ハライチ岩井 地獄の入口・駒場公園を語る

ハライチ岩井 地獄の入口・駒場公園を語る ハライチのターン

ハライチの岩井さんが2016年11月にTBSラジオ『ハライチのターン!』で話したトークの書き起こし。岩井さんがたまたま訪れた世田谷区の駒場公園での出来事について話していました。

(岩井勇気)この間、都内の世田谷、池ノ上の駅のあたり。井の頭線の駅のあたりにちょっと用事があって行ったんですけど。その用事が昼ぐらいに終わって、ちょっと時間があったから次の駅まで散歩がてら、晴れているし歩って(あるって)みようかなって感じでさ。

(澤部佑)「歩ってみようかな」って……「歩って」もあんま言わないからな。

(岩井勇気)なにが?

(澤部佑)お前、あんま気づいてないけど。「歩って」も言わないんだって。

(岩井勇気)「歩って」なんて、ごちゃまんと言うわ!

(澤部佑)アハハハッ! いや、「歩って」って言わないですよね?

(岩井勇気)「歩って」なんて言うところ、ごちゃまんとあるからな、お前。

(澤部佑)「ごちゃまんと」も使っちゃってるじゃん。ややこしくする……いま、「歩って」問題の最中だから。

(岩井勇気)俺は「歩って」をちゃんと使いこなしているからな。

(澤部佑)まあ、「歩いて」っていうことね。

(岩井勇気)「歩って」の使い方は俺、でらうみゃーからな。

(澤部佑)アハハハッ! いや、名古屋の方が入っちゃっているよ。全然関係ねえのに!

(岩井勇気)で、だからさ、池ノ上から次の駅までちょっと散歩してみようなんつって。で、次の駅が井の頭線だから駒場東大前っていう駅だったんですけど。そのへんって住宅街なんだよね。世田谷だし、いい感じの住宅街で。まあ、晴れていて。ファミリー層が住むような、「なんかあったかいような感じの住宅街だな」なんて思いながら歩いていたんですけど……そしたら、住宅街があって、結構いい家が立ち並んでいたその真ん中に駒場公園っていう。わかる?

(澤部佑)うん、うん。大きい公園だよね。

(岩井勇気)でけえ公園。行ったことある?

(澤部佑)行ったことは、ない。

(岩井勇気)ないでしょう? 「あ、こんなところに公園があるんだ」みたいな。住宅街の真ん中にいきなり公園が現れるみたいなところなんだけど。「ちょっと入ってみようか?」って思って行ってみたんですよ。なんか公園って言ってもね、ほぼほぼ森なんだよね。

(澤部佑)ああ、そうか。本当にデカい。

ほぼほぼ森の大きな公園

(岩井勇気)住宅街の中にすげー森があって。公園を作るって木を植えた感じじゃなくて、森の中に公園を作ったみたいな感じ。だから、木が普通に倒れていたり、整備してないところもあったりするような感じの公園なの。

(澤部佑)本当に自然なんだね。

(岩井勇気)うん。で、入り口がでっかい鉄の門みたいな感じになっているの。なんだけどさ、いま思えばやっぱりそこが地獄の入口だったんだなって思うんだよね(笑)。

(澤部佑)なんだよ、その語り口? 「それが地獄の入口」? すげー興味そそるな、おい。

(岩井勇気)でさ、まず入ったんだよ。入ってすぐに左に水田みたいなのがあるの。田んぼみたいな。

(澤部佑)水田!? うん、田んぼみたいな。えっ、植えてあるの?

(岩井勇気)植えてあるの。植えてあるの。田んぼみたいになっているんだよね。たぶん区がやっているのかわかんないけど、田んぼがブワーッとあって。その田んぼの端に髪がブワーッて長くて白装束を着た、もう貞子のようなボロボロのカカシが2体、ボンボンってあるの。

(澤部佑)うんうんうん。

(岩井勇気)「うーわっ!」っつって。なんか「ようこそ……」って言っているような感じなの。こっちを見ながら。怖えんだよ、なんか。カカシが白装束を着てるのよ。

(澤部佑)ああ、白装束はたしかにそういう、なんか怖いよね。たしかにね。

(岩井勇気)で、黒髪がブワーッて長くて。ボロボロの。

(澤部佑)で、なんて言っているの?

