ディーン・フジオカさんがblock.fm『Smooth Navigation with EMPORIO ARMANI』に出演。タケル・ジョン・オトグロ(TJO)さんとご自身がチョイスした曲について話す中で、ディアンジェロやMFドゥームについて言及していました。
(TJO)いまですね、後ろで聞いてもらっているのが今回、ディーンさんに選曲してもらった楽曲なんですけど。今回ね、番組の始まる前にディーンさんが選んだ曲のリストが僕に送られてきて。で、本当にすごいな!って思って。
(ディーン・フジオカ)おおー!
(TJO)あのね、たぶんblock.fm史上、こんなにコアな選曲をしているのはたぶんベスト3に入るぐらいじゃないか?って。
(ディーン・フジオカ)本当ですか? あら! うれしいことを言っていただきました。
(TJO)で、僕、ディーンさんがもちろん音楽活動をされていることも知っていましたし。いろいろとチェックはさせてもらっていたんですけど。「うわっ、この選曲で来るか!」みたいな。だからもしかしたら、今日ちょっとバーで会話しているようなノリになっちゃうかもしれないんですけどもね(笑)。でもちょっとね、ゆっくり、どういう風にしてこの選曲になったのかとか。あとは、ディーンさんのその音楽的なバックボーンについて、ゆっくり聞けたらなと思います。
(ディーン・フジオカ)ぜひぜひ。お願いします。
(TJO)じゃあ、まずさっそくですね、今回選んでもらった楽曲が7曲。とにかく、僕、今回の自分のDJミックス。さっきのコーナーでやらせてもらったんですけど、確実にディーンさんの選曲に刺激を受けましたね。
(ディーン・フジオカ)おおー! 聞きました、みなさん?(笑)。
(TJO)(笑)
(ディーン・フジオカ)うれしいなー!
(TJO)そうですね。本当に、久々に刺激的な選曲をしてくれる人が来た、みたいな。
(ディーン・フジオカ)うれしいですね。本当に。
(TJO)なんですよ。で、ちょっと曲についてゆっくり話ができればなと思うんですけども。今回は、ディーンさんがいままで、そしていまも住んだことのある6ヶ国に関わる、イメージする音楽っていうところで。たとえばですけど、アメリカ。留学されてましたよね?
(ディーン・フジオカ)はい。していました。
(TJO)ですよね。僕、聞いたところによると、ロックが大好きで。ニルヴァーナ(Nirvana)とか、ジミ・ヘン(Jimi Hendrix)とか。
(ディーン・フジオカ)まあシアトルだったんで。そこはやっぱりキーになってましたね。
(TJO)それはあれですか? シアトルを選んだ理由は、ロックが好きだったからシアトルに行こうみたいな?
(ディーン・フジオカ)いや、ちょっとこれは恥ずかしいんですけど。学校のリストの本とか、あるじゃないですか。バーッて、ペラペラペラッてめくって。指差したら、タコマにある学校だったんですよ。で、「シアトル近郊」って書いてあって。当時僕、アメリカの地理、あんまりよくわかんなかったから(笑)。
(TJO)なるほど、なるほど(笑)。
(ディーン・フジオカ)「近郊」の意味を、日本的な縮尺で考えちゃったんですよね。したら、もうやっぱり北米、デカいじゃないですか。やっぱり。
(TJO)規模が違いますね(笑)。
(ディーン・フジオカ)シータック空港を出て、シアトルは右。タコマは左、みたいな。右に曲がるもんだと思っていたら、左に曲がっちゃって(笑)。
(TJO)じゃあ実際、どれぐらい離れているんですか?
(ディーン・フジオカ)ええと、車で1時間半、2時間ぐらいは……
(TJO)あ、まあでも、結構離れてますね(笑)。
(ディーン・フジオカ)結構離れてましたね。だからもう、最初にシアトルに行くまで、タコマでだいぶ刺激的な日々を送ったんですけど。そういう感じでシアトルとの出会いがあったんですね。まあ、その後にシアトルに引越して。
(TJO)ああ、引越して。なるほど。
(ディーン・フジオカ)決してニルヴァーナがいたからとか、パール・ジャム(Pearl Jam)がとか、ジミ・ヘンがっていうことではなかったんですけど。あと付けで、このシアトル近郊のこの学校が良さそうだな、みたいな。で、そういう好きなバンドもシアトルだし。なんかこう、あと付けでいろいろ、いいじゃん!みたいな感じで行ってみたっていうのが正しいですね。実は。
(TJO)なるほど。そういう感じだったんですね(笑)。今回、そのアメリカをテーマに選んでもらった曲が、まずディアンジェロ(D’angelo)の『Untitled』。
D’Angelo『Untitled』
(ディーン・フジオカ)これ、僕、ディアンジェロの『Voodoo』。アルバム1枚で押したかったんですけど。まあ、1曲でっていうことだったんで。泣く泣くというか……
(TJO)いや、わかります。アルバム1枚丸々勧めてもいいぐらいの。
(ディーン・フジオカ)もう、あのアルバム最高ですよね。頭からお尻まで。
(TJO)そうですよね。もう全部聞いてもらって、やっとわかってくださいみたいな。そんな感じですもんね。本当に。
(ディーン・フジオカ)だから自分のシアトルの日々。毎朝学校に、起きて、まず『Voodoo』をかけるみたいな(笑)。
(TJO)そこからスタートなんですね(笑)。
(ディーン・フジオカ)「外、雨降ってんなー」みたいな(笑)。
(TJO)(笑)。じゃあ、実際にアメリカに住まわれていた時に、本当にもうヘビープレイしていたというか?
