吉田豪と玉袋筋太郎 ダイノジ大谷ノブ彦を語る

吉田豪と玉袋筋太郎 ダイノジ大谷ノブ彦を語る たまむすび

吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でダイノジの大谷ノブ彦さんについて、玉袋筋太郎さん、安東弘樹さんとともに話していました。

(安東弘樹)さあ、このコーナーでは豪さんがこれまでインタビューしてきた一筋縄ではいかない有名人の様々なその筋の話を聞いていきます。今日、豪さんに紹介してもらうのはお笑いコンビダイノジの大谷ノブ彦さんです。まずは大谷さんのあらすじとその筋をご紹介します。1972年・山口県生まれ、大分県育ち。中学生時代に現在の相方である大地洋輔さんと出会い、お互いにコサキンのリスナーであったことから意気投合。1994年に吉本興業のオーディションに合格し、コンビを結成します。コンビとしては2002年にM-1の決勝に進出。結果は8位に終わります。さらに、2005年からDJとしての活動を開始。2013年頃からはコンビではなくラジオDJとして『オールナイトニッポン』や『大谷ノブ彦キキマス!』などを担当します。

(玉袋筋太郎)やってた、やってた。

(安東弘樹)そして、吉田豪さんの取材による大谷ノブ彦さんのその筋は……その1、「たけしさんが嫌いなの、なんだっけ? 熱いやつだ!」の筋。その2、「そうだ、突っ込みはこいつらでいいじゃん」の筋。その3、嫌われ者と共鳴の筋。その4、星座ができる! 嫌われの銀河軍団の筋。その5、みんなが突っ込める、悪気ない男の筋。その6、励ました覚えはない。無邪気に笑っていたの筋。その7、「そんなこと言っていたっけな? 俺、知らねえよ」の筋。以上、7本の筋です。

(玉袋筋太郎)うん、ねえ。

(安東弘樹)これ、いっぱいありますね。

(玉袋筋太郎)いっぱいあるね、筋が。大谷は。

(安東弘樹)どういう人なんですか? これだけ見ると全然つかみどころがないというか。

(吉田豪)ざっくり言うと、こんだけ芸人の間で嫌われている人は珍しいぐらいの(笑)。よく言う人が本当にいない、珍しいタイプですね。

(玉袋筋太郎)いないよね。うん。

(安東弘樹)あの、我々が出たトークショーでもその話で盛り上がっていましたね。

(吉田豪)そうなんですよ。

(玉袋筋太郎)そうそうそう。なんなんだろうね、彼は。

(吉田豪)なかなかあそこまでの人はいない……僕は全然嫌いじゃないんですけど。僕はむしろ、「一回りしてすごい面白い! 大好き!」っていうタイプで。

(玉袋筋太郎)ああ、一周しちゃったわけね。

一回りしてすごい面白い

(吉田豪)実は今日も、だからアイドルフェス(TIF)に大谷さんが出ていたんで、一言挨拶しに行って。で、相方の大地さんというのがまた、僕が大谷さんをいじるのが大好きなんですよ。「豪さん、今日すごい楽しみにしてますよ!」って(笑)。「やっちゃってください!」みたいに、すごい喜んでいたんですけど(笑)。大谷さんは当然なにも知らなくて。「えっ、今日なんかそんなことするの!?」みたいな感じで全然わかっていないんですけど。まあ……。

(玉袋筋太郎)なんか、うちの相棒(水道橋博士)ともトラブルがあったもんね。

(吉田豪)燃えましたね。去年ですかね。絶縁ぐらいになってましたね。

(玉袋筋太郎)そうそうそう。

(吉田豪)ガチモメしています。いや、すごい人なんですよ。だから昔、大谷さんが最初の本を出した時に博士に帯文をたのんだんですよ。で、博士が帯文を書くじゃないですか。博士、業界的にも大先輩じゃないですか。大谷さんってすごい人なのが、当時ペーペーなんですけど、勝手に書き直すんですよ。

(玉袋筋太郎)それはねえだろっていう話だよ。

(安東弘樹)内容を?

