西寺郷太・宇多丸 歌割りがすごい曲を語る(野球延長洋楽駄話編)

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NONA REEVESの西寺郷太さんがTBSラジオ『タマフル』にゲスト出演。歌割りがすごい楽曲を特集……するはずが、プロ野球日本シリーズの中継が延びて本放送がされずネット局のみの放送に。そこで急遽、宇多丸・西寺郷太の洋楽駄話に変更し、歌割りが印象的な楽曲についてあれこれと話していました。


(宇多丸)といったあたりで、ちょっとさ、時間も読めない……これ、曲とかをかけるといいよね。

(古川耕)だとしたら、今日のゲストの方、実はもうTBSに来てらっしゃるんですよね。

(宇多丸)この調子じゃあさ、特集だって割を食うかもしれないから。ちょっと先に……いかがですか? いま、お時間がよろしければ。じゃあ、ちょっとスタジオのサブの方から中に入っていただこうと思います。11時台、本日の特集「この歌がすごい歌謡祭」をプレゼンしていただきます。NONA REEVES西寺郷太さんをスタジオにちょっと早めにお呼びして。郷太くん、すいません。

(西寺郷太)いま、ツイートしようとしていたんです。「いまから裏送り、出ます」って。

(宇多丸)アハハハハッ! ありがとうございます。

(西寺郷太)はい。ありがとうございます。

(宇多丸)ということで郷太くん、お忙しいところありがとうございます。

(西寺郷太)いえいえ。

(宇多丸)郷太くん自身もね、あちこち……。

(西寺郷太)僕も昨日、ちょうど福岡に行っていて。ライブで。ちょっと声がボロボロなんですけども。福岡でライブをやっていたんで、まさに僕らが飛行機で昨日の朝に行ったら、ホークスの選手が来るっぽいタイミングだったんでものすごいみんなが待っていて。ビートルズを待つみたいな感じで。「あ、俺じゃなかった」みたいな。選手を見に来てるみたいな感じで。盛り上がっていましたよ。みんな、飛行場でもソフトバンクホークスのユニホームを来てましたから。でも、自分の放送がそれによって脅かされるとは……知るよしもなかったですね。

(宇多丸)フハハハッ! ここまで来ると正直、11時台だってあんまり楽観はできない状態なんで。ちなみにしかも郷太くん、それで福岡でライブをやって、東京に帰ってきて。さらにスクリッティ・ポリッティを……。

(西寺郷太)ああ、さっきですよ。ビルボードライブで。グリーン・ガートサイドっていう、宇多丸さんも僕も大好きな『Cupid & Psyche 85』っていう名盤が……。

(宇多丸)もう名盤中の名盤ですよ。

(西寺郷太)名盤中の名盤なんですけど、割と素朴なライブでしたけども。思った以上に。メンバー4人の。でも、いまほら、「好きな人と会っておきたい」っていうか。やっぱり1回は見とかないとって思ったんで、行ってよかったです。ちょうど階段をグワーッて上がってきて、なぜか変な形でグリーン・ガートサイドっていうボーカルが帰っていったんですよ。僕がパッと手を伸ばしたら、握手してもらえまして。

(宇多丸)ああ、いいですねー!

(西寺郷太)スクリッティ・ポリッティ、グリーン・ガートサイドの手はゴツゴツしてましたよ。

(宇多丸)グリーンは体、結構デカいんですかね?

(西寺郷太)デカいんすね。美少年でしたね。

(宇多丸)まあ、いまはすっかりおじさんでしょうね。

(西寺郷太)そう。もうヒゲを生やして。でも、かっこよかったですけどね。まあちょっとでも、あんまりライブ、ライブっていう感じのグループじゃなかったですね。正直。

(宇多丸)まあね。レコーディングアーティストっていうところはあるかもしれないですからね。ということで、本日久々に郷太くんをお招きしてのね、11時台の特集。「歌割りがすごい歌謡祭」という。先週は「ブレードランナー歌謡祭」だったのにね、2週連続の歌謡祭っていうことなんですけど。

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(西寺郷太)そうなんですよ(笑)。

(宇多丸)これ、ちょっと早めのご登場となって……。

(西寺郷太)いま急に呼ばれたんで。ちょっと飴ちゃんなめてて……。 

(宇多丸)飴ちゃん、じゃあこのティッシュに……どういう趣旨なんでしょうか?

(西寺郷太)今回僕、『MISSION』っていうアルバムを……15枚目ですかね。インディーズを入れて。3人体制になってからは13枚目の20周年のアルバムを作ったんです。で、その時に僕らは割とバンドの中にコラボレーションの、フィーチャリングアーティストを呼ぶことが多くて。まあ宇多丸さんにも入っていただいたことがあるんですけど。今回は曽我部恵一さんと、Charisma.comのいつかちゃんと、それからクラムボンの原田郁子ちゃんの3人を……まあ、三者三様なんですけども。ラッパーだったり歌手だったり。そういうのを考えている時に、リードボーカル1人で歌っている歌および、リードボーカルとコーラスみたいな歌じゃない歌の面白みっていうのを僕はやっぱり好きだなと思っていて。

