いとうせいこうとサイプレス上野 『マイク一本』カバーを語る

いとうせいこうとサイプレス上野 フリースタイルラップブームを語る FM yokohama

いとうせいこうさんがFM yokohama『Baydream』にゲスト出演。サイプレス上野さんと『いとうせいこうフェス』の話や、トリビュートアルバム『再建設的』に収録された『マイク一本』カバーについての話をしていました。

(サイプレス上野)私はね、横浜で『建設的』というイベントをやるぐらい影響を受けていて。勝手にTシャツとかを作って(笑)。

(いとうせいこう)そうそうそう。まんまのね。当時の僕のアルバムのジャケットのまんまのTシャツを作ってやっていたんだよな。

(サイプレス上野)「全国集会」っていう風にやって。俺は「怒られるんじゃないかな?」とか思いながらも、「いつ出会えるんだろう?」って思っていて。で、出会った時に全然せいこうさん、「おっ、なにそれ?」みたいな感じで。

(いとうせいこう)「いいじゃん!」っつって。俺、もらったんだもん。だって。

(サイプレス上野)そうっすね(笑)。

(いとうせいこう)いまだに取ってあるよ。

(サイプレス上野)「ちょっと作ってまして……」っていう。いや、それぐらい。中3ぐらいで『MESS/AGE』とかが再発された時とかで。それで、そこから。スチャとかももちろん聞いていたんで、さらにその上に先輩としていらっしゃるというか。それで、「ディグらないとダメだ」っていう風に聞いて。スチャが持っているスタイル、RHYMESTERが持っているスタイルともまた違うというか。全然前の話だし。

(いとうせいこう)うん。

(サイプレス上野)で、うちの兄貴がサザンオールスターズの桑田さんも好きだったんで。「いや、いとうせいこうもやってるよ」みたいな。

(いとうせいこう)桑田さんとやった曲があるからね。

(サイプレス上野)そういう話を聞いて「マジかよ!」みたいな。そういう情報がバンバン入って。

(いとうせいこう)そういうことなんだ。この間、RHYMESTERの宇多丸と会ってちょっとしゃべっていたらさ、「上野はすごくそういうところをきちんと学んで。正統派だ」って言っていたよ。

宇多丸 いとうせいこうとの読売新聞での対談を語る
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(サイプレス上野)ああ、ありがとうございます!

(遠藤舞)上野さん、正統派。

(サイプレス上野)正統派! 本当ね、業界の方から「お前はなにをやってるんだ?」とかいろいろ言われるわけですけど……

(いとうせいこう)(笑)。そうなの?

(サイプレス上野)いや、結構言われてたんですよ。

(いとうせいこう)ああ、そうだよね。なんだかわかんないもんな。

(サイプレス上野)そう。よくわかんないやつみたいな扱いをすごいされて。俺はけど、これは血筋として真っ当だと。で、超うれしいのが読売新聞のインタビューで、「せいこうさんの孫」って言ってもらえて。

(いとうせいこう)ああ、孫。孫。そうそう。

読売新聞 いとうせいこう・宇多丸対談

(遠藤舞)わー!

(サイプレス上野)「おおーっ!」ってなって。やっぱりそういうところを絶対に聞いて、もちろん食らってるのは当たり前だけど。通らなきゃっていうね。

(いとうせいこう)そうだよね。そうだと思う。すごいうれしい。

(サイプレス上野)だって「知らなかったら絶対に面白くないし」って思って。いまでも。

(いとうせいこう)いまのものだけを聞いていると、3年後になにか勝負しようとした時に、みんなと同じことしかできないから。3年前のことからディグっていけば、その分筋力になるじゃないですか。それは確実だよね。

(サイプレス上野)そうですね。なにも知らなくてかっこよくて突き抜けるやつもいるじゃないですか。いまだったら、KOHHみたいに。

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(いとうせいこう)うんうんうん。

(サイプレス上野)そこまで行くっていうのと、俺たちみたいに掘り続けてちゃんと学びたいっていうのもやっぱりいるから。俺はね、もういま漢くんとかにね、「36になってそんな髪型しやがって」とか言われる俺ですけども。

(遠藤舞)(笑)

(サイプレス上野)けど、そういうところはやっぱり絶対に外したくないっていう気持ちから、本当にもう、いとうせいこうさんとは出会いましたよ。さあ、そんないとうせいこうさんですけども、デビューアルバム『建設的』の30周年祝賀会がありまして。9月30日 開場17:30、開演18:30になっています。10月1日が開場15:30で開演が16:30。東京体育館で行われます。各1日券が1万円。自分はロベルト吉野とともに10月1日に出させていただきます!