(吉田豪)本人に許可取らないで、より褒めている感じで書き直して。で、博士が激怒して、その頃も絶縁状態が何年かあって。

(玉袋筋太郎)だってうちの相棒、驚いていたもん。本当に。「そういうことするやつ、いるんだ!」っつってさ。普通に驚いていたよ。

(安東弘樹)並んだわけですね。本屋さんに。

(吉田豪)そういう人なんですよ。わかりやすく言うと(笑)。

(安東弘樹)いまのでだいたいわかりました(笑)。

(玉袋筋太郎)そういうことなんだな、うん。

(吉田豪)で、このインタビュー自体は結構前にやったんですけど、実は当時、この『たまむすび』の裏番組を去年の春まで担当していた関係で、当時できなかったんですよ。今、ようやく伸び伸びと話そうという感じで。

(玉袋筋太郎)なるほど。じゃあ、その1から行ってみるか?

(安東弘樹)そうですね。まず、「たけしさんが嫌いなものはなんだっけ? 熱いやつだ」の筋。

(吉田豪)そうですね。そもそも『お笑いラジオの時間』っていう本で僕、取材を頼まれたんですけど。実はそれも最初に1回、大谷さんのインタビューを編集サイドがやっていたんですよ。そしたら、編集サイドが反省していたんですよね。「いじりきれなかった。大谷さんがなかなか突っ込ませないような空気を出していたんで、これね、吉田さんにガチでやってほしいんですよ」って言われて(笑)。「ガチを仕掛けてください」っていうオファーが来て、僕が仕掛けに行くっていう企画だったんですよ。

(玉袋筋太郎)うんうんうん。

(吉田豪)ただ、ここ何年かで大谷さんは実は突っ込みをちゃんと受ける、いじられる側になってきて。昔はいじられるのがいちばん苦手で、20年間ずっと逃げ続けた人だったのが、受け身を取るようになってきたんですよ。昔は全然いじらせなかったのが、『オールナイトニッポン』が始まる時に「いじられなかったから俺はもう無理だろうな」と思ったと。「そもそも始まる時にビートたけしさん風とか明石家さんまさん風にやっても、その人たちの1/10にも満たない。むしろ、たけしさんがいちばん嫌いだったものはなんだっけ?って考えた時に『熱いやつ』という。当時で言えばドリアン助川さん、石川よしひろさんとか辻仁成さんとか。ああいう側をやった方が浮くし、そこが隙間だということを考えてやったら、そっちがスラスラできてハマッてそっち側の人間だということがわかった」と。

(玉袋筋太郎)一応じゃあ、戦略は立てたんだね。

(吉田豪)戦略は立てているんですけど、でも、この人はだから本当に計算というか自覚がないじゃないですか。だから、たけしさんのオールナイトが大好きで、「高田文夫先生と絡めて本当に幸せだ」とか言っているんですけど、高田文夫先生にもしくじったりしているんですけど、それも自覚がないんですよね。

(玉袋筋太郎)ああー、ないのか。

(吉田豪)高田文夫先生に対して、「ビートたけしのとっておきの話、僕が教えてあげますよ」的な話をし始めちゃうんで。「はあ?」ってなるじゃないですか。

(玉袋筋太郎)だからやっぱり信じられないことを言ってくるんだな。

(吉田豪)そう。そういうモードで語っちゃうんですよ。

(安東弘樹)すごくわかってきました。はい。

(玉袋筋太郎)わかってきた。うん。

(吉田豪)で、その時に大谷さんが開発したのがまずリスナーに「ボス」と言わせるということだったんですよ。

自分のことを「ボス」と呼ばせる

東野幸治 ダイノジ大谷ノブ彦を『ボス』と呼ぶ
東野幸治さんがニッポン放送『ダイノジ大谷のオールナイトニッポン』にゲスト出演。リスナーに自分のことを『ボス』と呼ばせている大谷さんに対してこのように話してました。 (大谷ノブ彦)それはね、教えてもらいたいですね。 (東野幸治)それはもう、大...

(玉袋筋太郎)ボスなんだ。うん。ボスの器だったのかな?