(宇多丸)はいはい。まあちょっと違うキャラがフッと出てくるところですかね。

(西寺郷太)ちょっとその紙を……僕の資料をどれか。せっかく作ったんで。この時間を使えるなら。

(宇多丸)はいはい。ぜひぜひやりましょう。

(西寺郷太)歌割りって、僕は結構ジャニーズの仕事とかアイドルの仕事をし始めてから、よりすごく興味を持ったんですけど。自分のバンドだったら基本的にリードボーカルが自分だったりするんで、たとえば僕が歌うとかドラムの小松さんが歌う曲とかっていうのが多かったんですけど。やっぱり歌割りっていうのは2人以上の歌手がいる楽曲でリードだったりユニゾンだったりハーモニーだったりっていうのを決めるっていうことなんですね。

(宇多丸)うんうん。

(西寺郷太)だからそういうので今回のアルバムを中心にこの歌割りについて11時からたっぷりと話したいなと思ってここに来たわけです。

(宇多丸)まあでもね、ちょっと11時の特集は食われるかどうかはまだ不明なんですけども。

(西寺郷太)なんで、一応そんな感じで。

(宇多丸)これ、でも面白いなと思いますね。僕もやっぱりいろんなキャラクターが……ライムスターもね、2MCで。非常に声もボーカリストとしても、あと作詞家としても対照的な2人が入れ替わり立ち替わりする妙というか。そこをね。

(西寺郷太)僕ね、だからゴマするわけじゃないですけどマジで『ダンサブル』、めっちゃ好きなんですよ。本当に。

(宇多丸)ああ、サーセンね! だから郷太くんは特に好きなアルバムなはず。

(西寺郷太)いや、今回……いっつもそう思うんですけど。今回のがいちばん、変な言い方をすると西寺郷太的な。なんかポップフィールな感じがすごい。『Future Is Born』とか。あれもでもね、まさに歌割りで。1番は宇多丸さんだけが出てきて……みたいな。あれも普通だったら途中ぐらいで交代してMummy-Dさんが出てきて……みたいな。まあ、いろんなパターンをいままでもやられていると思うんですけど。で、1番は1番で「この曲はこんな形ですよ、こういう歌ですよ」っていうのが全部あそこに詰まっている。

(宇多丸)はい。

(西寺郷太)で、2番でDさんが出てきてからはリズムが変わったりしながら、ある一定の長さにおける、すぐにバトンリレーしない面白みっていうのが。あれもまさに僕の中でのザ・ベスト歌割りで。今日のランキングに入れたいぐらいの。

RHYMESTER『Future Is Born feat. mabanua』



(宇多丸)おおー、ありがとうございます。もっと細かいタイプもあれば、そういうじっくりとそれぞれがパートある良さもあるとか。

(西寺郷太)うん。そうなんですね。

(宇多丸)ラップなんていうのはさ、「ポッセカット」っていうのがあるぐらいで。まさに入れ替わり立ち替わりの妙みたいなものが割と形式としてあるぐらいなんで。あと、たとえばモーニング娘。もう随分たちますけど、最初にハマっていったきっかけはやっぱり歌割りの面白さがあるかなと。『LOVEマシーン』とかですごい、もう本当に絶妙な、このパートはこの人が歌わないとダメっていうところで振ってあって、見事な……で、つんくさんのプロデュース術は実はその歌割りが巧みっていうのが非常にあるので。

モーニング娘。 『LOVEマシーン』



(西寺郷太)ああ、なるほど。そうですよね。彼はもちろん天才シンガーでしたから。そこはすごく「歌」っていうことをわかっているプロデューサーだったんでしょうね。ちなみにね、新しい地図の新曲で『72』っていう曲。テーマ曲が小西康陽さんが作詞、作曲、編曲なんですけど、僕が仮歌を歌ったんですよ。

(宇多丸)おおーっ!

(西寺郷太)小西さんから夜、僕に変なメールが来て。「郷太くん、ちょっと仮歌を歌ってほしい曲があるんだ」って。

(宇多丸)贅沢な仮歌を。

(西寺郷太)で、僕はそんなことしたことがなくて。仮歌をやるとしたら、自分が作詞、作曲家としてやる時だけなんですけど。で、「変なことをたのむな」って思って。で、「新しい地図ですか?」ってすぐ返したんですよ。ピンと来ちゃって。

(宇多丸)ああー、小西さんからこんな異常な依頼が来るということは。

(西寺郷太)そしたら、「なんでわかったの?」って。アハハハハッ!

(宇多丸)いい話!

(古川耕)おもしれえ!

(西寺郷太)1月ぐらい前に。

(宇多丸)すごいじゃないですか、郷太くん。

(西寺郷太)だからいまの歌、僕はハーモニーのところも考えて歌ったんで。いま、だから結果4人の歌になっているんですね。SMAPの歌っていままでもすっごいプロのハーモニーとかがイントロだけ入っていたりとか。シンガーが全然入っているんですけど。だからそれもSMAP的だなと思って。

(宇多丸)ああ、じゃあ郷太くんの声も残って?

(西寺郷太)ああ、全然歌ってます。

(宇多丸)ああ、すごいわ。


(古川耕)いま、まさにAbema TVで『稲垣・草薙・香取 72時間ホンネTV』っていうのが……。

(宇多丸)ちなみにこの『72時間ホンネTV』のためのシステム再構築のためって言われて、僕、『水曜The Night』っていうサイプレス上野とやっている番組。すごい直前に「今週は再放送で」って。

(西寺郷太)アハハハハッ!

