ジェーン・スーが驚いた!北方謙三 試みの地平線の超絶お悩み回答

宇多丸とジェーン・スー 北方謙三『試みの地平線』相談回答を語る ジェーン・スー 相談は踊る

TBSラジオ『ジェーン・スー相談は踊る』のお悩み時空パトロールコーナーで今回は作家 北方謙三さんの悩み相談を取り上げ、その超絶的な回答に大いに驚いていました。

試みの地平線 伝説復活編 (講談社文庫)

お悩み時空パトロール 北方謙三 試みの地平線

(高橋芳朗)お悩み時空パトロール、それは古い新聞の人生相談コーナーや海外で見つけた悩み相談に勝手に首を突っ込んでは回答してまわる超おせっかいな相談時空警察である。

(ジェーン・スー)古今東西、相談求めて今夜も時空をパトロール!

(高橋芳朗)それでは、今夜はこちらにタイムスリップ。雑誌ホットドッグプレスにて連載。小説家 北方謙三の青春人生相談 試みの地平線より、高校3年生男子からの相談です。

(ジェーン・スー)(相談を読む)『私の悩みは口臭と体臭がとても酷いことです。それに気づいたのは中学3年の2学期です。クラスメイトに「臭いからあっちに行け!」と大声で言われました。すごくショックを受けました。それから毎日、歯肉が擦れるほど歯を磨いたり、痛くなるほど脇を拭いたりしているのですが、高3のいまになっても一向に匂いは取れません。先日もたった1人の親しい友人にコンパに誘われたけれど、女子高生たちに「臭い!」と言われ、差別を受けました。最近は落ち込みも酷く、そのせいか胃が痛くなったり、大地が斜めに見えたり、髪の毛が薄くなったりしています。おまけに真性包茎で、自分の人間性に欠ける知恵のなさや、弱い人間であることなどを悩んでいます。どうか先生の意見をお聞かせください。お願いします』。

(高橋芳朗)試みの地平線、来ましたね。

(ジェーン・スー)これはあれですかね?やっぱり、『ソープへ行け』で終わるんですかね?

(高橋芳朗)そうですかね(笑)。

(ジェーン・スー)まあまあまあ、わからない方もいらっしゃると思うんで、説明をしましょう。北方謙三さんとは、1947年生まれの現在66才。言わずと知れたハードボイルド作家です。ハードボイルド小説以外に、三国志や水滸伝などの歴史小説でも知られています。試みの地平線とは、講談社発行のホットドッグプレスに1986年から2002年まで連載されていました。1979年に創刊されたのがホットドッグプレス。わかんない人もいるかもしれないですけど、マガジンハウスのPOPEYEに対抗する形で、若者のデートマニュアルとして一時代を築いたんですけども、2004年の12月で休刊と。いまね、スマホ向けマガジンとして復活してると。

(高橋芳朗)あ、復活してるんですね。

(ジェーン・スー)さあ、体が臭いということで悩んでいる高校3年生。でも3年ぐらい悩んでるんですけど。この方に、高橋謙三さんならなんて答えるんですか?

(高橋芳朗)高橋謙三・・・ソープへ行け!(笑)。

(ジェーン・スー)またー・・・言わないでしょ。

「ソープへ行け」

(高橋芳朗)なんすかね?まあ、たしか僕が前、相談に出させてもらった時に、スーさんがオープニングでね、なんか匂いの話をしてましたね。

(ジェーン・スー)気になるんだよねー。自分が臭いかどうかわかんないっていう話だったんだけど。この人は『臭い』って認定されちゃってるんだよね。

(高橋芳朗)言われてるって、相当キツいよね。しかも中学3年生とかさ、いちばん・・・

(ジェーン・スー)センシティブな時期ですよ。落ち込んじゃうよねー。どうですか?自分の匂いっていうのは気になりますか?

(高橋芳朗)すっごい気にしますね。僕。

(ジェーン・スー)加齢臭とかは?

(高橋芳朗)気にします。

(ジェーン・スー)気になる齢ですね。私たち。どうしてます?