(ディーン・フジオカ)もう自分の中ではなんか、いちばんコスッたっていうか。聞いた曲、アルバムですね。『Voodoo』は。はい。
(TJO)なるほど。まあでも、この曲は本当にイントロからね、すっごいヤバいですよね。
(ディーン・フジオカ)すごいですよね。ミュージックビデオもヤバかったですよね。
(TJO)音楽的なバックボーンで言うと、いわゆるこういったR&Bとかブラックミュージックっていうのはすごく大きい?
(ディーン・フジオカ)ええとですね、僕、最初にタコマに行った時、それまでは結構ギターメインの音楽ばっかだったんですよ。
(TJO)そうですよね。バンド活動もされていたと。
(ディーン・フジオカ)で、たまたま行った学校がジャズが盛んなところで。ジャズ専用のラジオステーションとかもやっていたような。で、ジャズを、メタルの速弾きの延長でジャズを始めて。そこがもう、ブラックミュージックの……そこからどっぷりハマッちゃったっていうんですか? だから、ジャズを通してヒップホップにも入ったし。でも、西海岸にやっぱり住んでいるとヒップホップは若者は避けて通れないじゃないですか。
(TJO)間違いないですね。
(ディーン・フジオカ)もう生活の中にヒップホップがかならずあるから。で、ラップを聞くようになって。でも、よりトラックがジャジーなのが好きだったり。あとはもう、トリップ・ホップっていうんですかね? 当時、ニンジャ・チューン(Ninja tune)だったり、モ・ワックス(Mo’ Wax)的なのが西海岸だけでなく、流行っていたと思うんで。自分が、やっぱりそのいろんなジャンルを聞くようになったきっかけっていうのがジャズだったんですね。で、そこから、ディアンジェロは何で聞くようになったのかちょっと思い出せないんですけど。
(TJO)世代的には僕、79年生まれなので。たぶん同世代だと思うんですけど。アメリカに行かれてから、聞いたってことですか?
(ディーン・フジオカ)ディアンジェロはアメリカに着いてすぐっていう感じでしたね。それで、『Voodoo』を聞くようになって。
(TJO)それは、あれですか? タコマのCDショップに置いてあったから買っちゃったっていう?
(ディーン・フジオカ)たぶん、そういう感じだと思いますね。まあ、周りで音楽が好きな人、たくさんいて。ジャズバンドのメンバーでもあったので。で、周りでたぶんCDを、「これいいよ」とか言い合っている中で。たぶん、そんな中で聞いて、もう目が覚める思いっていうんですかね。もうオープニングの、「なんて音を出してるんだろう、これ」みたいな(笑)。
(TJO)(笑)
(ディーン・フジオカ)ねえ。すごいですよね。
(TJO)で、そういったいわゆるヒップホップとか、あとは現地の音楽に触れながら。で、もう1曲選んでもらった曲が、まさにさっきおっしゃっていた、イギリスのレーベル、ニンジャ・チューンの、そうなんですけど。デイダラス(Daedalus)という。
(ディーン・フジオカ)そうですね。
(TJO)この『Impending doom』という曲なんですけど。デイダラスも好き?
MF Doom & Daedelus『Impending Doom』
(ディーン・フジオカ)そうですね。これ、ラップがフィーチャーされている曲ですよね。
(TJO)そうですね。MFドゥーム(MF Doom)が。
(ディーン・フジオカ)やっぱりMFドゥームがシアトルにいた時にすごい自分の中で、彼の人生のストーリーも含めて、すごく無視できない存在だったんですね。だから、まあいろんな、もちろんルーツをたどっていくと、東海岸のナズ(Nas)みたいなラッパーとかがいて。で、その前にはエリック・B&ラキム(Eric B & Rakim)みたいな。まあ『Juice』のあれを見て、『Juice (Know The Ledge)』みたいなのを聞いて、「ああ、ヒップホップ、ラップって超かっこいい!」みたいなのはあって。
(TJO)ああー。
(ディーン・フジオカ)その流れと、なんかそのMFドゥームってネクストレベル。あの時のゲームチェンジャーっていうか。なんかそれで好きだったんですよ。フロウとか言っていることが。で、たぶんそっち入りで聞いたんですよ。
(TJO)なるほど、なるほど。
(ディーン・フジオカ)で、やっぱりこう、『Impending doom』の曲の世界って人種で分けるとおかしいかもしれないけど、すごくヨーロピアンな部分、ありますよね? ブラックミュージックなだけじゃなくて。で、もちろん電子音楽の最先端みたいな当時の技術も取り入れられていたと思うし。衝撃的だったんですよ、この曲が。
(TJO)ああー。あの、ディーンさんはまさにラップもやられるじゃないですか。
(ディーン・フジオカ)まあ、遊びですけどね(笑)。
(TJO)(笑)
(ディーン・フジオカ)「やっている」って言ったら本当もうお恥ずかしいレベルなんですけども。
(TJO)香港でしたっけ? モデルとしてスタートされた時の、スカウトした人との出会いの場が、まさにその、バンドに参加してラップをやっている時に……って聞いて。
(ディーン・フジオカ)そうですね。
(TJO)その時は、あれですか? バンドのメンバーとしてやられていたんですか?
(ディーン・フジオカ)いや、違います。オープンマイクのイベントだったんですよ。その日。
(TJO)あ、飛び入りセッションですね。
(ディーン・フジオカ)で、もうステージとかじゃなくて。フロアにターンテーブルがあって。スピーカー、簡単なシステムがあって。で、客とパフォーマーの差がないレベルで。サックスを吹いている人がいたり、ラップをしている人もいたりとか。
(TJO)ドラム叩ける人が入ったりとか。
(ディーン・フジオカ)そうですね。まあ、その時はドラム……パーカッションはいたんですけど。基本はDJが回していて。
(TJO)それに合わせてっていう。
<書き起こしおわり>