(宇多丸)なに、それ? そんなことって、ある?っていう(笑)。

(古川耕)すごい。なんらかの形でこの2人は関わっているっていう(笑)。

(西寺郷太)まあ、僕は仮歌とコーラスだけなんですけど。小西さんの曲なんですけどね。

(宇多丸)でもさ、その小西さんの曲に郷太くんが歌を乗せているっていう時点でちょっと実は、「なにその……簡単になに、事件起きてんの?」って。

(西寺郷太)ちょっとおもしろかったですね。PIZZICATO ONEっていう小西さんのもうちょっとバラード的な、ドラムのないようなリアレンジの曲はやったことがあったんですけど。いわゆるアップテンポの元気な小西さんの曲を歌うのははじめてだったんで。あれもでも、歌割りの妙なんですよ。3人でしたけども。だからそういうのはすごくいま、感じるところですね。

(宇多丸)なるほどね。意識をする。なので、その郷太くんが考える歌割りのかっこいい曲を次々に聞いていくと。

(西寺郷太)11時に……できるんですかね?

(宇多丸)じゃあここで一旦CMに行きたいので。曲をかけましょう。

(西寺郷太)ああ、いいですか?

(宇多丸)11時台でもどれかこのニューアルバム『MISSION』からかけようと思うんですが。私のチョイスで。まさにこれも歌割りだと思うんだよね。『Danger Lover』という曲で、Charisma.comのいつかちゃんを……。

(西寺郷太)この曲は本当に僕、6月ぐらいに完成していたんですけど。『Future Is Born』が出た時に、「うわっ、同じところ狙ってるやん!」って僕は思って。

(宇多丸)ちょっとね、ブギー調というか。

(西寺郷太)そうですね。同じような。

(宇多丸)あと、テンポ感もね。

(西寺郷太)(BPM)122と120なんで。ちょっとだけライムスターの方が遅いんですけど。たぶんDJでつないだら気持ちがいいんじゃないかなって。

(宇多丸)そう。あとね、やっぱりね、これ僕がたとえばノーナの曲で昔から大好きだって公言している『EASY LOVE』っていう曲があって。あそこで土岐麻子さんが出てきて。土岐さんが2番ですっごいクールに出てくる。あれもまさに歌割りじゃないですか。

(西寺郷太)そうです。まさに、まさに。

(宇多丸)「フゥーッ!」って感じじゃないですか。今回のいつかちゃんも、やっぱり来た時に「キターッ!」っていうね。「キタキタキターッ!」っていうね。これ、完全に歌割りの妙なんで。ぜひぜひ。じゃあ、郷太くん、曲紹介をお願いします。

(西寺郷太)それではNONA REEVESのニューアルバム『MISSION』から『Danger Lover feat. いつか (Charisma.com)』。

NONA REEVES 『Danger Lover feat. いつか (Charisma.com)』



(宇多丸)文句なしにかっこいい! NONA REEVES feat. いつかちゃん (Charisma.com)で『Danger Lover』。ニューアルバム『MISSION』よりお聞きいただきました。ということで郷太くん、30分も超えておりまして。かなりちょっと押し込む可能性が出てまいりまして。下手するとこっちの特集も……こんだけね、特集側にまで食うのはK DUB SHINEがゲスト回以来ですよ。

(西寺郷太)ああーっ! ケーダブさんと一緒(笑)。

(宇多丸)ケーダブラインまでついに到達。

(西寺郷太)ちょっとうれしいかもしれない。

(宇多丸)アハハハハッ! 縁起物です。ちょっと引き続き、この時間帯もお付き合いください。といったあたりで、一旦CMです。

(CM明け)

(宇多丸)TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』、通称『タマフル』をお送りしております。現在、TBSラジオの方は日本シリーズがまだまだ、延長で試合が続いております。で、各地のネット局で聞いていただけている方はこちらの放送をお送りしております。ということで11時台に登場していただく予定です、NONA REEVESの西寺郷太さん。引き続きお付き合いいただいております。

(西寺郷太)急遽、前に出してもらって。

(宇多丸)やっております。でも、ねえ。あまり特集の芯を食うような話をここでしちゃうわけにもいかないというのもあって。

(西寺郷太)でも、音楽を聞いたりとかいいかもしれないですけどね。

(宇多丸)だから本編の方では出てこないタイプの歌割り曲をここでワイワイ、ガヤガヤと。「あれ、聞こうぜ! あれ、聞こうぜ!」って。で、アーカイブで探してきますんで。ものすごいレコードのストックがあるソウル喫茶とかそんな感じなんで。

(西寺郷太)さっき、でも宇多丸さんも「俺も、この歌割りがすげえっていうのがあるよ」っておっしゃってましたよね?

(宇多丸)僕はやっぱりラッパーなんで、(専門分野は)ラップ、R&Bなんで。最初にこの話を聞いた時は、いちばん最初に思いついたのはベル・ビヴ・デヴォーの『Poison』ですね。

(西寺郷太)『Poison』。あれは最高ですね! そのベル・ビヴ・デヴォーっていうのはニュー・エディションの中の……Kis-My-Ft2における舞祭組的な……。

(宇多丸)アハハハハッ! な、なんということを言う……しかも、全然本当にそうじゃねえかよ!