(高橋芳朗)いや、まあとにかく風呂には入念に入って。入念に洗うべきところは擦りまくって。あと、結構出かける時にね、ちょっと香水つけたりしますよ。僕。

(ジェーン・スー)なんか耳の裏を1-2分、熱いお湯で洗うと・・・ね。あの、ナノネイルだかネノナールだかはなくなるって言うじゃないですか。

(高橋芳朗)加齢臭の発生先は耳の裏ってよく言いますよね。

(ジェーン・スー)これさ、臭さがいろんなところにあってさ、脇の下だけじゃなくて、口が臭いとかもあるじゃん。胃が悪い。で、この人かわいそうだなって思うのは、歯肉が腫れるほど歯を磨いても、たぶん口臭はね、消えないんだよ。胃の匂いとかだから。あと、脇の下とかも1回拭いただけじゃダメじゃん。汗が出てきたりするからさ。

(高橋芳朗)特に夏とかはね。そうね。

(ジェーン・スー)で、最後が惜しいですよね。散々匂いの話をしておきながら、匂いにも関係あるのかもしれないですけど、『真性包茎です』って。で、『自分の人間性に欠ける知恵のなさや、弱い人間であることなどを悩んでいます』。

(高橋芳朗)うん。たぶん最初は書くつもりなかったんだけどね、相談書いているうちにね、盛り上がっちゃって。真性包茎も書いちゃったんだと思いますけどね。

(ジェーン・スー)『自分の人間性に欠ける知恵のなさや、弱い人間であること』。これと匂いは本当は関係ないからね。でも、『大地が斜めに見える』ってヤバいよ。よっぽど悩んでますよ、これ。

(高橋芳朗)ああ、でもね、中学生とかでこれを言われたら、たしかに大地も斜めに見えるかもな。

(ジェーン・スー)高校3年生ですけど、いま。どうしますか?先生。

(高橋芳朗)もうとにかく僕とか、でもあれですよ。やっぱりデートする時とかは、香水もさっき言ったけど、やっぱり胃の中とかも気になっちゃって。そういう薬、飲みますもん。

(ジェーン・スー)どういう?胃洗浄とかするの?

(高橋芳朗)売ってるんですよ。たとえば焼肉とか食べた後にさ、ブレスケア的なやつ、あるじゃん。あれとか結構ね、3-4錠バーッ!って口に突っ込んだりしますね。

(ジェーン・スー)でもラジオとかこうやってやっていると、目の前に座っている人の匂いとか・・・どうしよう?私のすごい口臭がいま、ヨシくんに届いていたら・・・とか。

(高橋芳朗)いや、考えちゃうね。

(ジェーン・スー)考えるよね。でも、これいま悩んでいる人も絶対いるわけですよ。で、男性の方の匂いはたぶん、こまめに拭くといいと思うから。薬局とかドラッグストアで売っているペーパーあるじゃないですか。アルコールとなにか、スッと爽やかになるやつ。拭くと。あのね、いろんなものを上からつけるよりも、あれでこまめに首の後ろとか脇の下とか拭いたほうがいいと思う。あと、朝風呂に入るとかね。

(高橋芳朗)たしかに匂いに匂い重ねると、余計ひどい自体になりかねないか。

(ジェーン・スー)薄い匂いだったらいいんだけどね。だからそしたら薄い匂いのなにかをつけるとかは有りだけど。男で香水つける齢じゃないし、っていうんだったら、やっぱり2時間おきぐらいにちょっと首の後ろとかを拭いてみるとか・・・

(高橋芳朗)ウェットティッシュ的なやつをね。

(ジェーン・スー)そう。スッとするやつ、あるじゃん。アイス○○みたいなやつとか。だけどさ、ちょっと待って。私たち、いかにダメだっていうの、よくわかった。北方謙三先生はそんなこと絶対に言わない!

(高橋芳朗)『ウェットティッシュ持ち歩け』なんて絶対に言わない。

(ジェーン・スー)絶対に言わない。

(高橋芳朗)じゃあ、いきますか?この相談に対する北方謙三さんの回答をご紹介いたします。『越前に永平寺という禅寺がある。そこに行って、3年間修行して来い。肉も魚も食えない。もちろん女もいない。毎朝3時に起きて拭き掃除。あとはひたすら座禅を組み、あらゆる煩悩から脱却し、悟りを開く。そこで3年修行すれば、口臭や体臭なんて絶対気にならなくなる。それが嫌なら、もう少し図太くなって考えろ。たとえば、ニンニクを毎日食う。それで「ニンニク臭い」と言われても、当たり前だ。「俺のこのパワーの源はニンニクだ!」と言えるぐらいの、そんな図太さがあれば悩みは自然に消える。とりあえず、ソープに行ってみろ。』

