宇多丸 HALLCA『VILLA』を語る

宇多丸 HALLCA『VILLA』を語る アフター6ジャンクション

宇多丸さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で元EspeciaのHALLCAさんのアルバム『VILLA』を紹介。『Diamond』と『Show the night』を選曲していました。

(宇多丸)でも今月は僕、めちゃくちゃアガりました。っていうのは、作品的にもすごいいいのがあったし、1曲ね、もう俺今年いちばんリピートしてるんじゃないかな? この曲。すっごい個人的にも気に入っちゃったという1曲があって。年末には年間ベストみたいなのもやるんだけど。俺の中でとある他の作品ともう1位を争って……どっちだろうな?っていうぐらいのところまで来ているという。でも、こういうのがあるとね、その連載の文章も熱がこもるし、ここでご紹介するのもすごい楽しみなるということで。で、それはなにかと言いますと、アーティスト名はHALLCAさんという方。

(森田秀一)HALLCAさんですね。

(宇多丸)これ、Especiaというもう解散してしまった大阪ベースのグループがいて。ウィークエンド・シャッフル時代にライブをしに来てくれたりもしましたが。そこの冨永悠香さんという元リーダーの方のソロプロジェクト名でHALLCAという。このHALLCAさん名義でソロ活動で去年ぐらいにEPを出しているんですよね。

(森田秀一)そうなんですよ。ちょっとこれ、ノーチェックだったんですけども。

(宇多丸)我々、ちょっとチェック漏れが出てしまって。申し訳なかった。その時点で扱うべきだったんですが。そこから先もいろいろと事務所から独立をされてとか、またいろいろとあったみたいで。で、満を持して……毎月連続配信シングルとかもやりつつの満を持してのフルアルバム『VILLA』というものをお出しになりました。

(宇多丸)元Especiaメンバーというと、この番組でよくご紹介している脇田もなりさんという、いち早く卒業をされてソロに転じられて……っていう方がいて。その脇田もなりさんがEspeciaにおけるブラックミュージック的な側面というのかな? 非常にソウルフルな側面を担っているとすれば、もうちょっとアーバンシティポップ、もうちょっと力が抜けたラインというか。アンニュイな感じ、レイドバックしたラインっていうのは実はこの冨永悠香さん、HALLCAさんが受け継いでいる。しかもHALLCAさんのソロプロジェクトに参加しているトラックメイカーたちはほぼほぼEspecia陣営なんですね。

(森田秀一)そうですね。

(宇多丸)だからEspeciaのアップデート版をやっているのがこのHALLCAさんという風に言っていいと思うんですね。で、これがちょっとチェック漏れを本当に心底後悔するぐらい、やっぱりもともとEspeciaの大ファンだったんで。「うわーっ!」っていう。「Especiaのエッセンスがここに、しかも進化した形で生きていた!」っていう感じで。本当に嬉しかったですし。まあ、途中で終わってしまったグループなんだけども、それを途中で元リーダーがいろいろと自分でブッキングしたりして。

本当にご自分で……だからもはやアイドルソングっていうよりはシンガーソングライターとか、そういう部類なんですけども。なんかご自分でいま、それを引き継いでやられているという、その物語性にもすごく感動してしまうし。なにより、作品が本当によくて。参加メンツはPellyColoさんとかRillsoulさんとか。あとは東新レゾナントさんとかが参加されていて。本当にどの曲もはずれなしで。最高でしたよね、これ。森田さんね。

(森田秀一)もうこのアルバム、全体的にですけども。特にこれから取り上げる曲がもう……(笑)。

(宇多丸)そうなんですよ。もう本当にこれ、名曲。で、僕はPellyColoさんと1回、お会いしたことがあって。連絡先交換なんかもして。ちょっと感動のメールを送りました。しばらくご無沙汰していたんだけども。「あんた、すごいよ!」みたいな。「これはすごいよ!」みたいなのを送って。PellyColoさんのメロディーセンスとかコード進行のそのコードの選び方のセンスとか。あと音色の1個1個とかがなんかね、とても心地いいし、メランコリックで懐かしい。とにかくPellyColoさんの曲を聞くとなんか……全然僕よりも若い人なんだけれども、懐かしさを。

(森田秀一)Especiaの時によく言っていたのは「郊外感を出している」みたいな。東京じゃなくて郊外っていう(笑)。

(宇多丸)だからちょっとガランと寂しい感じも含むっていうことなのかな? で、じゃあさっそく聞いていただきたいんですが。HALLCAさんの今回の『VILLA』という……このアートワークもものすごいEspeciaイズムだなっていう感じがしますけどね。では、こちらをお聞きください。これは本当に俺、いまめちゃくちゃリピートしてる。1日何回かは確実にリピートをしています。

(宇内梨沙)早く聞きたい!

(宇多丸)あのね、出だしはすごいアンビエントな感じで始まって。それもすごくEspeciaのレイドバックした感じがあるんだけど、サビで一気にものすごくエモーショナルの盛り上がって……とかね。なんかね、よくできているんですよ。あとHALLCAさんのアンニュイなボーカルも最高です。興奮しすぎてしまいました。HALLCAさんで『Diamond』。

HALLCA『Diamond』

(宇多丸)うーん、PellyColoさんはいい仕事しますねえ!

(森田秀一)最高ですね!

(宇多丸)これはあと、いまっぽさ、サウンドもそうなんだけど、楽曲のクラシック感っていうか。これ、たぶん10年後、20年後聞いてもたぶんみんな「いい曲」って言うと思うよっていう。本当に素晴らしいと思います。HALLCAさんの『Diamond』を聞いていただきました。もう1曲、HALLCAさん聞いていいですか? というもはHALLCAさん、僕の連載もどんどんとアイドルソングっていう感じじゃなくて、いまその境目がもうわからなくなっていて。

ご自分で作詞作曲したり、トラックメイクをしたりする人とかも全然増えてきて。アイドル扱いっていう感じじゃなくなってきているんだけども。まあ、元アイドルの次のキャリアみたいな感じかな? で、このHALLCAさん、作詞作曲もされていて、アレンジをPellyColoさんがやっているこちらをお聞きください。これもレベル高い。『Show the night』。

HALLCA『Show the night』

(宇多丸)はい。ということで冨永悠香さん。HALLCAさんの『Show the night』。こちら、作詞作曲がHALLCAさんでアレンジをPellyColoさんがやっているということです。ということでぜひアルバム『VILLA』、アルバムが全体に非常に水準が高いので。宇内さんにもおすすめでございます。

(宇内梨沙)かわいい。しかも作詞作曲もされているってすごい才能豊かですね。

(宇多丸)本当に1曲1曲のレベルが高いんですね。

<書き起こしおわり>

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