SKY-HI 音楽制作の原動力と音楽的ルーツを語る

SKY-HI 音楽制作の原動力と音楽的ルーツを語る block.fm

SKY-HIこと日高光啓さんがblock.fm『Smooth Navigation with EMPORIO ARMANI』に出演。タケル・ジョン・オトグロ(TJO)さんと音楽制作の原動力や音楽的ルーツなど、様々なことを話していました。

昨日の大盛況だった #スムナビEA アーカイブがアップされました!?今回はAAAのメンバーとして、そしてSKY-HIとしても活躍する日高光啓さんと音楽のこと、価値観のこと、いろいろアツいトークできました。普段からいろいろ考えているんだなというのが伝わる聡明さと、やはり音楽人だなとハッとさせられる言葉や瞬間も沢山あって非常に濃いトークになりました。ぜひ聴いてね?次回は6/27(月)にまた素晴らしいゲストお招きしますのでお楽しみに? 、 Check "Smooth Navigation with EMPORIO ARMANI" achieve?Thanks Mr. SKY-HI?Next show will 27th Jun.? 、 【まとめ】 ①アーカイブ(再放送)はこちらから→ http://eas.block.fm 、 ②iPhoneのblock.fmアプリではSKY-HI氏選曲&TJO繋ぎによるここでしか聴けないDJ Mixも公開中→ http://block.fm/app/ 、 #TJO #blockfm #スムナビEA #SKY-HI #日高光啓 #AAA #クロノグラフ #sugarbitzartist #bitzcam

TJO (Takeru John Otoguro)さん(@tjo_dj)が投稿した写真 –

(TJO)『Smooth Navigation with EMPORIO ARMANI』、ここからは今夜のゲスト。AAA、そしてSKY-HIとしてもお馴染みの日高さんをお迎えしたいと思います。どうも。

(SKY-HI)どうも。SKY-HIです。日高です。よろしくお願いします。

(TJO)よろしくお願いします。あの、SKY-HI、日高さんは僕と何度かね、面識もあるんですけども。

(SKY-HI)そうですね。ご飯を食べた仲です(笑)。

(TJO)カフェでランチをしたんですけども。今日は番組でこうやってしゃべるのは実ははじめてなので。ちょっといろいろと、SKY-HI日高とはどんな人なのか?というのを1から振り返ろうかなと思います。

(SKY-HI)お願いいたします。

(TJO)じゃあさっそく質問していきたいと思います。まず、アーティストSKY-HIとしての創作の原動力はどこから来ていますか? 特に、日高さんの場合AAAというユニットもやっていて、さらに個人のSKY-HIとしてやっているじゃないですか。ちょっと、その原動力について教えてください。

(SKY-HI)いや、もうね、原動力っつーのに関してはね、ないですよ。本当に食事とか睡眠とかと同じ感じな気がします。曲を作らないとどうしようもないし。たぶん、最初のうちの初期衝動の、もう作らずにいられない感じがずーっとあるから。で、ずーっと作っているじゃないですか。したら、だんだんそれが当たり前になってくるから。いまはね、そういう感じですね。

(TJO)ある意味、生理現象みたいな感じで。本当に寝るとかと同じように。そんな感じで?

生理現象のように音楽制作

(SKY-HI)そうなんですよ。この前、引っ越したんですけど。制作スペースを作り直していて。で、荷解きってすごい面倒くさいじゃないですか。「ああ、これはしばらくは制作ができないかな」って思っていたんですけど、どうしても、やらずにはいられなくて。制作場所だけね、最初に全部作っちゃったから。なんか、そういうもんなんだなってその時に思いましたね(笑)。

(TJO)なるほど。じゃあ本当に「原動力がなにか?」っていうのは、当たり前のことすぎて逆にわからないっていう?

(SKY-HI)そうですね。当時から、それこそさっき話してくれたみたいに、昔。10代の時とか20代前半の時が、昼間AAAやって、夜SKY-HIでクラブでライブしたり、バトルに出たり……みたいな生活をしてる時に、たぶんね、人間の生活的に、時間的に無理があったんでしょうね。そこでね、キャパが広がったおかげで、いまどういう状況でも、曲がずっと作れるみたいな(笑)。

(TJO)あ、そこで鍛えられたってことですね?

(SKY-HI)そうそう。お相撲さんの股割りみたいな(笑)。

(TJO)(笑)。でもね、そう考えると、ちょうど先月、手術をせれて。で、何ヶ月ぐらいですか? お休みをされてましたよね。

(SKY-HI)そう。1月歌わなかったんですよ。

(TJO)そうですよね。しかも、いわゆる曲の制作をすると勝手に歌っちゃうから、制作すらもストップしていたと。

(SKY-HI)そう。ストップしました。

(TJO)そんなね、当たり前のこととしてあった音楽制作を止めていたその期間。音楽に触れない日々。どうでした?