(岩井勇気)「ようこそ……」って言っているような感じ(笑)。

(澤部佑)全然、すげー迎え入れてくれてるじゃん。

(岩井勇気)くたびれた貞子が出迎えてくれてんのよ。

(澤部佑)「ようこそ……」ってでも、迎え入れてくれてるんでしょ?

(岩井勇気)そうだよ(笑)。地獄にね。ずっとそれがこっち見てるんだよ。

(澤部佑)でもちょっと怖いね。

(岩井勇気)その時点でさ、それ以上奥には行きたくない感じなんだけど。「なんだ、このこの公園は?」って思ってさ。でもさ、奥に行ってみたのよ。結構なそれが森なんだけど。深い感じの森なんだけど。で、道があって。道のない部分は立ち入り禁止状態の森で。なんだけど、もう立ち入り禁止の奥の方に、よくよく見てみたらさ、朽ちた1メートルぐらいの木材みたいなのが何本も突き刺さっているんだよね。

(澤部佑)ええっ?

(岩井勇気)サークル状になっているの。「なんじゃ、あれ?」って思ってさ。たぶん何らかの儀式が行われた跡みたいなさ。なんか10メートル、20メートル先ぐらいにそれがあるんだよ。「うわっ!」っつって。でも、行けないんだよ。確認できないの。

(澤部佑)そっちは行けないのね。入れないのね。立ち入り禁止みたいな。

(岩井勇気)行けない状態になっていて。「なんかあるな。あそこでなにか、儀式やったんだな。怖え!」なんて思ってさ。で、また奥に進んで行ったんだよ。

(澤部佑)すげー進んで行くな……。

(岩井勇気)で、しばらく歩いていて思ったんだけどさ、全然人がいないんだよ。うん。そんな住宅街の中にある公園なのに……。

(澤部佑)お昼でしょう?

(岩井勇気)お昼よ。別になんか早い時間でもないし。昼過ぎだし。全然人がいないんだよ。

(澤部佑)いてもおかしくないのに。

(岩井勇気)ひっそりとしたさ、人がいない閑散とした公園。「うーわっ! 怖えな……」なんつってさ。で、もうちょい進んでいったら、奥の方から笑い声みたいなのが聞こえてきて。「あっ、人がいるな」なんて思って。で、奥の方に行ってみたら、開けた場所に出たのよ。で、そこだけあんまり木がなくて。ちょっとした広場みたいなところになっていて。そこでさ、子供とその親。合計たぶん20人強ぐらいがバッといて。なんかバーベキューして盛り上がっているんだよね。

(澤部佑)ああっ、結構デカめなグループで。

(岩井勇気)そうそう。で、楽しそうにやっているんだけど……。

(澤部佑)いいじゃん。微笑ましい。

(岩井勇気)だけどその感じがさ、すっげー怖かったんだよね。

(澤部佑)えっ?

超怖いバーベキュー

(岩井勇気)なんかさ、そのひっそりとしたさ、人のいない森を進んでいったら、知らない家族が宴やっているみたいなこの感じ(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ!

(岩井勇気)全然そこまで人に会わないんだよ。でも、奥に進んでいったら奥地で宴が行われているみたいなこの感じ。これさ、だからそこの公園だと思って考えているからあれだけど、富士の樹海の奥で大人と子供が宴をやっていたらめちゃくちゃ怖いじゃん?

(澤部佑)いや、それは富士の樹海だからね。駒場公園でしょう?

(岩井勇気)そのぐらいの感じの公園だから。人がいない閑散とした(笑)。恐ろしいのよ。

(澤部佑)で、なおかついろいろと、頭のカカシとかで怖さも増幅しているし。

(岩井勇気)怖さも増幅していてさ。で、なんか「本当は全員死んでいるんじゃなかろうか?」みたいなさ、その感じ……(笑)。

(澤部佑)みんな笑顔でやってるんでしょ?

