松尾潔 アジア系R&Bシンガー特集

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松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でアジア系のR&Bシンガーを特集。ユナ、ジェネイ・アイコ、ジョイス・ライス、ジェフ・バーナットなどを紹介していました。

(松尾潔)改めましてこんばんは。『松尾潔のメロウな夜』、早いもので2016年も折り返しでございます。7月1回目の放送。レギュラープログラム『メロウな風まかせ』でお届けしたいと思います。前回は、前半いつもご紹介している新譜紹介を番組の最後まで拡大してお届けしましたが、今週はいつものように後半、1テーマでお届けいたします。『いまでも聞きたいナンバーワン』。今日はその32回目を後半にお届けしたいと思います。

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それでは、いつものように前半、新曲ご紹介とまいりましょう。先月、アッシャー(Usher)とのデュエット『Crush』をこの番組でオンエアーいたしましたマレーシア出身の女性シンガー、ユナ(Yuna)。

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このユナの歌声、本当にいまの高温多湿な日本の時期に大変合いますね。やっぱり、なんて言うんでしょうね? このアジア的な湿度とかって言うと、ちょっと予定調和的な言い回しになるんですが。やっぱり、このユナっていう人の、十分にソウルフルであるし、R&Bを感じさせるんだけど……そうですね。やっぱり違ったカルチャーが音楽の中に要素として含まれているこの感じが、やはり日本にいてR&Bを聞いている、たとえば僕のような人間の耳にもスーッと、浸透圧の高い感じで馴染んでるんじゃないかな? という風に思いますね。

今日は、アルバム『Chapters』の中からもう1曲、ご紹介したいと思います。この間もちょっとだけ触れた曲なんですけどもね。同じアジアの、それも日本の血を引きますジェネイ・アイコ(Jhene Aiko)をフィーチャーしたユナの曲を今日はご紹介したいと思います。『Used To Love You』。ユナ feat. ジェネイ・アイコ。

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Yuna ft. Jhene Aiko『Used To Love You』

お届けしたのはユナ feat. ジェネイ・アイコで『Used To Love You』でした。『Used To Love You』っていうこの曲のタイトルはやっぱり以前からR&Bを聞いている人間からするとね、どうしてもフェイス・エヴァンス(Faith Evans)の『You Used To Love Me』とか、

あるいはコモン(Common)の『I Used To Love H.E.R』とかね、そういったいまでは古典とされているようなR&Bやヒップホップの名曲を思い出させてくれます。

この「Used to ○○(かつては○○したものだ)」という言葉がありますけども。これはそもそも、R&Bにぴったりとくる表現なんですよね。この番組で僕が何度か言っていますけども、メロウっていうのはいつも後になって気づくものであると。いつも過去形を伴うというところからすると、この『Used to』っていうのはもうそれだけで物語が始まるような気がしますね。ユナは歌声にもちろん湿り気も含まれていますけども、ちょっとロマンティックな言い方をするならば、もう彼女の声に物語が含まれている。そんな気さえします。ユナの、特に北米での反応というのはどうしても気にしてしまいますね。

で、こういうアジア女性がアメリカ、北米に進出するにあったって、特にこのR&Bコミュニティーにおいて大変な大きなきっかけとなったのはやっぱりジェネイ・アイコのブレイクだと思います。この番組で再三ご紹介しているジェネイ・アイコ。彼女自身がどのぐらい、日本とかアジアという自分のバックグラウンドをね、意識しているか?っていうのは定かではないとは言っても、やっぱり「アイコ」という名前をつける親御さん。母親。そこからジェネイ・アイコの佇まいっていうのにイメージを結びつけてしまうのは自然なことかと思います。そして何よりも、本人以上にジェネイ・アイコのファンっていうのはそれを感じ取っているんじゃないでしょうかね。いま、バックでお届けしている『The Worst』。