(SKY-HI)最初の2週間は情緒が不安定すぎて。8キロ太りましたからね。

(TJO)えっ?

(SKY-HI)あ、違う。5キロぐらい太った。たぶん。

(TJO)そんなに? マジっすか?

(SKY-HI)わからない。その後、8キロ痩せたんですよ。で、たぶんマイナス3キロぐらいだと思う。だから、5キロくらいは太ったと思いますよね。なにをしていいかわかんなくて。でもね、後の2週間で強制的にやることを作ったんですね。

(TJO)それは、音楽ではないことを?

(SKY-HI)ええと、音楽なんですけど(笑)。

(TJO)(笑)。あ、でも歌わなくてすむ?

(SKY-HI)そう。新しいギターを買って。それまで、それこそいまBGをかけてくれた新曲の『クロノグラフ』は元々デモをギターで作っていたんですけど。それは、MIDIの打ち込み。鍵盤でギターを弾いて作っていたんですね。

(TJO)はいはいはい。

(SKY-HI)それをデモとしてmabanuaに持っていって、どういうビートにしようか?って。で、mabanuaに話をしていたら、「やっぱりmabanuaっつったらピアノ鍵でしょ?」みたいな方向になっていった時に、なんかこう自分のMIDIでギターを作っていたのがもっとできるなと思って。もっとやりたいなと思ったら、ああ、ギターをもっと弾こうと思って。で、どうせやることがないから、その2週間のためにと思ってギターを買ったら、もうめっちゃ楽しくて。それで8キロ痩せたっていう。

(TJO)あ、それでまた気持ちがスッキリして、戻ったと?

(SKY-HI)デトックスしました(笑)。

(TJO)すごいですね! 音楽がないっていうだけで、一気にそれこそ身体にまで変化を及ぼして。

(SKY-HI)ねえ。あれ、ちょっとね、あれは大変でした。けど、本当によくわからないんですよね。曲を別に書きたくてしょうがないとかっていう感じっていうよりも、普通に情緒が若干不安定になって(笑)。

(TJO)でも、逆に言うと、いままでの自分の人生になかった瞬間でしょ? 音楽がない時期って。だから初めて気づいたというか、そんな感じですよね?

(SKY-HI)それはね、あるかもしれないです。あと、もう1回作れるようになった時の喜びがデカい。

(TJO)ああ、それはだいぶ溜まっていた気持ちがバーン! と出た感じですかね?

(SKY-HI)ありますね。だから人前でね、ライブをこの前、やらせてもらった時にね、あんまりやらないんですけどアカペラで歌い出すっていうですね……(笑)。

(TJO)おおー、いいですね(笑)。

(SKY-HI)「なにしてんだろう?って絶対に来年思うんだろうな」って思いながらね(笑)。

(TJO)でも復活して、だいたいいま2、3週間たったんですけど、もう、制作はしているんですか?

(SKY-HI)いまね、制作しています。

(TJO)何曲ぐらいできたんですか?

(SKY-HI)それはね、内緒です。でもね、いろいろやっていますね。いろいろやってます。あと、ちょうど手術前ラストに作っていた曲を手術後に聞いたら、「いまだったらもっと違うことができるかも」って思ってね。また作りなおしたりとかして。そういう感じですね。

(TJO)そうなんですね。結構ギターを弾いたりとか、もちろんヒップホップをやっていたりという音楽的なね、幅が僕は日高さん、すごい広いと思うんですけど。

(SKY-HI)なんか、ウケますよね。その広さ……

音楽的なルーツ

(TJO)そうそう。本当に広い。なんでそんなに広いのかな?って思って。日高さん自身の音楽的なルーツってなんですか?っていう。教えてもらってもいいですか?

(SKY-HI)そうですよね。でもね、中学の時に、もともとバンドを始めて。ドラマースタートでしたね。

(TJO)ドラムから?

