宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の中でライムスターの新作アルバム『Bitter, Sweet & Beautiful』の『ガラパゴス』のミュージックビデオ撮影の模様について話していました。
(宇多丸)そんな中で私がどう過ごしていたか?というとですね、ニューアルバム発売に向けて取材を受けたりとかですね、いろいろやっているんですけども。まあ、ミュージックビデオなども撮るんです。今どきはやっぱりYouTube時代っていうんですか?やっぱり映像がついてないと、なかなか曲を聞いてもらえないっていうか、なんて言うのかな?逆に僕はだから映像ものの価値が増しているっていうか、映像を付ける価値がすごく増しているんだとは思うんですけど。ミュージックビデオを撮ったんです。
で、まず一発目として、これから出せる情報、出せない情報ありますけど。アルバムの、前にオンエアーしました『ガラパゴス』というね、日本のヒップホップに関する歌なんですけども。『ガラパゴス』という曲のミュージックビデオをまず先に撮ったわけです。
で、まあその公開時期とか、タイミングなどについてはまた後ほどね、追ってご紹介できると思いますけども。先にちょっと言っておくと、ちょっとこう、実験者というか。3人メンバーが科学者というかね、研究しているみたいな。マッドサイエンティストものみたいな。まあそういう感じなわけ。
で、3人それぞれいろんなシチュエーションだったんですけど、僕は白衣とかを着てさ。とある都内の、中野にある、とある学校の・・・要はちょっと大学っぽい絵面がほしくて。大きい、普通の教室じゃなくて、ああいう大学っぽい講義する教室で。ガーッて上下さがる黒板で。で、そこに僕はウワーッて日本のヒップホップのいろんなことを書いて授業しているというかね。まあ、誰もいない教室なんだけど。そこでやっているっていうあれなんだけど。それの、黒板に要するに『ガラパゴス』という曲の僕のヴァースの中で言っていることの論理的な裏付けを全部書いているっていうか。
宇多丸が日本のヒップホップを講義
言っちゃえばですね、そのビデオはね、割とこうやってください、こうやってくださいってピンポイントで撮っていくんだけど。そこに関しては、一時間ぐらいかな?一時間くらいかけて、日本語ラップ論争はなぜ繰り返されるのか?というテーマで一時間、授業しました。本当に(笑)。スタッフに向かって。本当に、リアル講義ですね。みたいな。『なぜかと言うと、こうですね。カンカンカン・・・』っつってね。はい。『六世紀半ば、仏教が入ってきました』とか、そういう話から始まって。うん。
あの曲の中で、ねえ。あの『ガラパゴス』、ちょいちょい音源なんかもね、これからもちろんアルバムが出れば聞いていただけると思うんですけど。要はさ、はっきり仏教とは言ってないんだけど、『はるか太古からの輸入文化大国♪(チーン)』なんて言ってるんだけど。そこ、ちょっとお経調のフロウにしてるのはそういう・・・要するに、六世紀半ばに仏教が入ってきた時も、外来文化っていうのと既存の当時の古代神道がやっぱり反発とかあって、対立とかしてるんですよと。なんだけど、その後、そういう入ってきた文化っていうのはこういう風に根付いていくもので、これは別に日本に限らず、どこの文化だってそうなんですよと。
そういうような講義とか。あと、『日本語ロック論争がありまして・・・』とか。そういう講義をもう、ひと通りですね。まあ、一応スタッフはいるけど、誰もいない教室に向かってやってという。で、まあその黒板の成果が画面にこう、映しとられていってですね。なので、突然、いきなり『為末さん』とか、そういう字がドーン!と出てきたりするんで。びっくりしないでくださいっていうね(笑)。いろんなことを踏まえて書いているんですよという。その黒板いっぱいの白い文字が、この16小節ですか?24か。に、集約されているというあたりでね、『ガラパゴス』、よりテーマがわかりやすいあれになっているんじゃないでしょうか。
あと、まあここあたりは実際に映像を見ていただけるとおわかりにと思いますが、特に日本のラップに詳しい人だとちょっと、うれしいキャメオ出演なんかもね。あ、この人が出ているんだ!なんてちょっとね、あったりもしますんで。そんなのも楽しみにしていただきたいと思っております。
<書き起こしおわり>