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松尾潔 2005年アメリカR&Bチャートを振り返る

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松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で2005年のR&Bチャートを振り返り。この年にヒットした曲を聞きながら、解説をしていきました。




(松尾潔)続いては、こちらのコーナーです。いまでも聞きたいナンバーワン。2010年3月31日に始まった『松尾潔のメロウな夜』。この番組は、メロウをキーワードにして、僕の大好きなR&Bを中心に大人のための音楽をお届けしています。ですが、リスナーのみなさんの中には『そもそもR&Bって何だろう?』という方も少なくないようです。そこでこのコーナーでは、アメリカのR&Bチャートのナンバーワンヒットを年度別にピックアップ。歴史的名曲の数々を聞きながら、僕がわかりやすくご説明します。第32回目となる今回は、2005年のR&Bナンバーワンヒットをご紹介しましょう。

さあ、2005年のR&B。この時期はね、まあちょっとビルボードの集計の問題というか、ヒットの計算式の係数のかけ方が変わったりとかっていうのがあって、前回の1990年をご紹介した時に「1年間に40曲近くナンバーワンがありました」って言いましたけど、2005年になるとグッと曲数は少なくて。合計で12曲なんですね。で、1位の曲が12曲だからいい曲が少なかったというのはちょっといささか短絡的な話でございまして。ねえ。もちろん、1位以外の曲でいまだに愛されている曲っていうのはたくさんあるんですが。とはいえ、毎週毎週1位を取るのは1曲しかないわけで、そこの椅子に座ったのは合計12曲ということで。まあ、超強力な12曲という言い方もできます。

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2005年のナンバーワン曲は12曲

で、12曲全て曲名ご紹介できますね。ですが、それはまずはこの2曲を聞いてから。最初にご紹介しますのは、この年の1月1日付けからなんと3月12日付けまで。つまり、年が始まって3月の半ばまで誰にも1位を渡さなかった。11週連続ナンバーワンだったのがマリオ(Mario)でございます。歌える子供として世に出て来て、この『Let Me Love You』という曲で化けました。収録アルバム『Turning Point』。まさに(希望)というそのカッコが取れた形ですね。彼の転機となった曲です。

そしてもう1曲。やはり同じく少年シンガーとして世に出てきて、以前この番組で『Blackberry Molasses』という曲をご紹介したミスタ(Mista)というね、アトランタの少年グループの一員だったボビー・ヴィーことボビー・ヴァレンティノ(Bobby Valentino)。彼が5月の丸1月ですね。4週連続ナンバーワンを記録したのが『Slow Down』という曲。
この2曲の超美麗なミッドテンポ、続けてご紹介しましょう。マリオ『Let Me Love You』。そしてボビー・ヴァレンティノで『Slow Down』。

Mario『Let Me Love You』


Bobby Valentino『Slow Down』



2005年のR&Bナンバーワンヒットをご紹介しております、いまでも聞きたいナンバーワン。ご紹介したのはマリオで『Let Me Love You』。そしてボビー・ヴァレンティノで『Slow Down』でした。それぞれ11週連続、4週連続というロングヒット。特にマリオは大ホームランでしたね。このマリオの『Let Me Love You』を支えていたスタッフというのはもともとフィラデルフィアのルーツ(The Roots)というラップグループ。クエストラブ(Questlove)というリーダーでドラマーがもういまアメリカのR&B、ヒップホップシーンの大立者として知られていますけども。そのルーツのメンバーだったスコット・ストーチ(Scott Storch)でございますね。この方、ちなみに白人ですけども。このスコット・ストーチのバックトラックに美麗なメロディーを作ったのが当時無名時代のニーヨ(Ne-Yo)ですよ。

ねえ。ニーヨはここから、本人もアーティストとしてのブレイクに自分で動線を引いて駆け上っていくんですけども。面白いのはね、ニーヨはソロアーティストとして成功を収めた後に『Let Me Love You』という曲を出したんで、この曲のカバー・セルフリメイクかと思いきや、全く趣の異なるアップテンポだったというね、面白い逸話がございます。そして、ボビー・ヴァレンティノの『Slow Down』。これをプロデュースしていたのはティム&ボブ(Tim & Bob)ですね。もうティム&ボブは本当にコンスタントにヒットを出してきた人で、こういった美麗な曲。僕が好きな曲で言うとパフ・ジョンソン(Puff Johnson)の『Yearning』っていう曲だとか。



割とお手のものですけども、まあこのボビー・ヴァレンティノとの組み合わせが良かったですね。『Slow Down』。さあ、2005年。もうあえて、特にあれですよ。番組タイトルに忠実にもうメロウな2曲を選びました。で、メロウな曲ばっかりだったのかどうかっていうのは、これから曲名を羅列しますので。それで判断してください。

この年のR&Bナンバーワンヒット、先程も申しましたように全部で12曲あります。順にご紹介しましょう。『Let Me Love You』、マリオ。『Candy Shop』、50セント(50Cent)。



『Hate It or Love It』。ザ・ゲーム(The Game)。これは50セントとの共演ですね。



『1 Thing』。エイメリー(Amerie)。あ、エイメリーもアジア系だ。そういえば。お母さんがコリアンですね。



『Slow Down』。ボビー・ヴァレンティノ。マライア・キャリー(Mariah Carey)『We Belong Together』。ラッパー、バウワウ(Bow Wow)と一時ロマンスの相手でもありましたシアラ(Ciara)との共演で『Like You』。