(西寺郷太)その3人がめっちゃ売れたんですけど。ベルとビヴとデヴォ―。ボーカリストが1人とラッパーが2人みたいな設定なんですけど。あれも最高ですよね。

(宇多丸)あれもやっぱり2番で……1番で同じAメロ、Bメロのところでラップになるんですよね。そこが、1番の歌のところが2番だとラップになっている! みたいなのがめっちゃかっこいいという。まあ、ニュー・エディション自体が割と声のキャラクターが入れ替わり立ち替わりする良さが……特にジョニー・ギルが入ってからはあったりしましたけども。

(西寺郷太)だからその話も面白いんですよね。やっぱり、モータウンのテンプテーションズっていうグループにみんな、割と憧れてコーラスグループって作るんですけど。だいたい、だからデヴィッド・ラフィンっていう荒くれ者で声がしゃがれていて、パンチボーカルっていう感じの人と、エディ・ケンドリックスっていう割とメロウなイケメンで声もファルセット中心の、甘いマスクで王子様的な人気があるっていう。その2トップをバックの3人で支えるみたいな5人組だったんですけど。本当にテンプテーションズで言うと、まさにラルフ・トレスヴァントがエディ・ケンドリックスタイプで。

(宇多丸)優男。

(西寺郷太)優男でやさしい感じの。で、ボビー・ブラウンがまさにデヴィッド・ラフィン的なやんちゃ坊主。でもそれは実はSMAPとかにもいろいろ、どんなグループでも、その2トップでどちらかと言うと優男とやんちゃが混じっているというのは割と組まれていますよね。後々のニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックとかでもそうですけども。ジョーダン・ナイトとドニー・ウォルバーグみたいな。ニュー・エディションはそれのね、歌割りの宝庫なんですよ。それの分割されたのがベル・ビヴ・デヴォーですね。

(宇多丸)ねえ。しかもその舞祭組の方がまた売れちゃって。それで以降の、後のボーイズ・II・メンのプロデュースとかにつながっていくわけですからね。なにが幸いするかわからないというね。

(西寺郷太)あ、いまちょっと聞かせてもらえると聞いたんですけども。宇多丸さんの好きな曲を。

(宇多丸)僕ね、じゃあラップなんですけども。ラップのいわゆるポッセカット。フィーチャリングで声質もキャラクターも、あとラップのフロウも全然違う……やっぱりラップって歌と違うのは譜割りとかも全然変えられちゃうじゃないですか。だから全く曲のスピード感が変わって聞こえるというか。ここが面白い曲を聞いていただきたいなと。ご存知の方、いますかね? パブリック・エネミー。PEでございます。パブリック・エネミーの『Fear of a Black Planet』というサードアルバムの曲で『Burn Hollywood Burn』という曲で。これは当時のハリウッドの……まさに最近も問題になりましたよね。要するに黒人が全然重用されないというようなことを批判した曲なんですけど。

(西寺郷太)はい。

(宇多丸)1番がチャック・D。このグループのメインボーカル。非常に野太い感じ。オールドスクール譲りの無骨なフロウを聞かせる。で、2番に出てくるのが当時まだイケイケだったアイス・キューブですね。アイス・キューブは本当に叩きつけるような、そして単語単語を1個1個切って。そしてものすごく、やっぱりダーティーワードを入れて、乱暴なチンピラ丸出しの。フロウとしてはむしろ、グルーヴ感を遅く感じさせるタイプのラッパーだと思ってください。そして3番目に出てくるのが――ここがキモなんですけど――ビッグ・ダディ・ケインという。これはまさに東海岸きっての色男であり、スーパーテクニシャンラッパーですね。

(古川耕)セックスシンボルっていう感じの。

(西寺郷太)はいはいはい。いまでもやられてますもんね。

(宇多丸)最高です! それこそMummy-Dとかはビッグ・ダディ・ケインにめちゃめちゃ憧れてテクニックを磨いたっていう感じだと思いますけど。とにかく、最後にダディケンが出てきた時の曲のスピード感がガラッと変わる感じ。これはね、ラップというののフロウが自由であるということのわかりやすい一例だと思います。ちょっと古い曲ですけども。1990年かな? の、曲だと思います。パブリック・エネミー feat. アイス・キューブ、ビッグ・ダディ・ケインで『Burn Hollywood Burn』。

Public Enemy『Burn Hollywood Burn』



(宇多丸)はい。ということでパブリック・エネミー feat. アイス・キューブ、ビッグ・ダディ・ケイン『Burn Hollywood Burn』をお聞きいただいております。最後のもうダディケンの段違いのテクニカルさっていうのが。

(西寺郷太)すごいですね。リズムのこの刻み方というか。そんなデカい声を出しているわけでもないのに。

(宇多丸)そうなんですよ。むしろクールな感じの。でもこれって、やっぱりこの順番で出てくるからこそじゃないですか。ダディケンが一発目で来たら、こんなに活きないんですよ。だからまさに歌割りっていうか。

