吉田豪 SKE48 松井珠理奈とプロレスを語る

吉田豪 SKE48 松井珠理奈とプロレスを語る たまむすび

吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でSKE48の松井珠理奈さんについてトーク。ドラマ『豆腐プロレス』をきっかけに急激にプロレスにハマった珠理奈さんにインタビューした際の模様を話していました。

(安東弘樹)さあ、このコーナーでは豪さんがこれまでインタビューしてきた一筋縄ではいかない有名人のさまざまなその筋の話を聞いていきます。今日、豪さんに紹介していただくのはSKE48、松井珠理奈さん。まずは松井珠理奈さんのあらすじとその筋をご紹介します。1997年、愛知県生まれ。

(玉袋筋太郎)最近じゃん。

(安東弘樹)最近です。もう僕、ずーっと前から活躍されているから、もうちょっと歳が上なのかと思ったらまだハタチなんですね。2008年にSKE48のオーディションに合格。11才でAKB48のシングル『大声ダイヤモンド』に選抜メンバーとして参加。2009年にはSKE48としてファーストシングル『強き者よ』をリリース。AKB選抜総選挙では2009年が19位。2010年10位。2011年14位。2012年9位。2013年6位。2014年4位。2015年5位。去年、2016年は自己最高の3位になりました。で、一昨日発表された今年の速報では2位という。来てますね。

(玉袋筋太郎)すごいね。

(安東弘樹)現在放送中の女子プロレスをテーマにしたテレビドラマ『豆腐プロレス』ではプロレス団体のスター選手、ハリウッドJURINAを演じている松井珠理奈さんでございます。そして、吉田豪さんの取材による松井珠理奈さんのその筋は……その1、プロレスにハマって半年。プロレス原体験の筋。その2、パーのみで勝ったじゃんけん大会。「目で殺す」の筋。その3、グループ内抗争。プロレスで学んだことの筋。その4、絶対に超えてやる。自分は負けてられないの筋。その5、伝説の対抗戦『サマーフェスティバル2010』の舞台裏の筋。その6、プロレスなら負けない。やりたい技だけやるの筋。その7、総選挙のスピーチもプロレスで。決めゼリフも考えているの筋。以上、今日は7本の筋です。

(吉田豪)すごいねえ。

(安東弘樹)松井さんね、忙しいんでしょうね。僕がやっているCSの『SKE48 ZERO POSITION』という番組、まだ一度もお会いしたことがないです。ちょっと、出られないのかな? 忙しすぎて。ということで、7本ありますよ。今日は、プロレス。

(玉袋筋太郎)プロレスにハマって半年。原体験の筋っていうね。

(安東弘樹)ドラマから始まっているんですよね。

プロレスにハマって半年

(吉田豪)そうなんですよ。いま放送中の『豆腐プロレス』の主演で、その勉強のために新日本の1.4ドームを見に行って一気にハマって。

(玉袋筋太郎)すごいね!

(吉田豪)それから、この前取材したら山ほどプロレスグッズを持ってきて。永田裕志のサイン入りTシャツを持ってきて、「私、アイドルも含めて生まれてはじめてサインをもらったのが永田さんなんです! 永田さんのサインに並んで、サインをもらって。ほらほら、見て見て!」みたいな。

(玉袋筋太郎)はー。敬礼しちゃうよ、思わず。うん。

(吉田豪)そう(笑)。すごいレベルのファンに。

(安東弘樹)いま、雑誌の写真で見ていますけども。すごい。

(吉田豪)で、新日本にハマる人は増えているんですけど、彼女が信用できるのはそこから流れてNOAHだの全日本だの、全部ちゃんと行くようになって。そこでグッズを買って。鈴木みのるさんの店に行ったりとか。

(玉袋筋太郎)ええっ!

(吉田豪)マメに回っているんですよ。

(安東弘樹)本物感、ただよってきた。

(吉田豪)本物ですよ。

(玉袋筋太郎)(キラー・カーンの居酒屋)カンちゃんは行ってねえの、カンちゃんは?

