磯田道史と安住紳一郎 小田原北条氏を語る

磯田道史と安住紳一郎 小田原北条氏を語る 安住紳一郎の日曜天国

歴史学者の磯田道史さんがTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』に出演。安住紳一郎さんと小田原の北条氏について話していました。

北条五代戦記 (晋遊舎ムック・歴史探訪シリーズ)

(安住紳一郎)さて、今回磯田さんには私たち、ちょうど11月29日に小田原から放送するので、小田原の話を少し聞きたいなと思いまして。今日は小田原の英雄、北条家の話をうかがいたいと思います。

(磯田道史)はい。

(安住紳一郎)まずは一気にご紹介します。小田原の英雄北条家の話。その1、北条家衰退のきっかけは、みかんだった。その2、謎多き北条 風魔忍者。その3、北条氏大河ドラマの可能性。以上のみっつです。さて、小田原と言うと・・・

(磯田道史)北条家ね。

(安住紳一郎)そうですね。いわゆる鎌倉の北条政子さんたちのやつを『鎌倉北条』と言って。小田原で一代を築いた北条を『後北条』とか『小田原北条』と言ったりするんですが。

(磯田道史)そうですね。この小田原北条の話をしたいと思うんですけど。私、最近・・・まあ、前から知っている人は知っていた話なんですけど、北条家が滅んじゃったから小田原はいま、大きな街ではいま、あるんですけど。関東の中心地ではないわけですね。今日。

(安住紳一郎)はい。

北条家衰退のきっかけは、みかんだった

(磯田道史)だけど、あそこはもう本当、長い間、五代に渡って関東の中心地だったわけで。で、なんでこの家、衰退するのか?っていうので面白い逸話を文書の中で見つけて。徳川家康の伝記をしっかり見ていた中で見つけたんですけどね。あの、みかんっていうのは戦国時代もやっぱり食べられていて。発音はいまのみかんじゃなくて、『みつかん』と発音していたようですね。

(安住紳一郎)じゃあ、漢字通りの『密柑』。

(磯田道史)はい。ヨーロッパ人宣教師が作った日葡辞書には『みつかん』と出ているんですよね。で、ただみつかんなんですけども、いまほど甘くはないんですよ。だいだいに近いようなもので。しかし、家康が実はみかんより甘い柑橘類を持っていて。で、どうも北条氏が滅ぶきっかけになったのはですね、このみかんが関係しているということが面白かったですよ。

(安住紳一郎)へー。

(磯田道史)逸話ですけどね。ただの。まず、北条氏ってどういう一族か?っていうと、まあ初代早雲ですよね。で、これ別に素浪人ではなくて、いまで言ったらそうですね。官房長官。室町幕府の官房長官のお家ぐらいなね、そういう実務をやっている偉い、まあ官房秘書官補とか首相秘書官補とか。こんなぐらいの地位の人が関東へ来て。で、あの広い関東平野を制圧して大名になろうとこう考えるわけですよね。

(安住紳一郎)ええ。

(磯田道史)で、五代に渡って関東の南部をほぼ手中に収めた一族なんですけど。あの、これがやっぱり豊臣秀吉によって滅ぼされるんですよね。

(安住紳一郎)そうですよね。関東で北条家って言ったらもう相当な実力者で。豊臣秀吉も、もうここが最後の全国統一の締めくくりみたいな感じで。

(磯田道史)そうです。そうです。で、小田原城って大きいんですよ。本当にあの当時の日本としてはこんなデカい城があるか?というぐらい大きい。周りに総堀、総構っていうのをね、構えていて。で、それでもなぜ滅んだか?っていうと、徳川家康が北条家に娘まで嫁がせていながら、さっさと見限ったからなんですよ。

(安住紳一郎)そうですよね。なんとなく、関東の人間としては豊臣秀吉が関東の方に攻め込んできたら、北条と徳川と、それから館山の里見と。みっつの家で力を合わせてがんばって西に押し返しなさいよ!みたいな。

