ)あそこの欄に「PR」ってつけてほしいですよね(笑)。相撲のニュースをNHKが取り上げる時には。僕はやっぱり、久米さんは「(自分のことを)楽観的だ」とおっしゃいましたけども、すごく悲観的な人間なので。同時にいろんなものを信用していない。その中で、より慎重に届けたいというところが出ているというような感じはあります。でもそれは、ある意味時代というか、ネットをいっぱい見たからこそそう思っているという自分もあるような気がして。

(久米宏)僕もネットの書き込みとか見るの、嫌いな方じゃなくて。僕の悪口なんかも大好きなんですけど。僕はやっぱり『ニュースステーション』をやった最大の収穫は、「テレビを見ている人はそれなりにみんな優れた人だ」っていう結論に至ったことですよ。あの、「少なくとも僕よりは利口だぜ。見ている方は」って、最終結論はそうでしたね。

(荻上チキ)ああー。

(久米宏)だからかなり僕は尊敬していますから。リスナーとか視聴者は。相当、尊敬して信用しています。

<書き起こしおわり>



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