吉田豪さんが2006年にTBSラジオ『ストリーム』の中で、六代目三遊亭円楽さんについてトーク。『笑点』の腹黒キャラだけではないその素顔を話していました。(放送時はまだ円楽を襲名していなかったのでトークでは「三遊亭楽太郎」となっています)
(小西克哉)今日の本題に行きましょうか。
(吉田豪)まあ、僕はもっと日本らしくね、今日は『笑点』を特集したいんですけども。
(小西克哉)『笑点』。ほー! もうなんというかね、テレビの殿堂というか。もう何年ぐらいやってるんですか?
(吉田豪)すごいですよね。もう何年っだっけな? ちなみに、いちばん古い本を持ってきたのが『立川談志の笑点』っていう。
(小西克哉)はいはい。談志さんがやってらっしゃった時の。で、毒蝮三太夫さんが座布団を配ってらっしゃった時代。
(吉田豪)そうです。二代目かなんかですね。ちなみにこの本は昭和41年の本で。
(小西克哉)41年って、1966年。俺、小学校6年生じゃん。すごいね。
(吉田豪)最近出たばっかりの『笑点』本があるんですけどね。
(松本ともこ)ずいぶん立派な本ですね。
(小西克哉)これ、何? 絵本?
(吉田豪)絵本じゃないですよ。写真集ですよ
(小西克哉)あ、写真集だ。絵本じゃない。写真集(笑)。
『笑点』写真集
(吉田豪)まあ、たぶん番組のスチールと年表みたいな感じの本なんですけど。
(小西克哉)最近なんでこんな写真集が出たんですか? なんか記念ですか?
(吉田豪)記念……というかまあね、いま出さなきゃ! ぐらいのもあったかもしれないですけどね。メンバーの方々が……
(小西克哉)ああー、ちょっと高齢化が。
(吉田豪)だってもう、本当に撮りおろしですよ。休業中のこん平さんから、円楽さん(五代目)から集まっての写真。
(小西克哉)ああ、この帯の写真がね。
(吉田豪)巻頭で出ているんですけど、こん平さんとかは写真は撮りおろしたんですが、コメントは取れなかったっていう大変な状態で。
(小西克哉)「休演中」って書いてあるな。へー。
(吉田豪)とにかくこの写真集が本当にヤバいんですよ。なぜか僕の家の近所の(新宿)二丁目の本屋で、レジ横でパワープッシュされていて(笑)。
(小西克哉)パワープッシュ(笑)。
(吉田豪)なんでだろう?って思うじゃないですか。レジ横に置かれているんですよ。本当にいわゆるベストセラーが置かれるようなコーナーに。
(小西克哉)写真集、こんなデカいものって普通レジの横に置かないよね?
(吉田豪)置かないです。置かないです。
(小西克哉)ポケットブックだよ。普通は。
(吉田豪)まあ、中を見るとほとんど……まあ、なにがヤバいって裸と女装とふんどしみたいな写真が大量に入っていて。
(小西克哉)マジでそうなの?(笑)。
(吉田豪)まあ、コスプレが多いんですよ。たとえばこうね、歌丸師匠がキョンシーのコスプレをするとか。
(小西克哉)ああー、懐かしい。本当だ。キョンシーだ。
(松本ともこ)それ、写真集って言うの?(笑)。
(吉田豪)まあ、スチールですよね。あの林家木久蔵師匠がこのふんどし一丁担っているとか(笑)。まあね、いろいろ写真週刊誌で報道されたことを思うとスリリングな……
(小西克哉)なるほど、なるほど。
(吉田豪)歌丸師匠の女装写真も……
(松本ともこ)ひゃー、晴れ着(笑)。
(小西克哉)俺、思うんだけどさ。これさ、どんな人が買うんだろうね?
(吉田豪)いや、僕とかそういう……(笑)。
(小西克哉)そりゃ、あなたは買うだろうけどさ。プロじゃん。モロに(笑)。
(吉田豪)ヤバい! と思って。
(小西克哉)でもさ、落語が興味ある人って買わないんじゃない?