(西寺郷太)そうですね。まさにそうなんですよ。起承転の「転」の……どこで「転」するかっていうね。だから「起」も大事だしね。

(宇多丸)というような感じですね。ではちょっとね、まだ全然時間があるので(笑)。じゃあCMに行ってから、時間の許す限りこんな感じでお互いの好きなやつをかけていきたいと思います。西寺郷太くん、もうちょっとお付き合いください。

(西寺郷太)ありがとうございます。

(CM明け)

(宇多丸)はい。ということでTBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』、たったいま日本シリーズ第六戦がまだまだ延長戦が続いておりまして。なかなか本チャン放送に入れない状態のまま、NONA REEVES西寺郷太さん。本来は特集で11時からご登場の予定が……まあでもこれでね。

(西寺郷太)なんかちょっと楽しくなって来ちゃったんですけど(笑)。

(宇多丸)なんかキャッキャキャッキャ言いながら、お互いの曲を思いつきでね。「あれ、ありますか?」みたいなね。ちなみにみなさん! 現在10時46分になろうかというところなので……すいません。ムービーウォッチメン『ブレードランナー2049』は今週はお休みで来週回しとなりましたー!

(西寺郷太)『ブレードランナー』ってだからもう大物でしょう?

(宇多丸)大物ですよ!

(西寺郷太)大物中の大物。

(宇多丸)大物中の大物ですよ。だから僕、(映画評用の)ノートを作ったんですけど、もう来週までノートをまるごと作り直して。もうちょっと万全の体制にしてね。ただ、言うことはあんまり変わらないと思うんだけど。本当に楽しみにしていただいていた方、申し訳ありませんでした。といったあたりで、歌割り歌謡祭の序章としてパブリック・エネミーなんかを聞きつつ……。

(西寺郷太)これ、ベル・ビヴ・デヴォーが用意されているっていうことですかね? このね、ニュー・エディションっていうグループはもう歌割りのことを考える絶好の教科書なんですけど。ラルフ・トレスヴァントっていうのが本当のイケメンでプレイボーイで。でも声が子供みたいなハイトーンボイスで。もともと『Candy Girl』だったリ『Cool It Now』とか。初期はもう圧倒的なエースだったんですが。



(宇多丸)はい。

(西寺郷太)そこでのしてきたのがボビー・ブラウンというバッドボーイですね。これ、ヤンチャな……たとえて言えば若い頃の市川海老蔵さんとか。なんか、危険な香りがするけどみんなが好きになっちゃうような人っていますよね。昔の木村拓哉さんとかもそうだったかもしれないですけど。ちょっと不良っぽいイメージというか。で、そのボビー・ブラウンがセカンドボーカリストで。『Mr. Telephone Man』とかでは「Mr. Telephone Man♪」っていうところはボビーが歌って。そこからラルフがAメロを歌うみたいな歌割りになっていたんですけども。



(宇多丸)うんうんうん。

(西寺郷太)まあ、ケンカしまして。というのも、ニュー・エディションにいるとずっと2番なんで。「やめたるわ!」いうことで辞めて、ボビー・ブラウンはソロになりました。ほんで、最初ボビー・ブラウンは『King of Stage』っていうソロアルバムを出したんですよ。で、ニュー・エディション陣営は「ちょっと困るな」って思ったわけなんですよ。4人になってしまったわけですね。リッキー・ベル、マイケル・ビヴンス……いわゆる舞祭組的なのが残って、「ラルフとその他3人」みたいになってしまったわけです。で、「困ったな」ってことで迎え入れたのがめちゃくちゃ歌が上手いことで。おっさんみたいに歌が上手いけど売れなかったジョニー・ギルです。

(宇多丸)ジョニー・ギルですよね!

(西寺郷太)誰もがルーサー・ヴァンドロス的な本格シンガーだと認めてはいたけど、そういうアイドル性みたいなのが欠けていたんで。これはジャム&ルイスがプロデュースで『Heart Break』っていうアルバムを出したんですけど。

(宇多丸)これ、素晴らしい。

(西寺郷太)ラルフのメロウなボイスに本格的ソウルシンガーの……。

(宇多丸)(ジョニー・ギルのモノマネで)「ママーイ、ママーイ、ンママママーッ♪」。

(西寺郷太)(ジョニー・ギルのモノマネで)「ンママママーッ♪ ンママーイイ♪」。

(宇多丸)……みたいな人ですよね(笑)。

(西寺郷太)もうびっくりするぐらい。日本で言ったらもう演歌歌手レベルみたいな人をあえて……たとえば森くんの抜けたSMAPに演歌歌手が入ったみたいな。

(宇多丸)氷川きよしが入ったみたいな。

(西寺郷太)それぐらい、ニュー・エディションはボビー・ブラウンが辞めた後に本格派を入れたんです。この時のニュー・エディションも実は歌割りの妙があって。

(宇多丸)最高ですよねー。また名曲が多い!