(吉田豪)これがだからどういうことか?っていうと、まずだから辻仁成さんのラジオを聞いたらハガキのことを「カード」と言っていた。で、それが面白かったと。でも、カードは恥ずかしくて言えなくて、辻さん、やっぱりすげえなとか言っていたんですけど。これがちょうど、そのインタビューが終わった時に一緒にいた編集者が言っていたんですよ。「大変なことがわかりました」みたいな。終わった後で。「さっき、言っていたじゃないですか。『(辻仁成が)ハガキのことをカードって言っていたのを僕が聞いた』みたいなこと。あれ、前回のインタビューで僕が言った話なんですよ」っていう。

(玉袋筋太郎)おおっ!

(吉田豪)それを自分がラジオを聞いた風にして、自分のエピソードとして語っていて……という。それをインタビュー記事のオチに使ったんですけど(笑)。そういう人なんですよ、本当に(笑)。

(玉袋筋太郎)おおっ、面白えな、おい!

(吉田豪)常に(笑)。

(玉袋筋太郎)だんだんわかってきた。

(安東弘樹)その大谷さんが『オールナイトニッポン』をやっていたわけですね。

(吉田豪)でも、それはたしかにハマッていたんですよ。中高生ぐらい、10代のリスナーにいちばんハマるような思春期感あふれる感じ。いわゆる中二病的な感じというか、そのモードでやっていたんで。「洋楽かっこいい!」みたいな感じとか。

(安東弘樹)「洋楽かっこいい!」ですか。

(吉田豪)洋楽をみんな、10代に聞かせるみたいな感じでやったりとか。あと、熱い話、真面目な話も混ぜたりしながらで。良かったですよ。オールナイトは。昼だとちょっと薄まっちゃった感じがしてて。

(玉袋筋太郎)なるほどな。うん。そして、その2だな。

(安東弘樹)「突っ込みはこいつらでいいんじゃん」というね。これ、どういうことですか?

(吉田豪)ええとですね、大谷さんのスタンスが変わったのはマキタスポーツさんの本で『一億総ツッコミ時代』っていうのがあって。まあ、ツッコミがだんだん世の中で多くなっている中で、あえてボケの側に行くみたいな本だったんですけど、これが結構与えた影響って大きくて。良くも悪くもだと思っているんですけど。キングコングの西野さんとかダイノジの大谷さんとかがこれを読んで自信をつけちゃったっていうのがあるんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)ああーっ!

マキタスポーツ『一億総ツッコミ時代』の影響

(吉田豪)「俺は意図的にそっちに行っている」っていう(笑)。で、意図的に行けている人と、意図しなくて行っている人がいるじゃないですか。大谷さんは意図じゃないですよとは思うんですけど(笑)。

(玉袋筋太郎)それなんだ(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ。で、WOWOWぷらすとっていう番組をマキタスポーツさんと一緒にやっていた時に「突っ込みはこいつら(見てる人・視聴者)」でいいと。

(安東弘樹)「一億」側の人たち。はい。

(吉田豪)それがどういうことか?っていうと、チョウ・ユンファが出ている『誰かがあなたを愛してる』っていうニューヨークの映画について語る回の時に「この映画はウディ・アレンよりもニューヨークを描けている」とか偉そうに言っていたらしいんですよ。大谷さんっていうのは基本、『映画秘宝』とかの受け売りでそういう風に語るのが大好きな人なんですけど。

(玉袋筋太郎)受け売りなんだよね。

(吉田豪)ライムスター宇多丸さんとかの受け売りを語るのが好きな人なんですけど(笑)。まあ、そういうことを本人曰く、佐野元春ばりに語っていたら、「大谷さんってニューヨークに行ったことがあるんですか?」って聞かれて、「いや、1回もないです」って言ったら、「ええーっ!」ってコメントがすごい数、出てきて。そこからリスナーが常に突っ込むようになっていったと。

(玉袋筋太郎)ああーっ!

(安東弘樹)なるほど。関係性がね。

(吉田豪)そうなんですよ。そういう風に関係性ができていったんで、「これをやろう」という風になっていったんですよね。

(玉袋筋太郎)これ、どうなんだろうね。『笑点』の林家三平のあの座布団。ネットで座布団がゼロになるとか。それに近いのかな? どうなんだろうね?

(安東弘樹)これは計算? どうなんだろうな?

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