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藤津亮太『天気の子』『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を語る

藤津亮太『天気の子』『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を語る アフター6ジャンクション
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藤津亮太さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さん、宇垣美里さんと『天気の子』と『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』について話していました。

(宇多丸)ということで、今回の本編。夏、秋に注目の国産アニメについて藤津さんから解説をいただきたいと思います。

(藤津亮太)まずひとつ、夏アニメのお話なんですが。夏アニメ、いまもう興行ど真ん中のシーズンなのでご紹介というわけにもいかないので。今日は、まあ「見ると語りたくなる」という。きれいに言うとこうですけども、まあ議論を呼んでいる二作品を取り上げて「ああ、いまこういうことが話題になっているんだな」ということをお知りいただこうと思って。それで二本、持ってきました。まずひとつは宇多丸さんもこの番組で取り上げられていた『天気の子』ですね。で、もうひとつが『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』ですね。

(宇多丸)いや、いまもう『ドラゴンクエスト』界隈がもう大変な騒ぎに……。

(藤津亮太)大変な騒ぎに。

(宇垣美里)ある種の物議を醸しているという。

(藤津亮太)「ある種」どころかだいぶ……(笑)。

(宇多丸)ドッカンドッカンなっているっていう。

(藤津亮太)そうですね(笑)。『天気の子』は簡単に言うと、わかりやすい物議というか議論の沸騰の仕方は「新海誠監督はここで変わったのか? 変わっていないのか?」みたいな話で。変わっていない派は正確に言うと「昔の新海監督に戻った! わーい!」派なんですね。というのも含めて、この2つで意見を戦わせているというよりは、それぞれがそれぞれに考えてすごい盛り上がっているという感じになっていて。まあ、これだけの議論を誘発するフックがある『天気の子』ってすごいな!っていうはなしなんですよね。

(宇多丸)それがしかも大ヒットど真ん中でやっているわけですからね。

(藤津亮太)なので、『天気の子』の作品そのものの面白さっていうのもあるんですけども、新海誠監督って僕の中ではPDCAサイクル……Plan、Do、Check、Action。要は1回やったことを自分の作品にフィードバックして次の一歩を進むタイプの監督だっていう印象があるので。新海監督がどうやって進歩してきたのか。自分の作るものを変更したり……具体的に言うと前にあまり上手くいかなかったなっていう要素はなくなっていたりするんですよね。上手くいったものは伸ばしていくみたいなことがやられているので。そういう意味でもね、『天気の子』って新海監督の歩みとセットで見るとものすごく面白いんですよね。

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PDCAサイクルを回す新海誠監督

(宇多丸)まさにね、藤津さんの新刊『ぼくらがアニメを見る理由』でもしの新海さんの歩みとともに『君の名は。』の分析があったりとかして。それを補助線にすると、さらにわかりやすくなるところもあるかなって。

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藤津亮太
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(藤津亮太)なので僕、一応この番組はコアな方じゃなくてなんとなくラジオを聞いてしまっている方に「話題らしいけど」っていうことで気になっている方向けで説明をしているんですけども。なので『天気の子』を見たら何本か古い新海誠監督の作品を見てみると……特に『君の名は。』以前のものを見ると「ああーっ!」みたいな感じになることもあるので。それでもって『天気の子』の記憶を反芻してもらうと「ああ、ずいぶん大人っぽくなったな」とか「いやいや、むしろ子供っぽいんだ」とか。まあ、僕はちなみに言うと、「大人っぽい姿勢で子供っぽいモチベーションを描いた」っていう感じに捉えているので。新海さんは変わったというか、たぶんいままで作った中でいちばん大人っぽい作品だなって僕はむしろ思ったんですね。

(宇多丸)なるほど。うんうん。

(藤津亮太)というような形で『天気の子』、大変いま議論を呼んでいますので。ご覧になっていない方は見ていただけると面白いんじゃないかなって。

(宇多丸)でもまさにこの夏、『天気の子』を見て意見を言うっていうことがこの2019年の夏のアニメ状況としてすごく象徴的っていうか。

(藤津亮太)7月下旬、19日ぐらいからかな? 公開だったんですけども。僕は初日を見て劇場から出てきたら、ずっと梅雨だったのに晴れ間があって。いろんな人がその日に見て、「新海監督、持っているな!」って。初日にそんな感じで映画の中とリンクするような風景で。

(宇多丸)いや、これがやっぱり天気が……外に出ると天気があるっていうのがすごいですよ。本当にすごい! いまこそっていうのがありますしね。

(藤津亮太)それはやっぱり大発明なんですよね。

(宇多丸)本当にそこはすごいっすよね。マジで。

(藤津亮太)まあ、僕も新海監督ご自身にお話をうかがったら、「やっぱり天気ってみんなに関係していることなんで……」っていうことをおっしゃっていて。それは以前にやった、たとえば『雲のむこう、約束の場所』なんかは女の子が特殊な能力を持っているんですけども。あんまり天気とかそういう具体的なものとは関係がないんですね。そこが修正されているような印象を受けたりしたので。「ああ、やっぱり新海監督は1個ずつ詰めてやられているな」っていう印象を持ちました。なのでぜひ、ご覧になっていただけると面白いんじゃないかなと思いました。

(宇多丸)はい。そして……。

(藤津亮太)もう1個。『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』。

(宇多丸)公開されたばっかりですね。

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話題沸騰の『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』

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(藤津亮太)まあ、話題沸騰という意味ではこれ以上ないぐらい沸騰している。煮えくり返っているわけですが……。

(宇多丸)フハハハハハハッ!