(磯田道史)そうですよ。そうですよ。あのぐらいが同盟を結んでおればそう簡単には近づけなかったはずなんです。そもそも家康は局地戦では秀吉を破っていて。破った時には家康は背後の北条家としっかりと同盟を結んでいたんですよね。この鉄の同盟が壊れるきっかけっていうのはいろいろあると思うんですけども。まあ、笑い話的逸話ではね、ひとつ出ていたのは、家康が沖縄のみかん。

(安住紳一郎)はい。

(磯田道史)琉球ですね。当時。九年母(くねんぼ)っていうものすごく甘みの高いオレンジを手に入れていて。家康は浜松に当時、いたんですけど。すっごいやっぱり遠くまで手を伸ばして、いろんな物を持っていたんですよ。で、これを外交用にごっそり北条家に送ったと。一箱。そしたら北条家の方ではですね、『なんだ、そんなのうちの辺りでだいだいだって取れるや!』って。むしろね、伊豆だとか暖かい海のところを持っているから。同じ量だけの地元産の柑橘類を詰めて送ってきたと。

(安住紳一郎)あ、家康に返礼としてですか?

(磯田道史)返礼として。

(安住紳一郎)甘いみかんのお礼として、『うちもみかん、名物ですからどうぞ』って?

(磯田道史)『あげます』って。でも、『何を送ってくるんだ?』っていう。それを見て、(北条)氏直の時代なんですかね?あれは。家康はちょっと怒ったんですよ。っていうか、怒ったっていうよりも悲しくなったと。つまり、北条の家老は人材がいない。みかんもらったら、これがどういうものか、しっかり見て食べてみて。これが琉球のものであるっていうことをあの箱根の山の向こうの人間は知らないと。昔からの通りで情報収集っていうものをキチッとしない家で、こんだけ家老に人がいなかったらやっぱりこの人たちと一緒にやっていくっていうのも考えものだなって、こうなったっていうんですよね。

(安住紳一郎)なるほど。家康は当時から全国からいろいろ美味しいものとかを手に入れて。まあ、いまでも美味しい店を知っているサラリーマンがいちばんモテるって言いますけども(笑)。

(磯田道史)そうですね(笑)。

(安住紳一郎)だから要するに、沖縄の甘い琉球みかん。いまで言うと、宮崎のマンゴーみたいなものですよね。きっとね。それで、まあみかん外交みたいなのをやって。『こういう沖縄に甘いみかんがあります』『いや、これは珍しい!ありがとうございます。さすが!』っていう感じなんだけど、北条のお坊ちゃんたちにそれを送ったら『へー?うちのみかんもあるよ』みたいな(笑)。

(磯田道史)要するに地元主義とプライドの高さとアンテナが低いと。『大丈夫かな?』と思い始めたっていうことが書かれてましたね。

(安住紳一郎)なるほど。で、これは北条のお坊ちゃんたちはちょっと世間知らずだから、一緒に関東で手を取り合っても、もうないかな?みたいな。

(磯田道史)そう。だから家康公にしてみたら、ちょっとひどいっちゃひどいんですよ。だって自分が困っている時には、さんざん北条に助けてもらうんだけど。北条がもうやられそうになったら、さっさと秀吉の方についちゃったっていうことでもあるんですよね。これ。

(安住紳一郎)うん。

(磯田道史)だから、誰と一緒に運命をともにするか?っていうところをね、みかんで決めるっていうのもなかなか面白い話だなと思ってね。

(安住紳一郎)ええ。

(中澤有美子)気が抜けませんねー。

(安住紳一郎)でもたしかに、いまでもあれですよね。本当に高価な、探しに探したものを贈って、そのリアクションがちょっと悪いと、『あ、この人は気づかない人なんだ』と思って。もう、ちょっとそういう風に見てしまうところがありますよね。

(磯田道史)そうですよね。なんなんだろう?僕なんかものをもらったら、早いところ電話でもなんでも、着いたら即電話して。もらったものをしっかりたしかめて褒めるっていうか、ありがたいと・・・まあ、思わない時は褒めなくてもいいかもしれませんけども。言わなきゃいけないんだなと思いましたね。これね(笑)。

(安住紳一郎)(笑)。自分のアンテナをたしかめられているっていうことですよね。なので、『あれ?これは東京の店では売ってないものですが、どのように手に入れたんですか?』みたいな。そうですよね?