(西寺郷太)そうなんです。だけどラルフはラルフでソロ・アルバムを出そうと準備していたわけですね。で、もともとジョニー・ギルもソロシンガーですから。で、ソロシンガー同士がソロ・アルバム出そうとした時に、「おい3人、どうすんねん? 余ったぞ」と。

(宇多丸)余りだよね、余り(笑)。

(西寺郷太)で、「どうしよう、どうしよう?」「ほんならもう、ラップのアルバムでも作りや」って。リッキー・ベルってこれが実はいま話した全員の中でも僕がいちばん好きなシンガーなんです。ずっと3番手だったんです。「ラルフ、ボビー」「ラルフ、ジョニー」っていて3番手のリッキー・ベルがめっちゃ歌がいいんですよ。そのリッキー・ベルとマイケル・ビヴンスとロニー・デヴォーがラップで……って作ったのがベル・ビヴ・デヴォーの『Poison』。

(宇多丸)だから要は、誰もが「余り物グループだ」と思っていたら、まさかの超絶大ヒット!

(西寺郷太)大ヒット。それも、ラルフ・トレスヴァントのソロを……これにも『Sensitivity』っていう名曲が入っているんですけど。でも、このベル・ビヴ・デヴォー『Poison』の方が流行ってしまう。



(宇多丸)全然売れた。

(西寺郷太)びっくりしたっていう。

(宇多丸)まあ、ちょうどだからヒップホップ台頭時代っていうのもあって。もうね、これでいわゆるニュージャックスウィングブームの時ですよ。当時、いわゆる「ニューダンス」と呼んでいましたね。いまでも三代目J Soul Brothersなどでもおなじみランニングマン。ああいうダンスを私もやりまくっておりました。サーカスでこうやって、コキコキコキコキとやりまくっておりました。しかもね、『Poison』は結構後年になるまで、割と米軍の兵隊さんが来るようなディスコでは結構かかりまくっていて。

(西寺郷太)これ、いまブルーノ・マーズなんかもまさにこの『Poison』的なビートでちょっと前に出た最新アルバム(『24K MAGIC』)に入っていたり。全然いまの人も聞けると思うんですよね。



(宇多丸)はい。逆にいまね。そしてやっぱりポイントはね、その歌割りの妙。

(西寺郷太)そうです。この中では絶対的シンガーのリッキー・ベルの美声とラッパー2人のフロウというか、キャラの違い。

(宇多丸)あと、出入りね。「ここで入る」っていうのですよね。

(西寺郷太)もう最高なんですよ。

(宇多丸)では、曲紹介をお願いいたします。

(西寺郷太)はい。ベル・ビヴ・デヴォーで『Poison』。

Bell Biv DeVoe『Poison』



(宇多丸)はい。ということでベル・ビヴ・デヴォーの『Poison』。これ、91年?

(西寺郷太)90年とかそんな感じだったと思います。(※1990年2月24日リリース)。

(宇多丸)とか、そんな感じかな?

(西寺郷太)『80’s Night』ではかけられない曲です。

(宇多丸)私がね。80’s警察がすっ飛んできてね(笑)。

(西寺郷太)まあ結果、ボビー・ブラウンもソロで大成功した後にやっぱりちょっと人気が落ち着きまして。で、戻ってくるんですよね。リユニオンっていう形で。だから6人のニュー・エディションになるんですけど、そうすると全員がスーパースターになりすぎて。1曲の中でスターが渋滞しちゃうっていう状況で。ある曲はリッキーの曲、ある曲はラルフの曲って。

(宇多丸)みんなにちゃんと見せ場を作らなきゃならなくなる。

(西寺郷太)それが結構大変になっちゃったのが。でも、『Home Again』っていうアルバムを90年代半ばに作るんですけどね。

(宇多丸)あれもいいですよね。

(西寺郷太)あれも最高なんですけどね。ただちょっと、そういった意味ではサポート役の人がいなくなっちゃったグループという意味では、もしかしたらベル・ビヴ・デヴォーの成功がニュー・エディションを縮めちゃったかもしれないですね。

(宇多丸)面白いですね。だからチーム、グループって全員が主役でもダメなんだねっていうね。

(西寺郷太)それはそれでね。それぞれのファンがいて……っていうのがあんまり大きすぎるとっていうのはありますね。

(宇多丸)面白いですね。ということで、いま放送の状況は、まだまだ日本シリーズが続いておりまして。これはいよいよ、11時台に引っかかるのは必至となっております。

(西寺郷太)僕の放送は基本的にはだんだんない方向に?

(宇多丸)まあ、全くなくなるかはまだ不明なんですが。とりあえず、いまお聞きいただいている各局のみなさんとは(10時)59分でお別れになって。その後、それぞれ各局の番組が始まるということで。で、TBSラジオの方はずっとまだ野球の試合がやっているうちは中継をやっているから。

(西寺郷太)僕たちは……?

(宇多丸)待機!

(西寺郷太)待機!

(宇多丸)もう、Nothing To Do! もう全然できない。何もできないという状態になっているということで。

(古川耕)11時半から復帰する可能性もありますし……。

(西寺郷太)これでいまね、ホームランを打ったりしたらまた変わるんでしょうけどね。

(宇多丸)なので申し訳ないけど郷太さんにはしばらく待機というか。状況を見ながら……。

(西寺郷太)でも、早めに出てベル・ビヴ・デヴォーをかけることになるとは思わなかったです(笑)。

(宇多丸)アハハハハッ! でも、最高ですよ!