(吉田豪)いや、興味ない人でも買います。だから僕がネットのある日記で「これはヤバい!」って言ったら、結構何人か動いてましたよ。これは本当に買う価値があると。思いの外、安いし。
(小西克哉)世論を動かすんだ。
(吉田豪)この作りで1710円プラス税。だから2千円を切ってるんですよ。
(小西克哉)ああ、安い。だって貴重なお宝写真が。
(松本ともこ)買っておくべき?
(吉田豪)買っとくべきですよ。これはヤバいですよ。で、ただそういう風にいろいろとヤバい写真があるなと思った中で、1人すごいギラギラしているんですよ。円楽さんのこのダースベイダーのコスプレとかがあるんですけど……
(小西・松本)(笑)
(吉田豪)アカデミー賞的な話をすると。そんな中で、楽太郎師匠が1人だけ、座布団10枚の景品でバリに行って……みたいなのがあったんですけど。写真がもう、黒々とした。パンツ一枚で日焼けする楽太郎師匠っていう。
ギラギラした楽太郎師匠
(小西克哉)本当だ。すごいパンツだな。これ。競泳パンツじゃない?
(吉田豪)すっごいパンツだし、ギラギラしてるし。1人だけ『笑点』じゃないんですよ。もう。タイプが。
(小西克哉)だよね。あれ、これ今年なの? 平成16年って書いてある。
(吉田豪)16年ですけどね。すごいですよ。若すぎる。
(小西克哉)若い! これ、だからいい体というか。筋肉質で。ねえ。
(吉田豪)で、先日、ご本人さんを取材させていただいたんですけどね。本当にまあ、ちょいワルというかね。
(小西克哉)はい。ちょいワル親父なの?
(吉田豪)もう常にダメージドジーンズを履いて。タンクトップとか、なんかこんな襟の開いたシャツとか。
(松本ともこ)かっこいいじゃないですか。
(吉田豪)かっこいいんですよ。で、細身だし。
(小西克哉)何才ぐらいなの? 楽太郎師匠は。
(吉田豪)もう60近いんじゃないですかね。ちょっと待って下さい……
(小西克哉)えっ、60近い体とは見えないよ。オイルを塗って、なんか。
(吉田豪)昭和25年生まれですね。
(小西克哉)ああ、25年生まれ。俺より4つ上だから、55ぐらいか。
(吉田豪)はいはい。いいんですよ。で、やっぱりちょいワルだなと思っていたら、案の定ワルで……っていうか(笑)。
(小西・松本)(笑)
(吉田豪)「ちょい」じゃなかったっていう。まあ、少年時代にヤンチャだったっていう噂があったんで聞いてみたら、「ヤンチャっていうかね、まあみんなそうやって生き残ってきたから。あの時代。あの頃、生き残るためには何でもありだったんだよね」っていう。そうなんですか、小西さん?
ヤンチャだった少年時代
(小西克哉)いや、あの時代って55、6だったらもう戦後……高度成長に入ってるよね?
(吉田豪)(笑)。戦後間もない頃だったらわかりますけどね(笑)。
(小西克哉)いま60代後半の人だったらそれ、わかるけど。言ってみれば僕らはもう高度成長だよ。
(吉田豪)(笑)。でも、言ってましたよ。「あの頃はね、かっぱらいとかちょこちょこしてたね」とか。
(小西克哉)まあ、かっぱらいはいるだろうけどね。
(吉田豪)「まあ、俺らの世代はね、みんな悪事を働いていたよ。生活のために、みんな悪事を働いていた」って。
(小西克哉)悪事(笑)。
(吉田豪)って、言ってましたけど。「明日がどうなるかわからない。そういう世代だった」って言ってたんですけど。そうなんですか?
(小西克哉)あ、そうなんだ。「若い」と思ったら、なんかすごいこと言われてるな(笑)。
(吉田豪)いやいや(笑)。意外なんですよ。
(小西克哉)どこ? 東京のご出身なの?
