サイプレス上野さんがTBSラジオ『ザ・トップ5』の中で、日本語ラップ初心者の外山惠理にマイクロフォンペイジャーの『病む街』を紹介。さらに加えてフリースタイルバトルについても話していました。
(サイプレス上野)さて、このランキングの締めくくりは恒例のこちらのコーナーです。『日本語ラップKILLA☆2015 まだ(仮)』!このコーナーは毎週私、サイプレス上野が惠理ちゃんに日本語ラップを聞かせ、ちょっとでも日本語ラップを好きになってもらおうというチャレンジ企画です。
(外山惠理)はい。
(サイプレス上野)さあね、先週もちょっと空いてしまいましたけども。
(外山惠理)そうなんですよ。うん。でもちゃんと聞きました。録音を。
(サイプレス上野)あ、本当ですか?先週、なにかけてましたっけ?
(外山惠理)先週、なんでしたっけね?
(サイプレス上野)俺もど忘れしちゃった。いま・・・あ、そうですね。LAMP EYEの『証言』ですね。マイクリレーのやつ。ちょっとZEEBRAさんまでしかかけれなかったですけど。まあ、そしてこんな中、今日紹介するのはマイクロフォンペイジャー(MICROPHONE PAGER)で『病む街』っていう曲でございます。
(外山惠理)『病む街』?
(サイプレス上野)病気の『病』で『病む街』っていう。これは95年に発売されたアルバム『DON’T TURN OFF YOUR LIGHT』に収録されている1曲目の曲なんですけども。同じ年に阪神大震災があったりとか。やっぱりちょっと日本的に衝撃的なことがあって。で、まあマイクロフォンペイジャーっていうグループ自体は本当、日本のラップの、前もかけたようにライムスターとかキングギドラとかと同じ世代でありながら、ちょっとまあ、もうちょい前からやっていた人たち。かつ、日本語でハードコアなラップをするから、『お笑いラップ』っていう、いわゆるちょっとスチャダラパーとかが言われたりとかしてたんですけども。は、ちょっと認めねえ!みたいな姿勢でやってて。
(外山惠理)ふーん。
(サイプレス上野)ファンだった俺としてはちょっと複雑だったんす。もうなんか、そういう風に言われると俺、スチャダラパーも大好きだし・・・みたいな。けど、マイクロフォンペイジャーの姿勢も超好きっていう。で、このメンバーであるMUROさんっていう人はUNOのCMとかでもソロデビューとかしてたりしたんですけども。まだそこまで日本語ラップが浸透してなかったんで、一部だけで話題になっちゃっていたっていう。だからなんか、その中でマイクロフォンペイジャーっていうグループはコンピレーション作品とかには入っていたりとか。現場での評価っていうのはもうダントツなんですけど。
(外山惠理)へー。
待望のアルバム『DON’T TURN OFF YOUR LIGHT』
(サイプレス上野)どういう存在か?っていうのがちゃんと明確に出ていなかった。で、それがようやくアルバムを出してくれるっていう風に。もう、出てはいたんですけども、ほとんど幻みたいな感じだったんです。あんまり手に入らないんで。
(外山惠理)うんうん。
(サイプレス上野)なのでこれがようやく流通するっていうのはデカい!と思って。この年はスチャダラパーとかも本当、傑作である作品とかも出しているんですけども。それで、1曲目にこの『病む街』っていうのを聞いた瞬間に度肝を抜かれたっていう。
(外山惠理)へー!
(サイプレス上野)プロデュースはMAKI THE MAGICさんという方なんですけども。やっぱり、ヒップホップっていうのも自体が日本の社会に向き合って何かをしようっていう気持ちとかもあったりするけど、まあちょっと、楽しくもやろうという風潮とかもあったりして。たとえば、『DA・YO・NE』が流行ったりとか、『ブギーバッグ』とかもあったりとかする中で、こういう風に無骨な人たちによる男のラップというか。『ちゃんとしろよ、お前ら!』っていう気持ちにさせられた。
(外山惠理)へー!
(サイプレス上野)またギドラとかとはまた別な感情というか。あと、これがアルバムを出てくれたことがとにかくうれしかったっていう。『いつになったら聞けるんだ!?』と思って。で、本当はもともとメンバーは多かったんですよ。4MCとかでやっていたんですけども。この形態になったのはMUROさんとTWIGYさん、2人だけになっていたんで。途中、GOさんとか、ラップされているんですけど。ほぼ、2人体制で。
(外山惠理)これは2人なの?
(サイプレス上野)2人ですね。ラップしているのはほとんど2人でやっているので。そういう・・・MASAOさんもラップされていたりとか。メンバーがこちらに書かれておりますけども。はい。
(外山惠理)ラップがMUROさんとTWIGYさん。
(サイプレス上野)で、MASAOさんとP.H.FRONさん。そしてDJ GOさんもいらっしゃったりとかしたんですけど、ほとんど2人体制になっていて。けど、その2人の本当、黄金タッグ。で、この後にほぼ作品がなかったので。もうこれ自体が伝説みたいなものですよ。1枚自体が。
(外山惠理)そうなんですか?この後、やってらっしゃらないってこと?