(SKY-HI)中1の時にドラムを始めて。その時に一緒にバンドを組んでいたギタリストの友達の家にたむろしてたら、テレビからRHYMESTERが流れてきて。で、そこで……だからひょっとしたらね、日本語ラップの方がヒップホップより早かったかもしれない。意識として。

(TJO)なるほど、なるほど。洋楽よりもね。

(SKY-HI)そうそうそう。っていうか、日本語でラップをするっていうものを認識した方が、ヒップホップっていうカルチャーを認識するより早かった。

(TJO)なるほど。日本語ラップに触れたっていうのが本当に。

(SKY-HI)そうなんですよ。でも、その時も本当、ジャンルで分けて感じてなかったから。すごいいわゆるど真ん中のメロコアみたいなのを友達とバンドでやりながら、「新しくこういうリリックを書いたぜ」っつって友達とラップしながら……ダンスとかもやったな。姉ちゃんがダンスをやっていたから、その影響でダンスも始めて。だから文化祭でね、7つぐらい出ていたんですよね。

(TJO)そんなに出てたんですか?(笑)。

(SKY-HI)そうそう。だから、クラスの出し物がおざなりになって。女子に「日高くん、全然クラスにいないんですけどー」って先生にチクられるみたいな(笑)。みたいな青春。

(TJO)いますね、いますね。そういう人だった(笑)。

(SKY-HI)そういう人だった。でもね、18、9ぐらいで、俺はね、アレがデカかったですね。渋谷FAMILY。

(TJO)うんうん。クラブですね。

(SKY-HI)そう。クラブFAMILYのイベントとか。あと、いまはなきギネスレコード(Guinness Records)。

(TJO)レコード屋さん。

(SKY-HI)の、コロ助さんとかに渋谷FAMILYで同じイベントをやっていた時とかに……なんかね、その時にいたイベントが、まだやっているんですけど、『Metro Pride』っていうイベントで。いまだにやっていて。なんか本当ね、ジャンルがすごい混ざり方をしていて。ものすっごいハードコアテクノとかかかったりするんですよ。

(TJO)へー。

(SKY-HI)でも、イベントの頭はすごいソウルとかで始まったりする。俺の入った時期は過渡期で。

(TJO)いちばんカオスだった時期(笑)。

(SKY-HI)そう。みんながやりたいことをやり出しちゃって、まとまりがなくなって。お客さんもどんどん減ってっている時期で。そこに俺が入ったもんだから、さらにカオスになっていったんですけど。でも、1個だけたしかだったのはそれに出ていたDJの人とかみんな、自分がかけていた音楽が好きだったんですね。それがすごい感じれたから、好きなことをやろうと思って。そこらへんでかな? ごった煮になっていったのは。

(TJO)いろいろと混ざってきた感じの。

(SKY-HI)混ざってきました。ラップを始めたばっかりの頃とかって。特にやっぱり俺もね、(早稲田大学)GALAXYに籍を置いていたことがあったから。RHYMESTERとかで知られるブラックミュージック研究会のGALAXYにね。ただ、俺は4回ぐらいしか行ってないから、果たして「籍を置いていた」と言っていいのかどうかわからないけど。

(TJO)(笑)

(SKY-HI)ちょっとね、やっぱり原理主義的なところがあったりして。ヒップホップとかラップに関しても。なんか、そうでなくちゃいけないみたいなところがあったんだけど、それはね、ヒップホップによって生まれそうだった原理主義の凝り固まった考え方を、ヒップホップがブチ壊してくれた、みたいな感じはあるかもしれない。

(TJO)おおー。

(SKY-HI)まあ、もともとね、なんでも飲み込む音楽だし。ソウルでもディスコでもファンクでも。キング・オブ・ミュージックって呼んだ人がいたぐらい懐の深いものだったから。いろいろ考えるのを止めましたね。どこかから。

(TJO)ああ、どこかの時点で。

(SKY-HI)いま、自分の内側から何が出てくるのか、とかを大事にして。で、出た後に、「これは俺の中のファンクネスがこうさせたんだな」とか、「俺の中のソウルがこうさせたんだな」とか。「俺のディスコティックが出てきたな」とか。後で考えるようにしました。

(TJO)なるほどね。ラベルを付けるのは後でいいと。

(SKY-HI)後にしました。なんか、アプローチもそうかも。「これは歌なのか、ラップなのか」みたいな。ディスコのトラックで歌うとか。これ、そう。『スマイルドロップ』。(BGMで)かけてもらいましたけど。歌なのかラップなのかっつーのはね、自分でもよくわからないですっていう(笑)。そういうアプローチがこの曲にいちばん正しいと思ったからやった、みたいな。

(TJO)なるほど。でも、そんな日高さん、最近注目している音。アーティストでもジャンルでもいいんですけど。そんなごった煮な日高さんが最近好きな音ってなんですか?