(吉田豪)そうです、そうです。結構エリートなイメージがあるじゃないですか。青山学院卒とか、博士号を取っていたりとか。
(小西克哉)博士号?
(吉田豪)ええ。税務大学の講師。
(小西克哉)何博士?
(吉田豪)なんか、落語におけるどうのこうのみたいなので。
(小西克哉)じゃあ、文学博士?
(吉田豪)論文を送って、なんかもらえるのがあるらしいんですよ。
(小西克哉)ああ、論文を送ってもらえるの。はいはいはい。ああ、ドクターなんとかがもらったのとかね。あと、なんとかかんとかがもらったのとか。通信なんとかでもらったのとか。ちょっと言えないことが多くて……
(吉田豪)(笑)。で、さらにあれですよ。だって今年から、代々木アニメーション学院の学院長になるっていう。
(小西克哉)学院長? へー!
(吉田豪)それも謎だらけじゃないですか。「えっ、アニメ好きなんですか?」って言ったら、アニメは別に好きじゃないみたいです(笑)。
(小西克哉)好きじゃないの?(笑)。
(吉田豪)「サプライズなことをしたくてね」っていう(笑)。
(小西克哉)面白いね(笑)。
(吉田豪)「人嫌いになって困らないようにね。落語とか覚えたいなら、俺が教えるし……」みたいな。「それ、アニメーション学院じゃないですよ!」っていう(笑)。
(小西克哉)でも、伊集院(光)さんの師匠で。
(吉田豪)師匠でもあり。
(小西克哉)そのへん、アニメがつながっているのかな? と思ったけど。
(吉田豪)あんまり関係ないですね。はいはい。でも、そもそも青山学院を受けた理由っていうのもすごい適当で。もともと就職する予定だったのに、「まあ、ひとつぐらい大学受けてもいいかな?」っていうだけで。大学要項見て、あいうえお順でいちばん最初のやつを受けたという……
(小西克哉)(笑)。「あおやま」だから。
(吉田豪)適当ですよ(笑)。
(小西克哉)適当ですねー。で、受かっちゃいてるわけでしょ? すごいじゃないですか。
(吉田豪)受かっちゃいて。で、親がお金を出してくれないっていうんでいろいろバイトすることになって。円楽師匠のカバン持ちを始めるんですよ。
(小西克哉)あ、バイトでね。
(吉田豪)ただの(笑)。
アルバイトで円楽師匠のカバン持ちを始める
(小西克哉)青学にそのバイトが来たんだろうな。
(松本ともこ)でも、自分で行くっていうことですよね。
(小西克哉)でも青学に何浪もして入った人のポジションはどうなるんだろうね?
(吉田豪)本当に(笑)。「受かっちゃったから、行かなきゃな」みたいな。で、もともと放送作家でもあってとか。すごい多才なんですよ。
(小西克哉)あ、放送作家をやってらっしゃった?
(吉田豪)放送作家のバイトみたいなのもやっていて。なんか、ラジオとかもやっていたらしいですよ。
(小西克哉)ああ、そうなの?
(吉田豪)そういうのもあって、円楽師匠の付き人みたいなのをやっていた時に、円楽師匠の仕事を見ているうちに「俺も落語家になろう」と思ったのかと思ったら、「全然そんなことは思わなかった」と。
(小西克哉)ああ、思わなかった?
(吉田豪)放送作家をやろうと思っていたら、円楽師匠にスカウトされたんですよ。「俺の弟子にならないか?」って言われて。
(小西克哉)ということは、なんですか? やっぱりそういった素質というか。を、見ぬかれた?