これが彼女の出世曲になりましたし、あとこの番組でご紹介したこともある『Spotless Mind』。

こういった曲のなんて言うんだろうな? 鋭角的ではない、ちょっと角が取れた、人の手に馴染むような曲線をもった、そんな声。そんな歌いまわしというのが、いまの時代にフィットするんでしょうね。さあ、そんなジェネイ・アイコに続くかどうかということで、やはり同じく日系女性でいまR&Bシーンで注目されているこの人をご紹介したいと思います。「J」で始まる名前。ジョイス・ライス(Joyce Wrice)、ご紹介したいと思います。この人はまだ24才です。ジョイス・ライスはね、お母さんが日本の方で。で、お父さんは日本にやってきて、もともとアスリート、ボクサーとして大変な高いレベルにいた人らしくて。日本で一時はボクシングのコーチをやったりだとか、オリンピックレベルのボクサーだったという風に聞いておりますね。

その父親からアフリカン・アメリカンのカルチャー。中でもジョイス、いま24才だそうですけども、子供の時、90年代の終わりにお父さんが持っていたタミア(Tamia)のアルバムを聞いて、それでもうR&Bに目覚めて。あとはアリーヤ(Aaliyah)だとかブランディー(Brandy)だとか。そういった90年代の終わり、2000年代に入って前半ですね。その頃のガールR&Bみたいなものを聞いて自分も歌の道に進もうと決意したようです。では、そんなジョイス・ライスのデビューEPという言い方をしていますね。アルバムほどの尺ではないんですけども。『Stay Around』というこの処女作の中から1曲ご紹介しましょう。これはちょっとね、彼女の大好きな90年代のR&Bシーンの音作りを思い出させてくれるような、聞き馴染みのよいサウンドです。聞いてください。ジョイス・ライスで『Do You Love Me?』。

Joyce Wrice『Do You Love Me?』

Jeff Bernat『Call You Mine』

柔らかい歌声のR&B2曲続けてご紹介いたしました。まずは母親が日本生まれ日本育ちの日本人というジョイス・ライス『Do You Love Me?』。これは彼女のデビューミニアルバム『Stay Around』の中の1曲でした。そして、そのジョイスがこの春、アジア系の移民が多いと言われておりますアメリカ西海岸をツアーした時のパートナーというか、こちらがメインだったんですけどね。ヘッドライナーだったんですが、ジェフ・バーナット(Jeff Bernat)という男性シンガーをはじめてご紹介しました。これはジェフ・バーナットの2011年のアルバム『The Gentleman Approach』に収められていた曲『Call You Mine』でございました。

ちょっとご紹介が遅れましたけどもね、ジェフ・バーナットはどれくらいの方に認知されているんでしょうか? この人はね、日本よりも韓国で大変な人気なんですよね。僕はK-POPのアーティストとも仕事をしますから、よく普通に会話にジェフ・バーナットの名前が出てきて。「僕は知ってるけど、日本ではどのぐらいの人気かな?」みたいなことを言うと、「えっ? 日本で有名じゃないの?」って言われるぐらい韓国ではもう名前が定着している人ですよね。で、実際に韓国のアーティストたちの支持が強くて、コラボレーションも世に出ております。僕が好きなのはディーン(DΞΔN)という名義で出ている『what2do feat. CRUSH & Jeff Bernat』なんですけども。

これなんかは本当に、いわゆるニーヨ(Ne-Yo)以降のメロディアスなR&B。繊細な感じがR&Bの魅力だという、そんなリスナーにとってはぴったりとくる曲調ですね。で、このジェフ・バーナットという人、フィリピン系でございますね。この人ね。まあ、とは言っても生まれというか出身はネバダ州だそうでして。ジョイス・ライスはサンディエゴということですから、まあ2人ともアメリカ人なんですけどもね。なんですが、やっぱり声を聞いてストロングなボーカルを売りにしたりするようなアフリカンの人とは違った形のR&Bワールドを構築しているのは一聴すれば明らかですし。また、実際にその自分の声という――まあ「絵筆」という表現を僕は好みますけども――この絵筆の特性を熟知したような、そんな歌を歌っていますよね。なんか無理に絵筆に合わない大きな景色を描くのではなくて、もっと繊細な色合いですとか、そういった味わいを上手く表現しているんじゃないかと思います。ジョイス・ライスとジェフ・バーナット。このジョイントツアー、見たかったですね。うん。

<書き起こしおわり>

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