最近好きな音

(SKY-HI)ああー、でもね、またオーガニックなのがすごい好きです。頭から、今年はアンダーソン・パーク(Anderson .Paak)が来て。

(TJO)はいはいはい。

(SKY-HI)BJ・ザ・シカゴキッド(BJ the Chicago Kid)が来て、みたいな。

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(TJO)うんうん。ソウルフルな感じ。

(SKY-HI)その流れ。もちろんほら、(ビヨンセの)『Lemonade』も、ドレイクのやつ(『Views』)もすごい好きだったし。なんかね、すごいフィールするところがあるんだけど、個人的にいまいちばん流れがいちばん来ているのは……そう。マクスウェル(Maxwell)とかもあったし。

(TJO)ああー。

(SKY-HI)あと、ヒップホップのカバーアルバムみたいなのが出ていたでしょ? 往年の曲たちをカバーする。スヌープの『Jin & Juice』とかあるやつ。あれあれ。

(TJO)ああ、はいはいはい。

(SKY-HI)なんかね、オーガニックなアプローチにもう1回ね、心を動かされているところがあります。あれなのかも。ライブで自分がこう、バンドのみんな。16人編成っていうね、素敵な(笑)。

(TJO)そうなんですよね。本当に。

(SKY-HI)いや、ツアーをやるごとに、ツアーの規模を大きくできればできるほど、自分のバンドの規模もどんどん大きくなっていって。ダンサー、DJを含めてブラスもいるから。それでね、やっぱりたぶん……別に彼らの影響を受けてっていうわけじゃないんだけど、たぶん一緒にいる時間が長いからかな?

(TJO)でも、そうですよね。触れる機会が多くなると、自然とそういう音とか音色、楽器へのアテンションも深まるっていうか。ありますよね。

(SKY-HI)あります。あとね、つながっていた。1月に出した『カタルシス』っていうアルバム、ド頭がストリングスから始まるんですけど。そのストリングスのフレーズを考えている時に、ストリングスを俺、弾いたことがないから。感覚なんですけど、作っている時にね、ブラスを作る感覚で作っていったんですよ。

(TJO)ほう。

(SKY-HI)ほら、リードがトランペットで、サックスが下でプーッて。トロンボーンはこうかな? みたいなのに……4つだったから、カルテットで作ったから。あのね、ブラスのみんなと音楽を一緒に作っている感覚のおかげで、ストリングスの構成を考えるのがスムーズにできたりとか。

(TJO)すごい。

(SKY-HI)そう。つながっているなと思って。

(TJO)全部が全部つながっていくんですね。

(SKY-HI)なんか、そんな気がします。ほら、ラップのピッチ、あるじゃないですか。ドラムにもピッチ、あるじゃないですか。だから横だけじゃなくて縦もあるし。逆に上モノが目立つ楽器もリズムが強烈に生み出されていたりするし。なんかね、いまはね、すごくそういう意味でフィジカル的に音楽が好き(笑)。

(TJO)なるほど。で、1月にね、『カタルシス』。アルバムをリリースして、つい先日、『クロノグラフ』をリリースされたんですけど。僕がちょっと思う部分で聞きたいところがあって。SKY-HIさんはね……

(SKY-HI)(稲川淳二のモノマネで)怖いな。怖いなー、怖いなー……(笑)。

(TJO)(笑)。あの、インタビューとかを見てもそうなんだけど、いわゆるネガティブとポジティブ。これを結構テーマに話をされることがすごく多くて。たとえば『カタルシス』の中でもそうだし、『クロノグラフ』も今回、「別れ」というネガティブ的な要素を愛していこう、ポジティブにとらえよう、みたいな。なんで、日高さんのエネルギーの源。そういうネガティブとかポジティブから生まれる要素って、一言でいうと、なんですか?

(SKY-HI)ああ、これはなんなんでしょう? エネルギーの源……でも、なんかね、あれかも。「人が好き」。

(TJO)ああー。

(SKY-HI)それかも。人が好き。「人」っていうのは自分も人だから。自分のこともすごく好きだし、関わる人とか、はじめましてでも好きでいる気持ちを大きくしようと思う。でも、だからこそ、それでもどうしても人に対して嫌な気持ちになっちゃう瞬間ってあるじゃないですか。

(TJO)まあ、そうですよね。人間だから。

(SKY-HI)でも、それってほとんどが必要ない気持ちだったりとかすると思って。で、ネガティブな気持ちって自分に対して嫌いになっちゃう部分ができたりすることだと思うんですけど。それって絶対に必要ないじゃないですか。だから、きっと……あ、違うか。絶対に必要なものなのかな? なんかね、それが根付いているっていうことは、パズルのピースを1個変えるだけでそれが思いっきりポジティブの種になったりするはずなんじゃないかなって。

(TJO)なるほど。

(SKY-HI)でもね、そういう考え方はそれこそヒップホップからの気がします。

(TJO)教わったと?