(吉田豪)カンちゃんはさすがに行ってないですね。この前やったプロレス総選挙っていう番組、あったじゃないですか。あれの順位に怒っていたりとか(笑)。すごい、いい感じのいいファンになっているんですよ。

(安東弘樹)あれ、怒っている人いっぱいいますね。

(吉田豪)「なんですか、あの順位!」って。

(玉袋筋太郎)あれ、まずMCに怒ってるから。俺は。「わかってねえだろ、お前!」なんて。まあいいや、そんなことはね。そうか。

(吉田豪)それぐらい、『豆腐プロレス』きっかけですごいことになっていて。

(玉袋筋太郎)すごいな。

(吉田豪)ちなみに僕、『豆腐プロレス』にはひとつ言いたいこともあるんですけど。これ、主題歌がAKBの『シュートサイン』っていう曲なんですけども。

AKB48『シュートサイン』

(玉袋筋太郎)『シュートサイン』。

(吉田豪)そういうタイトルの曲を主題歌にしながら、ドラマの中のプロレスが完全なガチとして描かれているんですよ。「シュートサイン」の存在しない世界として描かれていて。

(玉袋筋太郎)あら~。

(吉田豪)これ、たぶん秋元さんはもうちょっとこういうものが存在する深みのあるプロレス。ただのショーでもただの真剣勝負でもない、リアルなプロレスを描こうとしたんじゃないかと思うんですけど、大人の事情でそうじゃなくなっている。

(玉袋筋太郎)あらららら。ピストルの意味がないわけだな。

(吉田豪)ないんですよ。「なんなんだろう、この主題歌?」っていう話なんですよ(笑)。「プロレスはシュートですよ。なに言ってるんですか!」っていう(笑)。不思議なね。

(玉袋筋太郎)(笑)。いや、どういうあれだったの? 認識が。彼女がね、ハマるっちゅーのは。プロレスはやっぱさ、女の子ってなかなかね……。

(吉田豪)違うんですよ。まあ、ハマる前は「怖いのかな?」っていう感じで。お父さんが好きだったらしいんですよね。で、お父さんに技をかけられたりとかして。スリーパーとか四の字固めとかかけられていたんで、「男の人が見るもの」っていうイメージがあって。それプラス、「活動の妨げになるぐらいだったら趣味はいらない」って思っていたらしいんですよ。

(安東弘樹)自分がね。松井さんが。

(吉田豪)それがこの半年で急激にハマったのは、本当は趣味ってもともとなく、常にSKEのことを考えていて外の世界を見ることがなかった。ハマった大きな理由が、「自分の活動をしていく中で、自分のパフォーマンスを見てくれた人が『珠理奈ががんばっているんだったら明日もがんばろう!』って思ってほしいと思っていた。日々のパワーになったらいいなと。そしたら、プロレスを見たら私がそのパワーをもらえた。『どうやって選手がそのパワーを与えているんだろう?』っていうことに興味を持って、プロレスを見たらなにか学ぶことがあるかもしれない。自分が楽しいとか、それだけじゃなくて、活動する上ですごく自分のパワーになったり勉強になることがあるんじゃないか、深く知りたいなと思った」と。

(玉袋筋太郎)ああーっ! いいな、そういう見方でプロレスが見れるって。うらやましいわ。

(吉田豪)ポジティブな。でも、すっごいプロレスの学習の仕方をしているんですよ。話を聞いていると。

(玉袋筋太郎)いいねえ。そうそうそう。

(吉田豪)そうなんですよ。特に学んだのが棚橋選手という。対談もして。ファンサービスのすごさもすごいし。「チャンピオンっていうのは強いだけじゃなくて、ファンへのサービスもすごい。それを見た時に、アイドルとちょっとかぶるところがあるというか。棚橋さんの背中に学んだ」って言っているんですけど、僕らは「棚橋さんの背中」っていうと違うことを思い出すじゃないですか(笑)。

(玉袋筋太郎)そうなんだよね。違うことを思い出しちゃうんだよね(笑)。

(吉田豪)事件を思い出しちゃうっていう。

(玉袋筋太郎)事件、事件。

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(吉田豪)傷が……っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)出た! サムライTV!

(安東弘樹)そういう純粋な背中を見ている人もいるっていうことですね。

(玉袋筋太郎)そうそうそう。

(吉田豪)僕らとは違う背中を見ているという。

(玉袋筋太郎)違う背中を見ているんだよ。うん。

(吉田豪)でもその結果、「実はファンにもプロレスファンの人が多くて、『プロレスが好きになった』って言い出したら、『やっとしゃべれることが出来た。うれしい!』っていう感じでどんどんそういう人が増えた」と。

(安東弘樹)もともと松井珠理奈さんファンにもプロレスファンが多いと?