(磯田道史)あ、そうそうそう。『うれしい!』みたいなね。

(安住紳一郎)『ええー、そうですか。これは貴重なものをどうもありがとうございます』みたいなことなんでしょうかね。はあー・・・

(磯田道史)(笑)

(安住紳一郎)勉強になるねえ。

(中澤有美子)本当ですね。

(安住紳一郎)かと言ってね、適当に全部の時にね、『これはちょっと売ってないですよね?』って言ったら、『いやいや、どこでも売ってるよ』みたいな(笑)。ですよね?むやみやたらと褒めるわけにもいかないですよね?

(磯田道史)そうなんですよ。かえって恥かいても困るからね。

謎多き北条 風魔忍者

(安住紳一郎)さて、磯田道史さんに今日は小田原の話を聞いてますが。小田原の英雄、北条家の話。ふたつ目は、謎多き風魔忍者。

(磯田道史)はい。これね、僕、いま忍者の研究をやっているんですけど。まあ、前からね、伊賀とか甲賀の忍者の話をね、しましたけど。困るのが、小田原城の北条氏の忍者っていうのは有名な風魔っていう忍者がいるわけですよ。箱根の山のね、麓に。『風魔』と書いたあの谷に忍者の一族がいて。非常に強力な忍者集団だったという伝承はあって。北条五代記だとか、こういった江戸時代に作られた書類はあるんですけど。古文書にはあるんだけど。実態がね、なにせわからないんです。

(安住紳一郎)あ、そうですか?かならずなんかあれですよね。ちょっと物語とかゲームとかをやると、あのへんの小田原からかならず、風魔小太郎みたいな忍者が。

(磯田道史)そうそうそう。小太郎、出てくるんですよ。

(安住紳一郎)服部半蔵みたいな感じで。お決まりでございます、みたいな感じで。

(磯田道史)なんかものすごい体格のいい小太郎が出てきてね。巨大な身長の。

(安住紳一郎)白い頭巾みたいなのをかぶって。なんか、『困っているんだったら助けましょう!』みたいな感じで、かならず出てきますよね?

(中澤有美子)(笑)

(磯田道史)だけどなにせ北条氏が滅んでいるから。滅んだ大名家の忍者を探せっていうのはもう無茶ぶりに近いんですよね。で、もう思い余って小田原城に行ってみたら、『忍者の里 風魔祭り』っていうのをやっているんですよ。で、なにか手がかりはあるかな?ってウロウロするんですけど、まあもちろん本物の忍者はいるはずはなくて。焼き鳥とかジュースが売られていて。忍者コスプレの人がいるっていうところで(笑)。

(安住・中澤)(笑)

(磯田道史)どうしようかな?と思いながら、腕組みながら焼き鳥食べて帰ったりとかして。

(安住紳一郎)(笑)。磯田先生はそのお祭りで風魔家のなにか、手がかりがないか?と思って探したんですか?

(磯田道史)探した(笑)。誰か知っている人ぐらいいるんじゃないか?と。いや、会えなかっただけかもしれないですけど。ええ。

(安住紳一郎)滅びた大名家の忍者のそういう手がかりっていうのはやっぱり、ないんですね?

(磯田道史)ないんですよ。で、前にたしか甲賀の忍者のことを調べに行った時、甲賀忍者から電話がかかってきたことがあるんですよ。『磯田さん、小田原へ来てください』『なんですか?』『忍者サミットを小田原で今度やります』って。たぶん3年前くらいでしたよ。えーっ?忍者サミットを風魔忍者とやっていて、現代の伊賀・甲賀の忍者から電話がかかってくるって、何やろ?って思ったんですけど(笑)。

(安住紳一郎)(笑)

(磯田道史)でもちょっと、その日は行けなかったんですけど。そんな忍者サミットをね、仲良く伊賀と甲賀と風魔の忍者が。いま、忍者の子孫とかが集まってやっているから、どうかな?と思ったけど。『はい。私の家は風魔忍者の子孫の家で。古文書もあります』までは僕も聞かされたことはないんですよ。