(SKY-HI)うん。コンプレックスを武器にするとか。自分が他所から見たらマイナスに見える場所をプラスであることのようにして誇るとか。そういう考え方。あと、謙虚でいることは大事だけど、無駄に謙遜しないとか。なんかナチュラルでいようとは思っています。不自然に下手だったりとか、不必要にネガティブだったりとか。なんかそういうことって多々あるような気がしていて。シンプルでナチュラルに人を愛そうと思ったら、勝手に前向きにとらえられることが増えていってるはず(笑)。

(TJO)なるほど。でも、その「無駄に謙遜しない」とかってことはすごく僕もフィールできて。結構、よく言われているのは「俺は売れたい」って言うじゃないですか。

(SKY-HI)ああ、はい。すげー言います。

(TJO)そう。俺ね、あれすごいポジティブに聞こえて。めっちゃ気持ちいいんすよ。

(SKY-HI)あれはね、どこまでも言っていこうと思います(笑)。

(TJO)(笑)。でもやっぱり、AAAというユニットで活躍しながら、で、SKY-HIっていう名前でもやっている。日高さんは結構、この日本のシーンの中でもすごく独特な立ち位置だと思うんですよ。

SKY-HIの独特な立ち位置

(SKY-HI)なんか特殊ですね。そう考えると。

(TJO)って、やっぱり思いますよね? 自分でも。

(SKY-HI)なんか、あんまりね、意識してなかったんですけど。みんなに言ってもらうから、「あ、特殊っぽいな」とは思っています(笑)。

(TJO)「みんなに言われる」って(笑)。でも、やっぱりちゃんと面白いところに立っている人が、ちゃんと「僕は売れたい」っていうことを変な意味でもなく、ちゃんと言えている状況。僕、これは本当にすげー素晴らしいなと思って。

(SKY-HI)うん。なんか、なんでしょうね。それはね、言わないと……俺の場合は特に言わないと誤解されやすいっていうのはあるかもしれないです。それこそAAAっていうのがあって、SKY-HIっていうのをやってってなると、ともすれば趣味的な。自分の好きなものを追求するためだけにやっていて、広がることとか、セールスとかも含めて意識しないっていう。その趣味的なかっこよさっていうのも1個、あると思うんですよ。

(TJO)うん。

(SKY-HI)もともと、それこそアートなんて趣味の先にあったようなものの気もするから。だけど、そうじゃなくて。本当に素晴らしい物を作る力量とかに自信があるし、作品にその、「どこまで届いていいですよと思えるクオリティーです」っていう自負があるから。だから、「売れたい、届けたい、広がりたい」って絶対に言い続けるし。そう思わないとね、逆に失礼だなと思ったんですよ。それは自分自身にも失礼だし……

(TJO)届ける相手にもっていうことね。

(SKY-HI)そう。俺の音楽をいいと思ってくれている人にとっても失礼だと思うから。俺は言い続けるし、その価値があると胸を張って言い続けようと思っています。

(TJO)ああ、でもすげーわかります。ブログでこの間ね、書いていた文章を僕、ちょっと見て……

(SKY-HI)たくさん読んでるなー(笑)。

(TJO)全然、全然(笑)。でも、面白い文を書いているんですよ。だから読んじゃうんですよ。

(SKY-HI)あ、うれしいな。

(TJO)で、1個前の質問で言っていた「人が好き」っていうこととか、みんなに届けて……っていうことも含めて、実際に買ってくれたリスナーさん、地方に行って人に会う、みんなの顔を見るのが本当に楽しみって言ってたじゃないですか。俺、あれがすごいよくわかるのが、僕自身もDJでいろんな地方を回るんですけど、たとえば初めて行った県で来てくれたお客さんたちがいると、その次からその県のイメージがわくとか。

(SKY-HI)ああ、わかる! そうそう。

(TJO)その場所のみんなの顔が見えるというか。

(SKY-HI)そうなんですよ。それをやると、曲を書く時に、曲の向こう側の景色が見えやすくなる。それはすげーある。だからすごく大切に思っているし、それこそ自分の音楽にラベルをつけるのは最後でいいっていう話をしたと思うんですけど、その意識はね、さらに強くなるかな。キャリアのスタートの時って、ラベルに向かって作っていると思うんですよね。「ヒップホップの中で認められたい」とか、「いまいちばんイケてるベース・ミュージックを作りたい」とか。なんでもあると思うんだけど。なんか、ジャンルに向かって音楽を作ることってあると思うんですけど。それが、別に悪いって言ってるってことじゃなくて、それがより、人になったりとか。

(TJO)ああ、わかる!