もともとプロレスヲタが多かった松井珠理奈ファン

(吉田豪)そうなんです。僕の周りの珠理奈ヲタも全員プヲタなんですよ。「やっとわかってくれた!」みたいな感じになっていて。

(玉袋筋太郎)ああ、そうなんだ。まあでも、プロレスとこの芸能界、芸能っていうのは根底ではつながっているもんだからさ。それはまあ、一緒なんだよね。だと思うよ。

(吉田豪)僕も「アイドルには近い」とはよく言っているんですよ。

(玉袋筋太郎)そうだよね。たしかにそうだよ。うん。

(吉田豪)で、そういうファンサービスの話で、この対談の時には僕が小学生の時にジャイアント馬場さんにサインを断られた話を出したりとかして。馬場さんが会場の外で準備体操をしていたんで「馬場さーん! サイン下さい!」って。1人だけだったんで。「おう!」って言ったんで、ずーっと待っていたのにずっと放置されて。なんでだろうと思ってもう1回言っても、「おう!」って言っていて。よく聞いたら、「NO!」って言っていたっていう(笑)。小学生に英語を使うっていう(笑)。「わかんねえ!」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)そこはたぶん馬場さん、相手が誰でも同じなんだろうな。

(吉田豪)みたいなファンサービスの話で盛り上がったりとか。

(玉袋筋太郎)俺もキム・ドクに「サインくれ!」っつったら無視だもんね。完全無視だね。キム・ドク。

(安東弘樹)それはある程度演出の部分もあったり?

(吉田豪)あります。上田馬之助さんにサインをもらおうと思ったら、しないで追いかけ回されましたもんね。その後に、マイティ井上とかがくれるんですよ。

(玉袋筋太郎)そうだよ。だから俺もブッチャーの血を色紙で取ったりとかしたわけだよ。そうだ。

(吉田豪)みんな言いますよ。サインをたのまれても色紙を破らなきゃいけない仕事っていうのがあるわけですよ。

(玉袋筋太郎)これね。通ずるな、通ずるぁ。

(安東弘樹)たしかに、いろいろあるな。共通。さあ、そしてパーのみで勝ったじゃんけん大会。これ、本当にパーだけで?

(吉田豪)そうなんですよね。まあ、やる側は実は意外と気づかないけど。ずっと通しで見ているわけじゃないんで。

(安東弘樹)まあ、そうですよね。

(吉田豪)冷静に見ているとわかるんですけどね。「ずっと僕もプロレスとアイドルは共通点が多いと思っていて。いちばんわかりやすいのは、世間からの偏見が多いことですよね」って話を振ったんですよ。

(玉袋筋太郎)出た!

(吉田豪)「そうですよね。だから選挙の時もじゃんけん大会の時も、やっぱり言われます」と。で、珠理奈さんは2013年の選抜じゃんけん大会でパーだけを出して優勝していると。その時、実は僕も話を聞きながら思い出したんですけど。僕、この時の八百長論に反論した記事を書いているんですよ。

(玉袋筋太郎)ええっ?

(安東弘樹)全部パーで勝ったっていうことは、八百長じゃねえか?っていうのに対しての反論。

(吉田豪)そうなんですよ。「八百長って、他に勝ち残っている人を見てよ。本気で八百長するんだったら、もっといいメンバーを揃えますよ」っていうね(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)失礼ですね、ある意味ね(笑)。

(吉田豪)いや、正直そうなんですよ。優勝者以外は本当に当時としては知名度がない人たちがガチで勝ち残っているじゃないですか。

(安東弘樹)ガチ感はありますよね。たしかにね。

(吉田豪)だからベスト16まではガチで勝ち進んだ後に、当時って本当にあれなんですよね。100万枚のセールス記録が続いていて、「ここまで行って誰がセンターになってこの(セールスの)記録を背負えますか?」っていう。そこからはそういう戦いだと思うんですよ。「私はもうここまで来たから、いいです……」っていう。勝てるわけがない。

(玉袋筋太郎)ああ、わかる。うん。

(吉田豪)っていうような話をしていたんですよね。あとは気迫ですよね。「私は背負うつもりがあるよ!」っていう人が来たら、「どうぞどうぞ」ってなると思うんですよ。

(玉袋筋太郎)ダチョウ倶楽部状態だ。

(吉田豪)みたいなことをその原稿に書いたのに対して、僕はリリー・フランキーさんの弟子なわけですけど、リリーさんと秋元康さんが仲がよくて。言われたんですよ。「この前、秋元さんと2人で飲んでいた時に、突然その話になって。『あれって本当なのかな?』って言い出して、峯岸みなみさんに電話をかけたんだよ。『みぃちゃんさ、ああいう記事を読んだんだけどさ、そういう気迫で負けるとかってあるのかな、やっぱ?』」みたいな。

(玉袋筋太郎)(笑)

(吉田豪)「ええっ!?」っていう(笑)。

(安東弘樹)秋元さんが?