(安住紳一郎)あ、そうですか。じゃあやっぱり本当にもう、当然やっぱりあれですよね。秘密第一でやっていて、工作員みたいなことですから、当然滅んだところの工作員は本当に跡形がないみたいな。

(磯田道史)ない。ところが跡形、ちょっとあるかな?と思ったのが、それと関連するかどうか知らないですけど、小田原の市立図書館に実は藤田西湖文庫という、これは珍しいですね。公立、市の図書館が持っている忍術文庫。で、藤田西湖さんっていうのはこれは本当、どこまで信じていいのかわからないですけど、旧陸軍とかで武術だとかそういう諜報活動の実技みたいなのを教えたと称する方がいて。

(安住紳一郎)はい。

(磯田道史)で、自分は甲賀流かなんかの忍者の子孫っていうか系統をひいているんだとおっしゃって。事実、たくさんの武術書を残しているんですよ。まあ、忍術関係のものがあるかな?と思って目録を見たり、探し始めたんですけども。どうも、伊賀や甲賀まで忍術そのもののものはそんなに含まれていないんですけども。でもやっぱり、今度小田原に行ってもう1回、この藤田西湖さんの戦前にいろいろね、軍とか警察に対して忍術や武術のことを調べた人の、手裏剣とかは結構権威らしいんですよ。

(安住紳一郎)ええ。

(磯田道史)この文書も・・・文書っていうか文庫ですけどね。

(安住紳一郎)へー。じゃあ一応でも、その藤田さんが集めたそういう武術に関する本がたくさんあるので、いまは小田原市の図書館が?

(磯田道史)あるんですよ。だから行けば誰でも見せてくれるはずなんですよ。

(安住紳一郎)へー。じゃあ、想像するに、もしかすると風魔の流れをくんで、その後、その技術を買われ、陸軍などに請われて教師として行った可能性が?

(磯田道史)本人は甲賀忍者系だって言ってたんだそうですけど。

(安住紳一郎)でも、甲賀の方が小田原にはちょっとおかしいぞ?ということはあるわけですね。

(磯田道史)普通、あんまり学者と称するような研究者が扱うような分野じゃないのかもしれないですけど。そこまでして小田原で忍者のことを調べなきゃと思うんですけど。でも、比較的史料がある分野もあって。それは忍者と吉原や遊女の関係なんですよ。

(安住紳一郎)はあ。

(磯田道史)どうも江戸時代になって、僕は静岡に赴任してから、吉原が静岡市から行ったか、吉原っていう町が静岡市内にあるんですけど。そっから行ったかというような史料を見ていると、どうも徳川家康が関東を与えられて、江戸へ入る途中で風魔忍者の残党が江戸の入り口付近で遊女をちゃんと揃えて『お待ち申しておりました』って。まあ、大量の男性が入ってきますんで。で、それをやったのがどうも後北条の忍者関係の人韃靼ではないか?という古文書や史料の記述は、江戸時代になってのものですけど、ちらほら見えるんですよ。

(安住紳一郎)へー。

(磯田道史)ひょっとしてあの吉原のね、いま風俗歓楽街の元と風魔忍者が関連してたのかな?とかいうような目でね、やっぱり見ちゃいますよね。うん。

(安住紳一郎)じゃあその説が本当だとするならば、小田原で名を轟かせた忍者の名党、風魔党はもしかすると、じゃあ今後商売が立ち行かないから、私たちはそういう色街の管理をやることをしようね、みたいな?

(磯田道史)だからね、こんなの別に学問の話としてするわけじゃないけど、くノ一とかって本当ね、そういう遊女とかそういうのを北条の風魔一党は結構関東の街道筋に配置していて。そっから聞き出したりとかしてたのかな?とか思うよね。

(中澤有美子)なるほど。遊女に情報収集をさせるみたいな。

(安住紳一郎)あと、秘密工作色仕掛けみたいな。色落としみたいなので、結構そういうのが慣れていた。ノウハウを持っていたんでしょうね。

(磯田道史)ハニートラップ風魔忍者みたいなのがあったのかどうか、知らないけど。

(安住紳一郎)ハニートラップ(笑)。

(磯田道史)なんか想像が、もう小説の世界だけど。そこに行っちゃうと。

(安住紳一郎)『うち、ハニートラップ得意だからさ!色街の経営、やろうと思うんだよね』みたいな?

