愛川欽也が語る トラック野郎の企画を東映に持ち込んだ話

愛川欽也が語る トラック野郎の企画を東映に持ち込んだ話 たまむすび

愛川欽也さんが2013年9月にTBSラジオ『たまむすび』に出演した際の書き起こし。愛川さんが映画『トラック野郎』の企画を考え東映に持ち込んだ話や、トラック野郎の撮影の思い出を話していました。

(小林悠)玉さんがぜひ聞いてみたい筋というのは?

(玉袋筋太郎)これ、いきなり行っちゃっていいっすかね?やっぱ僕、好きなんですよ。この、9の筋ですよね。『トラック野郎の企画を東映に持ち込んだ筋』。

(愛川欽也)これ、そうなんだよ。

(玉袋筋太郎)お願いしますよ!大好きなんですよ。トラック野郎。

(愛川欽也)これはね、なんでもないんだよね。当時東映がね、ヤクザもんばっかりやってたでしょ?で、これ、お客が来なくなっちゃったの。まあ、いつまでもできないよ。あんな映画ね。

(玉袋筋太郎)はいはい。

(愛川欽也)で、もう殺したくないしね。そういう映画で東映が傾いちゃってた頃。これ、絶対間違いなく傾いていたの。その時ね、たまたま、その前にね、俺がフジテレビでね、『リブ・ヤング!』っていう関東地方だけのだけど、生放送。これも。若者向けの番組をやっていたの。

(玉袋筋太郎)生ばっかだ(笑)。

(愛川欽也)で、そこへゲストで、自分たちの映画の宣伝のために、東映のいろんな連中が来たの。で、文ちゃんに初めて会ったんです。

(玉袋筋太郎)菅原文太さんね。

(愛川欽也)そう。で、文ちゃんっていうのは俺のちょっと、ひとつかふたつ上なんだけど。世代がだいたい同じだから。『見てますよ』って。文ちゃんの『仁義なき戦い』。俺、見てねーんだよ(笑)。

(玉袋筋太郎)(笑)。見ていない。実録派は見てないんですか?

(愛川欽也)そう。ああいうのはあんまり好きじゃないんだよ。それで、文ちゃんさ、困っているのは知ってるんだよ。だって東映が、もうないからっていうんで。で、その東映の裏筋からさ、『なんか企画ねえかな?』とかなんとかって話が聞こえてくるわけ。俺の友達なんかが東映でもってプロデューサーなんかやっているのがいるの。

(玉袋筋太郎)はい。

(愛川欽也)で、そいつもいたから、その文ちゃんにね、『なんか新しい番組、やる気ないかね?』って。番組って、映画ね。そしたら、『おう、キンキン。なんか面白いものあるんだったら、言ってよ。言ってよ』ってこう、言われてたの。で、俺、前々から考えていたのがね、フジテレビが開局の頃、『ルート66』っていうアメリカの映画の吹き替えをやったの。

(玉袋筋太郎)ルート66。

元ネタは『ルート66』

(愛川欽也)あれも俺なんだよ。それで、トッドとバズっていう2人の青年が、大学を卒業して、アメリカの社会に出て行く前に、旅をしながらやるっていう素晴らしいシリーズだよ。ルート66を見ていた人はね、たぶんあれは素晴らしいテレビ映画だと思うよ。テレビドラマ。で、俺、それをね、大人のもんでやりたかったの。

(玉袋筋太郎)いいなー!

(愛川欽也)それを考えてたんだよ。で、フッと考えてたんだけど、ルート66っていうのはね、シボレーコルベットっていうのに2人の若者が乗ってアメリカを旅するんだよ。そこでいろんな、たとえば連中に会って。黒人だけの町みたいなところに行くと、そこで年とった昔のジャズ歌手が倒れてね。助けちゃったりして。その2人の青年が、初めて人種的問題みたいなのに絡んでいくようなね、アメリカらしい、とってもいいシリーズ。

(小林悠)えー、社会的ですね。

(愛川欽也)そう。それをね、やろうと思っていたわけ。だけど、俺と文ちゃんでスポーツカーは合わねえだろ?

(玉袋筋太郎)(笑)

(愛川欽也)荷車なら合うけどさ。そこで考えたのがトラックなんだけど。トラックに行く前には、トラックは実際にね、東名がまだ走りだして。その東名を夜、俺も時々自分の車で。もうほら、稼ぎがいいから、時々ね。どっか六本木かなんかで拾ったりなんかして。そういうのが、どうしてもどっか行きたいって・・・あ、俺が言ってるんだよね。

(玉袋・小林)(笑)

(愛川欽也)そういうと、自然に御殿場の方に行っちゃったりなんかする時にね、あのできたての東名をね、向こうからね、ギンギラギンのトラックが走ってきて。

(玉袋筋太郎)デコトラが。

(愛川欽也)デコトラが。で、当時デコトラなんて言葉はないんだよ。ただあれは、運転手さんが好きで好きで。トラックの運ちゃんが。自分でおっちょこちょいだから、あんな金かけて、あんなことを・・・

(小林悠)おっちょこちょい(笑)。

(愛川欽也)俺はその瞬間ね、これだ!と思ったの。

(玉袋筋太郎)うわー!いいねー!

(愛川欽也)いいアイデアだろ?で、それを企画書に書いて、東映に出して。まあ、知っているプロデューサーがいたから。やりたい!って言うんだよ。で、それをまたすぐ、文ちゃんに話をして。やろうじゃないかって、文ちゃんとコンビが生まれたの。

(玉袋筋太郎)やったー!桃さんジョナサン!イエーイ!