(ジェーン・スー)キターッ!(笑)

(高橋芳朗)『ソープ嬢に「臭え」と言われたら、「これが俺の匂いだ!」と言ってやれ。そういう言い方に慣れることがお前にはまず必要だ。そして彼女ができたら、同じ言葉を言ってやれ。悩みというのは、開き直って図太くなったヤツの方が勝ちだ。「臭い男の人生を見せてやる」というぐらいに開き直って、腰をドカンと据えていれば、匂いだって存在感になってくるものさ』。

(ジェーン・スー)ハードボイルドだねー!

(高橋芳朗)失礼いたしました、北方さん!本当に。

(ジェーン・スー)失礼いたしました。本当、ハードボイルド。

「前に永平寺という禅寺がある」からスタート

(高橋芳朗)これこそがハードボイルドですよね。『越前に・・・』から始まりますからね(笑)。

(ジェーン・スー)この、臭くてどうしよう?っていう人に対して、『越前に・・・』から答えるの、できないよ。他の人じゃ。

(高橋芳朗)行くかもね、これ(笑)。

(ジェーン・スー)でもね、結構理にかなってんのよ。修行して、肉と魚が食べられないと体臭が変わるっていうじゃないですか。だってこれ、ベジタリアンになれっていうことでしょ?

(高橋芳朗)むちゃくちゃ言っているようで・・・

(ジェーン・スー)むちゃくちゃ言っているようで、すごく正しいんですよ。で、体質改善をして、女性もいないから気に病まなくもなり、それでダメならばニンニクを食べることで、自分の匂いじゃなくてニンニクの匂いだって開き直れと。意外と理にかなったとこを言っている。

(高橋芳朗)でも、『とりあえずソープに行ってみろ』って。やっぱり言うんですね。どんな相談でもね。

(ジェーン・スー)ソープ嬢に『臭え』って言われたらって、言われる?

(高橋芳朗)どうですかね?さすがにそれはソープ嬢的にはNGワードだと思うけど。

(ジェーン・スー)客商売だから言わないよね?入念に洗われるだけだよね?

(高橋芳朗)でも、ソープ嬢に『臭え』って言われて、『これが俺の匂いだ!』ってちょっと言ってみたい気もしますね。

(ジェーン・スー)ちょっとマンガっぽいですよ。ゴラクマンガみたいな。

(高橋芳朗)熱いですよね。ほとばしりますね。

(ジェーン・スー)『腰をドカンと据えていれば、匂いだって存在感になってくる』。

(高橋芳朗)(笑)。でも、ちょっと力ずくで、『はい!たしかにおっしゃる通りかもしれません!』みたいな。

(ジェーン・スー)やっぱりね、20年近く続いただけのことはありますよ。15・6年続いただけあって。『悩みというのは、開き直って図太くなったヤツの方が勝ちだ』と。非常にいいことをおっしゃってるんで。私は本当、見習わなくてはならないなと思いました。

(高橋芳朗)ウェットティッシュとかじゃねえ!ってことですね、これは(笑)。

(ジェーン・スー)こまめに拭いて・・・とかじゃないよ。『越前に、永平寺という寺がある』。これ。ちょっと次の質問、これで行こう。次の相談。ちょっと次の相談の人には犠牲者になってもらって。越前クラスの回答を出そうよ。二人で。

(高橋芳朗)(笑)。がんばりましょうか。

(ジェーン・スー)がんばりましょう。いやー、もうね、脱帽とはこのことです。

(高橋芳朗)いや、すごい。ちょっと他のも見てみたいね。謙三先生。はい。恐れ入りました。

(ジェーン・スー)恐れ入りました。

(高橋芳朗)以上、相談エンターテイメント お悩み時空パトロールのコーナーでした。

<書き起こしおわり>

試みの地平線 伝説復活編 (講談社文庫)
Posted with Amakuri
北方 謙三
講談社
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宇多丸とジェーン・スー 北方謙三『試みの地平線』相談回答を語る
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