(吉田豪)まあ、楽さん曰く、「弟子にすりゃあタダで使えると思ったんじゃないか?」みたいな、そんなことを言っていて(笑)。
(小西克哉)(笑)
(吉田豪)腹黒らしいコメントを(笑)。
(小西克哉)でもさ、普通もう大学ぐらいになると落語家を志望する人なんか噺の何十とかはさ、全部できる人、多いじゃないですか。なにもできなかったんでしょ? 当然、興味がないんだから。
(吉田豪)まあ、落語は好きではあったらしいんですけどね。そういう興味は別になかったという。
(小西克哉)ああ、キャリアとしては考えてなかった。
(吉田豪)あ、ちなみにそうだ。いま、思い出したんですけど。僕、毎日楽太郎師匠のこの目覚まし時計で起きているんですよ。
(小西克哉)これ、すごいっすよね!
(吉田豪)腹黒時計という。「起きないと、怒るぞ!」って叫ぶんですね。
(小西克哉)あ、叫ぶの? ちょっと、鳴らせる?
(吉田豪)ええーっ? 鳴らせるかな?
(小西克哉)いま、2時すぎぐらいセットしたら……
(楽太郎 腹黒時計)起きないと、怒るよ! 起きないと、怒るよ!
(吉田豪)っていうね、毎日怒られてるんですよ(笑)。
(松本ともこ)これで起きているんだ(笑)。
(小西克哉)これ、デカいね。言い続けるの?
(吉田豪)ええ。で、これにサインをもらってきたんですけど。サインをもらったら「三遊亭」が「3UT」になっているんですよ(笑)。
(小西克哉)すげえ!(笑)。
(吉田豪)すごいヒップホップっぽい(笑)。
(小西克哉)ヒップホップだなー。三遊亭だ、本当だ。
(松本ともこ)「3UT」(笑)。
(吉田豪)ワルいんですよ。で、まあ『笑点』の番組アシスタントにスムーズに入って。付き人になってからも。で、だからそこから円楽さんが休んだら、またスムーズにレギュラーになって、とか。すっごい人生スムーズなんですよ。
すごい人生スムーズ
(小西克哉)ほう。なかなかないですよね。苦労話があるのかと思いきや。
(吉田豪)苦労話はないけど、腹黒い話はあるっていう(笑)。
(小西克哉)それ、なに?(笑)。
(吉田豪)まあね、腹黒キャラじゃないですか。でも、言われるらしいんですよ。円楽師匠とかに、「お前はもっと腹黒くならなきゃダメだ」とか言われるから、努力しているのかと思ったら、あれなんですよ。ちょっと言うとやっぱり円楽師匠が「お前、私のことをジジイと言った」とかたまにグチグチ言われるらしくて(笑)。
(小西克哉)愚痴をグチグチ(笑)。
(吉田豪)「言ってないですよ。クビかけたっていいですよ。あれは歌丸師匠に行ったんです」って反論して。後日、ビデオをチェックしたらやっぱり言ってなかったらしくて。「先週はごめんね。でもね、歌さんにも言うの、よせよ」とか(笑)。
(小西・松本)(笑)
(吉田豪)ちょっと反省したりもするらしいんですよ。
(小西克哉)(笑)。でも、このぐらいの人でやっぱりこんな異彩を放っていう人って、いま東京の落語であんまり数少ないんじゃない?
(吉田豪)そもそも、あれなんですよ。落語家さんってみなさん、わざと老けようとする傾向にあるらしいんですよ。
(小西克哉)ああ、味が出るから。
(吉田豪)ええ。1人だけ本当に、いかに若くあろうかを戦い続け。なおかつ、維持の張り方がおかしいのが、日本の様々なプロレスラーの方々とすごい交友が深くて。
(小西克哉)プロレスラー?
(吉田豪)まあ、ジャイアント馬場さんともうね、かなりの親友だったのもあって。天龍源一郎さんとか、いろんなそうそうたる酒の強いメンバー。三沢光晴さんとか、と、しょっちゅう飲んでいるんですけど。
(小西克哉)ああ、酒をよく飲んでるんだ。
プロレスラーと同じレベルで酒を飲む
(吉田豪)もう、あれなんですよ。プロレスラーって酒でも負けちゃいけない世界の人たちじゃないですか。同じレベルで張り合うんですよ。この人(笑)。
(小西克哉)ほー! そう。全然負けてない?