(西寺郷太)面白かったですけどね。

(宇多丸)万が一、全部潰れることがあったら、振り替え出演ということで。

(西寺郷太)来月? ああ、ありがとうございます。

(宇多丸)本当に申し訳ありません。忙しいところをね。こんなことに……。

(西寺郷太)『MISSIO』でツアー中なんで。全国の人、来てくださいね。

(宇多丸)改めて、じゃあアルバムとツアーの告知を。

(西寺郷太)アルバムは10月25日に出た『MISSION』というアルバムで。ツアーは福岡と東京公演は終わっているんですけど。あとは札幌とか、NONAのホームページを見ていただければわかると思いますが。大阪もありますし。明日はタワーレコード大阪の難波店に朝7時の新幹線で行くので。で、明後日は大阪から直で札幌に行くんで。

(古川耕)そんな、お忙しいところを。

(宇多丸)まあでも相変わらずね。今回はフィーチャリングが珍しく……あ、試合終わった? 優勝した?

(西寺郷太)優勝した? あ、見ていない間に。

(宇多丸)ソフトバンクが優勝したと。っていうことはこれからヒーローインタビューだなんだといろいろあって、まあ30分ぐらいは……ただ、さすがに1時間は使わないでしょう? そんなことはしないと思いたいですよね。じゃあ、一旦待機を……(笑)。

(西寺郷太)面白い展開(笑)。

(宇多丸)NONA REEVES『MISSION』、最高なので。特に今回の歌割りのあれじゃないけど、フィーチャリングが珍しくお三方も。

(西寺郷太)だいたい2曲とかはあるんですけど、今回は3曲あるんでね。

(宇多丸)あと女性の絡みでさ、違う女性の絡みが面白いです。原田郁子さんのやつも素晴らしかったです。

(西寺郷太)ありがとうございます。それがすごく歌割りをこだわって作ったんで。『記憶の破片』。

(宇多丸)これ、特集の中でもかけられればいいんですけどね。じゃあ、イレギュラーな感じでお付き合いいただいてありがとうございました。といったあたりで、あと1分でこの放送は終わり、しばらく我々は無の境地に。リンボーに入っていくというね。

(古川耕)煉獄的なところですね。

(宇多丸)ということで、改めましていいますけどもムービーウォッチメン。本来やる予定でした『ブレードランナー2049』は来週回しということで。私は現在、ライムスターでツアー中でして。非常に多忙っちゃあ多忙なので正直助かるっちゃあ助かる(笑)。

(古川耕)まだまだ番組に(『ブレードランナー2049』の)感想メールもお待ちしていますので。

(宇多丸)まあ基本的には評判いい方向なんだけど、ただ異論がある人は当然出てきてもおかしくはないタイプの作品なので。まだまだメール募集しております。よろしくお願いします。といったあたりで、TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』、ここらでこちらの放送をお聞きいただいていたみなさんとはお別れとなります。お相手はライムスター宇多丸と、ゲストとして……。

(西寺郷太)NONA REEVES西寺郷太と、

(古川耕)構成作家古川でした。

(宇多丸)ということでこちらの放送をお聞きの方。いろんな形でTBSの方も聞けますので。よろしくお願いします。とりあえず、また来週!

(45分後……)

(宇多丸)さあ、本日も始まってしまいました。残り15分、盛りだくさん! 盛りだくさんの内容でお送りいたします。『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』!

(西寺郷太)アハハハハッ!

(宇多丸)TBSラジオ第六スタジオから生放送でお送りしている『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』、通称『タマフル』。パーソナリティーの宇多丸です。本日、日本シリーズ第六戦にしてソフトバンクの優勝が決まりまして。おめでとうございます。ソフトバンク。ねえ!(拍手)。いやー、本当ですね、めでたいめでたいということで。そのめでたさの煽りを受けまして、本来なら10時から放送のところを、1時間に渡っていわゆる他のネット局の放送はしておりましたが。そして最終的にその1時間やった後、この45分間は我々、やることがなくなり……Nothing To Do!

(西寺郷太)アハハハハッ!

(宇多丸)という状況になりまして、45分からの放送になりました。ということで本日、実は11時からの特集ゲストとしてお招きしておりましたNONA REEVESの西寺郷太さんでございます。

(西寺郷太)どうもー。NONA REEVESの西寺郷太です。

(宇多丸)ということで、郷太くんには「歌割り歌謡祭」ということで。

(西寺郷太)2時間かけて資料を作ってきたんですけども……。

(宇多丸)申し訳ありません。様々な曲の、歌割りっていうのはパートが違う人が出てきたりとか。

(西寺郷太)リードボーカルが入れ替わったりとか。そういうのが面白いですよっていうのを1時間やるつもりだったんですけど、15分に……。

(宇多丸)郷太くん、15分でこの特集をやれっていうのはあまりにももったいないので。

(西寺郷太)いいんですか? 15分でギュッとやるわけじゃないんですね?