(吉田豪)そう。僕とリリーさんの関係も知らずに、目の前でそういうことをやっていたらしくて。そういうのを聞くと、本当にガチなんだなって思うじゃないですか(笑)。

(安東弘樹)思いますね。秋元さん自体が峯岸さんに電話したっていう。

(玉袋筋太郎)幻想がわくねえ。

(吉田豪)わくんですよ。いい話だなっていう。みたいな話をしていたら、やっぱり珠理奈さんも行っているんですよ。「あの時はそういう気迫を出していたし、私は出す手を決めていたんで。パーしか出さないという」。で、「いま思えば、あれはプロレスだったと思いますか?」って聞いたら、「思いますよ! あの時、『目で殺そう』と思ったもん。まず目だな。『お前、負けろよ』っていう目で見ていましたから」っていうね。

(安東弘樹)相手にね。

(吉田豪)「しかもその時ってセールスで100万枚行けるか?っていうプレッシャーもかかっていたから、それを背負うっていう覚悟はできていました」っていう。それはね、負けますよ(笑)。

(安東弘樹)プロレスだよ。いや、本当に。

(玉袋筋太郎)うん。「道場じゃ、いちばん強えんだ。決めっこは俺が強えんだ」ってことだ。ほら。「負けない」っていう。

(安東弘樹)いや、松井さんって僕、年齢を聞いてびっくりしたんですけど。あの貫禄、なんですか?って思いますもんね。

(吉田豪)ですよね。

(安東弘樹)気迫と。いや、そういう覚悟がある人なんですね。だから。

(吉田豪)やっぱり篠田麻里子さんに師事したからですかね。

(玉袋筋太郎)ああーっ! そうか。そっちの筋なんだな。やっぱプロレスだよ! 完全プロレス。

(吉田豪)そして、その3。

(安東弘樹)グループ内抗争。

(玉袋筋太郎)プロレスで学んだこと。

松井珠理奈が学んだプロレス

(吉田豪)そう。「わずか半年で珠理奈さんが学んだプロレスはどんなものなのか。果たしてプロレスとはどういうものだと解釈しているんですか?」って聞いてみたら、「選手のいままでのエピソードとかそういうものも踏まえた上で見るとより感情移入しやすかったりもするし。ただ見るスポーツというよりは、私の感覚的にはファンも一緒になって戦っているな。それが魅力だ」って言っていて。

(玉袋筋太郎)わかってんなー。

(吉田豪)「ただ、それは野球とかサッカーとかもそうじゃないですか」って言ったら、「それはやっぱりひとつの団体っていうかチームで戦っているけど、プロレスは団体の中で戦うじゃないですか。それが面白いと思う。要するに自分もSKE48にいて、前の考え方だとSKE48として先輩のAKB48に勝ちたい・超えなきゃいけないって思っていたけど、ただそれだけじゃなくて、実際には自分たちのグループ内で戦っていたり、ライバルがいたり、バチバチしている方が自分たちのグループが盛り上がるんだなっていうことが最近プロレスから学んだ。仲良しこよしで一体感があって……っていうのも大事だし、団結する時は団結するけど、AKBと戦う場が来ていない時、自分たちだけでいる時はもっと自分たちだけで高めあった方がいいんだなって思いました」っていうね。「正解!」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)すごい。この間、ちょうどBSで蝶野さんがメインMCでゲストが藤原組長で。で、藤原組長の昔の試合を見ながらトークする番組があったんだよ。

(吉田豪)最高ですね、それ。

(玉袋筋太郎)最高だったんだよ。そん中で組長がさ、お酒飲みながら言うんだよ。「プロレスっつーのは面白い世界だよな。殴り合って敵なんだけど、仲間だろ? 仲間なんだけど、戦わなきゃいけねえんだよ。これは本当、不思議な世界だよな。サラリーマンには絶対わからない世界だよ」って組長が言っていて。それにしびれちゃったんだけど、同じことを言ってるじゃん。この子。もうすでに。

