町山智浩さんがBS朝日『町山智浩のアメリカの”いま”を知るテレビ』の中で2016年アメリカ大統領選挙について藤谷文子さんとトーク。ドナルド・トランプが大統領になる可能性や、トランプが真似をしているであろう政治家ヒューイ・ロングを描いた映画『オール・ザ・キングスメン』について話していました。
9/13(火) 23:00? BS朝日で『町山智浩の アメリカの"いま"を知る』という番組やります! 藤谷、 @TomoMachi さんと一緒にお話しさせてもらいました!よかったら観てください pic.twitter.com/tEITDJDmH8
— ayakofujitani (@ayakofujitani) 2016年9月2日
(ナレーション)オバマ大統領による貧困層への医療保険適応。さらに失業率の低下や景気の持ち直しなど、いまのアメリカ国民に大きな不安はないように思えるのですが、果たしてこの大統領選挙でトランプ候補が勝つ可能性はあるのでしょうか?
(町山智浩)大統領になる可能性があるとすれば、2つの場合が考えられてるんですけど。1つは、ものすごいテロが起こってしまった場合。そしたら、「オバマ大統領が悪いんだ! 民主党が悪いんだ!」って。で、トランプが票をとっていくだろうと。もう1つは、景気が悪くなった場合ですね。
テロと景気悪化
(藤谷文子)じゃあやっぱり、いまのアメリカが求めていることっていうのは景気……景気はいま、そんなに悪くないにしても、もし悪くなったりしたら、そこでなにか変革を!って思う人たちと、あとその恐怖ですよね。人間の。
(町山智浩)そうそうそう。
(藤谷文子)移民に対する恐怖と、テロに対する恐怖。恐怖が人を共和党に駆り立たせる。
(町山智浩)そうなんですよ。テロがやっぱりいちばん大きいですよね。で、本当にテロになるたびに、さっき言ったみたいに、テロが起こるたびに確実にトランプの支持率が上がるっていう……
(藤谷文子)すごいですね。顕著に出ていますね。
(町山智浩)そう。はっきり上がるんで。で、ISISっていうイスラム国が正式に発表した彼らの意見では、「トランプが大統領になってくれるといいな」と。
(藤谷文子)それはだって、正式にケンカできますからね(笑)。
(町山智浩)そう(笑)。巻き込みたいんですよ。テロ戦争に。で、オバマさんは巻き込まれないように……っていうことで、無人攻撃機のドローンで遠くから石を投げる方式だから。
(藤谷文子)うわー。
(町山智浩)そうじゃなくて、ドカンと戦争に入ってこいよ!っていうことなんで。ISISは「来い! 来い! 来い!」っていう感じなんですよ。で、オバマさんは「行かないよ」って言いながら、石を投げているんですけど。トランプは、行きそうなんですよ。
(藤谷文子)そういう、いまのアメリカがわかる、もしくはこの先のアメリカ大統領選とか、アメリカの政治を予測しているかもしれないっていうおすすめ映画ってあったりします?
(町山智浩)ええとね、『オール・ザ・キングスメン』っていう映画があるんですよ。それはね、昔、1930年代、40年代にヒューイ・ロングという政治家がルイジアナから出てきたことがあるんですよ。で、その人は、ほとんどトランプと同じだったんですよ。
今日の23時からBS朝日で”町山智浩のアメリカのいまを知るTV”が始まりました。
黒Tに黒キャップって完全に俺の格好じゃん!=オタクの礼服か笑
自営業の町山さんならではの”アメリカの実情”の解説は必見ですよ。#utamaru pic.twitter.com/kK6C2QKvE7— Blog_Machinaka (@Blog_Machinaka) 2016年9月13日
(藤谷文子)あ、いたんだ、過去に!
(町山智浩)過去にいたんです。実ははじめてじゃなくて、たぶん真似してるんですよ(笑)。で、「貧乏な白人のことを救うぞ!」って言って、どういう風に救うのか?っていったら、金持ちからお金を無理やりふんだくって、それを貧乏な人たちにベーシック・インカムって言うんですけども、働かなくてもそのまま現金を入れると。
(藤谷文子)(石川)五右衛門?(笑)。
(町山智浩)そうそうそう(笑)。分配すると。それで、ものすごい人気になったんですよ。で、ルーズベルト大統領がその頃大統領だったんですけども、負けそうだったんですよ。その人が大統領選挙に出てくれば。
(藤谷文子)へー! その人をテーマにした映画があると?
(町山智浩)映画が『オール・ザ・キングスメン』っていう映画なんですけど。それを見るとね、「えっ? 本当にこんなバカなことがあったの?」っていう感じなんですよ。
(ナレーション)第22回アカデミー賞で作品賞を含む3部門を受賞。2006年にはショーン・ペンによりリメイクもされた名作『オール・ザ・キングスメン』。実在の政治家ヒューイ・ロングがモデル。野心家の地方政治家が歯に衣着せぬ演説を武器にのし上がり、そして自滅していく様を通し、ポピュリズムの怖さを描き出しました。
『オール・ザ・キングスメン』
#1日1本オススメ映画
『オール・ザ・キングスメン』
タイトルはハンプティ・ダンプティの詩の一部に由来。野心家の地方政治家が権力欲の虜となって自滅していく…それをロバート・ロッセンが硬派のドラマ映画として作り上げている。 pic.twitter.com/uOLrHF6INi— 三次元からきたブロンディ (@kotaeastwood) 2016年4月27日
(町山智浩)ちなみに、さっき言ったヒューイ・ロングという『オール・ザ・キングスメン』の主人公のモデルになったルイジアナの政治家は、そうやってどんどん勢力を広げてアメリカを乗っ取ろうとしている時にですね、エッチ関係でトラブルを起こしまして(笑)。それで、暗殺されました。
(藤谷文子)えっ? それで?
(町山智浩)はい。暗殺されました。はい。しかも、暗殺犯はその後に親衛隊にマシンガンで蜂の巣にされて。ルイジアナの州市庁舎で殺されているんです。
(藤谷文子)なんかアメリカって本当に映画みたいですね(笑)。アメリカの政治自体が。
(町山智浩)僕、最初それは映画だと思って見ていたら、「全部本当の話だよ」って後から知って。「こんなバカなことが起こっているのか!」と。っていうのがアメリカですね。
(藤谷文子)ですね。ありがとうございます(笑)。
<書き起こしおわり>