(いとうせいこう)イエーッ!

(サイプレス上野)こんな奇跡があるか?っていう。本当に、もう。

(いとうせいこう)どういう気分なの?

(サイプレス上野)もう、よくわかってないっすね(笑)。まず、お呼びいただいた時からフワフワしてるっすね。

(いとうせいこう)結局10月1日も20組以上出ると思うんだけど、たぶん上野がいちばん年下なんじゃないかな?

(サイプレス上野)そうですね。最年少で。

(いとうせいこう)で、いちばん上が細野晴臣さんとか高橋幸宏さんとか。

(サイプレス上野)恐ろしい(笑)。

(いとうせいこう)もうYMO的なものがドーン! ドーン! と来て、流れがずーっとあって。それでKICK THE CAN CREWもいたりして。ヒップホップ勢は。で、その日はサ上が最年少ラッパー。

(遠藤舞)すごい! もう、そうそうたるメンツの一部になるっていうことですよね。

(サイプレス上野)一部にね。まさか……という。びっくりしてますからね。本当に。こちらのラインナップの方をせいこうさんに。

(いとうせいこう)9月30日の方が、たとえばDUBFORCEっていうバンドがあるんですけど。これは僕も入っているんだけど。ダブバンドなんだけど。Simply Redのメンバーの屋敷豪太がドラム、MUTE BEATっていう昔の伝説的なダブバンドのメンバーが基本的に核になってやっているんだけど。そこにキョンキョンが最終的に入ってくるから。

(サイプレス上野)マジっすか?

(いとうせいこう)乗っかって、90年代のヒット曲を歌ってくれたりとか。で、9月30日はDJ BAKUと俺もやるし。RHYMESTERも出るし、ホフディランも出るし。スチャダラのBOSEがトークに出るし。レキシも出るし、かせきさいだぁ&ハグトーンズ……まあ、かせきもセカンドスクールだよね。そういう、いろんなラッパーですよね。出ます。みうらじゅんさんも。

(サイプレス上野)おおーっ!

(いとうせいこう)バカリズムもやりますね。で、10月1日も升野が出て。で、岡村靖幸。くりいむしちゅーから上田晋也。KICK THE CAN CREW、ゴンチチ、スチャダラパー。水道橋博士。

(サイプレス上野)すげえな……(笑)。

(いとうせいこう)いろいろですよ。高木完、高橋幸宏、藤原ヒロシ、細野晴臣。の、中にユースケ・サンタマリアが入ったり。そこにサイプレス上野とロベルト吉野が来るっていう。

(遠藤舞)うわー! 上野さん、すごい(笑)。

(サイプレス上野)恐ろしい……

(いとうせいこう)この流れ、すごいよ。

(サイプレス上野)めっちゃ楽しみっすね。これは。

(いとうせいこう)結構みんな舞台袖に来て見ているタイプの嫌な先輩ばっかりだから(笑)。

(サイプレス上野)(笑)

(遠藤舞)袖からの視線を浴びながら。

(いとうせいこう)そうだね。まあ、楽しみ。僕自身もなにがあるか……昨日からようやくリハが始まったから。まず、藤原ヒロシとやってみたら、もうヒロシが……まあSUBLIMINAL CALMっていう2人だけのグループを作っていた時があるんですけど。その時の曲をいろいろ持ってきて。ヒロシがギターを弾いて僕が歌って。2人だけでやろうか? みたいな感じで。そういう風にいろんな人がいろんな角度で見せ方を考えてくれてるから。楽しみですね。

(サイプレス上野)いやー、ちょっとライブ楽しみっすね。

(いとうせいこう)で、今回は上野くんたちが『建設的』っていうアルバムのカバーアルバム『再建設的』っていうのが出ているんですけど。それからも1曲、やってくれて。しかも、トラックが高木完という。タイニー・パンクスの。

(サイプレス上野)そうですね。完さんと……またそこでやれるっていうので。びっくりしましたね。なんか。

(いとうせいこう)なんか、バトンを上野に上野に渡しているような感じになってるじゃん。流れがさ。

(サイプレス上野)うれしいっすね。これ、せいこうさんに言ってなかったですよね?