(宇多丸)ギュッとやるわけじゃない。それはあまりにももったいないので、西寺郷太さんのこの歌割りがすごい歌謡祭は12月2日に振り替えというか。

(西寺郷太)SMAPの話とかもガンガンしようと思っていたんですけども。

(宇多丸)そうなんですよ。改めて、ぜひぜひ。12月2日に改めて特集とさせてください。で、今夜の10時台のしばらくやっていた放送は「宇多丸&郷太の洋楽駄話」ということで。歌割り特集の前フリ的な感じでね。で、「あの曲、ない?」とかいきなり言い出しては探させて。パブリック・エネミーとかベル・ビヴ・デヴォーを聞いたりね。ベル・ビヴ・デヴォーといえば西寺郷太さん、得意の逸話をお持ちのようで……。

(西寺郷太)そうなんですよ。「トントコ、トントコ、トコトントーン♪」ってイントロのね。

(宇多丸)印象的なビートがあります。

(西寺郷太)下馬のしとらすっていうお店。バーっていうか、そのお店で何年か前にみんなで飲んでいたんです。ちょっと年上ぐらいの、宇多丸さんぐらいの人が酔っ払ってトイレに入っちゃって。で、周りは真城めぐみさんなんかもいたんですよ。で、「あいつ、全然出てこないよ、便所から」って。

(宇多丸)酔っ払っちゃって出てこない人、いますよね。

(西寺郷太)「ドンドンドン、出てこい、出てこい!」ってみんなやったんですけど、結局その時は出てこないまま……トイレも入れないから困っていたんですよ。で、「郷太くん、なんとかしてくれよ!」って言ってきたんで、僕がもう全然なにもノーアイデアだったんですけど、「わかりました。僕がこの人を出しますよ」って言った後、ギリギリで思いついて「トントコ、トントコ、トコトントーン♪」ってベル・ビヴ・デヴォーの『Poison』のビートでノックしたら、あんだけ出てこなかった酔っ払いがドアを開けて、「『Poison』?」って……。

(一同)フハハハハッ!

(西寺郷太)「うおおおおおーっ!」って店の30人ぐらいがひとつになって。「郷太! 郷太! 郷太!」って。

(宇多丸)フハハハハッ! その人もその人だよね。なんなんだよね。

(西寺郷太)「ドンドンドン!」ってやっても出なかったのに。「トントコ、トントコ、トコトントーン♪」で……。

(宇多丸)やっぱり「トントコ、トントコ、トコトントーン♪」で「ジャン!」って出たくなっちゃうっていうのはあるのかもしれない。「ポイズン!」って。

(西寺郷太)あんなに酔っ払って寝ていたのに。

(宇多丸)中でポイズンを出していたんでしょうね(笑)。申し訳ありません。ということで、その本チャンの特集は12月2日に振り替えルンですが、ここはNONA REEVESのニューアルバム『MISSION』から。

(西寺郷太)NONA REEVES『MISSION』から、これはまさに歌割りのすごく考えて作った曲で。

(宇多丸)ねえ。先ほど『Danger Lover』というCharisma.comのいつかちゃんフィーチャリングの曲を10時台にかけさせていただいて。これもいつかちゃんの登場シーンがめちゃめちゃかっこよかったんですけど。ここで1曲だけお聞きいただく曲。

(西寺郷太)これはクラムボンの原田郁子さんをフィーチャーした曲で。この曲はもともとは僕、1人で歌うつもりで書いていたんですけど、ワーナーのレコード会社のスタッフが「これ、デュエットにならへんかな?」みたいなことを言ってきて。で、その郁子ちゃんのキーをクラムボンの曲を聞いて……郁子ちゃんがやってくれるってなった後にキーを聞いて、そこに合わせてメロディーを僕が書き加えたんです。だから2番のメロは1番と全然違うんですけど、それは郁子キーで新たに……もともと演奏も録っていたんで、キーを変えるわけにはいかなかったからメロディーで工夫したっていう感じですね。

(宇多丸)へー! そんなことができるんですね。

(西寺郷太)やっぱりやれたんですね。あとプラス、どっちかがメインでどっちかがハモりっていう形にせずに、主メロを男性と女性で入れ替えることでどっちも主役にしているというのがポイントです。

(宇多丸)はー! なるほど。

(西寺郷太)なので覚えるとすごくかっこいいと思うので。

(宇多丸)うまく絡めてやることによって。

(西寺郷太)まあ数学的に考えた曲ですね。

(宇多丸)へー! かなりミュージシャン西寺郷太の腕が見せられる曲ということですかね。

(西寺郷太)ぜひ聞いてほしいんです。

(宇多丸)では、ここで曲を聞いていただきましょう。郷太くん、曲紹介をお願いします。

(西寺郷太)はい。NONA REEVES『MISSION』から『記憶の破片 feat. 原田郁子 (clammbon)』。

NONA REEVES 『記憶の破片 feat. 原田郁子 (clammbon)』



(宇多丸)ということでNONA REEVESニューアルバム『MISSION』から『記憶の破片 feat. 原田郁子 (clammbon)』ということでございます。まさにね、デュエット曲の歌割りとか。あと、ずっと聞いている間にも郷太くんにキーの関係性っていうのを。

(西寺郷太)男性のキーと女性のキーのおいしいところは違うので。それをいろいろなデュエットの場合には工夫しないとなっていう話なんですけど、15分しかないんであんまりあれですけどね。

(宇多丸)いやいや、これはでも次回、12月2日の振り替えになってしまいましたがNONA REEVES西寺郷太プレゼンツ、この歌割りがすごい歌謡祭。こちらを改めて楽しみにしていただければと思います。

(西寺郷太)ぜひぜひ。

<書き起こしおわり>

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