(安東弘樹)本当ですね。藤原組長と同じことをハタチで言っているっていうね。

(吉田豪)(笑)

(玉袋筋太郎)そう! いや、これ……。

(吉田豪)半年の理解としてはかなりの正解ですよ。

(玉袋筋太郎)すごいね、これ。

(吉田豪)で、実際にいまの新日本が成功しているのってそこじゃないですか。対抗戦ブームの後に1回落ちて。その後にいまは団体内でどう成立させるか? 団体内でうまくチームを作ってやり合うみたいな。それをちょっとやっていきたいみたいなんですよ。プロレスもユニットがあるから面白いし。そういうのを、SKE48も2年ぐらい前からメンバー内でユニットみたいなのも出来ていて……みたいな。ただ、アイドルのユニットって本当は期間限定とかシングルのカップリングだけだったりとか、あんまり意味がないんですよ。これに意味を持たせて、ちゃんと抗争していきたいみたいな話を(笑)。

(玉袋筋太郎)かー! いいねえ! 浅草キッドも昔、思っていたな。たけし軍団の中で。決めっこなら負けねえぞ!って。

(吉田豪)世代抗争ね(笑)。

(玉袋筋太郎)世代抗争(笑)。

(吉田豪)世代闘争、やってましたもんね(笑)。

(玉袋筋太郎)やってたなー! で、それをさ、うちの師匠にもプロレスで仕掛けたら、うちの師匠が本気で怒っちゃって(笑)。

(吉田豪)(笑)

(玉袋筋太郎)怖かったなー!

(吉田豪)あの人もガチの世界で強いですからね(笑)。

(玉袋筋太郎)殿だけはガチ(笑)。「NOAHだけは」じゃなくて、殿だけはガチ。

(安東弘樹)でも、僕のやっているSKEの番組も『ZERO POSITION』っていって、真ん中を競っているんですけど、本当に真剣に彼女たち、やっていますからね。だからこそ、涙が出てきたりもするんですけど。なるほど。そして、その4。絶対に超えてやる。自分は負けてられない。

(吉田豪)はいはい。その珠理奈さんがプロレス総選挙について物申したいという話から、(佐々木)健介さんと真壁刀義選手の関係性を松井さんにちょっと僕が吹き込んだというかね。「まあ、ねえ。真壁さんが入ったっていうことは健介さんは来ないな」みたいな話をしていたんですよ。

(玉袋筋太郎)そうそうそう。来ないよ。

(吉田豪)「えっ、なんですか?」みたいな感じで。まあ、僕の真壁さんのエピソードっていうのがあるんですよ。1回、一緒にイベントをやって、イベントの控室で直前になって言われたんですよ。「今日は健介さんの話はNGでお願いします」ってお付きの人から言われて、「わかりました」とは言ったんですけど、僕はちょっと着ていたTシャツがパワー・ウォリアーとホーク・ウォリアーという、要は健介さんとホーク・ウォリアーのTシャツだったんですよ。

(玉袋筋太郎)それ、マズいじゃん(笑)。

(吉田豪)それはマズいから、一応チャックを上げて、見えないように。閉めていたんですね。で、いざトークが始まって、厳しい先輩の話になった時に、「ひどい人がいて……」みたいな。「それ、もしかしてこの人ですか?」っつって、(チャックを)開けて見せたんですよ。そしたら真壁さん、クレバーだから。「あのね、ホークさんはいい人だったよ」っていうね(笑)。

(安東弘樹)(笑)

(玉袋筋太郎)上手い!

(吉田豪)上手い! 角を立てない! 見事なバンプ(笑)。

(玉袋筋太郎)素晴らしいバンプだよ。

(安東弘樹)しかし、そこで開ける吉田さんもすごいっすね!

(吉田豪)言わずにちゃんとやりました、僕もっていう(笑)。

(安東弘樹)言ってない! 「この人ですか?」って開けただけ。

(玉袋筋太郎)開けただけだからな。

(吉田豪)お互いにちょっと高度な戦いをしたという。そしたら、そこからまたね、珠理奈さんもいい受け身を取るというか。そっから後輩に異常に厳しい人の話になって。AKBグループの先輩・後輩の話になっていったんですよ。「そういう先輩、いました。私が”先輩”って言ったらもう限られちゃうんですけど、そういう人がいたんで、後輩に対しては自分ではそういうことは絶対にしない。そして絶対に超えてやると思って」と。