(宇垣美里)煮えくり返っておりますね(笑)。

(藤津亮太)その議論のポイントは大ざっぱに言うと「この作っている人は愛があるのか? ないのか?」っていうところで。いろんな視点でゲームに対する愛があると思うっていうような人もいれば、ないっていう風に思う人もいる。まあ現状、若干「ない」派が優勢ですが。

(宇多丸)言わずとしれたドラゴンクエストVの映画化という。

(藤津亮太)これ、実はストーリーに大ネタがあるんですよ。まあ、いろんな方がネタバレも含めて……これは本当にネタバレしちゃいけないものなのでアレなんですけども。でも、『ユア・ストーリー』っていうところと関わっていて、要はまあドラゴンクエストVが元なんですけど、実際にはそのドラクエという長いシリーズのいちばんのファーストインパクトはIからIIIまでの時期だと思うんですけども。そのインパクトを見て糸井重里さんや鴻上尚史さん。いわゆるサブカルチャー寄りの人たちが「俺もRPGを作ろう」って思ったというのがドラクエの日本における1個のカルチャー側面でのインパクトなんですよね。

(宇多丸)うんうん。

(藤津亮太)で、なんであんなにインパクトを持ったのか?っていうと、要はRPGにおける物語っていうのは個人が体験した時間なんだ。そこに唯一性というものがあるんだという。つまり、みんな同じイベントをクリアしているようでも、間でどんなモンスターに苦労をしたとか、どこで詰まったとかっていうのはみんな違うんだっていう。

(宇多丸)ひとつとして同じものはない。

(藤津亮太)そう。その体験の唯一性というものがRPGの物語の面白さなんだっていうのがドラクエIIIぐらいまでにカルチャーサイドであったたぶん大きいインパクトなんですよね。で、だからそういう側面というものがドラクエという存在には象徴的に持っていて。そこの「あなたの物語、唯一性」っていうものがこのタイトルの『ユア・ストーリー』っていうのと関わっているんですね。というところで考えて作られてはいるんですよ。ただ、そういう大ネタと、それから山崎貴監督……『SPACE BATTLESHIP ヤマト』とか『STAND BY ME ドラえもん』とか、マニアックなものを総監督される場合には微妙にディテールの抑えが、マニアの方から見るとツボから横3センチぐらいズレていることがあって。

(宇多丸)ええ、ええ。ええ、ええ!

(藤津亮太)フフフ(笑)。で、それは実写の場合にはあまり感じないんですけど、マニアックなものをやると若干そういうところがあって。ドラクエもやっぱりズレている感はあるんですよね。

(宇多丸)なるほど。だから熱狂的なファンはちょっと……。

(藤津亮太)「ちょっとな……」ってなるのもわかるんですよね。たぶん僕はその『ユア・ストーリー』っていうところに意味を込めていた……『SPACE BATTLESHIP ヤマト』にはそこの部分って抜けていたと思うので。そういう意味ではドラゴンクエストの意味ってなんだったのか?っていうことに真面目に向き合おうとしたっていうことは受け取りました。

(宇多丸)要はドラゴンクエストの本質っていうものをちゃんと考えてやってはいるという。でも、そここそが物議を醸しやすかったりするという。

(藤津亮太)あとは「みんなが見たいのはそこじゃねえよ!」っていうことですよね(笑)。つまり、みんなは『天空の花嫁』っていうストーリーが見たかったというのがたぶんあると思うんですけども、そうじゃない要素を入れたので物議を醸しているという。

(宇多丸)なんかね、ちょっとネタバレになるのでこれ以上は言えないところもあると思うけども。本当に驚天動地の……って。「なになに? イデが発動するとか?」みたいな、いろいろなことをさっき言っていたんですけども(笑)。

(藤津亮太)そうですね(笑)。まあ、かなりびっくり系の仕掛けなので。あとはCGアニメならではでもあるんですよね。その表現は。なので、僕は結構そういう大技は嫌いじゃないので。果敢に技をかけに行って、まあ成功したのか失敗したのかはみなさん、その目で見届けてください。

(宇多丸)でもそれってさ、広義の「面白い」っていうことですよね?

(宇垣美里)「そう来たか!」っていう。

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過去の失敗邦画たちとの比較

(藤津亮太)いろいろね、比較として過去の面白くなかった邦画の名前が取り沙汰されていますけども、そのうちのいくつかは単純に予算が安くて企画を間違っているやつなので。それと比べたらこれはある意味、真面目には作られているんですよ。ちゃんと真正面からテーマとぶつかるっていうことはやっているので。結構そこと並べるとちょっと問題の位相は違うよなっていう感じは僕がしているので。うーん……。

(宇多丸)みんなが気に入らない方向に行っちゃったっていうだけだということですね。

(藤津亮太)「パブリック・エナミーだ」っていうだけの名前でそこを使うのはどうかな?って思いました。

(宇多丸)なるほどね(笑)。

(宇垣美里)「パブリック・エナミー」(笑)。

(宇多丸)すごいな(笑)。でも僕も今週、『アルキメデスの大戦』の映画評をやる時、『ドラゴンクエスト』もやっぱり一応見ておかなくちゃダメだわってね。

(宇垣美里)そう。いま見たくなりました。

(宇多丸)そうなんですよ。見たくなるんですよ。ちゃんとね。というのはありますね。

(藤津亮太)まあ、逆に言うと元のゲームをやっていないで情報だけ知っている人が見ると、意外に普通に楽しめちゃうかもしれないですね。

(宇多丸)なるほど、なるほど。ということで『ドラゴンクエスト』でした。

(藤津亮太)物議を醸している二作ということでした。

<書き起こしおわり>

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