(サイプレス上野)個人ではやられているんですけど。MUROさんもDJがメインになっていて。TWIGYさんもまたスタイルを本当に自分のスタイルを追求していって。もう超めちゃくちゃかっこいいんですけど。まあ、本当に2人でやることはもうほぼないんじゃないか?って言われているグループなんで。じゃあ、曲をぜひ聞いてもらいたいと思います。マイクロフォンペイジャーで『病む街』。
MICROPHONE PAGER『病む街』
(サイプレス上野)さあ、お送りした曲はマイクロフォンペイジャーで『病む街』です。外山さん、どうですか?
(外山惠理)なんかさ、『手を合わせる』っていうのがあったじゃない?あそこでなんか、その、ねえ。
(サイプレス上野)『死者に手を合わせては 生き抜こう地球丸いうちは』ですね。やっぱりこれとかすごい衝撃的なラインっていうか。なんか、その後のTWIGYさんのヴァースもラップとしてもう聞いたことがないようなラップなんですね。その当時では。で、2人の対比もすごいあれだし。本当に詩的表現でちゃんとやっているっていうのが衝撃的な上に、さらにこの曲がアルバムの1曲目っていうので。で、もう入りとかがこのベースラインとかで持っていかれるんです。かっこいいな!って。もう首を振ってしまうんですけど。
(外山惠理)うん。
(サイプレス上野)そこから、初めて聞いた時の衝撃がすごかったですね。
(外山惠理)へー!なんかやっぱり自分が言いたいこととか伝えたいことを・・・っていうのがみんなに共通しているから。すごくなんか、いろいろ考えながらやっているっていうのをさ、わかるよね。
(サイプレス上野)そして考えさせられた感じです。中3の俺ですら。いや、本当に『地球丸いうちは 生き抜こう』っていう言い方が、『うわっ、なにそれ?すげー!』って思って。生き抜こう!っていう気持ちになったっす。本当に。
(外山惠理)私もそこを聞いて、いちばんドキッとした。
(サイプレス上野)本当っすか?ああ、伝わって良かったです。
(外山惠理)中学生の頃と一緒ですね(笑)。
(サイプレス上野)一緒の気持ちに(笑)。いま、思ってきましたか?やったー。なんかこのコーナー、だんだんジワジワと・・・
(外山惠理)いや、ラップってすごいなと思ったの。あのテレビを見て。
(サイプレス上野)はい。やってますね。私が出ている『フリースタイルダンジョン』。
(外山惠理)ちょうど今夜っていうか日が変わってからじゃないですか。
(サイプレス上野)1時26分から。テレビ朝日でやってますよ。
サイプレス上野 フリースタイルバトルを語る
(外山惠理)そう。この人たち、本当すごいんだな!と思って。割りとさ、チャラチャラしてるとかさ、見られがちでしょ?きっと。だけど考えていることとかが普通に生きている人たちよりもなんかすごいんじゃないか?ってちょっと思った。
(サイプレス上野)あ、うれしいっす。うわー、なんか伝わってる!
(外山惠理)と、思いますよ。ただね、生きているだけじゃなくて。
(サイプレス上野)ただ生きているだけじゃなくて、やっぱり即興でね、求められる時もめちゃくちゃ多いし。やっぱりバトルっていうのは対戦相手をディスらなきゃいけないんですよ。けなすっていうか。
(外山惠理)でもあれでしょ?ケンカしてるわけじゃないんでしょ?
(サイプレス上野)そうなんですよ。初めて会うやつともやるんで。だからどっから入ろうかな?っていう。で、やっぱり敬意がないと単純に口喧嘩だけになっちゃうんで。
(外山惠理)なっちゃうよね?だから本当にケンカになっちゃうんじゃないか?って思うもん。
(サイプレス上野)昔はやっぱりありましたね。本当に。『お前、ふざけんなよ!』みたいな。
(外山惠理)なっちゃうでしょ?だって。
(サイプレス上野)なっちゃいますね。
(外山惠理)なんで、初めて会ったのに・・・みたいな。
(サイプレス上野)そうそう。『なんでそんな言い方すんだよ?』みたいな。まあ、けどそれを言われるのを覚悟で行ってるところもありますからね。すごい言われたりしますよ。
(外山惠理)へー!それで終わった後はもう、仲良くみたいな感じ?