(玉袋筋太郎)ああー。

(吉田豪)「でも、辞めようと思ったこともあります。実は、それが辛くて。そう言っている後輩も実はいて、それで辞めた後輩もいます。その関係性で。やっぱりそういうのに慣れていなくて、弱い子もいるじゃないですか。でも、自分はそんなのに負けてられないなと思った。まだやらないと、がんばらないとな」っていうね。

(玉袋筋太郎)浅草キッドもがんばっていたなあ。

(吉田豪)そういう関係性で(笑)。

(玉袋筋太郎)ああ。俺たちも一度、辞めようと思ったこともあったしな。通ずるな。大ファンになってきちゃったな。うん。

(吉田豪)共感してきた?(笑)。

(玉袋筋太郎)うん。いいよいいよ!

(安東弘樹)だってSKEのオーディションから、だからもう9年ですもんね。

(吉田豪)だって小6で入って、いきなりAKBに抜擢されて、ジャケットで単独で選ばれたんですよ。『大声ダイヤモンド』で。それはね、先輩噛みつきますよ。「なに、この子?」っていう。その時に守ってくれたのが篠田麻里子っていうね。いい話なんですよ。

(安東弘樹)ああー、それであの貫禄につながっていくっていう?

(玉袋筋太郎)『上からマリコ』だな。いいぞ! 『下からISSA』なんつって。まあいいや。ねえ。

(吉田豪)で、その5。

(安東弘樹)伝説の対抗戦。アイドルユニットサマーフェスティバル2010。

(玉袋筋太郎)このタイトルがもうプロレスだもんね。「伝説の対抗戦」っつったらさ。うん。

伝説の対抗戦 アイドルユニットサマーフェスティバル2010

(吉田豪)はい。僕の周りでプロレスを見てきた人間が、いわゆる「アイドル戦国時代」っていわれたのが2010年ぐらいなんですけど、その時に同じような幻影を追って燃えていたんですよ。要は、アイドル戦国時代ってただのキャッチフレーズじゃなくて、アイドル同士が実際に本気で戦っていたんですよ。舞台裏を知れば知るほどヤバいっていう。

(玉袋筋太郎)ああー。この「ヤベえ」っていうね。「ヤベえ、ヤベえよ!」っていうのあるもんね。

(吉田豪)だからこの半関係者みたいな僕らが燃えていたのは全部それだったんですよ。「本気でケンカ売っている!」っていう。「それに本気で怒っている!」みたいなのが見えるんですよ。

(安東弘樹)完全にプロレスの世界ですね。

(玉袋筋太郎)「前田、全然長州の技を受けねえよ!」みたいな。「高田は大人だ!」っていう。

(吉田豪)本当にそういうことなんですよ。わかりやすいことを言うと、ももいろクローバーがかつて、名古屋かなんかでライブをやる時にSKEの劇場があるじゃないですか。あそこを借りて、「お留守の間、温めておきます」っていうタイトルでイベントをやろうとして。それが大問題になって、タイトルを変えられて、会場も変えられて……っていう。

(玉袋筋太郎)ヤベーよ、おい。

(安東弘樹)「お留守の間、温めておきます」? すごいタイトルをつけますね!

(吉田豪)わかりやすくケンカを売ったんですよ。で、わかりやすく激怒したっていう(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)そりゃそうだ。

(玉袋筋太郎)Uインターのやり口だよ。

(吉田豪)そうそう。そういうのがあった後で『アイドルユニットサマーフェスティバル2010』っていうのがありまして。SKE48、スマイレージ(現アンジュルム)、ももいろクローバー、bump.yっていう。当時、対抗戦がほぼなかった時代にはじめての対抗戦って呼ばれた……。

(安東弘樹)で、スマイレージは……。

(吉田豪)ハロプロで。ハロプロがはじめて他流試合に出てきた企画だったんですよ。

(安東弘樹)ももいろクローバーも。

(吉田豪)まだこの時は知名度がなかったんですけど。

(安東弘樹)ああ、2010年ってそうでしたっけ?

(吉田豪)そうなんですよ。これが本当に名勝負で。僕ら、全然約束もしていないのに、友達がみんな当日券で集まって、みんな興奮して終わった後に……まあ、言っちゃうとSKEが完敗したんですよ。この時。

(安東弘樹)あ、完敗なの?