(岩井勇気)笑顔でやっているのがまた怖えんだろうがよ。

(澤部佑)いや、微笑ましいじゃない。そんなの。

(岩井勇気)閑散とした中、そこのグループだけさ。

(澤部佑)バーベキュー、食べてるんでしょ?

(岩井勇気)食ってるよ。遠巻きでバーベキューやっているような感じだけどさ。もう全員、よく見たらたぶん虫とかネズミの死骸を食らっているんじゃないのか? みたいなその感じ……。怖え!って思ってさ。

(澤部佑)わかんねえよ! 「あの感じ」って、いや、わかんないよ。

(岩井勇気)あれ、楽しそうにしていればしているほど怖えんだよね(笑)。誰も周りにいねえから。

(澤部佑)より際立つというね。

(岩井勇気)「怖え!」とか思ってさ。それでさ、その中の子供の1人……5才ぐらいの子がこっちに紙皿を持ってタタタタタッて走ってきてさ。「うわっ!」って思ってさ。「どうぞ」とかってさ、紙皿の上の食べ物を差し出してくるんだよ。それがすっげー怖えんだよ!

(澤部佑)違う違う違う!(笑)。それは……その子の優しさじゃない?

(岩井勇気)「うーわっ!」とか思って。もう俺、声も出ねえんだよ。怖すぎて。

(澤部佑)本当の恐怖の時ね(笑)。

(岩井勇気)「これを受け取ったら、死ぬまでそこで宴をやる仲間に入れられてしまうんじゃねえか?」みたいな。

(澤部佑)「食べましたね……」。

(岩井勇気)そうそうそう。「どうぞ、こちらへ……」みたいな。そしてそのうちさ、そいつらみたいに死んでいることも気づかずに宴をやり続けることになるんだよ(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ! で、またそこに迷い込んだ人に……。

(岩井勇気)そうそう。どんどん。肉とか食べ物をあげてさ。肉と思って食べていたのは虫の死骸だったみたいなこの感じ(笑)。本能的にだからさ、「ヤバい、これは!」って思って、もうその子供は無視してさ、俺は……。

(澤部佑)無視すんなよ! かわいそう。

(岩井勇気)無視して。聞こえなかったふりをして、スッと。怖いから。もうしゃべっちゃダメだから。「これは人外の者だ」って思ってさ。

(澤部佑)フフフ、しゃべったらもう連れてかれちゃう。

(岩井勇気)「ダメだ、これは。この世の者じゃない」って思って無視して。で、その広場から離れたのよ。で、奥の方に行ってみたら、岩場みたいなのがあって。

(澤部佑)えっ、すごいね。

(岩井勇気)なんかデカい、たぶん2メートルぐらいの岩がガンガンって積まれているような場所なんだけど。そこにも幼稚園ぐらいの女の子たちが4、5人いるのよ。「なにしてるのかな?」って思ったら、その岩の上のところで紙皿をサークル状に並べて、その上になんか木材を置いてるの。遠巻きに見たら。「うわっ、子供も儀式の練習をしている!」って。なにをやっているんだろうね、あれ。

(澤部佑)そこで練習!? それはだから、おままごとみたいな……。

(岩井勇気)いや、おままごとの雰囲気じゃなかったよね。あんな感じじゃないもん。

(澤部佑)おままごとで紙皿で木材で……ってやるんじゃない?

(岩井勇気)「これ、あげます」「ありがとうございます」みたいな、「これ買ってください」みたいなやつじゃなくて。なんかもうきっちり、「これはもうちょっと左で……」みたいな感じの。4人でしっかり並べているのよ。なんか。

(澤部佑)木材を? 紙皿の上に?

(岩井勇気)そうそうそう。

(澤部佑)そこで練習して?