(サイプレス上野)まあ、本当にちょっとモヤモヤする時もありますね。『お前、それは本心で言ってるのか?』みたいな。関係ないこととか言うラッパーはやっぱり嫌われますね。話を逸らしてきたりとか。本質と違っていることを言ったり。
(外山惠理)あ、そこにちゃんと応えていかないといけない。向き合って。
(サイプレス上野)向き合って応えていって。俺もバトルで負けることもあります。もちろんね、もう、本当ね、これを見た後にエゴサーチしたらTwitterでバカバカ俺のことをディスりやがって!本当に。
(外山惠理)うわー、頭くるわー!そんなの・・・
(サイプレス上野)本当、テレビ見ながらタイムラインをずっと見てて、もうワナワナしてるんですよ。『ふざけんな、お前ら!』って。
(外山惠理)やってみろよ!じゃあ。
(サイプレス上野)『やってみろよ!人の気持ち、わかんのか?お前!』って思って。って思いながら、まあけど・・・
(外山惠理)好き勝手いいやがって!なあ!
(サイプレス上野)いいぞ!惠理ちゃん、いいぞー!言ってやれ!(笑)。いや、それも、けど俺の肥やしにしてやろうと思いながら見たりとかもしてるんですけどもね。そこ、やっぱり言い合った上で、負けた後に、この番組だけじゃないですけど、バトルでも、よくなかった時とかありますよ。『お前は俺、あんま好きになれねえな』っていうのもぜんぜんありますね。
(外山惠理)ふーん。
(サイプレス上野)向き合ってちゃんとやれた時は超気持ちいいんすよ。負けたとしても。
(外山惠理)そういう人とは、じゃあつながっていくんですね。
(サイプレス上野)なんかね・・・まだ、大丈夫ですか?時間、ありますか?フリースタイル論、あるんすけども。いま、本当にびっくりなことにこのフリースタイル。即興でできるから、いわゆる昔、ダンス甲子園でダンスが流行ったのと同じ状態で。もう小学生からラップをやっている子とかいて。
(外山惠理)うん。
(サイプレス上野)それで、作品を作らなくていいんですよ。CDとか。俺たちがこんな待ちに待っていたマイクロフォンペイジャーのCDとかをいまの若い子たちは作る必要がないんです。もう、その場で即興をしているから。やっぱり影響があって、いろいろ話しかけられて。『サ上さんですか?俺、○○サイファーやってるんで』って。『サイファー』って言うんですよ。フリースタイルの催し物というか。
(外山惠理)へー。
(サイプレス上野)みんな集まって。たとえば戸塚駅前でやっていたら戸塚サイファー。藤沢駅前でやっていたら藤沢サイファーとか。その地名をつけて。『○○サイファー、やってるんですよ』『それ、どこなの?』『いや、大学の中っす』とか言われて。
(外山惠理)ふーん。
(サイプレス上野)大学の中でサイファーやってるんだ!?っていう。そこまで行ってるんですね。
(外山惠理)突然、じゃあそこに行っていいわけ?
(サイプレス上野)あ、そこに。やっているところに。
(外山惠理)サークルとかじゃなくて?
(サイプレス上野)じゃなくて、行ってやっていいんです。大学の中のサイファーまでは俺、さすがに知らねえなっていうぐらいいってるんですよね。
(外山惠理)でも、いいかもね。なかなか人と向き合うっていうことがいま、ないからさ。ちょっとこう、言っちゃうとさ、『怒られた』とかなっちゃうから。そうじゃなくて。
(サイプレス上野)なんか、手法として『言い合ったら自分の言葉に責任を持てよ』っていう風にやっていて。あと、ラジカセひとつあればできるんで。まあ、やっていて。本当にいいところと悪いところがありますよ。俺たちとしたら、ちゃんと音源とか作ったりとか、ライブっていうものが見たい。それだけやっていても、まあ上手くはなれるけど。なんかその次はないよっていう。
(外山惠理)そっかそっか。その先を考えるとね。
(サイプレス上野)先を考えたら、サイファーだけしてるのは楽しくていいけど・・・っていう。そこがいま、ちょっといろいろと揺れ動いているところでございますね。
(外山惠理)へー!でも、浸透してるんですね。
(サイプレス上野)いや、すごいっすよ。本当にもう。戸塚の駅前とかでも、たまに参加したりとかしますもん。高校生とかばっかりで。『門限あるから帰る』とか、ラップでされたりします。女の子のラッパーが『私は10時に門限あるから、もういまから私は帰る♪けどサ上さん、なんでこんな時間に来るんだ♪』とかそんな風に言われたりとかして。
(外山惠理)へー(笑)。
(サイプレス上野)『お前、ちゃんとしっかり帰れよ』みたいな。お父さんみたいになっちゃって。
(外山惠理)へー!いいね。健全な。
(サイプレス上野)健全な感じになって。まあ、バトルもいろいろ動いていますっていう。これがいま、日本語ラップの現状でございます。
(外山惠理)いやー、ありがとうございます。今日も。
(サイプレス上野)今日もありますのでね、ぜひみなさんチェックしてください。『サイプレス上野の日本語ラップKILLA☆2015 まだ(仮)』でした!
<書き起こしおわり>
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