(吉田豪)あの、わかりやすく言うとスマイレージとももクロのマネージャーがプロレスヲタなんですよ。なんで、スマイレージのマネージャーさんの方が特にはじめての他流試合っていうことで、「もう絶対に負けられない。負けたら事務所にも帰れない」ぐらいの覚悟で、どうやったら確実に勝てるか?っていうのをひたすら詰めて。で、それをやりきったんですよ。

(安東弘樹)これ「勝つ・負ける」は、プロレスはまあわかりやすいですけど。この場合の勝つ・負けるっていうのは?

(吉田豪)まあ、「イベントとして圧倒する」ですよね。

(玉袋筋太郎)これは田村潔司対パトスミだな。

(吉田豪)そうですよ。負けられない戦い。で、ももクロも「知名度がないから、どうやって爪あとを残すか?」っていうのを考えてやって。で、SKEは結構呑気だったんですよ。「わー、東京楽しい!」ぐらいの感じで来ちゃって、完全に食われた。

(玉袋筋太郎)安生だな、安生。道場破りの安生だよ。

(吉田豪)そうです。っていうのを、こうやっていまになっていろいろと確認できたっていうのが楽しかったんですよ。

(玉袋筋太郎)楽しいよね! いや、いま聞いていてもすっげー楽しいわ。

(吉田豪)で、僕すごいこれ立体的にしているんですよ。実は他局、ニッポン放送主催だったんですけど、ニッポン放送の人から裏話を聞いたりとかして。「あのスマイレージのマネージャーさんが本当に怖くて……」みたいな(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)。もうプロレスだよ。これ。

(吉田豪)で、マネージャーさんに即確認して。いま、アップアップガールズのマネージャーさんなんですけど。「あの時は負けられるわけ、ないじゃないですか。万に一つも負けない体制を作りました」っていう(笑)。「かっけー!」っていう。そしてももクロの運営にも聞いて。「どうだったんですか? あの時」みたいな。全部やっているんですよ、僕。いまだに、これ。

(玉袋筋太郎)かー! これはたまらないね。

(安東弘樹)僕、いま思うとそれぞれと結構一緒に仕事したことがあるので。想像ができないです。この子たちが一堂に会してやるっていうこと自体が。

(吉田豪)で、珠理奈さんに聞くと「やっぱりスマイレージはすごかったですね。みんなで囲み取材をやった時も、『ライバルはどのグループですか?』って聞かれて、それぞれ普通に答えていたけどスマイレージだけが『私たちはライバルはいません。自分たちがライバルです』って。マジですごいと思って、超怖かったんですよ。うちら、超ビビッちゃって。思ってもいないのに、『がんばろうね』とか言っていた」っていう(笑)。

(安東弘樹)マジっすか!

(吉田豪)まだそういうモードだったんですよ。プロレスも好きになる前で。

(玉袋筋太郎)そうかそうか。

(吉田豪)実は僕、柳澤健さんに「『2010年のアイドル界』みたいな本を書いてほしい」って言っているんですけど。「本気で戦っていた時代をちゃんと裏まで取って書いてください」って。

(安東弘樹)それは興味ありますね! プロレスファンもそうでしょうけど。

(吉田豪)みんながAKBに歯向かって……みたいな(笑)。で、AKBがそこを上手く抱き込もうとして……みたいな戦い。

(玉袋筋太郎)うわー、面白えぞ!

(安東弘樹)そしてその6。プロレスなら負けない。やりたい技だけやる。

(吉田豪)まあ、実際にプロレスをドラマの中で、下田美馬さんとかミラノコレクションA.T.さんとかに教わって練習して。「やる方も楽しい」って感じているみたいなんですよ。「試合を見てプロレスを好きになったから、自分でやりたい技とかもめっちゃ増えて。『この技をやってみたい』っていうのを話したらミラノさんが教えてくれるし」って。そういう趣味の延長線上で、レインメーカーを見て、「レインメーカーやりたい!」って言ったりとか。次々とやって、もう楽しくてしょうがないと。

(玉袋筋太郎)おおーっ!