(吉田豪)全然負けてないですね。で、もうガンガン飲んで。「だから、レスラーを連れて飲みに行くと……たとえば天龍源ちゃんとかと俺が3人で行くと、1軒は自分で持たなきゃいけないんだよ。『1人1軒持ちゃあいいだろう』っていう計算で。まあ、1軒でも相当な額だけど。でもね、まあ宵越しの金は持たない」っていう(笑)。
(小西克哉)ああ、なるほど。なるほど。地で行ってるんだ。
(吉田豪)ですね。
(小西克哉)どのぐらい飲まれるんですか?
(吉田豪)まあ、量も飲みますけど。たとえば最後の方は飲み比べみたいになって。350ミリのビールの缶とかを持ち込んで。(缶の)後ろに穴を開けてみんなで一気飲み。ガーッと流しこむらしいんですよ。空気穴を開けちゃって。
(小西克哉)ああー、開けちゃって。早く飲めるようにね。
(吉田豪)「これだとね、俺もね、案外そこらの若手には負けなかったんだよ」って(笑)。
(小西克哉)すごいね!
(松本ともこ)負けないんだ(笑)。
(吉田豪)負けないんですよ。
(小西克哉)あれをバンバン、立て続けにいくわけ。
(吉田豪)「で、負けないもんだから悔しいので、向こうも『じゃあ500(ミリ缶)でやろう!』って言うと、『500はやめろ』って言うんだけど。まあでも、いまでも350なら行けるんじゃねえかな?」とか(笑)。強気なんてもんじゃないっていう。
(小西克哉)すごいね。なんかティーンエージャーで350って思い出すけど。アメリカの高校生がさ、6パックってあるじゃないですか。あれをだいたいね、6パックをどっちが早く飲み干すか?ってやるんだよ。それが儀式みたいなもん。最初の酒。飲んじゃいけないんだよ。
(吉田豪)ガーッとね、ショットを飲むような感じの。
(小西克哉)そうそうそう。もう、だからそれこそ……穴は開けてなかったからな。それ、穴を開けるというアイデアがあったらもっと早く飲めたな。
(吉田豪)「っていうか、なんでプロレスラーと同じレベルで勝負してるんですか?」って聞いたら、「まあね、挑まれたら俺は戦うからよ。下町でずっと育っているから、負けず嫌いなんだよ」っていう(笑)。強いですよ。
(小西克哉)強いんだね。
(吉田豪)で、だから新弟子の頃からかならず銀座で豪遊していたらしいんですよ。お金が入ると銀座で遊び。さらには、銀座のお姉ちゃんの家にそのまま行くという。
(小西克哉)お姉ちゃんの家、行っちゃうの?
(吉田豪)ええ。でも、なにもやらない。添い寝するだけっていう。で、ついたあだ名が「添い寝の楽さん」っていうね(笑)。
添い寝の楽さん
(小西克哉)添い寝の楽さん(笑)。なに? 行くんだけど、それはやっぱり銀座のお姉ちゃんが「来て」とか言うのかな?
(吉田豪)まあ、なにもしないっていうのが分かってからは、どんどん「来て」って呼ばれるようになって……っていう。
(小西克哉)ああ、マスコットみたいに。添い寝の。
(吉田豪)ベッドの下で寝るんですよ。下で寝ながら、「手だけはつながせてくれよ」って言って。「電車に乗っている夢、見たいから」っていう。ねえ。吊り革気分で手をつないで寝る、みたいな。結構紳士なね。
(小西克哉)どうなの? そういうのって女性としては有りなの?
(松本ともこ)「かわいい」って思われればね。
(小西克哉)かわいいって。でも顔見たら、全然かわいいって顔じゃないじゃない?