(岩井勇気)それで練習して、本物の木材で森の中でやるみたいなさ。

(澤部佑)フハハハハッ! 練習して……そうか。

(岩井勇気)で、「ここもダメか……」って思ってもっと奥に行ったら、なんかローラーの滑り台、あるじゃん? 普通の滑り台じゃなくてコロコロするローラーの滑り台。

(澤部佑)ローラーがいっぱいついてるやつね。

(岩井勇気)あれ、横幅が2メートルぐらいある太いタイプの滑り台ね。

(澤部佑)ああ、横幅が2メートルぐらいある。デカいね。

(岩井勇気)それがあったんだけど。そこに幼稚園ぐらいの男の子が4、5人いてさ、全員下から上に逆走してるの。

(澤部佑)ああ、まあまあ、そういうのが楽しい時期、あるよね。

(岩井勇気)で、登って、登りきるぐらいでバーッて落ちちゃうみたいな。で、一生懸命また登って、みたいな。登りきるぐらいで落ちて……それに巻き込まれた他の子たちも落ちちゃうみたいな。それをさ、ただただ延々と繰り返しているのよ。なんかもうさ、賽の河原を見ているみたいでさ。

(澤部佑)フハハハハッ!

(岩井勇気)石を積み上げて。10個積み上がるまでに鬼が来て壊しちゃう、みたいな(笑)。それを延々とやり続けているのよ。

(澤部佑)地獄絵図ね。

(岩井勇気)「この滑り台、一生登りきれない」みたいな(笑)。

(澤部佑)いや、それは登りきれるよ。もうちょっと成長したら。

(岩井勇気)でも止めないんだよ。ずっと。見ていたんだけど。ずーっとそれをやり続けてるのよ。

(澤部佑)そういうものじゃない。ちっちゃい頃の男の子って。

(岩井勇気)「怖え! 地獄の公園だ」とか思って奥に行ったらさ、出口があって。「ああ、やっと出口だ」と思って出たんだよ。そしたらさ、その出口のところに猫が1匹いたのよ。黒い野良猫が1匹いて。で、こっちを見てるのよ。で、「あ、猫だ」なんて思って。

(澤部佑)猫、好きだからね。

公園の出口の黒猫

(岩井勇気)俺、好きだから。「ああ、猫!」って、手を「来い来い」みたいな感じでやったらさ、「ニャーッ」なんつってこっちに来て足にスリスリしてくるんだよね。で、「かわいいな」っつって首元をカリカリやっていたら、「ニャーニャー」みたいな感じで、ちょっとしゃべりかけたらしゃべり返してくれるみたいな猫で。「おっ、しゃべれるな、この猫」みたいな感じで。

(澤部佑)「しゃべれるな」って……(笑)。

(岩井勇気)いや、返事ができるみたいなタイミングで。

(澤部佑)岩井がしゃべりかけると?

(岩井勇気)そう。で、しばらくしてさ、触っていたら猫が「ニャーッ」とかって、どこかに歩いていくわけよ。で、ついて行ったらさ、バーッて針金がなっていて。閉鎖されている団地の廃墟みたいなところにさ、入っていったのよ。猫が。

(澤部佑)ああ、立ち入り禁止になっているんだ。

(岩井勇気)そう。まるでそこに猫が誘うかのように入っていってさ。「怖え!」なんて思ってさ。「うーわっ! まだ終わってなかったんかい! ダメだ、これ。地獄の猫だ!」って思って。で、猫がその廃墟の中に入っていってさ。暗いところにいなくなっちゃってさ。

(澤部佑)猫ってそうじゃん。

(岩井勇気)「うーわっ! ダメだ」って思って俺、急いで引き返してさ。で、もう怖いからっつって、ちょっと早歩きで駒場東大前の駅に早足でバーッつって、駅に着いたんだよ。「ああ、よかった」って思ってさ、急いで電車、井の頭線に乗ってさ。2駅で渋谷に着いたんだけどさ、「着いた」って思ったらその日が10月31日でハロウィンだったんだけどさ。渋谷、ゾンビだらけだったんだよね(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ! 結局地獄っていう(笑)。

(岩井勇気)「ここもか……」って思ってさ(笑)。

(澤部佑)いや、「ここもか……」っていうか、それは別に……(笑)。

(岩井勇気)「ダメだ……」って。

(澤部佑)いや、お前の精神があっちゃこっちゃに行っているだけで(笑)。特にその日、なにも起きてないんだよ、お前の中で!

(岩井勇気)いやー、本当に怖かったよ。うん。

(澤部佑)いやいや、「岩井勇気ののほほん散歩」だから!

(岩井勇気)フフフ、気をつけてください(笑)。

<書き起こしおわり>

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