(吉田豪)だから、「サマーフェスティバルの頃はプロレスの概念がなかったから、仕掛けられて『怖い……』ってなっちゃったけど、いま仕掛けられたらどうですか?」って聞いたら、「『プロレスで試合しよう!』って言いたい。そしたら負けないから。絶対」っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)かーっ! レスラーだよ。

(吉田豪)でも実際にアイドルからプロレスを始める人がいま、すごい増えていて。実際にやってほしいんですよ。地下も地上も全員集めて。

(安東弘樹)なるほどね。プロレス自体をね。

(吉田豪)そうそうそう。

(玉袋筋太郎)さあ、総選挙のスピーチもプロレスで。決めゼリフも考えているの筋。

(吉田豪)やっぱりその「プロレス的な発想だと、普通に仲良しこよしでやるよりも、ちょっとピリッとした緊張感があったり、戦った後で仲良くなるみたいな感じが好きなんですよ」って僕が話を振ったら、珠理奈さんは「戦ってから仲良くなるパターンもいいんですけど、仲がいい人が戦ってほしいというのもある。もともと仲が良かったのに、気づいたらすごいライバルになっちゃっていて……っていうパターンも面白い」っていうね。

(玉袋筋太郎)うん。

(吉田豪)「まあ、自分が松井玲奈さんとライバルになっていたのもそうだし、最近の若手の子で言うと後藤楽々さんと小畑優奈さんっていうのがいて。同期なんだけどエリートと雑草みたいな感じで。エリートと雑草なんだけど、仲が良くて。でも選挙とかがあるから、人気とかが目に見えてわかっちゃう。そこからきっとライバル意識も高まって。そうなってからの2人の関係が楽しみで。ただの仲良しからややこしいことが入ってきた時にどう転がるか?」っていう。

(玉袋筋太郎)(笑)

(安東弘樹)楽々ちゃんと一緒にMCもやったんですけど。エリートかな? 楽々ちゃんの方がエリートなのかな?

(玉袋筋太郎)いや、すげープロレス頭になっているな。彼女は。

(吉田豪)そうなんですよ。馬場と猪木みたいな発想になっていて。

(玉袋筋太郎)すごいぜ、これ。

(安東弘樹)半年ですもんね。

(吉田豪)そう。

(安東弘樹)1.4以降ですもんね。すげーな。

(吉田豪)いや、いい理解していますよ。プロレスの理解としては。

(玉袋筋太郎)ねえ。

(吉田豪)「初期メンバーだとみんなが同期で、同じスタートだからみんなライバルっていう意識があるけど、やっぱり後輩が先輩にあんまり『勝ちたい』とか『ライバル』とか言っていいのかな? みたいな気持ち、遠慮があると思って。もっとメンバーが宣戦布告じゃないですけど、そういうのをいいやすい環境を自分が作らなきゃダメだなと。そうじゃないと面白くならない。いままでと同じじゃつまらないので、自分から『もっと来て。私はここにいるから挑戦しに来てください』って言わなきゃダメだ。自分との勝負で心を鬼にしてグループのためだと思って、それをいま、声を大にして言いたい」と。

(安東弘樹)かっちょええな~!

(吉田豪)「やっぱり篠田麻里子さんのスピーチで『私を潰すつもりで来てください』って言った。あれがベストパフォーマンスで。私もああやって挑発とかをしていま、この団体を盛り上げたい」みたいな発想になっているんですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)完全にレスラーだよ! プロレスラーだよ。かっけーな、おい!

(吉田豪)面白いですよ(笑)。

(玉袋筋太郎)面白いね! いやー。

(吉田豪)プロレスが全部プラスになっているんですよ。プロレス脳になっていて。やっぱりインタビューも話しやすくなったし。

(玉袋筋太郎)そうかそうか。ねえ。プロレスに置き換えて、自分のポジションとか。

(吉田豪)そう。挑発もしやすくなるし……っていう(笑)。

(玉袋筋太郎)そうだよね。

(安東弘樹)プロフェッショナルとして、一段と上に行った感じがしますね。松井さんの。

(吉田豪)プロレスがこんなに役に立つとは思わなかったっていうね(笑)。

(玉袋筋太郎)面白い!

(安東弘樹)これはすごい面白かったっすね。今日ね。

(玉袋筋太郎)最高だったよ!

(安東弘樹)で、これは現在発売中のBUBKA7月号にこの松井珠理奈さんのインタビューが掲載されています。そして、同じBUBKAにブル中野さんのインタビューも。

(玉袋筋太郎)おっ!

(吉田豪)これもかなり深い話をしているんで。ちょっと珠理奈さんが読んだらショックを受けちゃうんじゃないかっていうのもあるんですけど(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)。いやー、面白かった。

(安東弘樹)本当に月1回は早い! 吉田豪さん、次回の登場は7月7日七夕でございます。ありがとうございました。

(吉田豪)ありがとうございました。

(玉袋筋太郎)ありがとうございました!

<書き起こしおわり>

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