(いとうせいこう)そうなのよ。完ちゃんは秘密にしようとしていたらしいんだけど、周りが気を使わないもんだから、やたら俺に話しかけてきて。「いやー、上野のところの完さんのトラック、いいっすね!」とか。

(サイプレス上野)すぐバレてる(笑)。

(いとうせいこう)1回目は俺、知らないふりをしたのよ。したら今度、2人目もきちゃって。それからは、「もういいや、言おう」って思って。「完ちゃん、ありがとう」ってメールした(笑)。

(サイプレス上野)(笑)

(いとうせいこう)すごい悔しがってたよ。

(サイプレス上野)そうなんすよね。レコーディングの時、「これは内緒にしような」みたいな感じで話をしていたんで。

(遠藤舞)でも、言っちゃうっていう(笑)。

(いとうせいこう)でも、だからそれぐらい反響があるっていうことだから。上野がこういうやり方で乗っかってきたんだ、カバーしたんだっていうことが、やっぱり面白かったんじゃないの? 関係者に。

(サイプレス上野)うれしい。ありがたいことでございますね。じゃあ、さっそく聞いてもらいましょうか。

(いとうせいこう)それを。ラジオではじめて。

(サイプレス上野)初オンエアーで行きたいと思います。じゃあ、聞いてください。我々、カバーさせてもらいました。『マイク一本』!

サイプレス上野とロベルト吉野『マイク一本』

(サイプレス上野)さあ、お送りした曲は『マイク一本』でした!

(いとうせいこう)もう実験的な、すごい。ねえ。これは難しいことに挑戦してるよね。相当攻めてるよね。

(サイプレス上野)完さんのトラックも、相当攻めているトラックで。

(いとうせいこう)でも、乗っかってってるよね。

(サイプレス上野)どこでなにをやればいいのか?っていうぐらいの感じだったんですけども。で、そっからまた吉野のジャグリングをやって。結局最終的に、何回も録ったんですけども、「一発でやった方が面白いよな? 一発でやろう!」って。

(いとうせいこう)ああー。乗っていこうと。

(サイプレス上野)そうなんですよね。

(いとうせいこう)食らいついていこうと。

(サイプレス上野)あいつのところに、もう。

(いとうせいこう)いいね。すごいいい。

(サイプレス上野)カマせました。

(いとうせいこう)カマせたわ。いま、俺はグルグルグルグル、いろいろと回ってこういう感じに自分のフロウがなってきてるのよ。

(サイプレス上野)あっ、そうなんすね。

(いとうせいこう)もう崩れていくような、追いついていくようなって。だから、「上野がいきなり俺のところに年月なく追いついてきた! やべーな!」って思って。

(サイプレス上野)いやいや(笑)。

(いとうせいこう)「もっと難解な乗せ方しなきゃ!」って思って。がんばります。

(サイプレス上野)オッス! 自分もがんばります! 『マイク一本』、聞いてもらいました。さあ、続きましてもう1曲、行きたいと思いますけども。これは……「岡村ちゃん」って言いそうになりますけども(笑)。

(いとうせいこう)岡村ちゃんがリミックスをね。昔の僕のラップの曲をリミックスしてくれて。超ダンサブルな、いいダンスチューンになっているんですよ。『Healthy Morning(Remixed By 岡村靖幸)』。

岡村靖幸『Healthy Morning(Remixed By 岡村靖幸)』

(サイプレス上野)さあ、お送りしております岡村靖幸さんの……

(いとうせいこう)ヤバいでしょ?

(サイプレス上野)ヤバいっすね! すげーかっこいいっすね!

(いとうせいこう)かっこいいね!

(サイプレス上野)さすがですね。『Healthy Morning』を聞いていただきました!

<書き起こしおわり>

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