(SKY-HI)村になったりとか、国になったりとか……(笑)。それが、最終的に地球になっていくわけでしょ? に、向かって音楽を作っていったらマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)になれるのかもしれない(笑)。

(TJO)(笑)

(SKY-HI)そしたら『Human Nature』が生まれるのかもしれない。なんか……そしたらジョン・レノン(John Lennon)になれるのかもしれない。でも、たぶん俺はもうちょっとタイニーな規模にはなっちゃうんだけど。いろんな地方に行って、実際に自分の音楽を買ってくれている人とか、ツアーに足を運んでくれている人とかの顔を見ることで、その先の景色を俺も見させてもらっているから。それに値するものを作り続けようっていう意識は常に出てきますよね。

(TJO)素晴らしいですね。でも、さっき地球規模まで自然に話が流れたからこそ、「俺は売れたい」っていう言葉がすごくポジティブにとらえられるんだなって、俺いますごく納得しました。

(SKY-HI)あら、うれしいです(笑)。

(TJO)じゃあ今回のリリースされたばかりの新曲『クロノグラフ』。これはどんなメッセージを込めて作ったんですか?

『クロノグラフ』のメッセージ

(SKY-HI)さっきの、まさに「別れを愛する曲」っていうのがテーマに掲げて作ってたんですけど。前に出したアルバムの『カタルシス』っていうのが「死すを語る」のダブルミーニングでもあったから。生きる死ぬが多くなって。でね、アルバムの最後に「生きてるって何? そして死ってものは何?」っていうラインで曲を書いていったんですけど。死に関してはね、「ああ、これは死んでみるまでわかんないな」って思って(笑)。

(TJO)まあ、そうですよね。

(SKY-HI)「ああ、俺、死んだことないんだな」って実感して。同時に、「生きているっていうのはいま生きてるんだから、なにか言えることはあるだろう」って思って、いっぱい生まれたんだけど。話していくと、また長くなっちゃうから1個だけ。『クロノグラフ』につながったのは、「よく生きる」っていうことはちょっとわかったなと思って。

(TJO)「よく」っていうのは、「グッド」?

(SKY-HI)「グッドに生きる」っていうのはわかったなと。それが、さっき話したことにこれもちょうどつながるんですけど。自分のことも、自分に接してくれた周りの人のことも、その人と過ごした過去のことも、これから来る未来のことも、もし全部愛してあげられていたら、明日死んだっていうときに、「ああ、これはいい人生だったな」って言えるなと思ったから。その中で別れっていうのは、点としては結構大きなところだと思うんですね。過去と未来で言ったら、そこまでは対象の人とか物がいて。その別れっていう点を越えたらいなくなっちゃうわけじゃないですか。

(TJO)そうですね。

(SKY-HI)で、その未来がやっぱり見えづらくなっちゃうんですよ。対象がデカければデカいほど。だけど、そこも自分は1人で歩いて行くんだとしたら、そこを愛してあげないことには、よく歩けないじゃないですか。しっかり歩けない。だし、一緒にいた時間が、ちゃんと愛してあげられたものだったって言うためには、その別れのポイントまで、最後の瞬間まで愛してあげてナンボかなと思ったから。

(TJO)そうですね。たしかにね。そこも含めてですもんね。で、日高さん。なんか今後の活動目標とか夢って……具体的に聞きたいのは、夢を叶えるためにしていること。具体的なスケジュールまで出していきましょうよ、ちょっと(笑)。

(SKY-HI)いやー、いろいろあります。ええとね、でも本当、よく言ってるのは、さっき地球規模の話が出たけど。ほら、「世界中の人があなたの音楽を聞きました」っていう証明書をもしもらえたら、達成感があると思う(笑)。

(TJO)そうですね。それはね。

(SKY-HI)でも、それは存在しないじゃないですか。だから、そこまでずっと本当に広がるとか届けるをあきらめないでやり続けるっていうことなんだろうなって。それはただ単にワールドワイドに広がるものをっていうことだけじゃなくて。実際にいま応援してくれている人とか、実家の隣の家に住んでいるおばあちゃんとかもちゃんと見た上で。すげー発展したインターネットの最先端のところもそうだし、本当に最近水道が走りましたみたいなどっかの村でもそうだし。ちゃんと意識して届けたいし、広げたいから。

(TJO)うんうん。

(SKY-HI)でも、それはこうやって言うと、俺の善人サイドが出そうになるんだけど(笑)。でも、決してそれだけじゃなくて、きっと本当に貪欲でしたたかに、興行としてもちゃんと規模を大きくしていくとか、俺を信じてついて来てくれているバンドとかダンサーのみんながちゃんとチームとして大きくなっていって……っていう状態を作りたいから。やっぱりでもそれは、ツアーの規模で表していきたいかな。当面は。

(TJO)なるほど。まあ、わかりやすいですよね。だから数字とか、お金とか、ネット世界のバズとかもそうだし。でも、やっぱり根本的に隣の人が日高くんの曲を「聞きましたよ」って言ってくれるような実感とか、全部込みで作り上げたいっていうことですね?