(磯田道史)(笑)。ホンマかいな?と思うんだけど。

(安住紳一郎)『もう北条家、ダメだからさ。やるよ!』みたいな(笑)。

(磯田道史)わからないだけに、いろいろ面白い感じがね、出てくるんですよ。

(中澤有美子)(笑)。本当ですね。

(安住紳一郎)歴史学者、磯田道史さんに聞いています。最後は北条氏大河ドラマの可能性。

北条氏大河ドラマの可能性

(磯田道史)うん。これ、小田原市さんもよくがんばって。なんかね、来ればいいだろうってことでアピールをなさってるみたいなんですけども。

(安住紳一郎)北条早雲でいけますよね。大河ドラマ。

(磯田道史)うん。早雲、面白いと思うけど。あの、僕は幻庵っていう人が面白いんじゃないかと思うんですよね。早雲のいちばん末っ子なんですけど。この人ね、まあ一説によると97まで行きたと言うんですよ。

(安住紳一郎)えっ?

(磯田道史)いや、戦国時代に97生きるって、北条早雲の息子ですけどね。ちょっと尋常じゃないですよね?

(安住紳一郎)そうですよね。

(磯田道史)最近の研究じゃあ、もうちょっと、これは年齢を長めにサバを読んでいて。まあ、よくいっても80過ぎじゃないか?っていう人もいるんですけども。

(安住紳一郎)と、言っても1600年そこそこで、相当な。

(磯田道史)天海僧正とかぐらいじゃないと、そんな長生きしないですよね。天海だって生まれたところ、誰も見ているわけじゃないからね。

(安住紳一郎)そうですよね(笑)。へー。

(磯田道史)いや、それでこの、最近本当関東で大河ドラマやったって言ったら、大昔の平将門についてのとか、北条時宗とか。まあ中世はやったんですけど。武田信玄とか、箱根の山より内側じゃなくて外側のものをやっているから。関東やっぱり東京圏って結構大きな人口を抱えているし。本当に面白い北条ドラマってありじゃないかな?と思うんですけどね。

(安住紳一郎)うん。

(磯田道史)で、この長く生きた北条幻庵さんかなんかを。化物みたいに生きた。もう諸芸の達人だし。で、昔、直江兼続の大河ドラマをやった火坂(雅志)さんというね、小説家さん。最近亡くなられたんですけど。『幻庵は面白いよ』みたいな話をね、僕もしたんですけどね。なかなかこう、面白い原作がないからか、できないんですよね。

(安住紳一郎)そうですか。これは磯田さんが書くっていうのも?

(磯田道史)いやー、僕は小説家ではないからね。でも、なんかいい案をしたら、北条は面白いと思うんですけどね。

(安住紳一郎)そうですか。じゃあ、もしかすると、まあ10年後ぐらいに北条幻庵で大河ドラマ?

(磯田道史)いいかもしれないね。僕、思うんですけど北条氏って五代かかって関東を統一できないんですよ。やっぱり関東って広いんだろうね。一方思うのは、北条が五代かかって平定できなかった関東を、俺は一瞬にして平定できるって自信過剰にやって来る上杉謙信っていう人も不思議な人だと思うんだよ。

(安住紳一郎)そうですね(笑)。

(磯田道史)それで小田原城を包囲したりして。公称10万だとかいうような兵でね、あれを囲って。俺、いくら考えても五代かかって無理なものを一瞬で自分、できないと思うんですよね。いくら関東管領だとか言ってたってね。

(安住紳一郎)何してんの?っていう(笑)。

(磯田道史)上杉謙信さんって不思議な人だと思うんだよね。

(安住紳一郎)いや、逆にだから人気があったのかもしれないですね。まあ、いまも人気がありますけどね。

(磯田・中澤)(笑)

<書き起こしおわり>

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