(吉田豪)ちょいワルですからね(笑)。
(小西克哉)ちょいワルじゃん。ねえ。添い寝の楽さんなんだ。添い寝の楽さんねえ。どうなの? 女性に興味ないんじゃないの? じゃあ。
(吉田豪)(笑)。いや、ねえ。木久蔵師匠はそんな噂、ありますけどね。他は謎ですけどね。
(小西克哉)ああ、そうなんだ。へー(笑)。
(吉田豪)そういうミステリーがいいですよね。そういう人たちが、こうやって女装してるわけですよ。写真集で。スリリングな味わいを。ちなみに歌丸さんの女装がすごい似合うなっていうのは有名なんですけど。さっき女装の写真がありましたけど。歌丸さんは、実家がもともと置屋だったらしいんですよ。
(小西克哉)ああ、それで。白塗りは得意なんだ。
(吉田豪)そうです。化粧をずっと見ていたせいで、こういうものも上手いという。
(小西克哉)身のこなしもたしかにそのへんは。
(吉田豪)細いですしね。
(小西克哉)細いよね。すっごい格好になってますよね(笑)。
(吉田豪)で、あと「座布団10枚の景品でなにがいちばん面白かったですか?」って聞いたら、カール・ルイスとかけっこしたことがあるんですよね。あれがいちばん印象的だったっていう。
(小西克哉)カールくん人形じゃなくて?
(吉田豪)違いますよ。カールくんじゃないですよ(笑)。TBSのあれじゃなくて。本物ですよ。わざわざ。で、その時も長嶋茂雄さんがいたらしいんですけど。控室に。ちょうど監督をやめた頃の。
(小西克哉)はいはい。
(吉田豪)で、紹介してくれるらしいんですよね。「そうだ、カールに会いますか?」って言って連れて行ってくれたらしくて。てっきり紹介してくれるんだなと思ったら、なにもしないらしいんですよ。「ヘーイ、カール!」ってまたいつものように行っちゃって(笑)。あとは放置っていう(笑)。
(小西克哉)あとは放置(笑)。それでただ突っ立っているだけなの?
(吉田豪)ええ。「あ、紹介しないんだ」と思って。でもね、やっぱり青学ですから。英語でちゃんとね、自己紹介して。「Nice to meet you. My Name is Rakutaro Sannyutei.」っつって。「テレビのロケーションで来て……」とか説明していたら、長嶋さんが途中で空気を読んで。「ああ、もう済みましたか?」みたいな(笑)。
(小西克哉)(笑)
(吉田豪)「通訳しろ!」って思ったらしいですけどね。「立教だろ? 青山の方が勝った」って言ってましたね(笑)。
(小西克哉)なるほどね(笑)。
(吉田豪)強いですよ。
(小西克哉)まあ、ということでいろいろ逸話が絶えない楽太郎さんですけども。本も山ほどありますけども。
(吉田豪)あれなんですよ。実は楽太郎さんって本はいっぱい出しているようでいて、『失敗しない司会進行実例百科』とか、こういう実用書がメインなんですよ。あと出しているのは、この豆本ですね。『三遊亭楽太郎の冗談は寄席』。「よせ(寄席)」がちょっと……
(小西克哉)ああ、寄席が入っていてね。
(吉田豪)という、明らかに本人が書いていない本とか。唯一書いているのが、エッセイ集っていう。著書的にはあんまり恵まれていない人なんで、ぜひともみなさん、どんどん出してほしいなっていう。
(小西克哉)なるほど。ということで、そのインタビューの結果はいつ出るんですか?
(吉田豪)これは来月の頭ぐらいですね。
(小西克哉)はい。ということでレアな本も出してらっしゃる三遊亭楽太郎さんに注目してみました。魅惑の乱読王、吉田豪さんでした。
(吉田豪)どもでーす。
<書き起こしおわり>
『新・人間コク宝 』吉田 豪 https://t.co/36ujqRo54c @amazonJPさんから
三遊亭円楽さんのインタビュー収録。名著!— みやーんZZ (@miyearnzz) 2016年6月10日