(愛川欽也)これがトラック野郎だよ。

(玉袋筋太郎)で、実際脚本の方がね、トラックに乗って脚本を書いたっていう話を聞きましたけどね。はい。澤井さんとか。

(愛川欽也)ああ、まあ大したことないけど。それもやっぱり、むしろね、みんなで大泉の撮影所のそばの汚え宿屋にいてさ。そこで本を書くんだ。そこでいろんな余計なことを言って、だんだんだんだんね、トラック野郎の敵っていうのが結局誰か?っていうとね、そこに変なのが出てくるんだよ。

(玉袋筋太郎)はい。

(愛川欽也)まあ、だいたいね・・・

(玉袋筋太郎)ボルサリーノとか。

(愛川欽也)出てくるんだよ。そう。それと、文ちゃんが勝つわけだ。俺は一方、子沢山で。春川ますみさんっていう女房がいいんだよね。

(玉袋筋太郎)いいんです!僕、理想の女性ですよ。

(小林悠)あら、そうなんですか。玉さん。どんな感じの女性なんですか?

(愛川欽也)ふくよかで。ふっくらしてるの。でね、一本ごとに子どもが生まれていくから、増えちゃってしょうがねーの。子どもが。

(小林悠)ええーっ!?

(玉袋筋太郎)そうそうそう!

(小林悠)あら、大変だ。

(愛川欽也)そう。だからそれをね、9人まで産んで、後はやめたんだよ。それで10作でやめたんだけど。だから9人いたんだ。最後。

(玉袋筋太郎)そうですよ。

(愛川欽也)それはちょっと横道なんだけど、その、文ちゃんとこれを始めるってなったら、文ちゃんがすごい乗ってね。それで桃次郎っていう名前をつけた。

(玉袋筋太郎)星桃次郎。

(愛川欽也)それで俺の方はどうしようか?って思ったらね、やもめのジョナサンって。

(玉袋筋太郎)これですよ!カモメのジョナサンの。

(愛川欽也)そう。あの本が売れたから。やもめのジョナサン。インチキなもんだよ。それでね、金持ちの名前だけは付けようじゃないかってんで、松下幸之助さんから松下をもらって。で、松下金次郎って。

(小林悠)おおー、お金持ちそうですね。

(愛川欽也)そう。それでその旅が始まる。

(玉袋筋太郎)でも当時、あれですよね。あのトラック、デコトラの要するに集団の哥麿会の・・・

(愛川欽也)あ、哥麿会。哥麿会って、トラック野郎ができてから、できたんだよ。好きな連中が集まって。

(小林悠)うわー。じゃあ、きっかけになったわけですね。

(愛川欽也)ところがね、そのトラックの本当の敵はっていうと、交通違反を取り締まっている警官になっちゃうわけだ。で、相手が警官なんで、もう好きなことを考えてやったんだけど。それがちょっと逆鱗に触れたらしいんだよ。

(玉袋筋太郎)あれ、逆鱗だったんすか?

(愛川欽也)ありゃそうだよ。だってひどいことをやっちゃったんだもん。

(玉袋筋太郎)でも、元警官ですからね。ジョナサンは。役としては。

(愛川欽也)俺は元警官なんだけど。だけど、俺のせいじゃないんだけど。みんなで考えるから、もうロクなことを考えないんだよ。毎回当たってるから、もう何でもOKでさ。

(玉袋筋太郎)(笑)

(愛川欽也)それで、だいたいそういう官憲やなんかと戦うっていうのがね、アメリカなんかは平気なんだけど、日本ってそんなことばっかり禁止するんでね。で、そのうちね、いちばんひどかったのはね、桃さんがね、向こうから、豆パトが初めてできた頃なんだ。で、バーッと女が来るんだよ。それで桃さんがそれを畑の中で、どうしてもその豆パトの女の警官ね。婦人警官を、野原で一発ってことになったんだ。

(玉袋筋太郎)(笑)

(小林悠)はーっ!?そんなの、いいの!?

(愛川欽也)それで・・・よかねえんだよ。それで、ところが問題なのはだね、その警官が誰を隠そう、あき竹城なの。

(玉袋筋太郎)わーお!これもまた、理想の女性です。

(愛川欽也)これ、いいだろ?楽で。

(玉袋筋太郎)理想の女性が2人もいる。

(愛川欽也)犯される顔じゃねーんだ。自分から脱いでいったの。

(玉袋筋太郎)(笑)

(小林悠)おかしいでしょ!それ!

(愛川欽也)面白いだろ?

(玉袋筋太郎)面白い!最高!

(愛川欽也)いや、これがやっぱり逆鱗に触れた一番らしい。

(玉袋筋太郎)トラック野郎っつーのはね、本当、あれですよ。男の子の道徳映画としては、もってこいですよ。

(愛川欽也)そうだよ!うん。

(玉袋筋太郎)これがないと!

(愛川欽也)だから無理やり強姦してんじゃないんだよ。相手が脱ぐんだから。

(玉袋筋太郎)そうだよ。

(小林悠)ちょっと、すごい話になってますけども(笑)。

(愛川欽也)だけどそういうのを映画で撮れるのはやっぱりね、さすが東映だけだね。これ、松竹では撮らないよ。

(玉袋筋太郎)やっぱ寅さんですもんね。向こうは。

(愛川欽也)向こうは真面目だよ!

(玉袋筋太郎)こっちは、東映は!

(小林悠)ありえない。ぜったいに。

(玉袋筋太郎)ぜったいにこっちは東映だもん。うちだって、もうファンは東映だもん。東映だよ!冗談じゃねーよ!本当に。

(愛川欽也)(笑)

(小林悠)波長、合いすぎ(笑)。

(玉袋筋太郎)育ててもらったんですよ。三角マークに。富士山じゃないんですよ!

(小林悠)なるほどね。

(愛川欽也)まあ、好きなことをやっていたね。この10年間ぐらいはね。バーッと。

<書き起こしおわり>

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