(SKY-HI)そうですね。俺にとってはね、いい意味で本当に等しくうれしくて。すげートップDJが俺の曲をかけてくれるのもうれしいし、甥っ子が「最近、この曲を聞かないと寝ない」みたいなのを姉ちゃんから聞くのもうれしいし。そこに優劣を付けたくないじゃないですか。やっぱり。それは、ちゃんと真摯にやっていこうと(笑)。

(TJO)なるほどね(笑)。

(SKY-HI)でもね、スケジュール感で言うと、ツアーをどんどんとやっていきたいし、デカくしていきたいからこそ、次はね、キャパシティー的に1回落としたいと思って。

(TJO)なるほど。

(SKY-HI)ホールツアーがすごく調子が良かったんですよ。今年の頭に回った。で、これはずーっとやっていけるっていう自信を持ったからこそ、1回ね……このままやり続けちゃうと、ホールツアー7公演だったから、行けてないところ、塗れてない状態になっちゃうから。お城がいびつな形になっちゃう。石垣をちゃんと積まなきゃと思って。19ヶ所、20公演。全国の色んな所のライブハウスをもう1回まわって。音楽を届けに行きます。俺は、札幌なんかツアーで1回も行ってないんですけど。俺はちゃんと君たちのこともちゃんと感じてますよっていうのを曲を届けることで証明するのに20公演、19ヶ所。で、対バンとかもやりたいなと思って。

(TJO)ああ、いいですね。

(SKY-HI)それはね、本当ジャンルレスに。ロックバンドかもしれないし、ひょっとしたらDJの公演があってもいいですよね。1時間、DJセットと対バン(笑)。

(TJO)(笑)

(SKY-HI)でも本当、いろんな音楽を作っているいろんな人たち。できたら、その地方地方の人たちとぶつかり合って、ラウンドを繰り返していって。ラウンド1からラウンド20までやって、そして、その先の音楽人生にもう1回、つなげようかなと思っております。

(TJO)なるほど。素晴らしい。楽しみですね、それ。

(SKY-HI)楽しみにしてください!

(TJO)で、最後にですね、もうひとつ、聞きたい質問が。アルマーニがグローバルに、エンポリオ・アルマーニ・サウンズという取り組みをしていて。すごく音楽に密接なブランドなんですね。で、そこでファッションと音楽について、日高さんに聞きたいんですね。まず、好きな服装は? そして、いまちょうど着ていただいているアルマーニのジャケット。着た感想をちょっと教えて下さい。

SKY-HIとファッション

(SKY-HI)了解です。好きなのは、あれかも。でも、結局ね……

(TJO)でも日高さん、結構ファッショニスタで有名だから。

(SKY-HI)またまたー! ファッショニスタでファンタジスタで?

(TJO)そうそうそう(笑)。

(SKY-HI)しかも、パッショニスタ(笑)。

(TJO)踏みますね、どんどん(笑)。どうですか、でも、好きな服装は?

(SKY-HI)でもやっぱり、ここだ!っていう時には、ネクタイをしたいですし。ジャケットスタイルがすごく好きです。だけど、外しを入れるのが好きかもしれない。セットアップで足元だけちょっとボリュームあるスニーカーだったり。ボリュームない方が最近は、いまっぽいかな?

(TJO)いまっぽさね(笑)。

(SKY-HI)とか、うん。カットソーだけ緩めで。でもジャケットで……とか。そういうのが好きです。

(TJO)なるほど。どうですか、いまジャケットは?

(SKY-HI)これね、しっかりしてるのに、軽いから(笑)。サラッと着れて、カチッといけるから。そういう外しと勝負が両方込められて、さすが。

(TJO)なるほど。ジャケットとか、スーツとかそうなんですけど。日高さん、それこそまたね、書いていたけど、「形から入るのって大事だよね」って。

(SKY-HI)ああ、大事です。

(TJO)日高さんにとって、ステージ衣装ってなんですか?

(SKY-HI)それはね、たぶんある。具体的には、なんつーんでしょう? わかんないけど、鎧とかになるのかもしれないし。いや、剣とか……でも、あります。向かい合うための、「これで行く!」っていう。

(TJO)自分の音楽性だけじゃなくて、ファッションも込みで事故実現のひとつとしてとらえているっていう感じですね?

(SKY-HI)だと、思います。自然とこう、つながらないですか? だって、たぶんサラリーマンの人が偉い人のところに謝りに行く時はそういうカチッとしたので。で、同僚と飲みに行くんだったら、たぶんネクタイを外したりする。休日のバーベキューっていったらスーツは着ないわけじゃないですか。そういうのが、心の内があらわれると思うんですけど。それはね、大事にしようと思います。

(TJO)なるほど。やっぱりじゃあ、本当に着るものによって、自分の心とか、内面が変わっていくるというのがあります?