カニエ・ウェスト(Kanye West)がこの年あたりから存在感を発揮し始めますね。ジェイミー・フォックス(Jamie Foxx)との共演で『Gold Digger』。



ヤング・ジージー(Young Jeezy)がエイコン(Akon)と組みました『Soul Survivor』。



クリス・ブラウン(Chris Brown)『Run It!』。



デーム・フランチャイズ・ボーイズ(Dem Franchize Boyz)、ジャーメイン・デュプリ(Jermaine Dupri)、ダ・ブラット(Da Brat)、バウワウと「アトランタ勢が反撃の狼煙を上げた」という常套句がありますが。そんなレペゼン・アトランタの1曲『I Think They Like Me』。



そして、年末にマライア・キャリーがまた『Don’t Forget About Us』で。



『We Belong Together』と同じ趣向ながらまた貫禄の1位を取っています。で、1年間を通していちばんヒットしたのは何か? と言いますと、マリオの11週を抑えて年間最大のヒットになったのはマライア・キャリーの『We Belong Together』。14週間でございますよ。2005年の6月4日から9月3日まで、14週連続ナンバーワン。仕掛け人はジャーメイン・デュプリ。そう、ジャーメイン・デュプリの1年ですね。またも!っていう感じですけどもね。まあ、象徴的なのがマライアの『We Belong Together』の次にヒットしたバウワウっていうのがまあ、ジャーメイン・デュプリの秘蔵っ子でございますし。年末のマライアが1位になる直前に1位だったデーム・フランチャイズ・ボーイズ。これはもうね、ジャーメイン・デュプリ本人がフィーチャーされているぐらいで。これもジャーメイン・デュプリのもので。

つまり、「96年のアトランタ・オリンピックの頃にジャーメイン・デュプリは絶好調でした」っていう話を、「その頃に作った『My Boo』がいまもまたランニングマン・チャレンジで再び脚光を浴びていますよ」なんて言いましたけども。

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2005年も好調を維持していたんですよね。やっぱり大した男だな。まあ、これはその前の年の2004年にアッシャー(Usher)とアリシア・キーズ(Alicia Keys)の『My Boo』という、それはそれはロマンティックなデュエットがございましたけども。それもジャーメイン・デュプリが手がけていたことを思い出すと、ずっと好調を維持していたということですね。まあ、ティム&ボブ、ボビー・ヴァレンティノ。このあたりを含めてアトランタ勢がまだまだその勢いを止めなかった、そんな時代のひとつのチャートですね。

で、マライア・キャリー本人はアトランタじゃないでしょ?ってことなんですけども、もちろんそうです。彼女はニューヨークの人ですけども。ジャーメイン・デュプリとは大変付き合いが長いですからね。マライア・キャリーの最初の夫でありましたトミー・モトーラ(Tommy Mottola)っていう人はマライアが所属していたコロンビア・レコードのトップでしたけども。そこのアーバン部門のトップだったマイケル・モールディン(Michael Mauldin)っていう人は、これジャーメイン・デュプリのお父さんですからね。まあ、本当に家族ぐるみで……夫婦と親子っていうのが一緒に仕事をしていたということなんですけども。まあ、その頃からの付き合いですから。

マライア・キャリーのいろんな節目節目には、ジャーメイン・デュプリが登場してくるんですね。で、『We Belong Together』っていうのはこの番組でも何度かご紹介している曲なんですけども。

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これ、マライアにとってどういう意味を持つか?っていうと、この曲で大復活したという。これですよ。で、その大復活の仕掛け人が、付き合いが長い盟友ですね。ジャーメイン・デュプリがバックアップしたということでございます。もちろん、プロデューサーだけが復活を手助けするわけじゃなくて、レコード会社の体制なんていうのがあって。そこにはLA・リード(L.A. Reid)の名前もあったりするわけで。つまりね、90年代にこのシーンで有名になった人たちが結集して、マライアの再ブランディングのために大変大きな力を注いで、それが成功したということなんですね。

で、論より証拠。『We Belong Together』はマライア・キャリーにとって何年ぶりのナンバーワンR&Bヒットだったか?っていうと、4年ぶりだったんですね。はい。もうキャリア10年以上たって、90年デビューのマライアが15年目にしてまた代表曲を作り上げたという。そこに僕はね、やっぱり倒れても立ち上がる人の強さを感じました。その向こうに、アメリカという国家のあり方みたいなのもちょっと感じたりもしましたよ。大げさではなくね。聞いてください。マライア・キャリーで『We Belong Together』。

Mariah Carey『We Belong Together』



アメリカという国の特徴的な点っていうのはそれこそね、いろいろあるんですけども。その中のひとつに一度倒れた人が立ち上がる時に、倒れる前よりも大きな拍手を送るというのがありますよね。で、マライア・キャリーにとってはその喝采の音がいちばん強く届いたのはこの『We Belong Together』がヒットした時じゃないでしょうかね。今日は2005年のR&Bナンバーワンヒットをご紹介しました。最後に聞いていただきましたのはマライア・キャリーの『We Belong Together』でした。

<書き起こしおわり>
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