(SKY-HI)うん。たしかに両方ある。内側があるから、外側をこうしようっていうのもあれば、こういう気持ちになりたいから、外側でこういうのを着ようっていうのも。両方ありますね。

(TJO)そうなんですね。では、最後にひとつ、質問をさせてください。日高さんはね、パワーインフリューエンサーの1人としてもね、有名ですし……

(SKY-HI)またまたー! 全然そんな……

(TJO)でも、見ていてね、TwitterとかSNSの使い方が本当にね、僕は上手いなって。やっぱりなかなか代弁する機会ってないじゃないですか。なにか作品を出した時に、じゃあインタビューとか、じゃあライブとか、みんなと会った時とかもあるんですけど。SNSなどでファンとのコミュニケーションと、あとファンをひきつけるために心がけていることっていうのはなんですかね?

SNSとの付き合い方

(SKY-HI)あ、2個かな。1個はね、たぶんまずこれがいちばん大事だなと思うんだけど。「嘘をつかない」。

(TJO)ああー!

(SKY-HI)もう絶対、たぶんそう。嘘をつかない。で、2個目が、ひきつけるためにとかインフリューエンサーの話になると「じゃあ、真逆じゃん!」ってなっちゃうかもしれないけど。「フォロワー数を気にしない」。ある意味。とか、「嘘をつかないんだけど、絶対に媚びちゃダメ」。なんか、あるじゃないですか。

(TJO)「いろんな人が見ているからこそ」みたいな。

(SKY-HI)そうそう。「ツイート数がこんぐらい増えちゃうと、フォロワー数が減る」とか、「こういう過激なことを言うとフォロワー数が減る」とか。逆に、すげーライトなポップな、「○○を食べた」とか。なんつーの? これ、本当にディスじゃないよ。でも、「セルフィーして『イエーイ!』みたいなのをやったらフォロワーが増えるんじゃないか」とか。そういうのに絶対に逃げないというか。時には、もう覚悟を決めて。腹を決めて。これは2万人くらいフォロワーが減るかもしれないけど、ここは突っ張ろうとか。そう。嘘をつかないっていうのはたぶん人に対してもそうだけど、自分に対してもきっと嘘をついちゃダメで。

(TJO)なるほどね。

(SKY-HI)で、やっているから、たぶんいいんじゃないですか? みんな、そうやったらもっと平和ですよね?

(TJO)たしかに。それはそうですよ。たしかにね。

(SKY-HI)うん。たぶん俺ね、汚い言葉ばっかり書いている人もね、あれ自分にちょっと嘘をついている気がするんですよ。

(TJO)ああ、なるほど、なるほど。

(SKY-HI)ちょっと乗せてる。そのテンションを。

(TJO)人格を変える、みたいな。

(SKY-HI)な、気がする。元からそういう人だったら、ごめんなさい(笑)。

(TJO)いやいや。なんか、そう考えるとね、人が好きだったり、嘘をつかない。シンプルに行こう。でも、自分の進むべき道をちゃんと見ているっていうところで、僕はだから日高さん、すげーなっていうのはあります。

(SKY-HI)本当ですか? あんなにキレイな妹さんがいるのに?

(TJO)いやいやいや(笑)。そんなことないですよ、全然(笑)。

(SKY-HI)(笑)

(TJO)本当ね、いろんなお話を聞かせてもらったんですけども。新曲の『クロノグラフ』をリリースされたのと、あとはツアーですね。まんべんなく。みんなに会いに行くツアー。

(SKY-HI)そう。だから『Round A Ground』っていうタイトルにしました。回っていくぞ!っていう。

(TJO)ああ、いいですね。

(SKY-HI)あとは、ラウンド1、ラウンド2みたいな。対バンをして回っていくから『Round A Ground』っていう。

(TJO)ああ、いいタイトルですね、それは。

(SKY-HI)でしょう? イエーイ!(笑)。

(TJO)じゃあ日高さん、すいません。短い時間だったんですけど。ありがとうございます。結構、話し足りないですね。

(SKY-HI)いやー、俺もね、楽しくなっちゃいました。ありがとうございます。

(TJO)なのでまたぜひ、いろいろお話を聞かせてもらえればなと思うんですけど。
今日はとりあえずここまでということで。

(SKY-HI)ありがとうございます。

(TJO)はい。お届けしました。今夜のゲストはSKY-HI日高さんでした。ありがとうございました。

(SKY-HI)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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